分析
解説
第I問
〔1〕
- (イ) 標準状態で気体となる元素は、希ガスを除くと5種類に限られる。
- (オ)結合エネルギーは一般には原子間距離が小さいほど大きいが、H2 < N2 である。
- (2)CaCl2, MgCl2, NaOH は潮解性があり、中でも CaCl2 は潮解し凝固点降下を起こす性質から融雪剤として利用されている。
- (3)地殻中や人体では酸素が5割を占める。
〔2〕
- (ア)CrO42- (黄)はH+を加えると、水と Cr2O72- (赤橙)に変わる。これは酸化還元反応ではないのでCrの酸化数は不変だ。
- (ウ)( エ) MnO4–(酸性)と MnO2は還元するとどちらもMn2+ になる。
- (3)酸化剤、還元剤が反応後に何を生じるかを知っていればよい。
- (4) O2は空気の平均分子量29に近いので水上置換が最適。
〔3〕
一風変わったテーマだが、状態の段階ごとに情報を整理して、平衡状態の段階で平衡定数の式を立てる原則は同じだ。
混合前のギ酸水溶液・酢酸水溶液は電離度0として扱う。混合後に生じたギ酸イオン・酢酸イオンの量が不明なのでx, y と置き、電離平衡の式を立てる。
切りの良い値が答えになっている確率が高い。
〔5〕
空間図形の計算を扱っており難しいと評価されているが、東工大受験生は数学が得意なので朝飯前だろう。有効数字を考慮すると有理化はしない方が良いようだ。
第II問
〔6〕
見慣れない問題だが、反応熱 = (生成物の生成熱の和) -(反応物の生成熱の和)というお馴染みの式を使えば瞬殺だ。生成熱と結合エネルギーは等価である。
〔7〕
アミノ酸の電荷の総和が0となるpHが等電点である。等電点の問題では[陽イオン] = [陰イオン]が重要だ。
〔8〕
- (1)電子を得るのが還元、失うのが酸化だ。これは酸化数の増減が電荷の増減に対応している事を知っていれば間違えない。
- (2)リチウムイオン電池は二次電池、リチウム電池は一次電池。
- (5)両極でPbの酸化数が異なるので、放電時に両極でPb2+が生じてこれが水溶液中のH2SO4と反応してPbSO4 となる。
- (6)燃料電池にはリン酸型とアルカリ型があるが、負極にやってきたH2が導線にe–を渡してH+ は水溶液中を通過して正極側の O2と反応してH2Oとなるのは一致している。
〔9〕
(4)反応速度vはモル濃度の曲線の傾きである。その時点でのH2O2の平均モル濃度cに比例するので、 直線にはならない。
〔10〕
難問と言われているが、凝固点降下や熱量について状況を整理すれば難しくはない。食塩(NaCl)が電離して質量モル濃度が2倍になるのは見落としやすい。
第III問
〔11〕
原子は表面が負に帯電している為、原子間で斥力を生じる。これにより、HだけでなくCもクネクネとした形になる。
二重・三重結合を持つ炭素とその炭素に結合している原子は必ず同一平面上にある。
(6)だけは同一直線状を問うている。この問題を最後に持ってきたという事は引っ掛けるつもりだったのか?
〔12〕
付加する水素の量を調べるには化合物Aの分子式が知りたい。
量的関係より、 13.2g(CO2)/ 44で化合物A(0.01mol)に含まれるCの物質量が分かる。同様に4.5g (H2O) /18 *2 でHの物質量が分かる。
〔13〕
- (ア)クメンを態々イソプロピルベンゼンという別名で呼んでいるのはクメン法とバレたくないからだ。フェノール樹脂は、ノボラック(酸触媒)&加熱&硬化剤またはレゾール(塩基触媒)&加熱の二通りで作れる。
- (1)熱硬化性樹脂は立体網目構造である。
- (2)アセタールとはアルデヒドやケトンをアルコールと脱水縮合する事を指すが、専らビニロンの製法で使われる表現だ。
- (4)二重結合がO3により酸化され劣化する。シリコーンゴムは二重結合を持たないので酸化に強い。
〔14〕
問i
- (1)αグルコースとβグルコースは区別しない。
- (2)グルコースのみから成る二糖類はマルトース、トレハロース、セロビオースがある。
- (3)酵母が糖類をエタノールと二酸化炭素に分解する反応は、酒やパン(CO2の発生により膨らむ)の製造に利用されている。