高校物理 東京工業大学2002 (平成14)年度 前期入試問題の解説

第2問は超難問だ。5割が合格ライン。

解答

[1]

コンデンサーに関する電磁気問題。

(b)

導体板が挿入された極板と挿入されてない極板が並列していると考えれば、電気容量はそれぞれの和で表せる。

(d)

[①→②]

静電エネルギーの増減は(c)を参考にする。

極板間引力があるので、上極板をゆっくり-y方向に動かすときに引っ張られる。よって負の仕事をする。

[②→③]

導体板は極板間に挿入されることで静電誘導を起こすが、これによって極板はより近い場所に引き合う電荷を得られることになる。その極板と導体板の引力は極板間引力よりも大きいので、導体板を引き込もうとする。


以上の解答は、エネルギー保存則「静電エネルギー変化 = 外部がした仕事 + 電池がした仕事」からも導ける。

(g)

(d)と同じ理由で外力がした仕事は負になる。

[2]

熱力学としては稀に見る難問。(b)まで解ければ十分だ。

(a)

最初から引っ掛かりやすい問題が出題されている。

液体の圧力は気体とは扱いが異なり一様ではなく、深さに比例する。気体と液体はシリンダーのピストンで接していて、ここで力の釣り合いが成り立っている。

(b)

気体にはρgShの浮力が生じるが、それを重量Mgのピストンで押さえつけて釣り合っていると考えれば ρgSh = Mg と立式できる。

(c)

ここから難問が続く。

実験によってd, hの値が変化したと考えられるので、d’, h’ とおく。液体の深さに応じて、気体と液体が接する各面における力の釣り合いの式を建てていく。さらに状態方程式P1Sh’ = nRT1 も建てる…この式を書くだけでも部分点は得られるだろう。

これらを解いていくと、意外にもh’ = h だと分かる。バネが自然長だという束縛条件から、d’ = dも導かれる。

自分で文字を設定するのも難しいが、複数の層における釣り合いの式を連立して解くというのも慣れない作業だ。

(d)

Wは長い式になる。

(e)

等温変化なのでボイルの法則を利用する。

シリンダー自体には、これを引き上げる力が掛かっているので力の釣り合いの式は建てられない。シリンダーのピストンの変位は微小だから力の釣り合いの式は建てられる。

二次の微小量を無視する処理も行う。

(f)

単振動をするから静止しないというよくある結論かと思ったら、逆だ。これは物理学では「不安定な釣り合い」と呼ばれる状態であり、単振動は「安定な釣り合い」と呼ばれる。この知識があれば、ここまで解けなくても作文では正解を得られる。

[3]

ゴム紐が弛むという性質に着目した、単振動に関する力学問題。

(d)

x1 < -3⊿l2 となるとすると計算が面倒になるので気になるところだが、(e)の⑦を見れば分かるように、その心配は要らない。中問の問題文は予め纏めて読んでおこう。

小球の運動方程式が途中で切り替わるので、⊿l2≦x≦3⊿l2 のときの運動方程式→振動中心→振幅を求め、切り替わる地点での位置エネルギーと運動エネルギーを調べる。

(e)

(d)が解けなくても⑥以外は正解できる。

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