中小企業診断士 一次試験 令和五(2023)年度 「B 財務会計」の解説

B 財務・会計

問題(PDF), 解答(PDF)

なんと正答の半分以上が(イ)だった。

第1問

  • (ア)先入先出法を用いた場合の払出単価。
  • (ウ)後入先出法を用いた場合の払出単価。この原価計算方法は廃止されている。
  • (エ)総平均法を用いた場合の払出単価。

移動平均法を知らなくても、他の原価計算方法を知っていれば絞り込める。

第2問

新収益認識基準が2021年4月から適用された。これにより、未収金は契約資産、前受金は契約負債にそれぞれ勘定科目が変更になっている。

  • (ア)受注制作のソフトウェアの制作費は、請負工事の会計処理に準じて処理され、引渡時に売上原価として計上される。
  • (エ)無形固定資産の償却は定額法のみが認められている。

第3問

200%定率法における「200%」とは、「定額法を適用した際の各期の減価償却費」の2倍の額を、200%定率法の第一期の減価償却費とするという意味である。150%や250%の定率法も存在する。

ある期で減価償却費が「取得原価✕保証率」を下回ったときは、その期の減価償却費を「未償却残高✕改訂償却率」に切り替える。

第4問

(ア)親会社が連結貸借対照表を作成する際、連結する対象が子会社であれ関連会社であれ、その持分は純資産の部に表示される。

※子会社は親会社と一体のものであるという性質が強いため、子会社の財務諸表を全て合算した上で非支配株主持分を控除項目として表示する。一方で関連会社の場合は、親会社に帰属する分のみを表示する。このルールは損益計算書と貸借対照表のどちらにも当てはまる。

(ウ)企業を買収した際の、買収額の簿価を超過した分を「のれん」という。のれんは被買収企業の超過収益力を表し、無形固定資産として扱われる。一方で負ののれんは、「企業を簿価より安く買収できた」と解釈して特別利益として計上する。

第5問

計算書類財務諸表
貸借対照表
損益計算書
•株主資本等変動計算書
•個別注記表
貸借対照表
損益計算書
キャッシュフロー計算書
•株主資本等変動計算書
•附属明細書
全て会社が作る必要がある有価証券報告書を提出する会社(上場企業など)のみが作成する

第6問

課税所得は、税引前当期純利益に算入額と不算入額を加味して得られる。

第8問

  • (ア、ウ)売上債権や棚卸資産といった営業循環に含まれる勘定科目は一年基準の適用外である。
  • (イ)市場に流通しない有価証券や、他の企業を支配する等の目的で長期的に所有する有価証券は固定資産。

第10問

本問では月末仕掛品原価の算定方法として平均法が採用されている。資料には当月の原価の内訳が記載されているが、平均法では合計額のみを用いる。

度外視法とは、減損の費用をどう案分するかの方法の一つで、費用を文字通り無視してしまう方法だ。本問では、月末仕掛品原価に度外視法が適用されているので、減損の費用は完成品が負うことになる。減損費用は月末仕掛品原価に含まれないので、選択肢の中では金額の小さいものが正解だと推定できる。

第13問

営業循環における現金の支出から収入までの期間をキャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)という。CCCが短いほど資金がショートするリスクが減る。仕入れを掛けで行うなどしてCCCを負の値にすることができる。

第15問

支払利息は営業外費用なので、問題文の「ここでの営業利益は税引前当期純利益に等しく」という記述を「支払利息を無視する」と解釈すると、ROEは20%という選択肢にない数値になってしまう。実際は負債5億円に利息1500万円が掛かるので当期純利益が減る。不適切に近い問題だが、負債利子率が3%なので20-3=17より正解を推測できる。

第17問

費用と収益を比較して投資判断するのと似たように、IRRと資本コストを比較する。

第22問

減価償却費は、実際には当期の現金支出はないので税引後純利益に加算する。その代わりに設備投資額を減算する。

正味運転資本増加額は、営業利益のうち現金ではない部分なので減算する。

中小企業診断士 一次試験 令和三(2021)年度 「G 中小企業経営・政策」の解説

G 中小企業経営・中小企業政策

問題(PDF), 解答(PDF)

第2問

第1問と同じく、「企業規模の大きさと構成比は反比例する」という知識を用いれば(ウ)または(エ)に絞れる。これ以上絞り込ませようとするのは筋が悪いので悪問。

中小企業白書の産業別規模別企業数(2016)によると以下の通り。

  • 業種別の企業数ランキング: 小売業(62万)、宿泊・飲食サービス業(51万)、建設業(43万)、製造業(38万)
  • 従業員数ランキング: 製造業(620万)、小売業(450万)、宿泊・飲食サービス業(360万)、建設業(320万)。

製造業は労働集約型産業であることが分かる。

第3問

小規模企業白書(2020)を参照。

資本装備率=有形固定資産/従業員数

固定資産には機械設備も含まれるため、自動化がどの程度進んでいるかの指標にもなる。中小企業は大企業に比べて自動化が進んでいない(分子が小さい)ため資本装備率が低い。

製造業は第2問でも解説したように労働集約型産業なので従業員が比較的多い(分母が大きい)ため、非製造業より資本装備率が小さくなる。

第4問

第1問で解説したように「企業規模の大きさと構成比は反比例する」ので、「企業規模が中企業と大企業との境界付近にある企業」より「企業規模が小企業と中企業との境界付近にある企業」の方が遥かに多いと推測できる。

第5問

本問で問われている「労働生産性の格差」とは倍率ではなく差分を指しているので、労働生産性が高い業種ほど格差も大きいと推測できる。実際、労働生産性が高い業種順に並べると正解となる。

建設業は労働生産性が低いのが常識なのだが、小規模企業白書の2020年度版2022年度版によると建設業が全ての企業規模において、製造業はおろか情報通信業すらも上回っているという驚きの統計がある。統計手法の違いによるものと考えられるが詳しくは分からないので、「建設業は労働生産性が高い」と暗記するしかない。

第6問

中小企業白書(2020)

営業純益=営業利益-⽀払利息等

付加価値額=営業利益+⼈件費(役員給与・賞与+従業員給与・賞与+福利厚⽣費)+動産・不動産賃借料+租税公課

労働分配率が高ければ給与が高いというわけではない。「労働分配率=人件費/付加価値額」なので付加価値額が比較的低い中小企業は労働分配率が高くなりやすい。

第7問

グラフを見ると分かるように、どの回答項目も2007年度と2017年度とで差がほとんどない。特に「既存事業部門の売上増大」の減少幅は1割にも満たない。こんな統計を問題にするとは出題者は無能である。

本問を解くカギは「設備投資を抑制している理由」にある。近年は日本経済の期待成長率が低く、中小企業は後継者問題を抱えているため、設備投資に対して保守的になるのだ。

本問は二つの回答項目の組み合わせを選ばせる形式だが、単一回答形式なので片方が「増加」ならもう片方は「減少」である確率が高い。

ちなみに、企業の設備投資額の推移(内閣府)を見ると分かるように、バブル崩壊とリーマンショック発生時に設備投資額が落ち込んでいる(特に大企業)。設備投資額は景気に連動しているのである。2013年から増加傾向なのは、アベノミクスによる金利低下が要因だろう。

第9問

アベノミクスによる金利低下は貸出残高の増加をももたらしている。

第11問

ここでは大企業全体と中小企業全体を比較している。後者の方が規模は圧倒的に大きいので、出願件数もすべて中小企業が上回っていそうだが、特許出願件数は大企業が8割を占める。

中小企業が特許出願を最小限にとどめ、営業秘密として保護する理由として「技術流出する恐れ」、「費用が高い」が挙げられている。

第12問

中小企業における知的財産権別使用率は、特許権75.3%、実用新案権80.7%、商標権85.9%であり、大差はない。使用するために必要とされる技術開発や投資が大きい知的財産権ほど使用率が低くなっており、中小企業特有の事情が反映されている。

第13問

企画分野が外部連携するというのはイメージしにくい。

第14問

2020年版中小企業白書

情報通信業は受託事業者の割合が圧倒的に高い。これはシステム開発、ウェブサイト制作、アプリ開発などが他業種に広く必要とされるからだ。

第15問

設問1

小規模企業白書

中小企業の平均従業員数は10人程度なので、事業規模拡大に伴って時間的・人的資源がボトルネックになるのは想像しやすい。

新事業を金銭面で補助するのが補助金なので、補助金を受給してもなお資金不足の状態にあるというのは考えにくい。

設問2

事業パートナーとはコンサルタントのことだろうか?そうであれば、「事業パートナーとのマッチング支援」と「補助事業に係る取組の継続に向けた総合的なアドバイス・指導」は似た項目であるので、そもそもこのアンケートが不適切である。

この問題を攻略する鍵は「アンケートが複数回答形式であること」である。複数回答なので、多くの企業が消極的にでも同意できる項目が選ばれやすい。その観点から、「補助事業で開発した製品・技術を普及させるための展示会等への出展・開催支援」は三つの支援内容のうち最下位だと判断できる。なぜなら補助事業の生産物が無形物であれば出展できないからだ。

第16問

規模が小さい企業ほど従業員の年齢が高いのは、人材確保が難しいことや年功序列が根強いことが挙げられる。

第17問

M&A専門業者の中にはテール条項を悪用する業者もあるため、中小企業庁はテール条項に関するガイドラインを示している。

第18問

宿泊業・飲食サービス業は巨額の先行設備投資が必要なため、借入金依存度が高い。

第19問

「製造業その他」は平均的な企業規模が大きいことに着目したひっかけ問題。小規模企業の定義に資本金は無関係なことにも注意。

第22問

設問1

問題文は「我が国製造業の(   )及び新たな事業の創出を図るため、中小企業が担うものづくり基盤技術の高度化に向けた研究開発及びその成果の利用を支援するための法律である」となっているため、その研究開発及びその成果の利用をした結果どうなると望ましいかを選択肢から選べばよい。

設問2

「中小企業のものづくり基盤技術の高度化に関する法律」は廃止されている。

第27問

ある制度において規定されている金額が複数ある場合、それらは倍数の関係であることが多い。

中小企業診断士 一次試験 令和四(2022)年度 「B 財務会計」の解説

B 財務・会計

問題(PDF), 解答(PDF)

第3問

平成18年度 第3問が類題。

原則として費用は発生主義、収益は実現主義で計上する。この原則は特殊商品の売買においても適用される。

第5問

  • (ア)受注制作のソフトウェアの制作費は、請負工事の会計処理に準じて処理され、引渡時に売上原価として計上される。
  • (エ)無形固定資産の償却は定額法のみが認められている。

第6問

非原価項目とは、原価計算制度において、原価に算入しない項目のこと。原価項目は損益計算書に費用計上される。

貸倒引当金繰入は「販売費および一般管理費」に計上される。仕損、減損、棚卸減耗損のうち正常なものは、売上原価または「販売費および一般管理費」に計上される。

支払利息は「経営目的に合致しない価値の減少」に該当するので非原価項目である。

第7問

繰越欠損金の仕訳は税効果会計の一つ。企業が黒字になると法人税等を納税する必要があるが、当期が赤字になった場合、その赤字分を次期以降に繰り越して節税できる。その節税総額を当期の繰延税金資産として計上し、次期以降に節税した分と同じ額の繰延税金資産を切り崩していく。

第10問

企業の自己資本は、株主がいて初めて生じるものである。自己株式を取得すると株主が減るので純資産も減少する。

第11問

「機械勘定」という語は聞き慣れないし、減価償却法の変更という経緯は解法に関係しないし、目眩ましの記述の多い問題文だ。

第12問

直接原価計算のコンセプトは、当期の生産量に対して販売量に相当する分を費用とするというもの。全部原価計算では当期の固定費の全部を原価に含めるのに対して、直接原価計算では当期の固定費から販売に直接関わった分を算出する。

第13問

元本200万円は5年後に返済されるので、複利現価係数(4%)で計算する。一方、利息は毎年支払われるので、年金現価係数(4%)で計算する。

第17問

サステナブル成長率と聞くとSDGsと関係がありそうだが、そうではない。

サステナブル成長率=ROE✕内部留保率

内部留保とは、当期純利益のうち配当しなかった分のこと。

第18問

割引超過利益モデルは残余利益モデルと同義。

  • (ア)配当性向が高いということは、純利益のうち利益剰余金に回す分が少ないということなので、株式価値は低い。
  • (イ)クリーンサープラス関係が成り立つことは、残余利益モデルと配当割引モデルが一致することの必要十分条件である。
  • (エ)「自己資本に自己資本コストを乗じた額」は株主の期待収益に等しい。このモデルは他人資本を無視しているので、株主期待収益と予想利益を比較できる。

第21問

数理的知識が必要な問題。

(ア)内部収益率(IRR)は「投資によって得られる将来のキャッシュフローと、投資額の現在価値が等しくなる割引率」である。高いCFが得られる投資は、たくさん割り引かないと投資額と等しくならないので、IRRは大きい。

(ウ)この選択肢の文はIRRを説明したもの。IRRは高次方程式の解なので、複数の解が存在しうる。

第22問

(ア)確実性等価法で用いる割引率は安全利子率(RFR)。

サンリオVfes 2024 (VRChat)でのCAPSULE (中田ヤスタカ, こしじまとしこ)ライブ

VRChat上で2024年2~3月にSANRIO Virtual Festival 2024が開催された。私はCAPSULEのライブに参加するために訪れた。

CAPSULEライブ

「メトロパルス」ライブでは私はVRヘッドセットを使わずPCで参加したが、今回は友人からOculus Quest 2を借りて参加した。参加するにはチケットを購入する必要があり、「Quest 用(500円)」と「Quest or PC 用(1000円)」が用意されていた。私はQuest でトラブルが起きる可能性に備えて「Quest or PC 用」を購入した。ライブ当日、Quest 2 で参加できるかどうかを確かめるために前座のアーティストのライブに参加することにしたのだが、Quest 2 単体では参加できないことが判明した。そこで急遽、PCとQuest 2 を接続して何とか参加できた。「Quest or PC 用」チケットを購入して正解だった。ただしPCの性能が低いせいでFPSは10程度しかなく、十分には楽しめなかった。

快活クラブのいくつかの店舗では「NVIDIA GeForceRTX4080」を搭載した高性能なゲーミングPCを備えているので、24日のタイムシフトでは快活クラブにQuest 2を持ち込んで鑑賞した。観賞時、FPSは最大値の72で推移しており、グラボがVRChatの快適性を決定づけるのだと学んだ。

前回のVRライブ「メトロパルス」は無料だったが今回は1000円のチケットを購入する必要があった。それ以外にも、VRChat 初心者が参加に至るまでにはいくつかのハードルを越える必要があり、参加できた人は私を含めてごく少数だったようだ。

サンリオVfes の運営について

サンリオVfesには多くのワールドやパレード(演劇)が用意されていた。どれも高い品質で、企業だからこそできるものだろう。VRという新たな文化の発展に貢献するサンリオの姿勢は称賛に値する。

ただしマーケティングには改善の余地がある。VRChatは日本人より非日本人の利用者の方が圧倒的に多いこともあり、エントランスには外国人ばかりが集まっていた。それにも関わらず広告が日本人向けばかりだったのはミスマッチだろう。日本人向けにアプローチするにしても、VRChat 利用者が属する独特な市場セグメントに適応した製品を提案する方が良い。

エントランスではゆーやさんというスタッフが案内をしており、人当たりの良さゆえに彼の周りにはいつも人だかりができていた。的確な人選だと思う。

中小企業診断士 一次試験 令和三(2021)年度 「D 運営管理」の解説

D 運営管理(オペレーション・マネジメント)

問題(PDF), 解答(PDF)

第1問

整頓の「頓」という漢字は「頓死」などに用いられるように、「にわかに」という意味がある。このことから「すぐ使用できるように準備しておく」という意味を連想できる。

「躾」とは、決めたことを必ず守ること。

第2問

  • (イ)3S: 単純化(Simplification)、標準化(Standardization)、専門家(Specialization)

第3問

  • (ア)DI分析はDistanceとIntensity (運搬量)からレイアウト分析する手法。選択肢はPQ分析を説明している。
  • (ウ)流れ線図は、動線の最適化と捉えればよい。
  • (エ)From-To Chartは製品がどの工程に運ばれるかを行列を用いて分析するもの

第6問

JITは、必要な時に必要な量を生産することで在庫を極力抑える生産方式で、プル方式の一つ。流通に例えると受注生産に近い。

第9問

部品構成表のノードに記載された数字は、親ノードの部品一個当たりいくつ必要かを表す。

第13問

  • (b)RFID (Radio Frequency Identification)は非接触型IDタグ。
  • (d)発注方式は現品管理の分野ではないという意地悪な問題。

第15問

標準時間は次のように分類される。

  • 主体作業時間
    • 正味時間
    • 余裕時間
  • 準備段取時間
    • 正味時間
    • 余裕時間

第16問

  • (ア)モラールとは勤労意欲のこと。
  • (エ)フォードシステムとは、フォード・モーター社が導入した流れ作業による大量生産方式。

第17問

(エ)連合作業分析では観測者ではなくマン・マシンチャートを使用する。

第18問

サーブリッグ分析に基づいて分解された動作は次の通り。

  • 第1類:作業に必要な動作
  • 第2類:作業を遅れさせる動作
  • 第3類:不要な動作

(イ)保持や手待ちは第3類。

第19問

MTBF (Mean Time Between Failures)は平均故障間隔、MTTR (Mean Time To Repair)は平均故障時間。

第21問

  • (イ)拡大生産者責任とは、生産者が生産物が廃棄されるまで一定の責任を負うこと
  • (エ)株式や社債の発行は直接金融である。

第23問

  • (イ)「医療・福祉・商業等の都市機能を都市の中心拠点や生活拠点に誘導し集約することにより、これらの各種サービスの効率的な提供を図る区域」は都市機能誘導区域を説明したもの。市街化調整区域はむしろ都市機能を抑制する。
  • (オ)立地適正化計画は都市計画区域を対象とした計画。

第24問

距離抵抗係数は、店舗と消費者との距離のべき乗。

第28問

これは不適切問題。

作業別に時給が異なる場合は、作業毎の総労働時間の総和を取ることは無意味となるため、問題が成立しない。本問の正解は(ウ)とされているが、「改善効果」を「人時生産性が何倍に改善されたか」と解釈すると、改善効果が最も高いのはAおよびDなので(オ)が正解となる。

第30問

Line Robbingとは、自社のラインナップを競合他社のラインナップに別の商品を加えたものとすることで顧客を奪う(robbing)戦略。

第33問

  • (ア)RORO (roll−on roll−off ) 船はその名の通り、積み荷を乗せたトラックがそのまま船に乗り込む輸送方法。
  • (イ)特別積合せ運送とは、不特定多数の荷主の貨物をまとめて積載すること。

第35問

(オ)カテゴリー納品によって陳列業務が効率化するが、納品回数には直接関係ない。

第37問

  • (イ)ロケーション管理は、商品を倉庫のどこに保管するかを管理する。倉庫の人員をどこに配置するか、ではない。

第38問

JANコードは商品そのものに与えるバーコードで、集合包装用商品コードは商品のまとめたパッケージに与えるバーコード。よって商品そのものが変化していなければJANコードを変える必要はない。

第40問

HACCP: Hazard Analysis and Critical Control Point

第41問

かつてのEDIは取引先毎に端末を用意する必要があり高コストだった(多端末問題)が、WEB-EDIにより解消された。ところが次はインターフェースが取引先毎に異なるという問題が生じた(多画面問題)。いずれにせよ、どうでもよい昔の話だ。

第42問

単なる記憶力テストで、中小企業診断士としての資質を問う内容ではない。問題作成者のやる気が感じられない。

中小企業診断士 一次試験 令和四(2022)年度 「G 中小企業経営・政策」の解説

G 中小企業経営・中小企業政策

問題(PDF), 解答(PDF)

第1問

我が国の企業のうち99.7%を中小企業を占めることを知っていれば選択肢を絞り込める。また、中小企業従業員の平均年収が400万円程度であることを知っていれば、従業員一人当たりの付加価値を計算することでも絞り込める。

第2問

小規模企業数割合は、製造業86%、小売業82%と拮抗しているため、(イ)と(エ)が紛らわしい悪問である。中規模企業数割合は卸売業が29%で最も高いが、こんなことは知る由もないので、「製造業と小売業は小規模企業が多い」ということから推測するしかない。

第3問

対象期間は2010年度から2019年度、つまりリーマンショック後・パンデミック前なので不景気ではないことから絞り込める。

持続的な市場金利の低下や借入金依存度の減少が利払い額を減らし、売上高経常利益率の改善に寄与しているとみられる。

第4問

中小企業の労働生産性は、2003年度から2019年度の長期に渡って残念ながら横ばいである。後に出てくる中小企業向け賃上げ促進税制、経営革新支援事業、ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金のように、政府は生産性向上に関心がなく賃上げでごまかしているためである。

第5問

平成20 (2008)年度第2問でも類似の出題があったが、当時は労働生産性の格差は宿泊業・飲食サービス業より製造業の方が大きかった。それから10年経ち、宿泊業・飲食サービス業では大企業においてITシステム導入や省人化が進んだため格差が広がったとみられる。

小売業は主に最寄品を扱うため企業規模によって価格差があるとは考えにくく、これが生産性格差の小ささに反映されている。

第6問

廃業率は、2010年度から一貫して開業率を下回っており、減少傾向。リーマンショック後の持ち直しを反映している。

第7問

設問1

自己資本比率の2000年度から2019年度の変化は、中規模企業では20%⇒43%、大規模企業では30%⇒45%といずれ大幅に増加している。中小企業基本法の基本方針第4項に適う変化であるが、その理由として次が考えられる。

  • バブル崩壊を機に自己資本比率が重視されている
  • 我が国の経済成長が停滞し投資ができず、利益剰余金が蓄積している
設問2

借入金依存度=借入金/総資産

宿泊業・飲食サービス業は巨額の先行設備投資が必要なため、借入金依存度が高い。

第9問

損益分岐点比率は経営の安定性に関わる指標である。中小企業の損益分岐点比率は大企業に比べて高く、1990年からほとんど変化がない。中小企業基本法の基本方針第三項に適わない事態である。

第10問

中小企業は大企業に比べて、IT人材の獲得が難しく、従業員の年齢層が高いためITリテラシーが低いことがソフトウェア投資率の横ばい傾向を反映していると考えられる。

第11問

設問1

導入におけるコストや難易度が低いITツール・システムほど導入されやすい。

設問2

デジタル化による投資収益率は一般的に高いので、「資金不足」が大きな要因ではないことは推測できる。「アナログな文化・価値観が定着している」と「組織のITリテラシーが不足している」は似たような説明なので、悪問だ。

第12問

建設業に休廃業・解散が多いのは、近年の人手不足と資材高によるもの。中小企業診断士として覚えておきたい話だ。

第13問

事業引継ぎ支援センターの相談社数、成約件数は増加傾向だったが、相談社数が2020年度に初めて減少した。パンデミックの影響とみられる。

第13問

ここでは1986年と2006年を比較しており、30年もの間隔があることに注目。この30年でサービス業が大きく成長したことを踏まえると絞り込める。

第15問

設問1

経営課題として小規模事業者が挙げた以下の三つを、回答割合の大きい順に並べる問題。

  • 営業・販路開拓(営業力・販売力の維持強化、新規顧客・販路の開拓)
  • 人材の確保・育成、働き方の改善
  • 生産・製造(設備増強、設備更新、設備廃棄)

中小企業白書によると、「営業・販路開拓」が圧倒的に大きい。このアンケートは複数回答形式なので、あらゆる業種や規模の企業が同意できるこの選択肢が圧倒的に選ばれたと考えられる。個人や家族経営の企業ならば「人材の確保・育成、働き方の改善」には関心がないし、非製造業には「生産・製造」は関係ないので票が集まらないわけだ。

設問2

非製造業には小売業やサービス業が含まれるが、これらの業種における商品は差別化が難しい。それがブランド化が困難な原因である。

第16問

製造業においてはサプライチェーンの維持の要請から、BCP (事業継続計画)の策定が進んでいる。

第17問

資本性劣後ローンの金利は固定ではなく業績連動型。業績が悪い時の金利負担を抑えることができる。

第18問

設問1
  • 中小企業に該当する製造業等: 資本金が3億円以下または従業員数が300人以下
  • 中小企業に該当する卸売業: 資本金が1億円以下または従業員数が100人以下
  • 中小企業に該当する小売業: 資本金が5000万円以下または従業員数が50人以下
  • 中小企業に該当するサービス業: 資本金が5000万円以下または従業員数が100人以下
設問2
  • 小規模企業に該当する製造業等: 従業員数が20人以下
  • 小規模企業に該当する商業・サービス業: 従業員数が5人以下

第19問

「中小企業向け賃上げ促進税制」は補助金を餌にして強引に企業に賃上げさせる政策。なぜか教育訓練費がインセンティブに含まれていて、愚策を強調する出題となっている。

第21問

下請代金法は「委託内容」と「資本金を区分する境界」で覚えると良い。

  • 物品の製造・修理委託の場合は3億円と1千万円
  • 情報成果物の作成、役務提供委託の場合は5千万円

第22問

「小規模事業者持続化補助金(一般型)」の補助金の対象は、各業種における一般的な人員規模に基づいて定められている。

第23問

経営セーフティ共済は、迅速かつ手間をかけずに資金調達できる制度だ。

  • 貸付けを受けた共済金の10分の1に相当する額が積み立てた掛金総額から控除される。
  • 償還期間は貸付け額に応じて5年~7年の毎月均等償還
  • 取引先企業が倒産し、売掛金や受取手形などの回収が困難となった場合、この回収困難額と、積み立てた掛金総額の10倍のいずれか少ない額の貸付けを受けることができる。貸付限度額は8,000万円。

第26問

「女性、若者/シニア起業家支援資金」の対象者は

  • 開業7年以下
  • 女性 or 35歳未満 or 55歳以上

第27問

JAPANブランド育成支援等事業費補助金

  • 1 ~ 2 年目は3分の2補助
  • 補助額の上限は500万円
  • 支援期間は最長3年
  • 複数者による連携体として共同で応募する場合、1社ごとに最大500万円を上限額に嵩上げし、最大で2000万円

第29問

成長型中小企業等研究開発支援事業(Go-Tech事業)は、戦略的基盤技術高度化支援事業(サポイン事業)と商業・サービス競争力強化連携支援事業(サビサポ事業)が2022年度に統合したもの。

第30問

PMI (Post Merger Integration)とは、M&Aによって引き継いだ事業の継続・成長に向けた統合やすり合わせなどの取り組みのこと。

(ア)の「M&Aで株式譲渡、事業譲渡などに係る最終契約を締結した後、株式・財産の譲渡を行う工程」はclosingを説明している。

(ウ)の「後継者不在などの中小企業の事業を、廃業に伴う経営資源の散逸回避、生産性向上や創業促進などを目的として、社外の第三者である後継者が引き継ぐこと」は中小M&Aを説明している。

(エ)の「対象企業である譲渡側における各種のリスクなどを精査するため、主に譲受側が専門家に依頼して実施する調査」はdue diligenceを説明している。

第31問

経営力再構築伴走支援の資料では、「経営者、その支援者が取るべき基本的なプロセスは、本来、課題設定を入口として課題解決を出口とするもの」と述べられている。

中小企業診断士 一次試験 令和四(2022)年度 「E 経営法務」の解説

E 経営法務

問題(PDF), 解答(PDF)

第1問

株式を併合は、既存の株主が不利益を被る場合に対処するため、株主総会の特別決議が必要になる。

第2問

監査役は中立性が重要であるので、恣意的な選任を避けるために任期の短縮が認められていない。

第4問

  • (ア)H30年度第一問に似た選択肢がある。資金調達の方法には債券と株式があるが、「出資による資金調達」とは株式発行のこと。出資金は原則として全額を資本金に計上する。また、合同会社は出資額のいくらを資本金とするかを業務執行社員を決めれる。
  • (イ)合同会社では、法人が業務執行社員となることはできるが、実際にその業務を執行する社員を選任する必要はある。
  • (ウ)合会社の社員は二名以上が必要。
  • (エ)株式会社と合同会社の社員はすべて有限責任。合名会社ではすべて無限責任。合資会社では有限責任と無限責任が混在している。

第5問

設問2
  • (ア)買取請求権は、あらゆる組織再編の方法において認められている。
  • (イ)事業譲渡も吸収分割も、契約書に定めた効力発生日に効力が発生する。
  • (ウ)事業譲渡は取引に相当するので、書類の備置は不要。
  • (エ)説明が逆で、債権者保護手続は事業譲渡にはなく、会社分割にはある。

第6問

設問1

(ア)この説明は非公開会社ではなく公開会社である場合のもの。

設問2

(ア)株式会社の絶対的記載事項は「目的」、「名称又は商号」、「主たる事務所又は本店の所在地」、「発起人又は設立時社員の氏名又は名称及び住所」、「設立に際して出資される財産の価額又はその最低額」、「発行可能株式総数」である。

第12問

  • (ア)四つの産業財産権のうち、特許権、実用新案権、意匠権の三つは存続期間の起点が出願時となっている。一方、商標権は登録時が起点。
  • (ウ)実用新案法では「物品の形状、構造又は組合せに係る考案」を保護している。
  • (エ)「事業者は特許を侵害していないかぐらいは事前に調べるべき」というのが法のスタンスなので、特許侵害は過失推定される。実用新案は数が多いので過失推定されない。

第13問

パリ条約に基づく優先期間は、意匠権と商標権では6ヶ月、特許権と実用新案権では1年と定められている。

第14問

特許法第30条には、「新規性喪失が特許を受ける権利を有する者の行為に起因する場合には、出願から30日以内に例外規定の適用を受けることができることを証明する書面を提出する」という規定がある。

第15問

著作権は著作財産権、著作者人格権、著作隣接権の三種類があるが、このうち著作者人格権は文字通り著作者の人格に裏付けられたものであり、授受できない特殊な権利である。

第17問

独占禁止法が禁止する「不公正な取引方法」には、共同の取引拒絶、不当廉売、優越的地位の乱用、差別対価、再販価格の拘束がある。

第18問

(ア)共同相続とは、相続人が複数いる際に分割相続する前の段階のことで、この段階では遺産は共有状態とみなされる。相続回復請求権の時効は、「人の生命又は身体を害する不法行為」と同じ。

第19問

(ウ)民法に「保証契約がその内容を記録した電磁的記録によってされたときは、その保証契約は、書面によってされたものとみなす」という規定がある。一方で電子署名は不要。

第21問

相続問題はパズルのようで面白い。この問題のポイントは次の通り。

  • 相続の資格を持つのは、原則として配偶者、子、直系尊属、兄弟姉妹
  • 被相続人の子孫の配偶者には、被相続人との血の繋がりが無いので相続されない
  • 相続人が死亡している場合、その子が代襲相続する
  • 被相続人の死亡時に胎児が相続人である場合、死産なら相続せず、生きて生まれれば相続する。このため、相続手続きは出生を待つのが一般的である。

中小企業診断士 一次試験 令和四(2022)年度 「F経営情報システム」の解説

F経営情報システム

問題(PDF), 解答(PDF)

第1問

2.4GHzの電波は遠くに届きやすい反面、干渉を受けやすい。対照的に5GHzは遠くに届きにくく、干渉を受けにくい。

  • (b)11gは2.4GHz帯。11gと同じ54Mbpsで5GHzなのは11a帯。
  • (c)Bluetoothの電波は2.4GHz帯なので電子レンジ等からの干渉を受けやすいが、周波数ホッピングによって対処している。

第3問

Perlは国際規格ではなく、開発者はアメリカ人のLarry Wall氏。RubyはISO/IECの国際標準規格であり、開発者は日本人の松本行弘(Matz)氏。

第8問

  • (ウ)と(オ)は用語と説明が逆。
  • (エ)TLDはGeneral TLDとCountry Code TLDに大別される。

第12問

  • (c)選択肢はマイグレーションを説明した文である。リファクタリングとは、ソフトウェアの挙動を変えることなく、その内部構造を整理すること。
  • (d)と(e)は説明が逆。

第13問

システム開発の方法論についての設問だが、カッコいい名称を付ける割には具体性が無いという印象だ。

(ウ)と(オ)は説明が逆。

第14問

  • (c)更新前のトランザクションログを用いてシステム復元をするのがロールバック、更新後のトランザクションログを用いるのがロールフォワード。
  • (d)列指向DBMSは列方向(縦)のデータをまとめて処理するのに長けている。

第18問

  • (ア)トレッドウェイ委員会支援組織委員会(Committee of Sponsoring Organizations of the Treadway Commission, COSO)とは、企業の不正行為に対応するための仕組み。IT サービスマネジメントのベストプラクティス集とはITIL(Information Technology Infrastructure Library)のことである。
  • (ウ)情報マネジメントシステム認定センター(ISMS-AC)が運用しているITSMSの適合性評価制度の認証を受けると、認定マークを取得できる。

第19問

AC(コスト実績値)が費用、EV(出来高実績値)が収益を表すと捉えればよい。コスト効率指数(CPI)やスケジュール効率指数(SPI)は財務指標分析のようなものだ。

第21問

(e)機密性(Confidentiality)、完全性(Integrity)、可用性(Availability)は情報セキュリティの3要素CIAのこと。RASISとは文字数が異なるので明らかに誤り。

第22問

(c)と(d)は説明が逆。

第23問

あるサイコロが正常かどうかを調べたいとする。正常なサイコロであれば、1の目が出る確率はp=1/6、正常でなければp≠1/6である。このとき、帰無仮説は「1の目が出る確率は1/6」である。

実際にサイコロを6回振ってみるとする。正常なサイコロであれば、1の目が出る回数は1回だけ出そうである。でも実際にはサイコロの出目はランダムなので、0回だったり2回だったりもする。

このとき、1の目が何回出たらこのサイコロが正常でないと判断すれば良いだろうか。例えば「3回以上出たら正常でない」という基準を決めたら、「4回以上出る確率」が有意水準(危険率)に相当する。このとき、サイコロが正常(帰無仮説が真)であるにも関わらず1の目が4回以上出たら私達は「このサイコロは正常でない」と誤った判断(帰無仮説の棄却)をしてしまう。これが第一種の過誤である。

第25問

(オ)各ブロックに保持される値はハッシュ値である。ナンス値とは、新たなブロックを生成する際の検証(マイニング)に用いられる使い捨ての数値であり、ハッシュ関数に代入して新たなハッシュ値を生成するためのものである。

中小企業診断士 一次試験 令和三(2021)年度 「B 財務会計」の解説

B 財務・会計

問題(PDF), 解答(PDF)

第1問

  • 値引: 品質などの理由でより安くすること
  • 割引: 掛取引で支払期限より早く支払があった際に利息相当分を安くすること
  • 割戻: 大量の取引を理由に安くすること

第2問

支店間で取引があったとする。支店分散計算制度では、そのままそれらの支店が記帳し、本店は何も記帳しない。本店集中計算制度では、取引は必ず本店を経由するものとするので、本店も記帳する。

支店分散計算制度における支店の仕訳を統合すると、本店集中計算制度における本店の仕訳が得られる。

第3問

定率法では、毎年、残存簿価に年率を掛けた額を償却する。

第4問

自己創設のれんとは、自社ののれんのこと。我が国の会計制度では計上が認められていない。

第5問

引当金は評価性引当金と負債性引当金とがあり、負債性引当金はさらに非債務性引当金と債務性引当金とに分類される。法律上の支払い義務があるのが債務性で、ないのが非債務性。

第6問

取引の一般的な流れは「受注→出荷→納品(引渡)→検収→請求→入金」である。

  • (ア)契約の解消や返品リスクがあるからこそ検収基準で取引するのである。
  • (ウ)長期請負工事では、工事完成基準と工事進行基準のいずれも選択できる。

第8問

販売価格差異とは、実際販売量の下での実際販売価格 と予算販売価格との間の売上の差異である。

「予算実績差異=販売実績-販売予算」が成り立つので、販売価格差異を「販売数量差異=予算実績差異-販売価格差異」から求めることもできる。

第9問

  • (ア)売掛金として現金を回収しているのでCFは増加する。
  • (イ)仕入れ債務を現金で返済しているのでCFは減少する。
  • (ウ)棚卸資産を現金で購入しているのでCFは減少する。
  • (エ)長期借入金を現金で返済しているのでCFは減少する。

第10問

設問1

「固定比率 = 固定資産/自己資本」。長期的投資である固定資産は自己資本や他人資本で購入するが、自己資本で賄われている方が経営は安定していると言える。その安定性の指標となる固定比率は低い方が良い。

「固定長期適合率=固定資産/(固定負債+自己資本)」。固定比率に似た指標で、長期的な支払能力を表す。

設問2

インタレスト・カバレッジ・レシオ= (営業利益+受取利息+受取配当金) /支払利息

interestは利息という意味。インタレスト・カバレッジ・レシオは支払利息をカバーする何倍の利益を上げているかを表す。

第11問

役務収益と役務原価は、サービスの提供が完了した時点で初めて計上することができる。役務が成立するまでは、仕掛品勘定に計上する。

第12問

  • 変動費率=変動費/固定費
  • 損益分岐点売上高=固定費/(1−変動費率)=固定費/貢献利益率
  • 損益分岐点比率=損益分岐点売上高/売上高
  • 損益分岐点比率+安全余裕率=1

(エ)「売上高=利益+費用」なので、明らかに誤り。

第14問

  • (ア)株式分割はそもそも資金調達ではない。
  • (イ)減価償却費は非現金支出費用であるため、減価償却費相当分だけ毎期現金が溜まっていく(自己金融効果)。
  • (エ)株式や社債の発行は直接金融である。

第15問

加重平均資本コスト(WACC)とは、必要な資本を調達するためにその資本の何%を余分に支払う必要があるかを表す。WACCは税引後負債コストと株主資本コストをそれぞれ総資産に占める負債と純資産の割合で重みづけして算出する。負債コストに税引き後のものを使用するのは、支払利息が費用として計上することができる(負債の節税効果)からだ。

税引前負債コスト=支払利息 ÷ 負債総額

株主資本コストの算定方法は色々あるが、中小企業診断士試験では専らCAPMが用いられる。

第16問

(ウ)配当額を自己資本で除した比率はDOE(株主資本配当率)である。配当利回りは「配当金÷時価総額」である。

第17問

  • (ア)株式配当金は自己資本コストの一つである。法人税が存在するならば負債比率が高いほど企業価値は高まる。
  • (イ,ウ)負債比率が高いと、資金繰りが悪化して倒産するリスクが高まる。このためリスクプレミアムや負債コストも上昇する。倒産リスクを下げたい場合は自己資本比率を高めると良い。

第20問

(イ)が正解とされるが、「リスク・ポートフォリオ」などという言葉は存在しないので不適切問題。

安全資産とリスク資産を組み合わせてポートフォリオを構成する場合、投資家のリスク選好によって最適なポートフォリオは異なる。そのポートフォリオの集合は資本市場線と呼ばれる。資本市場線の中で、リスク資産のみで構成されるポートフォリオは一意に定まる。これが選択肢(イ)の意味するところだろう。

第21問

定率成長配当割引モデルは、各年における配当の割引現在価値の総和から企業価値(時価総額)を推定するモデルである。割引現在価値を算出する上で金利ではなく株主資本コストを採用しているのは、株式投資においては倒産やゼロ配当といったリスクがあり、金利にはそれが反映されないためである。

無限等比級数の和として理論株価を求められる。

第22問

略称が何を表すのかを憶えておくとよい。

  • DCF: Discounted Cash Flow
  • IRR: Internal Rate of Return
  • P: Price (株価)
  • E: Earnings (収益)
  • B: Book value (純資産)
  • S: Share (株式総数)

マルチプル法は倍率法や乗数法とも呼ばれ、同業他社の財務比率を自社と比較し、他社の企業価値に乗数を掛けることで自社の企業価値を推定する。

第23問

  • (ア)ドルを円で買うとする。円(権利行使価格)は安いほどドルを買う(コール)ことの利益(オプションの価値)は大きくなる。
  • (イ)行使までの期間は長いほど権利の価値は高く、時間的価値と呼ばれる。賞味期限のようなものだ。
  • (ウ)原資産の値上がりがプレミアムを上回った場合、売却(プット)せずに保持した方が良いので権利を放棄する。これによって損失額はプレミアムとなる。
  • (エ)オプションの売却は義務なので権利放棄はできない。