高校物理 東京工業大学2006 (平成18)年度 前期入試問題の解説

解答

2004, 2005年度は原子分野からの出題があった反動なのか、熱と波動からそれぞれ出題があった。力学は難しいが、全体的には易しい。

[1]

波動の易しい問題。〔B〕(e)ではdの値について〔A〕(c)で求めた値を使うが、問題文にその説明が無いので不適切だ。この小問を除いて満点を取るべき大問だ。

(e)は他にも問題点がある。計算方法やdの有効数字の取り方によって答えの数値が異なるが、(c)は誘導問題なのだから解答の値の流用が許されるという判断が常識的だし、dは有効数字2桁とすると切りの良い答えが得られるのでそれで減点は無いはずだ。

また、駿台の青本ではz = 120ではx, yより十分大きいと言えず(d)の近似が使えないと判断して煩雑な計算をしているが、(d)は誘導であるはずなので近似を使ってよいだろう。

[2]

熱の易しい問題。(a), (e)のPVグラフで矢印を描く必要はない。

(a)P1は、導出過程には力の釣り合いについて記述しよう。V2 では、状態変化の前後で物質量nが不変なのでボイルシャルル則を適用する。

(e)発想を要する問題。前問で得たP4を活用する方針を立てよう。直線の傾きは状態4→5においてΔP/ΔVで表せるので、これらの文字を用いて立式する。

[3]

(b)

序盤にしては中々手ごわい。答えの式も長い。

(c)

全てのαにおいて成り立つ条件を作ればよい。波動分野のほか数学でも用いる手法だが、αを含む項が常に0になる式を作る。

(d)

問題文をちゃんと読まないと”mg cos θ”と答えてしまう。この小問の問題文を読んだだけでは vQを用いる方法が分かり難いが、〔B〕全体の問題文を先に読んでおけば混乱する事は無い。

(e)

(d)がヒントになっている。R点で垂直抗力が0以上ならば十分であるように感じられるが、(d)の結果から、垂直抗力はQ点を通過した直後に最小となる。そのあとR点に至るまで徐々に垂直抗力は大きくなっていく。

(f)

これは難問。力学的エネルギー保存則で立式するのは分かるが、床の上に静止している観測者として立式しようとすると、台車が動いた距離が分からないので詰む。そこで、この大問が慣性力をテーマとしている事から台車上の観測者として慣性力をエネルギーとして考慮する。

慣性力に特有の問題の解き方として、東進のような「見かけの重力」を利用する方法があり、こちらの方が速い。

[裏技]台車の加速度が”-g/√3″という如何にも三角関数と関係していそうな値なので、30°や60°と書いておけば部分点をゲットできる可能性がある。

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