高校化学 東京工業大学2010 (平成22)年度 前期入試問題の解説

Z会の分析

時間内の全問解答は不可能というゲームバランスの崩壊した内容なので、難しくない問題を見抜く力が必要だ。

[1]

状態B, C, Dの状態変化を追跡するには注意深い考察が必要でかなり時間が掛かる。この中問だけで大問一つ分のボリュームがある。

問iii

  • (1)cでは凝縮開始後は圧力が一定となるため温度変化はない。
  • (2)温度と圧力が一定ならば密度も一定。

[2]

問ii

H2とCOの内、それぞれの燃焼した物質量が分からないのでx, yと置くことになる。 問iで得た平衡定数で新たな状態の化学平衡の式を作るが、H2 は1.8 mol と分かっているので変化量は0.6 -y mol と分かり、これを用いて全物質の変化量を記述できる。さらに燃焼熱の式と連立する。

[3]

問i

反応式を精確に書き出す必要があるが、未定係数法を用いる必要があり時間が掛かる。無駄に煩雑な作業を要求しているので悪問だ。

イオン化傾向が水素より小さい金属の酸化還元反応では水素は発生しない。

  • (ア, イ)イオン化傾向が水素より小さいCu, Agの酸化還元反応では、熱濃硫酸や硝酸で反応させる事が出来、水素は発生しない。
  • (エ)強酸のHClが遊離するので、H2SO4はHSO4までしか電離しない。

問ii

易しい。

(4) SO2を水に溶かすと亜硫酸、SO3を水に溶かすと硫酸となる。

問iii

反応後の物質の状態の知識は高校レベルを超えており、気液平衡についての考慮も不明なので不適切問題だ。

[4]

問i

電離平衡を利用した問題かと思ったら、そうではない。水溶液中の陽イオンは H+だけなので、陰イオンの数に等しいことに着目すると楽だ。モル濃度を乗除ではなく加減の式で表すのが新鮮に感じる。

問ii

気液平衡のように、第二電離で生じる水素イオンの濃度をxとして、バランスシートで考えられる。

問iii

知識問題が中々マニアック。

  • (3)Ni触媒は炭化水素に水素を付加するのに使われるが、炭化水素と水蒸気を反応させて水素を作ることも出来る。
  • (4)液体空気の分留(沸点の違いを利用)するのが酸素の工業的製法。
  • (5)正極活物質は、正極で酸化剤として働くもの。負極活物質は負極で還元剤として働くもの。

[5]

問i

分子式ではなく組成式なので注意。化合物の組成が質量パーセントで表されている場合は、それぞれの数値を原子量で割り、さらに元素同士で割る事で含まれる元素の比を出す。

問ii

化合物Aは問iで求めた組成式の分子量の整数倍となる。C, H, Oから成る化合物の水素の原子数は必ず偶数となる事と、化合物Fの分子量が334である事から「2倍」が正解だと見当が付く。

ベンゼン環に直接結合しているメチル基は酸化によってカルボキシ基になるが、ここではならない。EにBを作用させる反応は、無水酢酸とアルコールのように分子内脱水した部分で再びエステル化する。

[6]

問ii

化合物BとしてN, Oが二重結合を持つ化合物も考えられるが、それは問iiiでは想定されてないので解けない。よって不適切問題だ。

問iii

Ni触媒は炭化水素に水素を付加できるが、ニトロベンゼンを水素で還元してアニリンにもできる。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です