高校化学 東京工業大学2007 (平成19)年度 前期入試問題の解説

本年度から高い思考力を要する出題傾向になり、2013年度まで続いた。目標点は5割。

[2]

フェーン現象の仕組みを扱った難問。問題設定が非常に複雑なので手を付けない方が良い。

問i

B地点では水蒸気(水)の分圧は飽和蒸気圧となっているので、全圧✕モル比で簡単に求められる。

問ii

大問の問題文を含めて多くの数値が示されていてややこしいが、小問の問題文の中で示されている数値を優先して考慮しよう。

問iii

  1. 条件イにより、C→Dでは水蒸気の凝縮は考慮しない。
  2. A点での水蒸気の物質量が少ない場合でも、C点での気圧は740hPaだから凝縮する水蒸気の量が減る。そして問iiの設定により、空気を1K上昇させるのに必要な熱量は常に一定だから空気の温度は低くなる。湿った風ほど気温が高くなるのがフェーン現象である。
  3. フェーン現象では、山の標高が高いほど気温が高くなる。
  4. 2K下げると、C点までの水蒸気の凝縮熱が増えるため、D点での温度低下は2Kより小さい。
  5. 水蒸気の分子量と空気の平均分子量を比べる。

[3]

問iiとiiiを解くには、結局は全ての結晶の最近接原子間距離を求める必要があるが、余りにも計算が煩雑だ。

[4]

問i

(1, 2)Cr2O72-は塩基性条件下ではCrO42-となるが、これは酸化剤ではない。

(5, 6)硫酸鉄(II)は還元剤。

[5]

問ii

二酸化窒素を水に溶かす際に硝酸と共に一酸化窒素も生成するので、オストワルト法では原料のアンモニアと同質量の硝酸が生成するわけではない点に注意。

[7]

白砂糖の主成分がスクロース。ちなみに、サトウキビの学術名は”Saccharum officinarum”。スクロースの和名「蔗糖」の「蔗」はサトウキビと言う意味。

問i

(1)腸液に含まれるインベルターゼ(Invertase)はスクロース(転化糖)を分解する。Invertには「反転、転化」という意味がある。

(2, 5)高校化学の範囲では、「スクロース以外の糖類は全て還元性を持つ」「全ての二糖類には、グルコースが構成要素として必ず含まれる」と覚えておいて良い。

(7)体内ではグリコーゲンとして貯蔵される。アミロースは直鎖型でアミロペクチンは分枝がある。グリコーゲンの分枝はアミロペクチンより遥かに多い。

問iii

デンプンは親水性の負コロイド。

[8]

問i

Aは(C5H6O)nであり、ベンゼン環を持つのでn≧2だと分かるが、問ii, iiiの内容からしてn = 2と判断して良い。

問iii

ベンゼンスルホン酸をNaOHでアルカリ融解するとフェノールが得られる。

化合物Cを特定するのに手間がかかるので悪問。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です