高校理科 東京大学2006 (平成18)年度 物理・化学 前期入試問題の解説

前年度より難化。物理は問題数が増え、化学は計算問題が易化するという傾向の変化があった。

物理

解説

第1問

天体を題材にした力学と波動の問題。

[I]

(1)この中問の本質が二体問題であることを気づかせる為の問い。二体に対して外力は働いてないので、重心は加速度0である。だとするとCが重心だと分かる。

(2)問題文の「惑星に働く向心力は恒星による万有引力である」という説明が強力なヒント。これが無いと難しく、恒星を中心とする惑星の円運動を立式するなら、換算質量を用いる必要がある。

[II]

(1)ドップラー効果の公式を適用する。

第2問

[II]

コイルは自己誘導により電流の時間変化を緩やかにする装置であり、スイッチを切るとコイルが電流を維持しようとする。

点灯が終わる直前には電流が0になっている。

[III]

文字にLが含まれているので、自己誘導起電力の式を建ててみよう。

自己誘導起電力が一定であると近似すると、電流は時間の1次関数となるのでV1 = I1L /Tとなる。もしくは、コイルが蓄えたエネルギーが全てランプの点灯に使われたと考えてLI12 /2 = V1I1T /2 としても良い。

第3問

[II]

(1)「単位時間あたり」の相当する次元を持つのがvだ。「単位時間あたり」という条件を外す代わりにvを距離lに置き換えると分かりやすい。

(2)やたらと長い問題文で意図が掴みにくいが、これは[III]への誘導だからで、本問ではT = T’なので答えは(2)と同じになる。

化学

東進の解説

第1問

ア.物理学的な内容。Aは炎色反応で、励起した電子が基底状態に戻る際に電磁波を発する。Bは黒体放射で、熱を吸収した物体の構成粒子が振動し、放射エネルギーとなる。

ウ.弱酸遊離反応でも熱分解でも正しい。

第2問

[I]

イ.炭素やケイ素の原子は正四面体型に共有結合し強固な結晶になるので、金属を上回る融点を持つ。

エ.(ウ)が誘導になっている。操作5の空試験から、試料の酸化で消費した過マンガン酸カリウムは2.60mLだと分かる。

[II]

キ,ク.問題文はシリカゲルの製造過程を辿っているが、メタケイ酸がシリカゲルになるのは一部を脱水した場合であり、完全に脱水すると吸水作用を担うヒドロキシ基を失い、二酸化ケイ素になる。引っ掛け問題だった。

ケ.Fe3+をFe2+ にするには硫化水素などの還元剤を作用させる必要があり、アルカリ性の液体を作用させても Fe2+にはならない。また、 Ca2+とMg2+ が沈殿するかどうかの判断が難しいが、(コ)の問題文を読むと2種類しか沈殿してないと判断できる、

第3問

[II]

オ.G,Hではオゾン分解して臭素付加された炭素が不斉炭素原子である。

カ.問題文が曖昧だが、”常に”同一平面上にあるという条件ならGのみが適合する。

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