高校理科 東京大学2004 (平成16)年度 物理・化学 前期入試問題の解説

物理

解説

第1問

摩擦や慣性力を扱う力学問題。

[II]

勘で答えても正解出来るような解答ばかりだ。東大物理には導出過程は不要なので、分からなくても勘で書いておくと良い。

Bの運動にAが影響を及ぼしているので、慣性系で考える。

(3)Bの運動についてx, yのそれぞれの方向に掛かっている加速度を調べれば良い。

第2問

典型問題。

[III]

陽子の電荷qと質量mには係数が無いので、α粒子に置き換えるならq→2q, m→4mとして再計算すれば良いのだが、[II](2)の結果に[I]の結果を代入すると、z1は実はm, qに関係しないものだと分かる。

この電場の性質は、重力場における「質量の異なる物体でも落下速度が等しい」という性質と本質的に同じだ。

[IV]

電場が粒子に与える力は常にz軸方向だがら偏向部を通過する時間は変わらないが、ローレンツ力は粒子の進行に垂直な方向だからy軸成分を持つ。

第3問

熱力学の良問。

[I]

(2)容器1, 2は一つのピストンを共有しているので、気体1, 2の体積変化に関する束縛条件を考える。

[III]

(1)ピストンBは、気体2の圧力を一定にする装置である。更に気体2の温度も変化していないので、体積も変化していないということになる。

(2)[I](1)より、気体1の圧力も一定となっている。

化学

難化。小問数が前年度より5つも多い。

第1問

[I]

ウ, エ.容器の底面の直径の数値が与えられているが、これを無視してSと置いて計算すると速い。また、単位を揃えるのも後回しにすると同じ単位の量同士で打ち消し合うので速い。

[II]

オ.「水分子の生成速度」という表現では、式(1), (2)の反応を合わせた速度とも読めるので曖昧だ。

第2問

[I]

東大化学に良くあることだが、問題文が曖昧。少なくとも、「混合に用いた物質に含まれる原子の全てが酸化物の構成要素となる」と書くべき。

第3問

[I]

ア.四面体型の結合角は110°という細かい知識が必要で、東大らしくない問題。

.字数制限が厳しいので何を書けばいいか悩む。「浸透圧」というキーワードは盛り込んだ方が良いので「浸透圧が生じて溶媒が移動する為」が模範解答。

.スチレンとp-ジビニルベンゼンの共重合体は立体網目状であり、スルホン化することで陽イオン交換樹脂になる。

エ.液面差と浸透圧は比例する。更に、温度一定なので浸透圧と溶質の物質量も比例する。したがってA, Bの物質量比を調べれば良い。

オ.酸性溶液中ではアラニンとリシンが陽イオンになるので樹脂に吸着されるが、グルタミン酸は双性イオンなので吸着されない。よって真っ先に流出していく。次にアラニンが陽イオン交換しながら流出していく。塩基性溶液を流すことでリシンが双性イオンとなり、流出していく。

[II]

コ.カルボン酸は二量体を形成するので沸点が高い。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です