「個別試験」カテゴリーアーカイブ

高校物理 東京工業大学2008 (平成20)年度 前期入試問題の解説

分析

解答

[2]

非常に不親切な問題文で何をすればよいか分からないが、ポワソンの式の導出過程を記述するだけ。暗記&忖度だけが要求されるので殆ど不適切問題だ。

(a)

ΔV = (正)ならば、気体は外部に仕事をしているのでΔE = (負)の筈だ。同時に、U = 3/2 PVだからΔP = (負)の筈だ。

断熱過程では体積だけでなく圧力も変化するが、ピストンを動かす際は力が釣り合っていると近似するので、ΔE = -pΔVとなる。

(c, d, e)

近似式が示されている場合はそれを元に立式する。示したい式にはTが含まれてないので、T +ΔTを近似式で変形した後に関係式T = CVaを近似式の形にするためには微小量の項が必要なので、ΔTとΔVを加える。を用いてTを消去するというシナリオを考える。

関係式 T = CVa を繰り返し使うのが印象的。

[3]

〔A〕までは基礎的だが〔B〕からは状況把握が難しく時間を浪費しそうなので後回しが良いだろう。題材が面白いが、装置が特殊なため、状況把握の程度が成績に大きく影響してしまう。よって物理の学力を試す観点からは劣っている。

(c)

ローレンツ力により円運動する荷電粒子の周期(角速度)は、比電荷q /mと磁束密度Bによって決まり、速度には依存しないのだ。

(d)

〔A〕では、粒子はYによる加減速に関わらず周期的な円運動をすると判明した。

図を描いて考察してみれば、粒子が通過するYは1回目と2回目で電位差の符号が逆になっているものと分かる。さらにりるらるのように、粒子の周期Tと交流電圧の周期1 /fn をプロットしたグラフを描いてみよう。

(f, g )

最初の半周と最後の半周では円運動の半径・速度が等しい。

粒子がスリットをd /2ズレて通ったという事は、スリット内のギリギリを通ったという事だから、質量の誤差の最大値を示す。

[4]

(d)

弾性力kxと静止摩擦力4kl/3を比較する。μ = 2μ’, kl = 3μ’mgと指定されているので、動くか静止するかの判断が出来る。

(e)

(c)と同じように、xは二次方程式の解なので候補が二つ現れる。(c)の場合は解の正負で判断できたが、今回は一筋縄ではいかない。Eの大きさが分からないせいでxの大きさも分からないのだから、(c)で得た式においてx > lとすればE > 8kl2 と分かる。

(f)

具体値を求めなくても良いなら、イメージでほぼ正しいグラフを描ける。

高校数学 東京工業大学2001 2002 2003 2004 2005年度 後期入試問題の解説

2001

第1問

三角関数の周期性と、正接関数が-π/2 < θ < π/2 で単調増加である性質を背景とした問題。その背景を見抜いて前述の不等式の形を作ることが必要で、それに気付かず試行錯誤しても時間の無駄となる。

第2問

この手の問題で三平方の定理を使って計算したら負けだ。(1)では直交条件をベクトルで計算する。(2)はA0B0とx軸が垂直なのが分かったので図形的に考察して正弦定理を使う。

2002

第1問

(2)が難しい。

まず、(1)で得た等式を積分するという事に気づく必要がある。(2)の不等式で分母に”2k +1″が含まれるという事はx2k が積分された事の痕跡だ。

更に右辺を不等式で置き換える。分数関数の積分は困難なので置き換えられるように問題が作られていることは多い。

第2問

三角関数の微分は複雑になるので置換する。

2003

第1問

2004

どちらの大問も発想力が必要。

第1問

「モンモールの問題」として有名。解法を知ってないと自力で思い付くのは難しい。

第2問

(2)

C1とC2を連立して対数を取ると文字が対称的な式が出来る。この対称性に着目して、xの関数とnの関数を分離するとよい。この後は「eπとπeの大小比較」という有名問題と同じ解法を用いる。

(3)

(2)と同じようにxとnの関数を分離して極限を取れば、(log x) / x = 0 が必要だと分かる。

但し、対数を取る操作によりx座標の範囲が正のみに限定されてしまったので、C2をy軸対称な図形に置き換える事が必要。ここでセンスが問われる。

2005

第1問

(1)

0 < r < 1 のときのlim (n→∞) nrn が0に収束することを証明するには、二項定理の「指数関数を多項式で近似できる」という性質を用いる。n2rnは項数を増やして近似の精度を上げればよい。

これは知っていないと思いつかないだろう。(2)より正解率は低そう。

(2)

(1)では”0 < r < 1″の条件が与えられているので紛らわしいが、rの値で場合分けが必要。

第2問

(1)

多変数関数の最小値を求める問題なので、平方完成や加法定理を用いて最小値となる条件を求める。

まともに論証しようとすると大変だが、AとBの半径が等しいときに面積最小となるのは容易に予想が付く。なので答えだけでも書いておこう。

(2)

微分をしたら沼に嵌る。分母と分子のどちらかを定数にするテクニックを使おう。

高校数学 東京工業大学1990 1991 1992 1993 1994 1995 後期入試問題の解説

1990

後期日程が初めて施行されたのがこの年度だが、どちらの問題も欠陥がある。

解答例

第1問

まず、「負数の四捨五入」の定義で迷うが、コンセンサスと言えるものはないので欠陥のある問題という事になる。

四捨五入はガウス記号(床関数)の振舞いとは異なるが、ガウス記号と同じように不等式を使って論証できる。それ以外の方法としてグラフを使った論証も可能。

第2問

チェビシェフ多項式がテーマの超難問。類題の経験が無いと歯が立たない。

(1)から論証が大変だ。Pk(x)とQk(x)はそれぞれ、nが増えるごとに符号が入れ替わる。それを示す事でPk+1(x)にはk次、Qk+1(x)にはk+1次の項があると示せるのだが、二つの数学的帰納法を並行して論証するので複雑なのだ。

(2)は問題文に欠陥があり、「Pn(x)は(1)の与式を満たす」という説明が必要だった。その説明があったとしても、「与式の解はx = sin2(kπ/2n)である」という事に着目して(1)の式を利用する必要があるので難しい。

(3)次は「与式= “(2)の与式の展開式におけるxの係数” ×(-1)」である事を見抜く。更に「チェビシェフ多項式がテーマなら漸化式を作ってみる」という知識が必要。

1991

解答例

第2問

答えがπ /6になるのは予想できる。どこを詳しく論証してやれば良いのか迷う問題だ。

東工大だし出題者は微分を使って論証させたいのだろうが、微分を使わなくても説得力のある論証はできる。微分を使わなかった場合にどの程度の得点になるか分からないので、使うのが望ましい。

微分を用いるならば、Pを動かしたときのθの変化を調べたいので、x軸とOPとの角度αを設定して、内積の定義を用いてcos θの関数を作る。

1992

解答例

第2問

Mathematics Monsterでは行列を用いて説明されているが、複素数平面で複素数列の問題としても解ける。

1993

解答例

第1問

空間上斜軸の回転体の体積を求める。問題内容はシンプルだが、方針建てを全てやり、空間認識も必要なので難しい。

立方体をxyz座標系に置き、回転軸を新たな座標軸wとして考え、w軸上の点P(t, t, t)を設定する。このときw = √3・tである。

回転体の半径がwによって刻々と変わるので、”w軸に垂直な平面αと立方体の辺の交点Q”を設定し、PQの関数を求める。αの方程式は、w軸がベクトル(1, 1, 1)で表せてαが(t, t, t)を通るから、1・(x -t) +1・(y -t) +1・(z -t) = 0となる。

半径を求めたら積分するが、半径がxyz座標系で記述されているのに対して回転軸はw軸なのでスケールが異なる。よってw = √3・t で置換積分する。

1994

解答例

第1問

関数方程式の問題。

f(x)が連続という事はF(x)が常に微分可能である事を示しているが、F(x)は絶対値を含む項を持つので、aやbが取り得る値が限定される。

絶対値と来たら場合分けだ。F(x)は絶対値を含む事からx≧bとx≦bで別の関数が得られる。f(x)が連続なのだからF'(b)はどちらも同じ値になる必要がある。

後は(ii)と(iii)を使って定数を確定させる。(ii)はx = 1における情報だから、x≧0の場合の関数にしか代入できないので注意。

第2問

数学的帰納法で示せるが、一筋縄ではいかない様になっている。その解法はMathematics Monsterで紹介されている。nが小さい場合で実験してみると、(2 -√3)n = √(an2) -√(3bn2) となることに気付く。そこで全てのnについて an2 -3bn2 = 1を満たす an, bnが存在する事を示す。

別の解法として、式の形から共役無理数の積を思い付ければ筋が良い。Math Station のように二項定理を使う事で (2 -√3)n = √(an2) -√(3bn2) が示せるが、ここまで辿り着くのも大変なので数学的帰納法が楽だ。

1995

解答例

第1問

空間認識が必要なので題意が把握しにくいが、理解すれば簡単。

第2問

準円とパップスギュルダン定理を既知とする事で、この大問は全ての小問を合わせて3分で答えを出す事が可能だが、それでは方程式や微積の扱い方を測れないので、半分以下の点数になるだろう。

(1)

楕円の準円の方程式を求める。これにはお決まりの解法があり、接線の傾きをmとして楕円と連立してmの二次方程式を作り、二つの解の積が-1となる事と”解と係数の関係”を利用してエレガントに解く。

前期1990、2002年度でも登場している。Pの軌跡が準円となることを既知とすれば瞬殺できる。

(2)

前期2011年度が類題。

[円の回転体] -[楕円の回転体]として体積を求めるが、「∫π(2a +x)2dy -∫π(2a -x)2dy 」という風に回転体の空洞部を除く。その後は積分関数が円や楕円の面積に等しい事を示せば積分計算する必要がない…これはパップスギュルダン定理と実質的に同じことをしているが確実に得点する為のテクニックだ。

高校化学 東京工業大学2005 (平成17)年度 前期入試問題の解説

[2]

  • (2)沸点とは、液体の蒸気圧が外圧と等しくなる温度のこと。特に断りが無ければ外圧は大気圧を指す。よって溶質が溶解しているか否かに関わらず、溶液の沸点における蒸気圧は大気圧に等しい。
  • (4)シュルツ・ハーディの法則によると、電解質のイオン価数が1増えると凝析効果は60倍になる。
  • (5)デンプンは親水コロイドなので、多量の電解質によって塩析する。

[3]

圧力の単位が[atm]だが、[Pa]と同じように計算できる。問iiはモル比 = 分圧比を使うと速い。

[5]

速度定数は、温度と触媒によってのみ変化する。

[6]

  • (4)NaHSO4 は強塩基NaOHと強酸H2SO4 による塩だが、H2SO4 は二段階電離するので溶液は酸性となる。一方NaHCO3も酸性になりそうだが、HCO3 は水溶液中で不安定なため、H2O +CO2 に分解するため塩基性となる。
  • (5)一般に、二段階電離において、二段階目の電離度は一段階目と比べて遥かに小さい。

[7]

(4)銑鉄は数%の炭素が含まれているため脆い。そこで転炉で酸素と反応させCO2 として除去して鋼とする。

[8]

  • (エ)熱濃硫酸は酸化剤として働いた後はSO2となる。ちなみにSO2 は還元剤として働いた後は SO42-となる。
  • (オ)硫酸の第二電離は、電離度が小さい事とHClの存在によって起きにくい。

[10]

チオ硫酸ナトリウムの酸化還元反応はマニアックだが、反応式は与えられているので大丈夫。酸素飽和濃度という概念が見慣れないので、現行課程では扱ってないのかもしれない。

[11]

(問iv)燃焼に際して化合物Aが持つ酸素原子も燃焼に寄与することに注意。

[13]

  • (2)グリセリンの硝酸エステルはニトログリセリンと呼ばれ、爆薬や狭心症治療薬となる。ニトロセルロースも硝酸エステルだ。
  • (6)酵素は強い選択性を持つのが特徴で、主な酵素と基質は一対一に対応している。スクロースにはインベルターゼ、デンプンにはアミラーゼ、マルトースにはマルターゼが作用する。

[14]

ゴムが一種類のモノマーから構成されている場合、そのモノマーの炭素数は4である。具体的にはイソプレン(天然ゴム)、1, 3-ブタジエン(BR)、クロロプレン(CR)がある。

合成繊維や熱硬化性樹脂が主に縮合重合なのに対して、ゴムや熱可塑性樹脂は主に付加重合だ。

高校数学 東京工業大学1993 (平成5)年度 前期入試問題の解説

解答例

第4問を除けば簡単なので全体的には簡単な年度だった。

第1問

「比がkによらない」とは「全てのkについて比が一定となる」という意味。

kとq, そしてkとbの値の大小によっては面積が負になることもあるので絶対値を付けておいた方が良い。

第2問

(2)三角関数にnが含まれるので、積分漸化式を想定しよう。解がπ /2と分かっているのが強力なヒントであり、解がnによらない事が分かる。つまり、与式をInとおくと、In = In-1なのが読み取れるのでこれを示せばよい。

第3問

珍しく小問が4つもある。小問一つ一つは難しくないが、全体として計算量は多いので精確さと効率性が試される。

(1)4次の解と係数の関係「α +β +γ +δ = −b /a」と「αβγδ = e /a」を使えば瞬殺。

(2)Pが変曲点ある場合にPはQやRと一致するから、与式を二階微分して範囲を求めるのが速い。しかしこれは裏技的なので、α < t < βと必要十分となる不等式(t -α)(t -β) < 0を解くのが王道。

(3)L2を整理していく。”β -α”は根号を持つので、後の事を考えるとこれが出てこない形に整理したい。α = βのときはL = 0となるから、(β -α)2 で因数分解できるはずだ。

(4)あとはtで微分するだけだが、少し工夫する。L2はよく見るとt2の多項式であり、(t2 -a)2 の微分が面倒くさそうなので、s = t2 -a としよう。

第4問

整数の難問として有名な問題。配点が30点と小さかったのもあってか、正解率は非常に低かった。2008年度のAOでも再び出題されたことでも話題になった。

最高次数項の係数が等しいn次の多項式同士の差は(高々)n -1次多項式となるのを利用して帰納法で証明する。発想としては自然なので、世間で言われているほどの難問ではない。

数学的帰納法を使う事を宣言すれば1/3の点数が与えられたという噂がある。n = 1の場合に成立する事も示しておこう。

高校数学 東京工業大学1989 (平成1)年度 前期入試問題の解説

解答例

どれも難易度の高い問題だった。

第1問

(1)点Pの座標(a, b)を用いてQの座標(X, Y)を記述する。そしてa, bの不等式に代入する事でQの範囲が分かる、というのが大まかな流れ。

(2)では、不等式の条件はもはや無関係。面積については三角形の頂点の座標が分かっているのでサラスの公式を使おう。Y≧X2では二本の接線を引けないので、Y < X2が必要条件。

第2問

外サイクロイド曲線がテーマ。2016年度第5問も外サイクロイドだ。

(1)イメージし易くする為に軌跡をを描いてみよう。y座標が2つあるという見落としも防げる。三倍角の公式を憶えていると速い。

(2)曲線の長さの公式を使う。sin θ sin 3θ +cos θ cos 3θ = cos 2θに気付きたい。途中計算の量は多いが、最後はシンプルな積分になる。

第3問

(1)とりあえず関数に0を代入してみて性質を探る。全てのxについて微分可能である事を示すためには、導関数を計算して全てのxについて解を持つ事を示せばよい。

(2)は微分方程式の問題。(1)で用いた導関数を使うが、f(x)を積分しても無意味なので変形して積分すると、対数関数を作れる。

第4問

短い問題文だが難しい。これを誘導なしで解かせるのはいかにも東工大らしい。解法は主に2つあり、Math Stationに両方載っている。

解法1

極限がある事と、「次第に大きくなる山が並んでいる」というグラフの概形から、挟み撃ちの原理が有効と分かる。難しいのは何で挟むかだが、

  • 被積分関数のx2があるせいで積分計算が大変
  • 少し大きい山と少し小さい山で挟むとn→∞では面積が一致する
  • 一つの山毎に分割すると絶対値を外せる

という事からx2 を定数化して少し大きい山と少し小さい山で挟む。

とりあえずグラフを描いてみればこの方針が思い付ける。

解法2

素直に絶対値を外して積分する。t = nxと置換するなど工夫はしてもやはり計算量が多くなる。

高校化学 東京工業大学2004 (平成16)年度 前期入試問題の解説

[2]

(4)ショ糖水溶液の蒸気圧は純水のそれより常に低いので、純水が蒸発し続けていずれ空っぽになる。

[3]

NaCl型は面心立方格子に似た構造。CsCl型は体心立方格子に似た構造。

[5]

(問A)生成熱は、生成物1 molあたりの反応熱を指す。

(問B)未定係数法で3元連立方程式を解く事で熱化学方程式の係数を確定できる。そして「生成熱 = (生成物の反応熱) -(反応物の反応熱)」を利用する。

[6]

低濃度の酢酸水溶液に高濃度の酢酸水溶液をx (mL)加えて電離度を高めたい、という問題。初めの電離平衡から新たな電離平衡に移るが、平衡定数は不変という点に着目する。Ka = Cα とする問題はよくあるが、ここでは電離度が与えられているので、Cα2 /(1 -α)でKaを求める。

[7]

(3)CuSO4 は五水和物の青い結晶が有名だが、無水物は白色。

[8]

  • (2)生成物のH2SiF6 の酸化数を確認すれば分かるように、ガラスの腐食は酸化還元反応ではない。
  • (4)緩衝液のpHは、弱酸(弱塩基)とその塩の濃度比に依存する。

[9]

  • (1)酸の強さはH2SO4 > HCl > HSO4 なので、H2SO4 が第二電離まですることはない。
  • (4)可逆反応なので反応式からは判断できない。
  • (5)次亜塩素酸はオキソ酸の一つなので酸化剤となる。さらし粉はアニリンと反応して赤紫色になるという知識からも分かる。
  • (6)AgF は電気陰性度の差が大きいので水溶性がある。
  • (7)そもそもヨウ素デンプン反応にヨウ素ヨウ化カリウム溶液を使うのは、ヨウ素が水に難溶だから。KI水溶液にCl2を加えると酸化力の違いによりI2が遊離してヨウ素デンプン反応を起こせる。

[10]

やや細かい知識だが、CrO42-はAgと赤褐色沈殿を生じる。ちなみにPb やBaとは黄色。さらに酸性条件下で酸化剤の Cr2O72- となる。クロム酸の物質量の変化に注意。

[13]

微妙な判断を迫られる難問。

  • (ア)ヒドロキシ基やアミノ基は親水基だが、アニリンは難溶で、フェノールはある程度溶ける。
  • (イ)NaOHと中和反応を起こすのはどれかという問い。

研究: (ア)について、受験で登場する化合物の範囲内ならば、「親水基数 : 炭素数 = 1 : 3以下」なら水によく溶けると言っていい。 サリチル酸やフタル酸も難溶性だ。

[14]

(6)はベンゼン環のCも含む引っ掛け。また、ケトエノール互変異性にも注意。

[16]

分子量と、CとHの存在比の情報から(1, 5), (2, 5)の組み合わせに絞れる。後は、炭素が24mg含まれているという事が分かっているので、これを利用して、Cと全体の質量比で絞るのが速い。

[18]

(問i)幾何異性体も考慮する必要がある。

高校数学 東京工業大学1998 (平成10)年度 前期入試問題の解説

解答例

第1, 3, 4問は誘導の作り方が下手である。

第1問

aを含む不等式を等式(直線)としたものをLとする。aが変数なのでaの値によって場合分けが必要だ。

Lは定点(3, 2)を通るのだが、それに気付くはaに様々な値を代入して挙動を考察するのが良いだろう。 これをヒント無しで導かせるのは不親切であり質の低い問題だ。

後はLの傾きを変えながら最大値を探す線形計画法だ。

第2問

(1)xの上限がa /2であるのは明らか。それでは下限を決定づけるのはどの円か?それぞれ計算する前に、図で示せば時短になる。

(2)面積の和で関数を作るが、√x = t と置き換えると計算が楽。x = √b /2で最小値となるのは予想できるので答えだけでも書いておこう。

第3問

(1)fとfn が紛らわしいので fn は gn とすべきだった。f = fn とは限らないから、 f0(t) = (2t -1) /t = t とはならないので注意。「全ての自然数nについて」に着目して、数学的帰納法で fn を証明する。それによって分母が0でなければ常に成立すると示せる。

(2)単純な積分と極限の計算。a = 1のときを場合分けする点に注意するだけで、(1)より簡単だ。

第4問

(1)三平方の定理や余弦定理を使うと計算が複雑になるので、角度を活かした解法を使おう。楕円を媒介変数表示すれば角度で表せる。 角度が等しいという条件を活かして、幾何的に考察して相似形を見つけ出すのが筋が良い。

(2)基本的な極限計算で(1)より簡単だ。

高校物理 東京工業大学2009 (平成21)年度 前期入試問題の解説

分析

解答

[1]

(a)

最初からイメージし難い問題だが、Aが壁から受ける垂直抗力が減少していき、0になった時に壁から離れる。

(c)

バネ定数はkなのでT = 2π√(m /k)…としたいところだが、バネの両端に錘が付いているので挙動が異なる。重心を基準にすれば両端は同周期の単振動と見做せるので、点Pから見た運動方程式を組み立てる必要がある。

直感的な説明としては、両端に錘があるので弾性力が2倍になると言える。またはバネの中点が実質的なバネの端となるのでバネ定数が2倍になる(直列バネなので”1 /K = 2 /k”が成り立つ)とも言える。

いずれにしても、二つの錘の質量が異なると直感的に答えを出すのは難しいので運動方程式を作れるようになっておこう。

(d)

バネの長さは、初期値 = L –l だったのでLs = L –l となりそうだがそうはならない。t≧0では重心が運動エネルギーを持っているし、二体が単振動するのでバネ定数と振幅が変わっている。これらを考慮すればエネルギー保存則に基づいて解ける。

小問の流れを沿えば、単振動の方程式に特殊解を代入するのが自然な解法。

エネルギー保存則を確認すればミスを防げる問題だった。

[2]

(b)

静電エネルギーを時間微分する事で静電気力を得た。これはF = QE /2 と表される極板間引力である。

(c)

極板には下向きに静電気力と重力が掛かり、上向きに弾性力が掛かる。これらが釣り合う位置が振動中心xcである。振幅はD -xc である。

3種類の力の釣り合いを扱うので、複雑な式になる。

(d)

直列コンデンサの合成容量は、バネの直列接続や抵抗の並列接続と同じ逆数和になる。並列コンデンサの場合は板を繋げ合わせればよい事を考えれば思い出せる。

(f)

(e)で得た式Q = C0V0(1 -3b /2D) はbの部分がtの一次関数である。よってdQ /dt = -3C0V0 /2D・db/dtは、平行線が交互に出現する。

[3]

熱気球が題材だが、2原子分子の内部エネルギー = 5 /2・nRTが当然の様に出てきている。

計算過程で似たような文字が大量に出てくるので慎重に計算する必要がある。しかもpとρが紛らわしいので併用するのは止めるべきだ。

(e)

張力なしで力が釣り合う状態を立式すればよい。使ってよい文字に指定が無いので、T3 = T0(mn +M) /mn のままでも正解とすべきだろう。

高校数学 東京工業大学1992 (平成4)年度 前期入試問題の解説

解答例

第1問

与式をf(x)とおく。xが取り得る値は実数なので整数問題というより方程式の問題だが、色々実験してみるといずれ答えに辿り着くようにはなっているのは整数問題っぽい。

まずk = 0の場合を調べてみると、f(2) = 0となるので不適と分かる。Math Stationでは「f(x) = 1 となるxは存在しないので不適」としているが、f(x)が1となるxを必ず持っている必要はないので、題意を誤って解釈しているのではないか?

分母の値が何であれ、分子 = 0となる場合は不適だ。0≦k≦1ならばその条件になり得るのでこの範囲が除外される。この事を記述しているだけでも部分点が得られるだろう。

k > 1の範囲では分母は0にならないのでf(x)が全区間で連続関数であるという性質も重要。f(0) = 1であり、f(x) > 2, f(x) < 0 となるxがあるならば平均値の定理よりf(x) = 整数となるxが存在するという事なので、0 < f(x) < 2 が必要十分条件であると分かる。

ちなみに、分母と分子の多項式が「平方完成してみろ」と言っているような形なのでやってみると、k > 1ならばf(x) > 0と分かる。

誘導が無いので方向性が見えにくく、難しくなっている。 f(x)の分子の次数下げは自然な発想だが答えに辿り着かないので、誘導を付けた方が良い問題だった。

第4問

fn(x)は数学的帰納法で示せる。

文字だらけで把握しにくいが、kやmが小さい場合で実験すれば答えを予想できる。常にm≦nだが、n→∞である一方でmは有限値とする。極限値が0になる珍しい問題。極限の考え方そのものを問うたからこんな答えもアリだったのだろう。

第5問

(1) In とIn-1を和積公式を使って纏めれば”2x cos (2nx -2x)”の積分計算に持ち込める。しかしIn+1 -In を計算した方が、和積公式を使わないし”x cos 2nx”の積分計算なので楽だ。