証券会社選び
将来性を考慮して選ぼう
NISAやiDeCoの口座は証券会社のうちのどれか一つにしか作れない。投資先を変更するのは簡単だが、口座の開設先を変更するのは大変。たとえば書類提出などで手続きに数週間かかり、保有している証券は新口座に移行することはできず売却する必要がある。したがって長期的に安定して良いサービスを提供してくれる証券会社を選ぶのが大事だ。
NISA口座については各社がポイント還元のサービスを行っているが、次のように縮小される可能性を考慮する必要がある。
- 楽天証券の「楽天キャッシュの0.5%還元」制度は楽天キャッシュの普及を目的としているため、十分に普及した場合や事業撤退される場合に廃止される可能性がある。
- 楽天証券は6つの商品が投信保有に関するポイント還元の対象だが、NASDAQ-100とSOXはNISAでは扱っていないので実質的にオールカントリー株式、S&P500、先進国株式(除く日本)、日経225の僅か4つのみ。これら以外の商品が高パフォーマンスになる可能性はあり、投資先を変えたらポイント還元の恩恵が得られない。
将来的により専門的な投資活動を行うようになる可能性に備えて、「株式現物と投資信託の手数料無料」や「外国株の取引が可能」といった観点から証券会社を選ぶことも必要だ。こういった条件に見合う証券会社としてSBI証券、楽天証券、マネックス証券、auカブコム証券、松井証券がある。
クレカ積立
金融商品取引法では、投資家保護を目的として、原則、クレジットカードで有価証券を購入することが禁じられている。しかし、「支払いの選択肢を増やす」など、利便性向上の観点から、「翌月一括払いであること」「信用の供与が10万円を超えないこと」「累積投資契約であること」の3つの条件を満たした場合は例外的に認められており、クレカ積立はこれを利用したサービスである(出典)。
積立投資枠だけでなく成長投資枠でもクレカ積立は利用できる。
三井住友カード・ゴールドは、通常利用時の還元率が0.5%だが年100万円以上利用で10000ポイントが貰える。そこで、年間利用額が100万円に達したら還元率1%の別のカードを使うようにすれば得する。
楽天カードはゴールド以下のグレードでは、代行手数料が年0.4%以上のファンドに投資している場合に限り還元率が1%となるが、高い保有ポイントが付加される楽天プラスシリーズは0.4%未満であるので、ふつうに利用していれば年0.4%以上にはならない。
マネックス証券は、積立額が増えると還元額が減速していくという方式で、10万円積立た場合の還元率は0.73%。
カード | 証券会社 | ポイント | 詳細・条件 | 通常利用時の還元率 |
三井住友カード | SBI証券 | Vポイント | 年10万円以上利用 | 0.5% |
東急カード | SBI証券 | TOKYU POINT | ポイント投資不可。ポイントの用途が限られている。 | 0.5% |
楽天カード | 楽天証券 | 楽天ポイント | 楽天キャッシュによる積立への0.5%還元もある | 1% |
dカード | マネックス証券 | dポイント | 0.73% | 1% |
マネックスカード | マネックス証券 | マネックスポイント | 0.73% | 1% |
PayPayカード | PayPay証券 | PayPayポイント | 0.7% | 1% |
NISAの枠に着目した投資戦略
NISAには利用額に上限があるが、枠は簿価で評価される。証券を売却すると簿価の分しか枠が復活しないが、長期保有することによって複利効果で非課税の資産を枠より大きく保有できる。つまりNISAにおいては、つみたて投資枠か成長投資枠かに関わらず長期保有するのが合理的な戦略になるのである。
長期保有の方針を前提とすれば、全世界株式といった低リスクの銘柄を購入するのが望ましい。
ETF (上場投資信託)は成長投資枠で投資できるが、分配金を再投資するとNISAの枠を追加で消費してしまうので、無配型の投信を選ぶ方が合理的だ。
その他
単元未満株取引が無料なのは、SBI証券、楽天証券、マネックス証券、auカブコム証券。
口座開設する際にはmoppyなどのポイントサイトを経由するとお得だ。時期によっては還元額が2万円分に達することもある。
証券口座と連携する銀行口座の金利も会社によって異なる。
投資信託・ETF選び
新NISA制度の開始に伴い証券業界の顧客獲得競争が激化しており、信託報酬を実質より低く見せる商品が出てきた。また、信託報酬は変更されることがあるので、信託報酬だけで判断してはいけない。
純資産総額の目安として100億円以上のファンドを選んでおくと良い(出典)。純資産の規模が大きい商品ほどコストは低く(出典)、新興国は高い傾向がある。
アクティブファンドは運用成績はインデックスファンドと大差なく、コストが高いため利用しない方が良い。
投資信託においては、純資産総額が大きくなるほど投資家一人当たりのコストが低減するという「規模の経済」が成り立つ。近年は手数料引き下げ競争が激化しているため、長期的には運用会社の淘汰と寡占が進むだろう。それに伴い、現時点で純資産総額が大きい銘柄はさらに基準価格が高騰すると思われるので、このような銘柄を購入するのが合理的だ。
NISA口座では日本国内の課税が免除されているので外国税額控除を利用できない。そのためNISA口座では国内銘柄の投資を優先する方が良い。
口座開設の手順
- ポイントサイトで案件があるか確認
- 課税口座(特定口座or一般口座)を開設
疑問
- nisaから特定口座への移管は可能なので、NISA口座の含み損の証券を特定口座に移管すれば損益通算できるのでは?