高校理科(化学) 筑波大学2014 (平成26)年度一般入試問題の解説

問3

アンモニアを過剰に加えるのでアンミンが配位子となり、テトラアンミン亜鉛(II)イオンとなる。

配位数が4の錯イオンは基本的に正四面体となるが、Cuは正方形として扱われる。

問5

Al, Zn,Fe は高温水蒸気と反応する。

問7

減極剤は、しばしば正極で発生したガスを取り除く為のものとして説明されるが、実際はH+より酸化しやすいものとして投入する事で分極を防ぐのが目的である。

問5

状態方程式においてPとVは反比例の関係である事からV2 /V1 = P1 /P2 と置き換えるのは誤り。なぜなら、容器1と2の中の平衡状態の気体の物質量は異なっているからだ。物質量を問3の結果を利用して補正する必要がある。

問5

  1. アルカリ金属やアルカリ土類金属の炎色反応。
  2. OH基と反応しONaとなる。
  3. フェノール類の系統分離に利用される。
  4. 銀鏡反応。試験管内壁に銀が付着し鏡のようになる現象が観察される。
  5. ハロゲンを銅線に付着させて炎にかざすと、ハロゲン化銅として気化し青緑色の炎色反応を示す(バイルシュタイン試験)。
  6. 臭素が炭素間の二重・三重結合と付加反応する事で赤褐色が消える。
  7. ヨードホルム反応。特有の臭気を持つヨードホルムの黄色沈殿が観察される。
  8. ニンヒドリン水溶液にアミノ酸を加えて加熱すると紫色になる。指紋検出などに利用されている。

問7

トルエンでも同じ物質が作られるというのが大きなヒントで、ここから置換基の炭素原子は一つだけと分かる。

高校理科(物理) 筑波大学2014 (平成26)年度一般入試問題の解説

問4

錘と糸による接触力が追加されたのでこれらの力を問1の解答に書き足せばよい。

問5

問2と比べて状況が複雑になっているが、同じように水平方向、垂直方向、力のモーメントの釣り合いの三つを立式していく。

水平方向と垂直方向の力に関しては、力を分解しなくてもNA‘ = FB‘ 、NB‘ = (M +m)gなのは分かる。

交流コンデンサーが題材。正弦波を模した導体の上で導体棒を動かす事で交流電源を再現している。

交流を扱うので、電場や力の向きに注意を払う必要なのが大変。

問1

ローレンツ力はevBで表される。

電磁力の式F = IBl を使って表そうとすると上手くいかない。I = e /t なのは間違いない。l はx = vt なのを利用してl = f(vt)と書けそうだが、電子の動く向きはy軸方向ではなくx軸方向なので金属棒Mを導線として扱えないのだ。正しくはl = vt であり、この式とI = e /t を F = IBl に代入すると結局 evB が得られるので、無理やり電磁力の式を使うことも出来る。

問2

ローレンツ力により金属棒内で正電荷と負電荷の分離が進むが、次第に静電気力も強まりこの二つの力が釣り合う。

静電気力は「電荷 ×電場」で表される。これは力学の「質量×加速度」に対応付けられる。

問3

OとP1 の電位は、それぞれの導線が金属棒Mに接している点の電位に等しい。

金属棒Mにはy軸正方向が負に帯電するのでP1 はOより低電位である。

問4

V0 は、誘導起電力V1 が含むsin関数が0になる時に関数全体が0になるような値にする。

誘導起電力V1 は問3の結果を利用できるが、微積を用いても出せるので軽く説明しておこう。

誘導起電力は磁束(刈り取る面積×磁束密度)の時間微分であるので、f(x)・Bをxで積分してx = vtに置き換えた後tで微分する。P1 はOより低電位なのでマイナスをつける。

これは、電磁誘導はローレンツ力が元になっている事を示している。

問5

電流の向きは、電位差を考えるとP1 < P2 なので時計回りだが、問題文で反時計回りと定義されているので、マイナスをつける必要がある。

微積を用いて、I = -dQ /dt , Q = CV よりI = -C・dV /dt と書ける。

問6

交流なのでローレンツ力の向きは時間とともに変わる。だから式の符号に注意し、力の正の向きは明記しよう。

もし誘導が無ければ

ゴールであるF = IBl のうち、Bとl は明らかなので電流Iを調べることになる。

まず交流電流として振舞う事を見抜く事が必要。そして電流の状態は電圧に由来し、電圧は金属棒を動かす事による誘導起電力によって特徴づけられている。

問1

開管の固有振動数はfn = nV /2l である。ちなみに閉管は f2n-1 = (2n -1)V /4l で表される。

問2

「空気の密度は0 < x < 0.1L の範囲では最大にも最小にもならず」というのは振動数の上限を示している。

変位のグラフにおいて、曲線の傾きが小さい(マイナス)ほど密度が高い。

「音が無い時」とは、時間変化する定常波の振幅が0になる時を指す。物質の密度は常に非負なので、曲線はx軸の上に位置する。

問3

波長は、共鳴している場合なので気柱の長さに依存する。振動数は、音源が近づいてドップラー効果で変化した結果として共鳴しているのでこれを踏まえて立式する。

問4

基本振動する場合なので、n = 1である。近づく音源と遠のく音源のそれぞれの振動数fa , fb と気柱内の振動数の関係式を作り、fa – fb = |δ| に代入する。

問5

うなりの振動数はf = |fa -fb| で表されるので、fa -fb = ±10 という事だ。

高校理科(化学) 筑波大学2015 (平成27)年度一般入試問題の解説

問2

一つの殻に18個の電子を持つ原子番号が最小の元素はKrである。

問4

極性が打ち消しあう事を記すのが肝。

問5

H3PO4 はリン酸、H2SO4 は硫酸、 HClO4 は過塩素酸。一般に、同周期元素の最高酸化数のオキソ酸は、中心原子の原子番号が大きいほど酸性度が高い。

過塩素酸は硫酸や硝酸に並ぶ強酸である。

文中に「電気陰性度は分子の酸性度に大きな影響を与える」と書かれているのでP, S, Clの電気陰性度の大きな順に並べればよい。

問6

酸化剤と還元剤を隈なく暗記している必要があるので難しい。

  • (i)HCl は、Cl が酸化して Cl2 になる還元剤である。次亜塩素酸ナトリウムNaClOは、次亜塩素酸HClOのナトリウム塩であり、ClO が還元してCl になる酸化剤だ。
  • (ii)水素化ナトリウムNaHは、電気陰性度がNaよりHが高いのでNa+ +H となる。H は不安定なので酸化してH2 になる。
  • (iii)シュウ酸H2C2O4 は酸化してCO2 になる還元剤だ。 過酸化水素は酸性溶液中では酸化剤となる。
  • (iv)希硝酸はNO, 濃硝酸はNO2 に酸化剤として働いた後に変化する。

問3

凝固点降下や沸点上昇のΔT は質量モル濃度に比例し、比例定数をそれぞれモル凝固点降下、モル沸点上昇という。蒸気圧降下や浸透圧もモル濃度に比例する性質を持ち、これらは「束一的性質」と呼ばれる。

問4

アセチレンが題材になっている。三重結合で結ばれた炭素2個を持ち、工業的に最重要の物質。ちなみに二重結合を持つのはエチレン。

熱化学方程式は化学反応式と違い「→」ではなく「=」を使う。また「黒鉛」や「気体」など状態も記す必要があるので注意。

反応熱 = (生成物の生成熱の和) -(反応物の生成熱の和) を使うと速い。

問1

フェノールはオルト-パラ配向性を持つ。

問2

  • ビウレット反応は、NaOH水溶液、CuSO4 水溶液を順に加えるとトリペプチド以上のポリペプチドに反応して赤紫色を呈する。
  • テルミット反応は、酸化鉄をアルミニウムで還元する反応。
  • ニンヒドリン反応は、アミノ酸が持つアミノ基に反応して赤紫~青紫色を呈する。

化合物Aが分からなくても2, 4, 5は明らかに違うと分かる。銀鏡反応はアルデヒドの検出方法だがヨードホルム反応でも検出できるので不適。したがってヨードホルム反応が正解。

アミノ酸やタンパク質の検出法は、キサントプロテイン反応も含めて化学のグルメの記事が分かりやすい。

高校理科(物理) 筑波大学2015 (平成27)年度一般入試問題の解説

問1

衝突時にBとCの間に静止摩擦力が働くならば、BとCを一つの物体として扱うので質量を2mとする必要がある。しかし「静止摩擦力は考えなくてよい」と指示されているので、AとBの関係で運動量・力学的エネルギーの保存則を立式出来る。

問2

摩擦力は左向きに働くが、正の向きは右向きなので、負の符号が付く。

問3

BとC には、摩擦力の作用反作用を通して速さの移譲が次第に進む。両者の速さが等しくなった時にその移譲は完了する。

BとCの運動量の合計は、t = 0 ではmvB0 、tBC では2mvBC なので運動量保存則を用いて等式化する事でvBC を速く算出できる。

問4

仕事 = 力 ×距離で表されるが、この距離は「力を与えている間に進んだ距離」であり、「力によって進んだ距離」ではない。

「力によって進んだ距離」と誤解すると WB = (-μmg) *(1 /2 *μgtBC2) となってしまうので注意。

問5

反発係数は衝突前後の相対速度の比である。負の符号は反発している事を表している。

結論として得られる式は問題文中で明記されているので、変化量について立式した後は途中計算をせずに結論の式を書いてしまうとよい。

もし誘導が無ければ

問1と同じ導出をするのが難しい。なぜなら、静止摩擦力が働かない事に着目して2つの保存則を立式する必要があるからだ。

動摩擦力が働くと作用反作用でBとCの両者に逆向き・同じ大きさの力が働く。そして「CがBに対し静止するようになった」という状態も重要で、動摩擦力・加速度が0になりBとCの速度が等しいという情報が含まれている。

問4で仕事量を求めるが、これには力と距離の情報が必要であり、距離を求めるにはBとCが等加速度運動をしている事から「A, Bの衝突からB, Cの速度一致」までの時間を調べる。

頭の中で、力・加速度・速度のを確かめながらシミュレーションするのが大事だ。

問1

電磁誘導に伴って発生する誘導起電力は、電池の様にどこか局所的に生じているわけではない。

もし誘導が無ければ、消費電力はIV = I2R = V2 /R と表されるので、どれか2つの情報を得る。導体棒を動かして誘導起電力を起こしているので、電磁誘導の式を利用する。

問3

2つの導体棒を考えるので複雑になる。

(a)

A1 とA2 が作る閉回路は磁束が減少するので、電磁誘導によりA2 にはy軸の負の方向に流れる筈だが、ここでは逆に流れると仮定している。

逆向きに流れると仮定する理由は何だろうか?キルヒホッフの法則に基づく立式は電流の流れが異なっていても正しい電流が分かるはずなのだが、 y軸の負の方向に流れるとすると計算結果が合わなかった。この理由は、2つの閉回路でA1 を共有しているが a~a’~ A1 回路では電位差があり A1~A2 では電位差がないものとして扱っているところに矛盾が生じている為ではないか?

(b)

(a)の「A2 にy軸の正の方向に電流が流れる」という設定が引き継がれている。問題文中で明示すべきだろう。

閉回路はa~a’~ A1とa~a’~ A2 に作られるので、それぞれオームの法則の式を作る。

(c)

答えの式を書いただけでは加速度の向きが分からないので、向きも明記しよう。

A2 はローレンツ力により右向きに動き出しそうだが、 答えの式から、A1の存在により左向きになると分かる。

この問題は次の(d)を考える手掛かりとなっており、「無限時間後の状態を調べる上で、最初の状態を調べるのが大事だ」という教訓と言える。

(d)

v2 = 1 /2・v0 なので、「十分時間が経過した」後は衝突してしまいそうだが、問題文に「衝突しないものとする」と書かれている。

球面鏡を題材にした問題だが、この大問だけ異常に簡単である。ⅠとⅡは難易度も分量も大きいので、この大問に辿り着く前に解答時間を使い切ったとしたら非常に勿体ない。「難しい問題はガンガン飛ばして行く」という事を教訓にしよう。

高校理科(化学) 筑波大学2018 (平成30)年度一般入試問題の解説

アンモニアソーダ法の問題。

  • 気体A: CO2
  • 固体B: CaO
  • 化合物C: NaHCO3

問2

(i)

  1. Clは青緑色の炎色反応を示す
  2. Naは黄色の炎色反応を示す
  3. NaCl +AgNO3 → AgCl↓ +NaNO3
  4. H2S と反応して硫化物となり黒色沈殿を生じる金属はPb, Cu, Agなど。

(ii)

マニアックな問題。尿素は二酸化炭素とアンモニアを高圧下で反応させる。高分子化合物の尿素樹脂は、二つのアミノ基がホルムアルデヒドと脱水縮合して繋がっている。

問4

結晶の蒸気圧が空気の水蒸気圧より高いと風解が進む。潮解はその逆の反応。

問5

状態図の曲線は蒸気圧曲線、融解曲線、昇華圧曲線に分けられる。

問7

金属結晶の構造には主に面心立方格子、体心立方格子、六方最密構造がある。イオン結晶の構造には主にCsCl型とNaCl型がある。

問題のイオン結晶はCsCl型である。 CsCl型と 体心立方格子はよく似ているが違う。金属結晶の構成粒子は全て半径が同じだがイオン結晶の場合は異なっている。

解く際は陽イオンと陰イオンが混交する場合もあるので簡単に図にすると良い。

問8

イオン結晶を例えると、磁石のS極とN極が交互に取り付けられた板を、二枚重ね合わせたようなものだ。板同士のS極とN極 が引き合ってくっ付いているが、この板同士をずらすと同磁極が向かい合うため反発して剥がれ易くなる。

問3

FeCl +3H2O → Fe(OH)3 +3HCl

金属元素は水と反応して塩基性酸化物になる(Al, Zn, Sn, Pbは両性酸化物)。逆に非金属元素は酸性酸化物になる。化学のグルメが詳しい。

OH イオンはアルカリ金属、アルカリ土類金属以外のすべての陽イオンと沈殿を生じる。ちなみにFe(OH)3 は赤褐色だがFe(OH)2は淡緑色だ。

水を沸騰させているのは、この反応が「発熱を伴う中和反応」の逆反応だからだ。

問4

(i)

親水コロイドと疎水コロイドの見分け方は、親水コロイドは極性があり有機物(デンプンなど)。疎水コロイドはその逆(粘土など)。

分子コロイドとは、タンパク質や寒天、ゼラチンに代表される高分子のコロイドのことだ。

保護コロイドとは、親水コロイドが疎水コロイドを取り囲む事で凝析を防ぐ場合に言う。例は墨汁の膠や写真フィルムのゼラチン。

(iii)

Fe(OH)3 が正に帯電する理由は調べた限り諸説あるが、塩酸の影響というのが専門家の説明。

問6

袋から流出したCl が金属イオンと化合して沈殿を生じる。塩化鉛が沈殿する理由は難溶性の皮膜が生じるという特殊な理由なのだが、温水には溶解する。

C6H12 はCnH2n なので「脂肪族アルケン」もしくは「一つの環式構造を持つアルカン」だ。

生成物のアルコールは、元の化合物の分子式と比べると、ヒドロキシ基に加えてHが1個増えている。この事から、二重結合部分と水が付加反応したと分かる。

表1より、化合物A, Bはヘキサンを得られるので直鎖アルケン。

また、化合物Aは二種類のアルコールが得られるという事は、 二重結合が炭素骨格の真ん中には無いという事。逆に化合物Bは真ん中。

問1

臭素との付加反応で不斉炭素原子が一個のみなのでAとFは構造が確定する。

問2(iii)

  1. ヨードホルム反応。この反応はアルデヒドを検出する方法としてよく紹介されるが、エタノールの構造でも陽性となる知識を突いた問題。
  2. アニリンをジアゾ化して塩化ベンゼンジアゾニウムを作る材料。
  3. アルデヒドに用いて銀鏡反応を呈する。
  4. アルコールは単体のNaと反応して水素が発生し、ナトリウムアルコキシド R-ONa になる。化合物Iはエーテルなので反応しない。
  5. フェーリング反応はアルデヒドを加えて穏やかに加熱すると酸化銅(I)の赤色沈殿を生じる。

問3

二重結合部分は回転できない為、シス-トランス異性体が生じる。

問4

メチル基を二つ持つ事と、メチル基のHとBrを置換した分子に不斉炭素原子がある事で絞り込む。

問5

シクロヘキサンの表記は、CH2 を明記する方法とただの正六角形を描く方法があるが、どちらでも正答だろう。

高校理科(物理) 筑波大学2018 (平成30)年度一般入試問題の解説

問2

鉛直ばね振り子の周期「T = 2π√(m /k)」は憶えておくべき基本知識だが、微小振動の単振り子の周期「T = 2π√(l /g)」と混同してしまう可能性もあるので、円運動の正射影として導出できる方が良い。(この問題では式に用いる記号が与えられており、lやgは無いので混同はしない)

周期はT = 2π /ω と表せるので、ωと与えられた単位(x0, V0 M, k, π)を含む式を導けばよい。

また周期は明らかにバネ定数kに依存しているので、kを含む式を思い出そう。F = -kx である。つまり運動方程式をωを含む別の形で表現すればよいのだ。

円運動の正射影の変位は「x = A・sin (ωt)」であり、速度はt微分なので「v = A ω・cos (ωt) 」。加速度は更にt微分して「a = -A ω2・sin (ωt) 」 であるが、これに変位の式を代入すると「a = -ω2x」。運動方程式は「F = ma = -mω2x = -kx」となるので「mω2 = k」が得られる。

「mω2 = k」と「T = 2π /ω」の組み合わせで周期は得られる。


振幅は円運動の半径A に等しい(直径ではない。ちなみに波の振幅も高さの半分だ)。振動中心とは即ちt = 0 であり、tと与えられた単位を含む式「v = A ω・cos (ωt)」よりV0 = Aω なのでA = V0 /ω である。

単振動のエネルギー保存則から導くとより速い。振動中心では運動エネルギーが最大(1/2・mv2)、位置エネルギーが0である。逆に両端では運動エネルギーが0、位置エネルギーが最大( 1/2・kA2 )である。つまり単振動の力学的エネルギーは1/2・MV02 = 1/2・kA2 と立式出来る。運動エネルギーと位置エネルギーの最大値を等式で結ぶのは一般的なテクニックだ。

問4

反発係数と運動量保存則の方程式をそれぞれ立てる。上向きが正であるである事に注意。

反発係数を立式する際、小球と板は衝突前後で運動量が変化するので、相対速度を用いる。

式を整理する過程で分数になる形を作ってしまうと計算が面倒になるので回避しよう。v0 は最後に代入するのが楽。

問5

小球と板は、衝突後、原点Oに戻ってくる時間が等しいのでこれを立式する。

小球は、最初に速度v0 で運動していたが速度-gtを受け取った結果 -v0 となったわけだから、v0 -gt = -v0 となる。

板の振動は、初速が異なっていても、振幅は異なるが周期は「T = 2π /ω」で一定である。

もし問1からここまで誘導が無ければ、まずは最初の状態を式に落とし込む事だろう。それが問1の答えになっている。釣り合いのほか、保存則(問3, 問4)にも注目しよう。そして問5のように時間について等式を立てる。

問6

(a)

Hを含む式としてH = gt2/2 と Mv2/2 = MgH (力学的エネルギー保存則)が挙げられる。

前者の式のtとバネの1/4周期が等しい(バネの振幅に関わらず周期は一定)という事を組み合わせるのが速い。

後者の式を使って解こうとすると、vを消すためにバネの力学的エネルギー保存則を用いてMv2/2 = kX2/2 が出てくるが、Xが残ってしまう。ただしこの式も後で使うので分かりやすく書き残しておく方がいい。

(b)

ここでMv2/2 = MgH とMv2/2 = kX2/2 を利用する。M, g, kは(a)の解答を利用するとうまく消せる。

(c)

小球とバネはどちらも「質量」と「衝突時の速さ」が同じで反発係数が1なので、衝突前後で速さが同じだ。したがって衝突を周期的に繰り返す。

小球が放物線運動をする時間とバネの半周期が同じなのだが、与えられた単位がkを含みgを含まないので、バネの半周期から考える。

最初に衝突までにバネの1/4周期分の時間が掛かっている事に注意。混乱しない様に図を描いても良いだろう。

もし問6に誘導が無ければ、まずは小球と板がどのように振舞うかを調べる。そしてやはりつり合いと保存則を立式する。

「アラゴーの円盤」が題材。

問2

電磁誘導の法則によれば誘導起電力はV = -N・Δφ /Δt で表される。円盤上のコイルの巻き数は1なので V = -Δφ /Δt に(1)で得た式を代入する。

誘導電流は磁束の時間微分に比例するので、平らな直線で表される。

レンツの法則により誘導電流は時計回りに流れる。電流の向きは上から見て反時計回りが正と定義されているので、 グラフでは0 < t < t0 の領域で負、t0 < t < 2t0 で正だ。

問3

導線と磁束の距離の変化に伴うローレンツ力は、円盤の接線方向に垂直なのでここでは無関係。

電磁誘導によりコイルに電流が流れ、辺LM, JKの部分で磁場により生じるローレンツ力を計算する。

「0 < t < t0」と「t0 < t < 2t0 」では電流の向きがそれぞれ時計回り・反時計回りだ。結局どちらの辺にも同じ向きのローレンツ力が加わることになる。

問5

円盤の回転が磁石と速さが同じ事と向きが同じ事を書けば満点だろう。

ここまで誘導が無ければ、電磁気の分野なので電磁誘導とローレンツ力を調べる。条件を単純化して円盤を固定したものとして円盤の振舞いを調べる。電磁誘導の法則はコイル一個に対して記述したものなので、円盤の一つのコイルの振舞いに注目する。

高校数学 筑波大学2018 (平成30)年度一般入試問題の解説

妙にtan (正接)を使う問題が多い印象。

〔1〕

(1)

点Aの座標が(tan θ, tan2 θ)と少し奇妙だが、原点を結ぶ傾きはtan θ なので、角度はθである。

三角形の内心、外心の性質を利用して解くのが王道だろう。内心は角の二等分線の交点、外心は辺の垂直二等分線の交点である。この性質を忘れたなら直角二等辺三角形で試してみればすぐに分かる。

「tan2 θ +1 = 1 /cos2 θ」などの公式を憶えていれば速い。

(2)

pとqの式は複雑なので、初めにS(a)を求めてからS(p) /S(q) に代入した方が良い。S(a)は偶関数なので計算を省略できる。求める値は2つ有るが、 S(p) /S(q) のグラフをイメージすると理解しやすい。

〔2〕

(1)

放物線Cと直線が重解を持っているという情報を生かして判別式を利用すると速い。

(2)

例えばf(x) とg(x)が共有点をx = α, βに持つ場合、面積を求める関数はf(x)-g(x)という風になるので、これを(x-α)(x-β)と因数分解できる。

この問題では放物線Cが直線l1とx = (p -q) /4, 直線l2がx = (q -p) /4に重解を持つので、α = (p -q) /4と置くとそれぞれ(x -α)2 , (x +α)2 となり積分が簡単になる。

(3)

p +1/p の最小値を求める方法は相加相乗平均や微分がある。

〔3〕

(2)

点Rは特定の点ではなく線分QnPn+1上のどこでも位置し得るので、この点が動く様子を想像してみるとよい。直線OA側に寄るとxは増加しyは減少する。直線OB側に寄るとその逆になる。

これは分点公式により、mOPn+1 +nOQn = OR とした時にm +n = 1 が成り立つのだ。この性質を利用するために「xa +yb = OR」を「mOPn+1 +nOQn = OR」の形に変換しているのが(1)。これによりx = -2y +4n となる。

Sの点の個数とは、整数倍のa, b が作る格子が線分QnPn+1上に何個あるかという事だ。これは先ほど求めたx = -2y +4n のx, y が共に整数となる組み合わせに該当する。yが整数ならxも整数なので、yの個数を数え上げれば良い。グラフィカルには想像しにくいので、数式に落とし込むわけだ。

(3)

⊿OPn+1Qn が正三角形なら数えやすいが、辺Pn+1Qn が奇妙な角度になっているので厄介だ。これが頂点Oの角度が直角なら、OPn+1 から平行移動しながらスキャニング出来るので数えやすい。そこで直交座標系に変換した上で数列の和で数え上げていく。

〔4〕

C2の回転体からC1の回転体を刳り抜く。1 /sin2 x の積分は置換積分で求まるが、-1 /tan x となる事を知っていると速い。ちなみに1 /cos2 x の積分はtan xである。

〔5〕

(1)

分母の+π2 が邪魔なので、”□ +1″という形に持ち込み変形させたい。そこで「tan2 θ +1 = 1 /cos2 θ」が使う。

証明は、f(π)が解答できなくても答えれる。

(2)

数列に関して証明と言えば数学的帰納法である。(1)でf(π) = πという答えが出せていないと証明できない。

(3)

平均値の定理を使う問題だが、二段階の変形を経ないとこの定理の形にならない。左辺の”an +1 -π” を”f(an) -f(π)” と置き換えれる事に気づくのが大事で、こう置き換えた後は両辺を” an -π “で割れば平均値の定理の形になる。

平均値の定理を使う問題だと見破る方法は次の通り。

  • 不等式である
  • 両辺にそれぞれ、よく似た引き算の形が含まれている。しかも片方に係数がある。

解法の流れは、(f(an) -f(π)) /(an -π) = f'(α)とし、0 < f'(α) ≦ 2 /π となる事を利用して(f(an) -f(π)) /(an -π) ≦ 2 /π を導く。

極限値を求めるには、先に証明した不等式を「挟み撃ちの原理」として利用する。

ちなみに、 0 < f'(α) でないと、不等式の両辺の絶対値を付けられない。 この問題では絶対値がなくても「0 ≦ an -π」が成り立つが、この東大入試問題では絶対値がないと挟み撃ちの原理を使えないので、一般的には絶対値が必要と知っておくべきだ。

〔6〕

(2)

「集合Sを図示せよ」という問題であり、集合Sとはαの軌跡の事だから、αの式を求めればよい。

∠OAB = π /2 なので、arg (1 -α) = ±i となり、α -1 = ki と置ける。(※「ki」を「±ki」とする必要が無いのは、kが正と負の値をとれるから。 )

(3)

α2 = 1 -b2 +2bi となるが、図示する場所は複素数平面ではなくxy平面なので、この複素数のbを媒介変数に見立ててx, yで置き換えるのが分かる。

高校理科(化学) 筑波大学2017 (平成29)年度一般入試問題の解説

各操作段階での温度、圧力、体積が目まぐるしく変わるので注意。各段階でメモするのも良いだろう。

問2

銅は遷移元素なので複数の酸化数を持つ。ちなみに鉄もFe2+とFe3+の二種類がある事で有名。

CuOは黒色。 Cu2Oは赤いが、フェーリング液が還元されて生じる赤色沈殿もこれだ。

問3

標準状態の気圧は1.01 ×105Paだ。日常では1013″ヘクトパスカル”という単位が使われるが、ヘクトが100倍を表している。

問5

操作2ではCu→CuOへの反応が完全には進んでいない。明確な記述は無いので注意。

したがって、反応分と未反応分をそれぞれ計算する必要がある。

問6

与えられた溶解度の情報に当てはめるだけではなく、圧力や温度の変化を考慮する必要がある。

コックを開くと体積が3倍になるのでそれぞれの気体の分圧は1/3になる。また温度も当初の0℃から20℃に変わっているのでボイル・シャルル則を利用する。

問7

(i)

酸化還元反応なので、半反応式から作っていく。半反応式を考えないと「3Cu +2HNO3 → 2NO +H2O +3CuO」などの式が出来てしまうが、イオン結合と水の生成が優先されるのであり得ない。

希硝酸は酸化剤として作用した後NOを生じる。ちなみに濃硝酸はNO2 だ。

気体は一般的に無色だが、F2は淡黄色、Cl2は黄緑色 、NO2は赤褐色、O3は淡青色。

(iii)

イオン化傾向がH2 より大きい金属は、HClとの反応において、H+ に電子を与えて気体H2 を発生させC とイオン結合する。 H2 より小さい金属はこの反応が起きないが、硝酸はH2 より酸化力が強いので反応する。

問3

(ii)より高温・低圧である場合に理想気体に近づく。

(iii)実在気体と理想気体を対比した記述が好ましい。理想気体より体積が小さい原因は分子間力、大きい原因はその分子の体積である。

問4

(i) 過冷却とは活性化エネルギーの一種である。液体が凝固するという事は即ち結晶を作るという事なのだが、結晶を作るには「核」の存在が必要となる。この核は単に凝固点まで温度を下げても中々作られないので過冷却が起きる。ある程度まで冷却されると核が生成し、過冷却されていた分の溶媒の凝固が一気に進むのだ。その後は徐々に凝固していく。

(ii) 溶質の凝固が進むにつれて、溶液の濃度は上がっていく。これは凝固点が次第に降下していく事を意味する。

(iii) この凝固点降下は、過冷却とその分一気に進んだ凝固が起きていた間にも進んでいる。

(iv)500g、0.04mol(電離している為)という数値でモル凝固点降下の式に代入すると凝固点は”-0.15℃”となるので-0.4℃では全ての水が凝固していそうだが、凝固が進むにつれて質量モル濃度が高まり凝固点降下が起き、実際は水は残っている。図3で言えば -0.4℃はTd~Te の間にある温度だ。この問題を解くには温度低下する水をイメージするとよい。温度が0℃の時は凝固点と一致していないが-0.15℃の時に一致して、それ以降常に一致している。つまり-0.4℃の時に生じた氷の質量をx(g)とおくと、500-x(g)の水の凝固点が -0.4℃である。

問5

(ii)(iii)気体定数の値は表紙に書かれている。飽和蒸気圧に注意して状態方程式を解くだけ。

問題文を通して読んでみても情報が多すぎて纏めるのが難しいので、小問を素直に逐次解いていくのが良さそうだ。

2)は、「アニリン+亜硝酸ナトリウム+塩酸⇒塩化ベンゼンジアゾニウム(染料の材料)」の製法に似ている。また塩化ベンゼンジアゾニウムは5℃以上でフェノールに分解する。化合物Aはアミノ基、Dはヒドロキシ基を持っているようだ。

系統分析の文章は構造決定には役立たない。

問1

  • 単体のナトリウムはヒドロキシ基と反応して水素を発生する。
  • 硫酸銅(Ⅱ)無水物は白色だが、水和物になると青くなる。
  • 塩化鉄(Ⅲ)水溶液はフェノール類と反応し、フェノールで紫色、o-クレゾールで青色、サリチル酸で赤紫色になる。
  • フェーリング液にアルデヒドを加えて穏やかに加熱すると酸化銅(Ⅰ)の赤色沈殿を生じる。
  • ニンヒドリン水溶液にアミノ酸を加えて加熱すると紫色になる。指紋検出などに利用されている。
  • ハロゲンを銅線に付着させて炎にかざすと、ハロゲン化銅として気化し青緑色の炎色反応を示す(バイルシュタイン試験)。

問4

分子量150以下で且つ(5)で300mgと書かれているので、分子量は150に違いないと察せる。なのでHの数は252 /2 /9 = 14。Cは880 /2 *3 /11 /12 = 10だ。

不斉炭素原子があるので構造確定。

問5

アミノ基と別の置換基は、化合物Dと同じなので構造確定。

問6

(3)によると、置換基を除くベンゼン環と塩素を合わせた分子量は111.5だ。

また、Brを反応させて分子量が159.8増加したという事は、Brが丁度2個分なので2Brの付加反応である。ベンゼン環を暗所で付加反応させることは出来ないので炭素の二重結合を持つ。

問8からも二重結合があると読み取れる。

分子量150以下なので構造確定。

問7

化合物C, D はNaOHと反応して水層2でそれぞれ置換基がCOONa, ONaの塩となっている。

二酸化炭素を吹き込む事で炭酸となるので、弱酸遊離反応を起こす。酸の強さは「スルホン酸>カルボン酸>炭酸>フェノール」なので化合物CDのONa がOHになりエーテル層へ溶ける。

構造決定の問題では酸の強さはよく出るようだ。

問9

付加重合では、材料となる分子は二重結合を持つ。

  1. 付加重合
  2. アミド結合。材料の名前からも分かる。
  3. 付加重合
  4. 付加重合
  5. 開環重合
  6. 脱水縮合。エチレングリコールはアルコールなので分かる。
  7. アミド結合。材料の名前からも分かる。

高校理科(物理) 筑波大学2017 (平成29)年度一般入試問題の解説

問1

物体の運動エネルギーと位置エネルギーは、同じ高さであればそれぞれ落下時も上昇時も同じである。

垂直方向の速度u, 水平方向の速度w は三角関数を用いる。

問2

利用する式としては、力学的エネルギー保存則のほかに、2ax = v2 +v02 もある。

問3

飛び出してから最高点に達するまでの距離がwt, そこから向きを変えて地上に到達するまでが1/2・gt2 なので、これらの差がR/2である。

問4

跳ね返り係数は、跳ね返った物体の速度に比例する値である。距離は速度×時間なので跳ね返り係数に比例する。したがって、放物線BDを延長して地面と交わるDではないもう一方の地点をPとすると、ePD = DE である。この解き方が最も速いだろう。

一般的な解き方は、跳ね返った直後の速さから再び着地するまでに掛かる時間を算出して水平方向の速度を掛ける。

問5

跳ね返り後の速度がeに比例し、速度は移動距離に比例するという旨の記述があるのが大事。

問6

問5で親切に「水平方向に移動する距離は衝突するごとにe倍となる」と教えてくれている。

無限等比級数を用いるが難しくはない。完全弾性体(e = 1)の場合は無限大に発散すると分かる。

もし誘導が無かったら

やはり、物体が跳ね返りを繰り返すとどう振る舞うかを検証する必要がある。跳ね返り係数は地面に垂直な方向に作用し、速度に比例するという事を理解していれば、振る舞いを想像するのは難しくない。

何はともあれ、点Dでの垂直方向と水平方向の速度求める必要がある。その為には飛び出した直後の速度を求めることになる。

問3

両極板はクーロン力により引力が発生している。この極板同士を離すと、外力が加えられ、その分の静電エネルギーUが増す。V = Ed により電位差が増し、静電エネルギーが U = 1/2・QV で表される事からも分かる。

ちなみに、スイッチを閉じた状態で極板を離すと電池に戻っていく電荷がある為に電気量は減る。開いた状態だと戻れないので変わらないのだ。

※極板同士を離すとクーロン力が弱まるので、現実には電位差は減少する。しかし極板間の距離は十分に小さいので一般的な試験問題では「一様な電場」と仮定している。

※問題文中の「引力Fに逆らって」という表現は、「極板同士を離す」という意味だけではない。極板の引力に抵抗する力を加えたときに加速度0で接近する場合も含まれるからだ。

問4

電磁気学と熱力学を組み合わせた問題。

カギは「極板間の気圧(5p0/4) = 極板の引力(Q2/2ε0S) +極板を押す大気圧(p0S)」という力の釣り合いだ。よくある真空条件ではないので、力の釣り合いには大気圧も関わっているという点に注意。

親切にも問3問題文で引力の大きさが示されているので前問が解けなくてもこれは解ける。方針が分からない場合は前の問題を参考にすると良い。

力の釣り合いの等式のうち、Qは使える記号として挙げられていないので、Q = CV に変換する。静電容量Cは極板間距離が小さくなったため、大きくなっている。

問5

コンデンサ内の空気が圧縮されて力が均衡していたのが、新たな均衡を作ったので、問4の力の釣り合いの式を利用する。これまでに算出した式を代入して未知数を消していく。

ところで「空気を含むコンデンサー全体の温度を上げた」という表現は、「外気も温めた」とも解釈できるので不適切だ。

もし誘導が無かったら

丁寧な誘導があるので解きやすいが、無ければ難問だ。東工大でも以前に出題された様だ。

条件を変わっている点に注目してみる。極板間隔が変化しているので「C = εS /d」を使うと分かる。 電池に繋がった状態で極板間隔が変わると静電容量、電気量、引力も変わるので立式しよう。温度変化によって気圧そして極板間距離に影響を及ぼすのでボイル・シャルル則も使う。

次は釣り合っている点に注目してみる。問4の様に圧力と引力の釣り合いの式が必要と分かる。引力(F = Q2/2ε0S) を立式するには問3の論証を導く必要があるが基礎的知識なので知っておくべきだ。

高校数学 筑波大学2017 (平成29)年度一般入試問題の解説

〔2〕

(2)

求めるのはh(x)だが、与えられた条件は「f(-1) ≦ g(x) ≦ f(1)」という h(x) を含まない形なので、まずは h(x) を含む形に変換する。

h(-1), h(-β),h(β),h(1)から未知数p, q, rを含む連立不等式が建てられる。等号付き不等号の連立不等式から値を特定するには、「0≦a≦0」のように同じ値で挟む形に持ちこむ。

初めの操作はやはり、出来るだけ多くの未知数をキャンセル出来るような四則演算をする事がベストだろう。そして得られた数値をそれぞれの不等式に代入する。

〔3〕

(1)

与えられたan+2の式が一見複雑に見えるが、右辺のan+1を移行すると、bn+1 = 3bn2 というシンプルな式になる。複雑な式には何か意図が隠されていると見るべきだろう。anやan+1をxやyに置き換えると発見しやすくなる。

(3)

状況把握の為に、anやbnの関係性を纏めておくと良い。

一の位を求めるということは、和や積を計算する際に、それ以上の位の数値がどうなっているかを気にする必要がないという事だ。この性質を利用して、 bn の各項の一の位のみを足し合わせていく。

〔4〕

(1)相反方程式は、「係数が同じでxの次数の差がn」という関係の項の組がある場合に置き換えが使える。

相反方程式なのでt = x +1/x とおくのが王道だが、両辺にx2を掛けて因数分解しても方程式の解は得られる。ただし(2)では「4x2 -9x +4 = 0」の解が根号を含むので極値を求めるとなると計算が大変。結局はα +1/α の形を利用するとエレガントに解ける。

(3)極値が求められなくても、x = 1/2, 2の傾き、更にはx = 1の二階微分でも形は判断できる。

〔5〕

ガウス記号、区分求積法、はさみうちの原理を使う難問。

(1)

sin関数は負の値も取り得るので、「sin(πn/2N) ≧ 0」を示す記述が必要。

ガウス記号の性質として、「[x +N] = [x] +N」があり、この問題の解として[N sin(πn/2N)] +1 も [N sin(πn/2N) +1]のいずれも正しい。

(3)

0 ≦ x ≦ N なので、πx /2N を「0~π /2を動く角度」と捉える事が出来、sin (πx /2N) の取り得る範囲は「0 ≦ sin (πx /2N) ≦ 1」である。「 n/N (0 ≦ n/N ≦ 1)という形を含む関数の無限級数」 なので区分求積法を想定しよう。

区分求積法ではΣにおけるnの範囲は「0 ≦ n ≦ N -1」もしくは 「1 ≦ n ≦ N」 でなければならない。ここでは後者を選び、Σ式から”+1″を追い出している(“n = 0″ならば”Σ式 = 1″であるため)。

このままではガウス記号があるので区分求積法を使えない。そこでガウス記号の定義「n ≦ x<n+1」を利用して挟み撃ちの原理に持ち込む。これによって不等式の両端のようにガウス記号の無い形にできる。

挟み撃ちの原理で極限を施した後は不等式の両端が同じ式になっている必要があるので、事前にΣの中から”+1″を追い出して”+N”にしておく。この”N”の項は、A(N)で割って極限を施すと0になる。

これによって漸くガウス記号の無い形に持ち込めた。次は区分求積法を適用するために”1/N・Σ”の形にして積分する。

解くためのポイント

答えに辿り着くまでに構想力を必要とされ、類題を解いたことが無ければここまでの誘導があっても難しい。類題を知らなくても解けるように、以下に一般的な知識をまとめた。

  • 「 n/N (0 ≦ n/N ≦ 1)という形を含む関数の無限級数」から区分求積法を連想する。
  • ガウス記号を扱う問題は「n ≦ x < n+1」 の性質を利用する事がしばしばある。挟み撃ちの原理とも、ガウス記号の無い形に変形できるので相性がいい。
  • 極限(特にsin やcosの極限)を扱う問題なら挟み撃ちの原理が解法として有力。

区分求積法の変換について

パスナビの解答例では、区分求積法の計算をするところで、π/2を掛けて、”sin x”をx ( 0 ≦ x ≦ 2π)で積分している。この意味を説明する。

「y = sin (π/2・x)」の場合、元々は0 ≦ x ≦ 1 の範囲を持つxを仮想的にπ/2倍する事でyを算出して、 N分割されたxとyを長方形の底辺×高さとして積を求めてN個を合計している。

これに対して「y = sin x」の場合、0 ≦ x ≦ π/2 の範囲で直接にyを算出するので、xの底辺が先ほどのものよりπ/2倍大きいのだ。 これに応じて面積も π/2倍になる。区分求積法の式で π/2を掛けているのは y = sin x を積分する為なのだ。その代わり、別のところで2/π倍して補正している。

これは置換積分と本質的に同じ操作である。その証拠にt = π/2・x とおいて置換積分すると同じ式が出てくる。ただし区分求積法の置換は一次関数しか対象にできないので原始的な手法といえる。

〔6〕

与えられたたった二つの式を最大限に解釈して解いていくまるでパズルのような問題。難しい点は無いが、解く過程の長い問題だ。

やはり図を描いてそれを確認しながら解くのが良い。初めから概略図を描いておき、解くに連れて修正していこう。

(1)

∠P5P1P2 は極座標表示で (w2 -w1) /(w5 -w1) と表せるので、(Ⅰ)の式を変形すればいい。すると±(tan a)i という実部のない複素数であると分かるので、答えはπ/2である。

同時に、P2P5 は長さ2の円の直径であると分かる。円と π/2 の組み合わせには敏感になるべきだろう。

(2)

(tan a)i をr(cos θ +i sin θ)と比較すると、θ = π/2 なので、r = tan a である。∠P5P1P2 = π/2 且つ P2P1 /P5P1 = tan a だから、 ∠P1P5P2 = a と分かる。

P1P2 = 2 sin a, P1P5 = 2 cos a なので、⊿P1P2P5 = 2(cos a)(sin a)と分かった。

残りの部分の面積も求めよう。

(Ⅱ)で与えられた式の解は、z = (√3 ±i) /2 = cos (π /6) ±i sin (π /6) だ。複素数が方程式の解として現れる。

cos (π /6) -i sin (π /6) = cos (11π /6) +i sin (11π /6) だが、11π /6 という角度はあり得ないので、これが -w4 /w2 である。w4 /w2 = -w4 /w2 * i2 なので ∠P2OP4 = 11π /6 -π = 5π /6 だ。

P1 ~P5 は反時計回りに並んでおり、OP2, OP3, OP4 の長さは1なので、∠P2OP3 = π /6 、∠P3OP4 = 2π /3 、∠P4OP5 = π /6 と分かった。

  • ⊿P1P2P5 = 2(cos a)(sin a) = sin 2a
  • ⊿P2OP3 = 1/4
  • ⊿P3OP4 = 1/2 * 1 * 1 * sin (2π /3) = √3 /4
  • ⊿P4OP5 = 1/2 * 1 * 1 * sin (π /6) = 1/4

(3)

これも、ここまで得られた情報を整理して図を描いておくと良い。

誘導が無くても、 (Ⅰ)の式から∠P5P1P2 を求めるという発想は出てき易い。 (Ⅱ)の式の解を極座標として解釈するのも大事な点。