「個別試験」カテゴリーアーカイブ

高校理科 東京大学2007 (平成19)年度 物理・化学 前期入試問題の解説

物理

前年度より大幅に易化。

解説

第1問

奇しくも、同年度の東工大物理もバネとベルトコンベアーを組み合わせた問題だった。東工大の方は難問だが、東大の方は満点を目標にすべきほど易しい。

[II]

(4)Aについては(3)の結果から一目瞭然。T’については、数式で考察するまでもなく、「単振動の周期は振幅に依らないこと」と「Nが大きくなると接着している時間が長くなる」という二点を考えれば良い。

第2問

[I]

(2)合成関数の微分V = dΦ /dt = dΦ /dz ・dz /dt を利用すると楽だ。

[II]

(1)ジュール熱はコイルに電流が流れないと生じない。電流が生じるコイルの範囲は、図2-3によると[-b, -a], [a, b]の計2(b -a)。よってリング数は 2(b -a)n。

第3問

[I]

(1)水面が静止するという事は、波が打ち消し合っているという事なので、位相がπズレている。

[III]

単スリット問題とは違い、隙間に入射してくる波は平面波。

化学

東進の解説

出題者は高校化学の教育内容を把握できてないようだ。東進についても、その入試分析から同じ傾向が感じられる。

第1問

問題文を読み込み把握するのに時間がかかるので国語の様だ。[I]は易しいので完答したい。[II]はどの小問も問題文が長いが、最後の1, 2文だけ読めば良い。

オ.α≪1 という仮定があるので、[CH3COO] = [H+] として良い。

第2問

高校化学の知識では解けない悪問で、予備校間の解答もバラバラという始末。完全に捨てて0点でも問題ない。

[I]

ア,イ,エ.硫酸銅、水酸化ナトリウム、酒石酸ナトリウムカリウムはフェーリング液の成分でもある。Cu2+ はフェーリング反応とホルムアルデヒドによって還元されてCuとして析出する。

ウ. 「水酸化ナトリウムを加えないとめっきは全く進行しなかった」という記述から、炭酸ナトリウムを NaOHが消費された際にOH を供給する緩衝液であると見抜く必要がある。これは意地悪だ。

オ. 「銅と等モルの水素が発生した」という記述が(ア)では不可解に思えるが、これは(オ)への布石だ。 煩雑な計算問題なので回避しよう。

[II]

カ.問題文が不適切。「骨格」と言えば高校化学では「炭素骨格」を想起させるので、側鎖の酸素原子は無視して良いと誤解してしまう。

キ.水晶、石英の他に珪砂でも良い。

第3問

[I]

ア.塩化カルシウムには潮解性、吸水性がある。ソーダ石灰も吸水性があるが、Ca(OH)2, NaOH, KOHから成り、二酸化炭素と中和できる。この知識がないと、この中問は全て解けない。

[II]

イ.アルコールは親水性というイメージがあるが、ヒドロキシ基の数に対し炭素原子が3倍以上ある化合物は親油性。よってEはフェノールを除くアルコール。

高校理科 東京大学2006 (平成18)年度 物理・化学 前期入試問題の解説

前年度より難化。物理は問題数が増え、化学は計算問題が易化するという傾向の変化があった。

物理

解説

第1問

天体を題材にした力学と波動の問題。

[I]

(1)この中問の本質が二体問題であることを気づかせる為の問い。二体に対して外力は働いてないので、重心は加速度0である。だとするとCが重心だと分かる。

(2)問題文の「惑星に働く向心力は恒星による万有引力である」という説明が強力なヒント。これが無いと難しく、恒星を中心とする惑星の円運動を立式するなら、換算質量を用いる必要がある。

[II]

(1)ドップラー効果の公式を適用する。

第2問

[II]

コイルは自己誘導により電流の時間変化を緩やかにする装置であり、スイッチを切るとコイルが電流を維持しようとする。

点灯が終わる直前には電流が0になっている。

[III]

文字にLが含まれているので、自己誘導起電力の式を建ててみよう。

自己誘導起電力が一定であると近似すると、電流は時間の1次関数となるのでV1 = I1L /Tとなる。もしくは、コイルが蓄えたエネルギーが全てランプの点灯に使われたと考えてLI12 /2 = V1I1T /2 としても良い。

第3問

[II]

(1)「単位時間あたり」の相当する次元を持つのがvだ。「単位時間あたり」という条件を外す代わりにvを距離lに置き換えると分かりやすい。

(2)やたらと長い問題文で意図が掴みにくいが、これは[III]への誘導だからで、本問ではT = T’なので答えは(2)と同じになる。

化学

東進の解説

第1問

ア.物理学的な内容。Aは炎色反応で、励起した電子が基底状態に戻る際に電磁波を発する。Bは黒体放射で、熱を吸収した物体の構成粒子が振動し、放射エネルギーとなる。

ウ.弱酸遊離反応でも熱分解でも正しい。

第2問

[I]

イ.炭素やケイ素の原子は正四面体型に共有結合し強固な結晶になるので、金属を上回る融点を持つ。

エ.(ウ)が誘導になっている。操作5の空試験から、試料の酸化で消費した過マンガン酸カリウムは2.60mLだと分かる。

[II]

キ,ク.問題文はシリカゲルの製造過程を辿っているが、メタケイ酸がシリカゲルになるのは一部を脱水した場合であり、完全に脱水すると吸水作用を担うヒドロキシ基を失い、二酸化ケイ素になる。引っ掛け問題だった。

ケ.Fe3+をFe2+ にするには硫化水素などの還元剤を作用させる必要があり、アルカリ性の液体を作用させても Fe2+にはならない。また、 Ca2+とMg2+ が沈殿するかどうかの判断が難しいが、(コ)の問題文を読むと2種類しか沈殿してないと判断できる、

第3問

[II]

オ.G,Hではオゾン分解して臭素付加された炭素が不斉炭素原子である。

カ.問題文が曖昧だが、”常に”同一平面上にあるという条件ならGのみが適合する。

高校理科 東京大学2005 (平成17)年度 物理・化学 前期入試問題の解説

前年度より易化した。

物理

解説

第1問

地球トンネルがテーマの力学問題。

[II]

(1)原点を中心とする円周上をP ,Qが(0, 1)から出発する事を想像すれば速く解ける。円周上を動くなら両者は衝突しないが、x方向を潰して一次元化したから衝突してしまうわけだ。

(2)単振動をしている場合、ある地点を通過するときの速度は向きに依らず常に一定。よってP ,Qが衝突すると速度0になる。また、P, Qが合体することで質量が2mに変わるが、周期の式には質量は含まれてないのでそのまま適用できる。

[III]

(2)ここでも円周上の運動を考えると、P, Qは衝突後に周回の向きが逆になるので、角度π/2進んだ先で再び衝突するとわかる。

第2問

[III]

電磁誘導の法則を用いて解けるが、コイルを想定する一般的な考え方は使えない。深い理解が必要な問題だ。

[IV]

よくある「レール上を動く導体棒」の問題のような帰結。[III]が解けなくても解けるし、勘で書いても正解しやすい問題だ。

第3問

原子分野からの出題。

[I]

(3)(2)で求めた式を考察すると、分母に速度が含まれているので、速度が大きいほど縞間隔が小さくなると分かる。

[II]

スリットを通過したのは粒子だが、干渉縞を作るのは波である。これは、原子に波と粒子の二重性があるからこその現象だ。

スリットを通過してからは波として考察していく。本来なら ⊿x = lλ /d から⊿xとlは比例する。ここで着目するのが、波動性と粒子性を結びつける式”λ = h /mv”だ。この式によると粒子が加速すると波長は短くなると分かる。

化学

東進の解説

第1問

[II]

ク.A, Bのモル数が等しいことも記述に含めよう。

第2問

[I]

よくあるCODの問題。

ウ.酸化剤が異なっていても、酸化還元反応において取引される電子の数は等しいので、半反応式を比較すれば良い。

エ.(ウ)が誘導になっている。操作5の空試験から、試料の酸化で消費した過マンガン酸カリウムは2.60mLだと分かる。

[II]

.(キ)が誘導になっている。物理でよく使うエネルギーE = qVを利用する。

第3問

[I]

ア.反応物の一方を大量に用意することで反応を促進できる。プロピオン酸とエタノールの沸点を比べると、プロピオン酸はその分子量が大きく、かつ二量体を形成するので高い。よってエタノールを蒸留で回収できる。

.酸無水物でエステルを作れば、水が生じないので加水分解による逆反応は起きない。

[II]

ク.実験2では、安息香酸は溶媒と水素結合をしている。一方で、ベンゼンのような無極性溶媒中では安息香酸は二量体を形成する。

高校化学 東京工業大学1999 (平成11)年度 前期入試問題の解説

解説

[1]

  • 3.イオン結晶では、陰陽イオンが均等に結合している。分子結晶以外の結晶は分子としては存在していない。
  • 4.この性質のお陰で、界面活性剤は油汚れを包み込んでくれるのだ。

[2]

  • 4.アンモニアはNとHの電気陰性度の差が大きいので水素結合をするので、沸点が最も高い。
  • 5.分子間力が小さいので気化しやすい。ドライアイスの昇華がヒント。
  • 6.分子の運動エネルギーの「固体→液体」と「液体→気体」における差の大きさを考察する。

[3]

6.アンモニアソーダ法。

[4]

  • 3.水素を水に変えるために、減極剤として酸化剤が用いられる。
  • 4.導線を通じて電子が移動するので、陽イオン交換膜法と同じように両者の溶液は次第に電気的に偏る。これを解消するのが素焼き板で、硫酸イオンを負極側に移す。

[5]

  • 1.反応が十分に進むと平衡状態に至る場合は可逆反応。過酸化水素は不安定な物質なので全て水と酸素に分解するので不可逆反応。
  • 2.この反応は一次反応なのでd[H2O2]/dt = -k[H2O2] が成り立つ。

[6]

  • 1.分子に依って、アルミナとの極性といった親和性が異なる。そこでアルミナはカラムクロマトグラフィーに充填剤として用いられる。マニアックな問題。
  • 2.不純物は濃度が低いので溶液に残る。

[9]

高校化学の範囲では、「スクロース以外の単糖類・二糖類は全て還元性を持つ」「全ての二糖類には、グルコースが構成要素として必ず含まれる」と覚えておいて良い。

腸液に含まれるインベルターゼ(Invertase)はスクロース(転化糖)を分解する。Invertには「反転、転化」という意味がある。

[11]

黄燐P4 を固体として析出させるとPとなるので、物質量が4倍になっている点に注意!ここに引っ掛けられた受験生は多かっただろう。

P4 とArの物質量が分かれば、モル比 = 分圧比 を利用して解が得られる。

[12]

X, Yの元素は特定する必要がない。

[13]

NaClの様に陰陽イオンのサイズが同程度ならば、イオンが格子点に並ぶ。CsClの様に差が大きいと、斜めにズレて並ぶ。

[16]

B. BaSO4だけでなくCu(OH)2も沈殿するので6が正解。駿台の参考書は間違えて5としている。

[18]

問II

水酸化バリウム水溶液を塩酸で滴定しているのではなく、塩酸を水酸化バリウム水溶液で滴定している点に注意。

問III

ヘンリーの法則の問題は気体を物質量ベースで計算するのが基本。bとdでの物質量差が0.0388molなので各状態での密閉容器中の二酸化炭素の物質量を算出する。

注目すべきは、ヘンリーの法則に関する問題なのに「単位圧力あたりの溶解量」の数値が示されていない点だ。これは、その数値を未知数として立式する必要があることを示している。

高校物理 東京工業大学2002 (平成14)年度 前期入試問題の解説

第2問は超難問だ。5割が合格ライン。

解答

[1]

コンデンサーに関する電磁気問題。

(b)

導体板が挿入された極板と挿入されてない極板が並列していると考えれば、電気容量はそれぞれの和で表せる。

(d)

[①→②]

静電エネルギーの増減は(c)を参考にする。

極板間引力があるので、上極板をゆっくり-y方向に動かすときに引っ張られる。よって負の仕事をする。

[②→③]

導体板は極板間に挿入されることで静電誘導を起こすが、これによって極板はより近い場所に引き合う電荷を得られることになる。その極板と導体板の引力は極板間引力よりも大きいので、導体板を引き込もうとする。


以上の解答は、エネルギー保存則「静電エネルギー変化 = 外部がした仕事 + 電池がした仕事」からも導ける。

(g)

(d)と同じ理由で外力がした仕事は負になる。

[2]

熱力学としては稀に見る難問。(b)まで解ければ十分だ。

(a)

最初から引っ掛かりやすい問題が出題されている。

液体の圧力は気体とは扱いが異なり一様ではなく、深さに比例する。気体と液体はシリンダーのピストンで接していて、ここで力の釣り合いが成り立っている。

(b)

気体にはρgShの浮力が生じるが、それを重量Mgのピストンで押さえつけて釣り合っていると考えれば ρgSh = Mg と立式できる。

(c)

ここから難問が続く。

実験によってd, hの値が変化したと考えられるので、d’, h’ とおく。液体の深さに応じて、気体と液体が接する各面における力の釣り合いの式を建てていく。さらに状態方程式P1Sh’ = nRT1 も建てる…この式を書くだけでも部分点は得られるだろう。

これらを解いていくと、意外にもh’ = h だと分かる。バネが自然長だという束縛条件から、d’ = dも導かれる。

自分で文字を設定するのも難しいが、複数の層における釣り合いの式を連立して解くというのも慣れない作業だ。

(d)

Wは長い式になる。

(e)

等温変化なのでボイルの法則を利用する。

シリンダー自体には、これを引き上げる力が掛かっているので力の釣り合いの式は建てられない。シリンダーのピストンの変位は微小だから力の釣り合いの式は建てられる。

二次の微小量を無視する処理も行う。

(f)

単振動をするから静止しないというよくある結論かと思ったら、逆だ。これは物理学では「不安定な釣り合い」と呼ばれる状態であり、単振動は「安定な釣り合い」と呼ばれる。この知識があれば、ここまで解けなくても作文では正解を得られる。

[3]

ゴム紐が弛むという性質に着目した、単振動に関する力学問題。

(d)

x1 < -3⊿l2 となるとすると計算が面倒になるので気になるところだが、(e)の⑦を見れば分かるように、その心配は要らない。中問の問題文は予め纏めて読んでおこう。

小球の運動方程式が途中で切り替わるので、⊿l2≦x≦3⊿l2 のときの運動方程式→振動中心→振幅を求め、切り替わる地点での位置エネルギーと運動エネルギーを調べる。

(e)

(d)が解けなくても⑥以外は正解できる。

高校理科 東京大学2004 (平成16)年度 物理・化学 前期入試問題の解説

物理

解説

第1問

摩擦や慣性力を扱う力学問題。

[II]

勘で答えても正解出来るような解答ばかりだ。東大物理には導出過程は不要なので、分からなくても勘で書いておくと良い。

Bの運動にAが影響を及ぼしているので、慣性系で考える。

(3)Bの運動についてx, yのそれぞれの方向に掛かっている加速度を調べれば良い。

第2問

典型問題。

[III]

陽子の電荷qと質量mには係数が無いので、α粒子に置き換えるならq→2q, m→4mとして再計算すれば良いのだが、[II](2)の結果に[I]の結果を代入すると、z1は実はm, qに関係しないものだと分かる。

この電場の性質は、重力場における「質量の異なる物体でも落下速度が等しい」という性質と本質的に同じだ。

[IV]

電場が粒子に与える力は常にz軸方向だがら偏向部を通過する時間は変わらないが、ローレンツ力は粒子の進行に垂直な方向だからy軸成分を持つ。

第3問

熱力学の良問。

[I]

(2)容器1, 2は一つのピストンを共有しているので、気体1, 2の体積変化に関する束縛条件を考える。

[III]

(1)ピストンBは、気体2の圧力を一定にする装置である。更に気体2の温度も変化していないので、体積も変化していないということになる。

(2)[I](1)より、気体1の圧力も一定となっている。

化学

難化。小問数が前年度より5つも多い。

第1問

[I]

ウ, エ.容器の底面の直径の数値が与えられているが、これを無視してSと置いて計算すると速い。また、単位を揃えるのも後回しにすると同じ単位の量同士で打ち消し合うので速い。

[II]

オ.「水分子の生成速度」という表現では、式(1), (2)の反応を合わせた速度とも読めるので曖昧だ。

第2問

[I]

東大化学に良くあることだが、問題文が曖昧。少なくとも、「混合に用いた物質に含まれる原子の全てが酸化物の構成要素となる」と書くべき。

第3問

[I]

ア.四面体型の結合角は110°という細かい知識が必要で、東大らしくない問題。

.字数制限が厳しいので何を書けばいいか悩む。「浸透圧」というキーワードは盛り込んだ方が良いので「浸透圧が生じて溶媒が移動する為」が模範解答。

.スチレンとp-ジビニルベンゼンの共重合体は立体網目状であり、スルホン化することで陽イオン交換樹脂になる。

エ.液面差と浸透圧は比例する。更に、温度一定なので浸透圧と溶質の物質量も比例する。したがってA, Bの物質量比を調べれば良い。

オ.酸性溶液中ではアラニンとリシンが陽イオンになるので樹脂に吸着されるが、グルタミン酸は双性イオンなので吸着されない。よって真っ先に流出していく。次にアラニンが陽イオン交換しながら流出していく。塩基性溶液を流すことでリシンが双性イオンとなり、流出していく。

[II]

コ.カルボン酸は二量体を形成するので沸点が高い。

高校化学 東京工業大学2000 (平成12)年度 前期入試問題の解説

解説

計算問題が難しい。

[1]

  • 3.Ag, Fは電気陰性度の差が大きいのでイオン結合性が強い。
  • 4.沸点の高さにはファンデルワールス力の要因が強い。

[2]

  • 1.ケイ素が30%であるのに対して炭素は意外にも0.1%しか無い。
  • 2.高純度のSiは半導体として利用されている。
  • 6.COやNOは水に不溶。

[3]

6.価電子数とは、最外殻電子の内で反応に関与しうる電子の数。

[4]

2.さらし粉の酸化力はClOに起因している。

[6]

2.Bは飽和溶液はでない。単なる引っ掛け問題で入試として無意味。

[7]

3.αグルコースとβグルコースは立体異性体の関係であるが鎖状型は構造異性体。そもそも、問題文からは加水分解が完全に進むとは読み取れない。

[10]

オ.ジアゾカップリングではフェノールが用いられる事を習うが、電子供与性の強い官能基を持つサリチル酸やクレゾールも使える。

[11]

この問題文を素直に読むと、末端のメチル基やベンゼン環のHがClに置換されると受け取るので、不適切問題。

[13]

燃焼や水素付加といった反応式を建てて、係数比較するのがコツ。

[16]

A.実験方法に関する問題は近年は出題されていない。

B.硫酸塩が(NH4)2SO4であると理解するのは無理だが、逆滴定操作をしているので、発生した気体がNH3なのは容易に推測できる。

[17]

操作の前後で酸素と窒素の物質量はいずれも保存されているので、物質量に置き換えて計算するのがコツ。2次方程式の解を求める必要があり大変だ。

[18]

3種類もの酸化還元反応が登場している。とはいえ、MnO2とHClとの反応以外は反応式を完成させる必要はなく 、電子のモル比さえ分かれば良い。反応式を完成させようとすると非常に苦労する。

高校物理 東京工業大学2003 (平成15)年度 前期入試問題の解説

昨年度より大幅に易化。

解答

[1]

二体問題とバネを扱った力学問題。

(d, e)バネ定数kのバネを1/a倍の長さになるように切断すると、バネ定数はakになる。これにより、本問では「二体の重心からバネ定数2kのバネが二個くっついている」と見做すことができる。この考えを導入することで、(e)では運動方程式を建てる必要がないので素早く計算できる。

[2]

B0をBと書いてしまわないように注意!

(a)

わざわざ”⊿”を導入しているが、微分すれば良いだけ。数学IIレベルの微分だからこのような誘導は不要だと思う。

磁束と電流の向きが、右ねじの法則における指の向きと一致しているので、素直に電磁誘導の公式に当てはめれば起電力が算出できる。

(c, d)

消費電力とは単位時間当たりのエネルギーである。

コイルの速度は一定だから、コイルに加えた力は全てジュール熱に変化している。このエネルギー保存則を時間微分すればFv = P が得られる。

F = RI2/v より、力は電流の二乗に比例する。

[3]

東工大化学のような解答方法だ。

(f, g)

(f)状態0→1は断熱変化。状態1→2 ではピストンの力の釣り合いが成立している。

(g)は気体が外部にした仕事を求める問題で、(f)が誘導なのは明らか。曲線部分の面積を求めさせる問題が出ることは有り得ないので(f)における状態1→2の線は直線であると推測できる。

高校数学 東京工業大学1980 (昭和55)年度 前期入試問題の解説

解答例

第2問

Math Stationのような三角関数を導入した解法より、角の二等分線の性質である”AB : BC = AD : CD”と”BD2 = AB・BC -AD・CD”を活かしてBD2 の式を作り、微分や極限を行う方が計算量が少ない。

微分するとBDは単調増加だと分かるが、BD→∞ となるとは限らない。

三角関数や根号を含む式の微分は煩雑になりやすいので避けよう。

第3問

直観的に答えが分かってしまう問題。答えを先に書いておいて、別の大問に取り掛かり、最後に本問を解くと良いだろう。

第4問

(2)

与えられた式からは平方完成が出来る事が気づきにくいのが面白い点だ。

高校理科 東京大学2003 (平成15)年度 物理・化学 前期入試問題の解説

物理

解説

第1問

二体問題。昨年度は難問だったが、大幅に易化してセンター試験レベルになった。全て基本的なので全問正解が求められる。

[I]

(1)完全弾性衝突なので、反発係数の公式を使わず相対運動を考えればよい。

第2問

難易度が高い訳ではないが、電流の向きがややこしく、符号で間違えやすい。理解度より注意力が明暗を分ける要因になっており、制限時間の厳しい東大入試でこのような問題を出すのは良くない。

[II]

文字通り「捻りを加えた」、東大らしい問題。この捻りを解消した回路図を描けば良いだけ。

[III]

問題文が不明瞭。

第3問

[I]

(1)定常波は逆向きに流れる波があれば発生するので、固定端でも自由端でも作れる。ただし、縁に生じるのは固定端では節、自由端では腹となる。

(2)直接波については簡単に答えを出せる。反射波については(4)がヒントになっている。中問全体を先読みするのは入試物理の技だ。

(5)これも(4)がヒントになっている。

[III]

(1)円形波がSから生じてから点Qまで到達するのにかかったを時間をTとすると、点Qにある円形波の中心は(VT, h)にある。反射波の中心は(VT, -h)だ。長さSQ = cTである。

(2)水面波は自由端反射するから、縁のどこで反射しても反射点は腹になっている。そこから(0. d’)までの距離は波長の1/4 になっている。

化学

第1問

[I]

ア.「反応速度式は化学反応式から求めることはできない」というのは高校化学の常識だから、いきなり奇妙な問題だ。答えは、次の(イ)でv1 = v2 であることから推測できる。

第2問

[I]

.塩の加水分解だと気づけなくても、シュウ酸イオン濃度がY/2にほぼ等しいこと、シュウ酸水素イオン濃度が水酸化物イオン濃度にほぼ等しいということが読み取れれば良い。

[II]

オ.SO2を水に溶かすとH2SO4ではなくH2SO3になる。これは CO2を水に溶かすとH2CO3 になるのと同じ。

キ.HFを除いてハロゲン化水素は強酸。よって硫酸とともに完全電離している。これらの水素イオンの数≒水溶液中の水素イオン。

第3問

全体的に易しい。

[I]

イ.ベンゼン環の二重結合は非局所化していて1.5重結合と呼ばれる。一方でフラーレンは二重結合であり、正六角形ではなくなる。置換反応が起きないことは流石に予想できない。