AIの批判的思考能力をMicrosoft Copilot (GPT-4)と共同通信の大阪万博報道で検証

1. 概要

大阪万博2025の開幕に関して、日本のマスメディアがネガティブキャンペーンを展開しているとの指摘が一部からなされている。そこで、Microsoft Copilot にこの万博に関する記事を読ませ、LLMに批判的思考ができるかを調べた。

題材としたのは共同通信の「万博に行きたいとは思わない74%」という記事(2025-03-23)である。「行きたいと思う」ではなくわざわざ「行きたいとは思わない」の数値をタイトルに選んでいる点から、印象操作の可能性がある。この報道を素直に受け取ると、「国民は万博に否定的である」という印象を受けるが、過去の万博あるいは同時期に大阪で開催されるイベントとの比較をしなければ客観的な評価はできない。

2. 方法

2.1. 単純に考察を促す

プロンプト:

共同通信の2025-03-23に公開された以下の記事について考察せよ
タイトル: 万博に行きたいとは思わない74%
本文: 共同通信世論調査で、4月13日に開幕する大阪・関西万博に「行きたいとは思わない」が74.8%で、「行きたいと思う」の24.6%を上回った。

Microsoft Copilotの回答(要約):

この記事は、大阪・関西万博に対する国民の関心の低さを示しており、いくつかの重要な考察点が浮かび上がります。
考察ポイント

  1. 世論の冷淡さ
  2. 広報戦略の課題
  3. 社会的背景の影響
  4. イベントの内容と期待値

改善の方向性

  1. ターゲット層の明確化
  2. 広報活動の強化
  3. アクセスの改善

報道内容を無批判に受け入れてしまっている。

2.2. 報道の客観性を考察するように指示

プロンプト:

共同通信の2025-03-23に公開された以下の記事について報道の客観性の観点から考察せよ
タイトル: 万博に行きたいとは思わない74%
本文: 共同通信世論調査で、4月13日に開幕する大阪・関西万博に「行きたいとは思わない」が74.8%で、「行きたいと思う」の24.6%を上回った。」

Microsoft Copilotの回答(要約):

この記事の報道の客観性について考察すると、以下の点が挙げられます:
1.統計データの提示
共同通信は世論調査の結果を具体的な数値で示しており、「行きたいとは思わない」が74.8%、「行きたいと思う」が24.6%と明確に記載されています。このような数値の提示は客観性を保つための重要な要素です。
2.背景情報の不足
記事では調査結果を提示していますが、調査の詳細(例えば、調査対象者の属性や地域分布、調査方法など)が記載されていないため、結果の信頼性や偏りについての判断が難しいです。これが報道の客観性を損なう可能性があります。
3.文脈の提供
記事は調査結果を単に報告するだけでなく、万博の開幕日やイベントの背景を簡潔に述べています。しかし、なぜこのような結果になったのか、具体的な理由や社会的背景についての分析が不足しているため、読者が結果を深く理解するのが難しいかもしれません。
4.感情的な表現の排除
記事内には感情的な表現や主観的な意見が含まれていないため、報道の客観性を保つ努力が見られます。ただし、調査結果の解釈や影響についての議論がないため、読者にとって情報がやや限定的に感じられる可能性があります。

印象操作の可能性を指摘するに至っておらず不十分な考察である。

2.3. 詭弁を考察するように指示

プロンプト:

共同通信の2025-03-23に公開された以下の記事について詭弁の観点から考察せよ
タイトル: 万博に行きたいとは思わない74%
本文: 共同通信世論調査で、4月13日に開幕する大阪・関西万博に「行きたいとは思わない」が74.8%で、「行きたいと思う」の24.6%を上回った。」

Microsoft Copilotの回答(要約):

この記事を詭弁の観点から考察すると、以下の点が挙げられます:

  1. 統計の提示方法
    記事では「行きたいとは思わない」が74.8%、「行きたいと思う」が24.6%と明確な数値を提示していますが、これが読者に与える印象を操作する可能性があります。例えば、全体の文脈や調査対象の詳細が不足している場合、結果が過度に否定的に見える可能性があります。
    詭弁の可能性:調査対象者の属性(年齢層、地域、興味関心など)が明示されていないため、結果が特定の偏りを含む可能性があります。それを隠すことで、全体の意見を反映しているように見せる手法は「統計の誤用」に該当する可能性があります。
  2. 選択的な情報の提示
    記事は「行きたいとは思わない」という否定的な結果を強調していますが、調査の背景や理由については触れていません。これにより、読者が結果を批判的に考察する余地が制限されます。
    詭弁の可能性:否定的な結果だけを強調することで、万博そのものに対するネガティブな印象を意図的に植え付ける可能性があります。
  3. 文脈の欠如
    調査結果が示す「行きたいとは思わない」という回答の背景には、費用、アクセス、内容の魅力など多くの要因があるはずです。しかし、記事ではこれらの要因についての分析が欠けています。
    詭弁の可能性:背景情報を省略することで、結果が単純化され、読者が深く考えることを妨げる可能性があります。

「2. 選択的な情報の提示」では印象操作の可能性を指摘しており、批判的思考ができていると言える。

3. 考察

LLMは権威主義的であり、詭弁の考察を促さなければ報道機関の報道内容を素直に受け取ってしまう事がわかった。

今後、AIを用いたフェイクニュースが世界中で氾濫する可能性があり、詭弁があるかどうかを考察するAIも同時に必要とされるであろう。また、詭弁を弄する意図についても考察できるようなAIがほしい。

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