高校数学 東京大学1998 (平成10)年度 理系前期入試問題の解説

1998年度の東大数学と言えば、後期日程第3問が大学入試史上最も難しい問題として語り継がれているが、前期日程も高難度の問題が並んだ。

本年度は発想力より処理速度が重視されており、制限時間に対する分量が全く見合っていない。論述面は気にせず答えを出すことを優先しよう。第1, 2, 6問を1時間で完答し、残り時間で第3, 4, 5問をじっくり試行錯誤しながら解くのが理想的だ。

「大学への数学」における各大問の難易度: B, C, D, D, D, C

解答例

第1問

参考書やウェブで調べた限り誰も気付いてない様だが、この大問には、3分で解ける絶妙な解法がある。それは次のようなものだ。

x = sで極大、x = t で極小となるとすると、f(s) -f(t)はy = -f'(x)とx軸で囲まれる面積を表す。y = -f'(x)は2次関数であり、aがどんな値を取ろうと、y = -9x2を平行移動したものに過ぎない。つまり、この二次関数の頂点のy座標が最小になれば良いのだ。y = -f'(x)を平方完成すると、このy座標は(a -1/a)2 +4で常に正であると分かり(極大・極小値を持つ)、a = ±1で最小値をとる。

東大はこの鮮やかな解法を意図的に用意していたのではないだろうか。

第2問

断面z = k に於ける格子点の総数を求める。平面z = 0に対称なので、z > 0とz = 0の総数を調べればよい。

結局のところn3で割るので、数え上げる過程で「最終的に2次以下になる」と分かる項は無視していくことで計算を楽にできる。

丁寧に記述すると解答用紙に収まらないので、f(n)を求めるまでの過程は、大まかな方針と図と断面に於ける格子点の総数の式を書けば十分だろう。

Σと極限の組み合わせだから区分求積法も使える。

裏技

n→∞とすると格子点の集合は正四面体になる。これを1/nに縮尺…つまりf(n) /n3とすると、一辺2の立方体の内部に4頂点を共有して収まり、体積は8/3になる。これは本問の解と一致している。

この解法は時間が掛からない一方で論証がかなり甘いが、本年度の分量の多さを考慮すると有力だ。

これと正攻法のどちらの解法を選ぶかは残り時間から判断するべきなので、本問は最後に着手しよう。

第3問

難問だが、工夫次第で部分点を稼げる。

(1)(2)

分からなくても、数列の証明問題なので「数学的帰納法で示す。」と書いてn = 0, 1の場合を示そう。実験により漸化式を予想できるので書いておけば部分点が得られるかもしれないし、その式から解法に気付くこともあり得る。

(3)

(1)と(2)が解けなくても(3)が解けるように、求めるべき漸化式を問題文に明記すべきだった。

予想した漸化式を利用して解くことも出来る。ここまで解けなくても極限値は求めれる。

極限値を求める方法として、不等式を用いずpn, qn の一般項を求める方法もある。この方法が使えないという点で、不等式を証明させるのは不適切だ。

第4問

悪問と評するしかないほど計算が極めて煩雑。方針だけ書いて逃げるのが得策だ。

f(x)は複雑な式に見える。こういった問題は、解いてみると意外と簡単なコケオドシである事が多いので、取り敢えず状況を把握するためにグラフの概形や実験をしてみよう。定義域でf(x)が単調増加という嬉しい事実が判明する。

第5問

計算が煩雑。s := sin θ, c := cos θ, X := xn, Y := yn と書き換えるなどして効率化しよう。

第6問

x軸垂直かz軸垂直のどちらの断面で積分するかの判断が必要。

一般的に、円をその中心を通らない直線で分割して面積を求める場合は三角関数の置換積分が必要になり計算量が多い。よってx軸垂直が望ましい。対称性を最大限生かして四角錐の0≦y, y≦xの部分だけ求積すると場合分けも不要になり楽だ。

断面図をイメージするのは難しいが、四角錐と円柱を分けて考察すると意外と簡単。

y = xに垂直な平面で断面積を求めるという手もある。

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