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高校数学 東京工業大学1991 (平成3)年度 前期入試問題の解説

解答例

第1問

n!を素因数分解した時に2の個数が5の個数より多くなることは記述した方が良い。

(2)は、解答例ではガウス記号と挟み撃ちの原理を用いた方法が紹介されている。挟み撃ちの原理を使わない方法として、1~10nの数のうち、5の倍数、52の倍数…5nの倍数を数えて等比級数を作るというものがある。

簡単な問題だった。

第2問

空間ベクトル分野の問題だが、ベクトルは利用する必要がない。

空間における平面πの方程式を作る。接線lの方程式はxyz空間上では「z軸に平行な平面」であるので、この方程式に+azの項を追加する事で傾きを与える。(1/2, 1, 1)を通るという情報を加えれば平面の方程式が確定する。

楕円は媒介変数表示にした方が、θの範囲からkの範囲を決められるので分かりやすい。

第3問

二つの円錐と球の体積を求めて足すという方針はすぐに見える。試されているのは計算の効率性だ。

Math Station のように、三つの数式は展開せずに保持して最後に足し合わせると上手く相殺する。展開してしまうと10分以上失うだろう。体積を分割して計算した後に足し合わせる場合はこのようなテクニックが使える場合がある。

第4問

(1)

一般に「増加」といった場合は広義単調増加「f'(x)≧0」を意味する。狭義単調増加「f'(x) > 0」として解いた場合は減点されるかも。

(2)

この問題のポイントは逆関数の意味を正しく理解しているかという所だろう。逆関数と言っても、ここではxとyが入れ替わってないのでグラフはy = f(x)と同じだ。

逆関数はxとyについて置換するのが基本。f(x) = bは一瞥すると解けなさそうだが、xとして簡単な整数を代入してみるとx = 1で解けると分かる。

面積を定数とするa, bの関数と(1)で得たグラフを見比べれば、両者が接するときに最小値を取ると分かるので、判別式 = 0の解が答えだ。(1)が無ければ難問だった。

第5問

情報を整理すると、サイコロの出目は63通りあって、方程式の解はそれぞれに最大で3個ある。

偶数次数の項が負である理由を考えると、x≦0 ならば方程式は成り立たないので、x > 0であると分かる。要するにa, b, c, xが全て自然数となる組み合わせを探すわけだから、不定方程式の問題なのだ。ここまで整理した情報を記述するだけでも部分点が得られるだろう。

不定方程式なのを意識してx(x2 -ax +b) = cと変形すると、解はcの約数だと分かる。よってc = 1~6で場合分けする。

確率と見せかけて整数の問題だった。不定方程式として扱うという発想が必要だが、サイコロの出目や方程式の解が整数である点から気付ける。

高校数学 東京工業大学1997 (平成9)年度 前期入試問題の解説

解答例

珍しく数Ⅲからの出題が1問だけだった。第3, 4問は小問が誘導として役に立ってない。意図的に引っ掛けたのだろうか?

第1問

「図形と方程式」から領域の問題。グラフで考察するのは難しいので、方程式で処理していく。示すべき領域を如何に方程式で表すかがカギとなる。

場合分けが煩雑だ。まず楕円のグラフを描いた時点で、a, bについて0か否かで場合分けが必要だと分かる。

a ≠ 0∧b ≠ 0 のときは、図形的には楕円と直線の共有点が0または1になるのが必要条件なのはすぐ分かる。そしてMath Station のように、直線が常に(1, 1)を通る事に着目して、「直線で示される領域が常に原点を含む」と言い換えて立式するのが筋が良い。楕円と直線のグラフを想像上で動かすと気付ける。

また、 直線の方程式を楕円の方程式に代入する際、”by = “とすると楽だ。あるいは、楕円を媒介変数表示する手もある。

「図示せよ」と指示されているので、図が無いと大幅に減点されるだろう。a = 0∧b = 0の場合だけでも示す、題意を分かりやすく言い換えるというだけでも部分点が得られるだろう。

第2問

Σと極限の組み合わせなので区分求積法を使おう。また、図形的に考えてy = 1 /x [n, 2n +1]とy = 1 /(x -1) [n, 2n +1]の面積で不等式を作り挟み撃ちの原理を使う手もある。

(2)は挟み撃ちの原理を必ず使うが、何で挟むかは図形的に考察した方が確実だろう。

ボーナス問題だった。

第3問

(2)

文字だらけなので題意の解釈が難しいが、nとrは定数として考えよう。

「全てのnについて成立する」という証明なので、数学的帰納法を使おう。(1)は誘導として利用しない。

n = mのときに個数が有限個であると仮定すれば、xm+1の候補となる自然数が有限個となる事を示せばよい。そこで、xm+1 を上から抑える不等式を作る。その準備として x1≧x2≧… xm+1 と整列しておく。これは1996年度第1問と似た論証で、さすがに2年連続は良くない。

数学的帰納法の問題としてもハイレベルだ。方針だけでも部分点が得られるだろう。

第4問

(1)

与式には(α +β)が含まれているので、頂角について正弦定理を用いるのが筋が良い。

(2)

(1)を利用した計算方法は非常に煩雑となってしまう。(1)は無い方が正解率が高かったはずだ。Math Stationのように三角形の一つの角が60°となっている事に着目する方が速い。

高校化学 東京工業大学2013 (平成25)年度 前期入試問題の解説

分析

[1]

  • (1)浸透圧はπ = nRTと表されるので重力加速度は無関係。
  • (2)ショ糖は二糖類スクロースのことだが、糖類は非電解質だ。
  • (5)凝固点降下度や沸点上昇度は分母が溶液ではなく溶媒となっているので注意。

[2]

様々な数値が出ており把握しにくいので、図と共に整理するのが良い。

問ii

ある物質の気体に対するヘンリーの法則は、容器内の気体部分が混合気体となっていても成立する。2020年度入試[4]でも同じ考えを使う。

状態A, Bでの不変量は温度や酸素の物質量なので、これを元に立式する。

気液平衡の問題では、状態変化の前後でボイルの法則(PV = const.)を適用する場合が多い(実験5で気体と溶解した酸素の物質量が示されている事も気づく為のヒントだ)。このときVには溶解した気体も加味するのだが、体積で見たヘンリーの法則で算出する。

問iii

燃焼反応が起きているので、反応式を立てて物質量の増減を確認することになる。

ところが物質量について分かっているのは酸素のみなので、メタンと酸素の分圧を状態方程式を使って物質量で表す。物質量として溶解した気体の体積も含める必要があるので、ここでも体積で見たヘンリーの法則を使う。

[5]

情報量が非常に多く、如何にも時間が掛かりそうな中問である。

  • (実験1)アルカリ金属、アルカリ土類金属は水と激しく反応する。
  • (実験2)銀はイオン化傾向が非常に小さいので、単体になり易い。銀鏡反応はアルデヒドと硝酸銀の酸化還元反応である。
  • (実験4)Pb, Cu, Agは熱濃硫酸と反応し、かつZnと反応して黒色沈殿を生じる。青錆の正体はCu(OH)2である。酒石酸と来たらフェーリング反応だ。Cu2+(酸化数2)を還元してCu2O(酸化数1)となる。
  • (実験4)白い硫化物を生じるのでZnと容易に分かる。水酸化物はアルカリ金属・アルカリ土類金属以外は沈殿するので、KOHにより錯イオンを生じたと分かる。電気分解では、イオン化傾向はZn > Hなので単体が生じない。
  • (実験5)イオン化傾向がPb以上なら塩酸と反応する。

[6]

問題文から緩衝液がテーマだと分かる。

問i

計算は特に要らない正誤問題。

  • (1)NH3 は弱塩基なので[NH4+] = [OH] = √cK が成り立つ。
  • (4)弱塩基と強酸の中和なのでpH ≠ 7だ。中和後のH+ の在り処を探すとNH4+ にあるので、このイオンについて電離平衡を考えよう。

問ii

問i(1)で使った式を再利用して値を代入していく。

問iii

問iiを利用する事を念頭に置こう。Dは緩衝液なのでH+は追加投入した溶液Aに全て由来する。NH4+とNH3の濃度比を確定できるので、電離平衡の式と問iiの解を組み合わせる。

[7]

問iでは目的化合物は製法1~3は同じなので、xで割る計算は不要。

[8]

問i

  • (1)価電子数は最外殻電子の数、原子価は不対電子の数。
  • (2)意地悪な問題。「すべて」という言葉には要注意だ。

[9]

Dは自身がエステルの環構造を持っている。還元性があると言うのでアルデヒド基だと思ったらシュウ酸。とことん盲点を突いてくる難問だった。

高校物理 東京工業大学2011 (平成23)年度 前期入試問題の解説

分析

解答

[1]

二体が衝突を繰り返すので、運動量保存と反発係数を軸に考えていく。

(d)

(a)~(c)までは基本問題だったが、ここから急に難しくなる。

錘1, 2について2, 3, 4回目の衝突後の速度を順に算出していく単純な方法では計算が膨大になりそうだ。小問一つあたりの解答時間は高々10分と想定されている筈だから、この方法は誤りだと判断できる。

そこで、漸化式の様な手法を用いたい。速度について直接的に漸化式を作るのは困難だが、運動量と反発係数について漸化式が作れる。(c)を誘導問題と見なすのがポイント。解法を知っておかないと難しい。

(e)

単振り子の性質への理解が問われている。周期は錘の質量や速度に依存しないので、衝突しても周期は不変だ。衝突は常に最下点で起きるという条件があるので、振り子の軌跡が分からなくても衝突時刻は分かるという訳だ。

(f)

「初めて元の状態に戻った」というのは、錘の位置だけでなく速度も含まれる。よってt = 10t0のときに錘1, 2は静止している。ここから、錘1について衝突1の直前と衝突3の直後の速度が分かる。

最初の衝突錘1, 2は3回衝突するので、各回について運動量保存と反発係数の式を立てる。計算量が多いのでM1 /M2 = xとおくと快適。

答えに辿り着くまでが大変だから、 M1 > M2 だけでも示せば部分点が得られるだろう。

〔2〕

(a)

電磁誘導の法則は使いにくいので、導体中の電荷のローレンツ力で考える。

(b, d)

導体全体が抵抗を持っているが、回路図を書く際はルート毎に1つずつ抵抗器があるとすればよい。そして回路方程式を立てる。

(e)

グラフの通り、コイルがあると時間よって電流が変化するのが特徴である。よってこれを利用して回路方程式を連立して解く。

グラフと自己誘導起電力”V = -L dI /dt”を比べると、”dI /dt = I0 /T” が分かる。よって回路方程式”LI0 /T = E”が得られる。さらに前問で得た回路方程式と共に連立する。

(f)

t2は自己誘導に依存しているので、グラフから自己誘導起電力を含む回路方程式を立式する。

〔3〕

(a)

問題文が曖昧な悪問。(ア)は何と何の光路差を求めるのか明示されてない。(ウ)についても、「音波による反射」は音波自体が反射するとも受け取れるし、「与えられる」では何を示せばよいかわからない。

(d)

(b), (c)を元にΔf = w /dを得るので、Δfは音波の性質のみに依存すると分かる。

高校数学 東京工業大学1990 (平成2)年度 前期入試問題の解説

解答例

本年度は難易度が高い。しかも驚くべきことに全ての大問が小問を持たない。第2問や第3問を見るに、出題センスが未熟である。

第1問

いきなりゴツい数式を出してやる気を削いでくるが、コケオドシ問題である。

m, nについて小さい整数を代入してみると、m = 1, n = 2のときにxw = yz が出てくる。この事は、この式が必要条件であるという事を示している訳だが、実は同時に十分条件でもあるのだ。

十分条件である事を示すには、与式に xw = yz を代入して恒等式となる事を示せばよい。式の対称性を活かしてxw = yz = kとするのが筋が良い。

整数問題は実験が大事」の教訓が強く表れた問題だ。 必要なのは実験する心構えと地道な式展開の計算だった。

第2問

本年度の最難問。

左辺はΣ内がlog xi との積になっているので処理しにくい。そこで右辺の一部をΣ式に変えるわけだが、この操作が珍しい。そして移項して式を纏めるわけだが、ここまで構想できれば立派だ。

ここからはlog x≧x -1 /xの不等式を自力で思い付いて適用するのだが、普通は誘導で与えられる部分である。当時の東工大はこういう出題もあったようだが、今の受験生なら誰も解けない。

第3問

図形の問題で最大値を求めよというから、いつもの様に微分法だと思ったら沼に嵌る。

二つの円の中心が楕円の焦点になっている事に気付く事が全てである。さて、どうやって気づくかだが、「三つの曲線とPQ, PRのグラフを描いてみる」とか「東工大は有名性質を利用した問題が多い」とか「楕円が(0, √3)という中途半端な座標を通過する」といった点を意識することだ。

それに気付かずこの問題に時間を取られてしまうと不合格になるわけだ。単に受験生を振るい落とす役割しか持たない、受験生の学力を試せない悪問だ。2000年以前の東工大数学ではこの手の問題があった。

この問題は三角不等式の活用例でもある。

答えが6になるのはP(0, √3)やP(2, 0)のときを確認する事で予想できるので、解けなくても答えだけでも書いておこう。

第4問

標準的な難度の積分問題。そのまま微分すれば極小値をとるθが分かる。

分数関数の積分なので、強引に「∫(y’ /y)dx = log |y|」の形に持っていく。sin やcosは、2乗の形であれば容易にsin とcos の間で変形が出来る。また、t = tan (θ /2)と置換する手法もある。

第5問

また楕円の問題。この時代の東工大数学は楕円の性質を利用した問題が多い。

ある点から楕円に引いた二つの接線が直交するとき、その点の軌跡は円となる。これを「楕円の準円」という。それを知っていれば簡単に解ける。

準円の存在証明はした方が良いだろうが、他の問題が難しいので余裕がある場合のみするのが戦略的に良いだろう。

存在領域として(1 /√3, 0)が除外点になるのに注意。

高校化学 東京工業大学2009 (平成21)年度 前期入試問題の解説

今年度までは常識的な難易度だったが、次年度から狂気が始まる。

分析

[1]

問i

  • (ア)亜硝酸アンモニウムは水と窒素に熱分解する。いきなりマニアックな問だが、〔iii〕を先に読んでアンモニアとの関係から推測すればよい。
  • (イ)ソーダ石灰は塩基性の乾燥剤で、これに通す事で水蒸気を除去している。
  • (オ)水がHClを吸収し、濃硫酸が水蒸気を吸収する。

問iii

平衡を扱うのでバランスシートを使う。物質量は窒素は1、水素は2としてよい。

[2]

(ii)は解を得る為の条件が足りてないように見える。しかしボーキサイトの質量のほか、融解塩電解時の物質量に関しても制約を受けるので連立方程式を立てれる。

[3]

問iii

  • (1)中和滴定と違い、酸化還元滴定は水溶液の水の量を考慮する必要はない。
  • (3)デンプンはヨウ素ヨウ化カリウム溶液と反応して紫色になる(ヨウ素デンプン反応)が、この実験とは関係ない。
  • (4)MnO4-は酸性条件下では還元されてMn2+ となるが、中性・塩基性条件下では MnO2となる。
  • (6)この実験は、シュウ酸を軟マンガン鉱で酸化し足りない分を過マンガン酸カリウムで補う事で軟マンガン鉱の量を測っている。

[5]

化合物AがO原子2個を持つことと、加水分解により化合物Bのみが得られたことから、Aは環状化合物と分かる。東工大化学の構造決定問題は環状化合物が頻出だ。

問i

ヨードホルム反応陽性となる官能基にOが付いていると反応しないが、アルデヒド基にOが付いていても還元性を持つ。

[6]

酢酸ナトリウムをNaOHで脱炭酸反応を起こすというメタンの製法の一つ。

[7A]

問i

セルラーゼ、アミラーゼは名前から分解対象となる基質を推測できる。ペプシンの名前はペプチドと関連している。

ペプチドを分解する酵素には、タンパク質をポリペプチドに分解するペプシンとトリプシン、ポリペプチドをアミノ酸に分解するペプチターゼがある。

問ii

ビウレット反応は、二つ以上のペプチド結合を持つ場合に二つのNがCuに配位結合することで赤紫色となる。 と言っても、Aから二つのαアミノ酸が得られると書かれているので、この情報は特に必要ない。

化合物Aの分子式と、これを分解すると二つのαアミノ酸が得られるという情報だけから化合物B, Cが特定できる。

問iii

化合物Aの分子式から、BとCのいずれかが塩基性アミノ酸・リシンであると分かるので、塩基性かそうでないかで電気泳動の結果に違いが生まれていると予想できる。

DはCにメタノールを作用させている(カルボキシ基を無くした)ので、DとEも塩基性だろう。したがって、構造決定するまでもなくCが答えと分かる。

[7B]

そもそもスチレンとブタジエンの構造を憶えている必要がある。行程が長いので、図で書き出すと良いだろう。平均分子量が与えられているので、外堀から埋めるイメージで情報を確定させていこう。

高校数学 東京工業大学1995 (平成7)年度 前期入試問題の解説

解答例

第1問

a(n)が整数になる必要条件の一つ「分子≧分母」に着目して解く。

(1)は単なる極限の問題ではなく、誘導問題だ。n→∞とするとa(n) = 0になるという事は、nを大きくしていくとa(n)はいずれ1未満になり整数ではなくなる。よって(2)の条件を満たすnは有限だ。(3)についても、1未満となったa(n)を掛け続ければ与式はいずれ1未満になる。

整数問題ではあるが、与式を連続関数のグラフとしてイメージするのは有意義なのだ。

(2)も(3)もnについて虱潰しに調べていくだけの地味な問題。

n≧7のとき常にa(n) < 1である事を示す方が良いだろう。これは数学的帰納法が使える。

第2問

東工大頻出の、微分を用いて図形に関する最大最小値を求める問題。

方針によって難易度が大きく変わってしまう。筋の悪い解法で手詰まりになってもそれなりの点数は得られるはず。

正八角形の半分の形(θ = π /4)となる時に面積最大となるのは容易に予想できる。だから答えだけでも書いておこう。筋の良い解法となる補助線の引き方は、この形の時に対称性が強く残るようなものだ。

第3問

(2)

f(x) が極小値をとるxをαn とする。

グラフからの考察が大事。楕円とy = ex /n のグラフも描いてみると、-n < xn < αnが明確に分かる。xn を不等式で挟めたので挟み撃ちの原理を使おう。

挟み撃ちの原理を導入しなくても、n→∞のときxn = -∞を示してからxn /n = -√(1 -e2xn) を解くのもアリだろう。

高校物理 東京工業大学2012 (平成24)年度 前期入試問題の解説

分析

解答

[1]

(b)

衝突についての問題なので運動量保存則を利用する。

非弾性衝突でも運動量保存則が成り立つ。それを確認するには、物体の速度が「一方が0」または「正負が逆」のように単純な条件でイメージすると良い。

(c)

力が釣り合っている状態を立式するとθとωを変数とする式になるので、θの範囲に当てはめればよい。

ωに下限があるというのが直観に反するので難しい。円錐振り子の回転を想像すると分かりやすい。

ωが負の値を取ることも可能なので、出題の詰めが甘い。

(d)

「重力加速度gを使わずに」という部分は、(c)が伏線になっている。

(e)

(d)で得た力の式(Fとする)を近似を用いてF = -kx の形に変形していく。具体的な方針としては、Fに含まれる変数はcos θとsin θであるのでこれを一つに纏める。Δθ = θ -θ0 なのでこれを代入して近似を適用しよう。

後は単振動の周期 T = 2π√(m /k)に代入する。周期の式はF = -kxからも再現できる。

(f)

空間的に考察するが、問題文で描かれる状況を丁寧にイメージすれば難しくない。

[2]

(a)

直列コンデンサの合成容量は、バネの直列接続や抵抗の並列接続と同じ式になる。

(b)

板PにはQ個の正電荷があり、板A, Bにペアとなる負電荷が集まってくる。回路がアースされている事でQA +QB = -Q が成り立つ。

電場はE = Q /εS で表される。また、スイッチが閉じているのでキルヒホッフ第2法則が使える。

(c)

電場は正負の電荷のペアがあって生まれるものなので、板Pの電荷もコンデンサの電荷として扱う。

(d)

静電エネルギーの変化量は、xとx +Δxのときの静電エネルギーの差を求めるだけだが、(c)で得た静電エネルギーの式をxで微分してΔx倍するのが速い。力についても静電エネルギーの式をxで微分するだけだ。

微小な項を無視できると指示されている場合は、「微分しても答えが出せる」というメッセージだ。

(e)

x = d /2 は静電気力としては不安定な釣り合いだ。一方でバネにとっては安定な釣り合いだ。つまり、安定な釣り合いが優位となる条件を求める。バネは2個ついているので弾性力は2倍となる。

(f)

(e)の結果は無関係。問題文にあるように、I = dQA /dt を解いていく。

[3]

(a)

音波は疎密波である。最も密なときと疎なときは変位が0なのは憶えておくと得だ。

(e)

「必要ならば近似式を用いよ」と指示されているが、こういうのは無理やりにでも与式を近似式の形が出てくるように変形していく。

(g)

第3問はここまで簡単だったが、これだけ難問だ。しかし(e)(f)の誘導を活かして素直に式変形と近似を使っていけばよいだけだ。

高校数学 東京工業大学1999 (平成11)年度 前期入試問題の解説

解答例

第1問や第4問は、昔の難関大によくあるコケオドシの問題だ。この手の問題は今は出題されないから、解けなくても気にすることはない。

第1問

一瞥すると整数問題のように見えるが、文字が取り得る値は整数ではなく「正の実数」である。そして、解法以前にどの分野の問題なのかも分かり難いが、大小比較をするという事と、東工大は微積が頻出であるという事から、微分を用いると見抜ける。

文字の種類がやたらと多いが、これは目くらましである。xy平面においてA, Bはyに対応する。

さらに、両関数はapで割ることでb /a を作り出し、文字を統一できる…しかしこれは気づきにくいだろう。そこでaかbで偏微分してみると何の問題もなく解ける(対称性が崩れるので気が進まないが)。

第3問

構想力が勝負の問題。辺上の動点を導入し、2変数関数を作る。二等辺三角形を考察するので場合分けが生じる。三角形の形状や面積比が手掛かりになる。

0 < a≦1のときは、線分は短辺と平行になる。1≦a < 2のときは長辺と垂直になりそうだが、そうならないのが意外。

第4問

かなり複雑な数式だが、「2以上の全てのnで成り立つ」という点に着目して数学的帰納法を用いると解ける。これに気付けるかに全てが掛かっている。

高校数学 東京工業大学1994 (平成6)年度 前期入試問題の解説

解答例

本年度は簡単なセットだった。

第1問

PとQの対称性を常に意識するのがコツ。

第3問

Math Stationは問題文が間違ってるので注意。

(1)

部分積分を2回行う。e-xは微分しても負号が変わるだけであり、sin xも微分に周期性があるので、∫(e-x sin x)dx と∫(e-x cos x)dx を用意する方法がある。

(2)

「n→∞」なので挟み撃ちの原理を使いそうだが、n→∞ のときに値が一致する関数を作ることは出来ない。そこでsin xの周期性に着目し、積分区間をπごとに区切って計算してみる。

第4問

パターンに当てはまらないので思考力を要する問題だ。

(2)は、「ならば」という論理学的表現に着目して、「p ⇒ q」の対偶「¬q ⇒ ¬p」を証明してみよう。また、Σ式を多項式に変形する事で、f(m, n)とf(m’, n’)との演算が可能になる。

第5問

ちょぴん先生のように偏微分を使うと快適だが、高校範囲外なので減点の恐れがある。

両放物線の法線が一致する様な直線がPQであるが、これは自明とは言えないので証明した方が良いが、しなくても減点されるかは分からない。だから時間配分の戦略として証明を後回しにすると良い。