事例Ⅲ
第1問と第2問は課題とその対策を問う問題だが、ユーキャンの答案は、「課題」ではなく「問題点」を答える致命的ミスをしている。
第1問
課題と対策の切り分けができていない受験者が多かった。
- 既存製品の受注減で生じた余剰資源の活用(第4段落)
- 余剰資源をCNC木工加工機に活用する為OJTで多能工化
- 製造部の班の間の連携強化(第6段落)
- 生産管理担当を決め、統一的な生産計画で生産プロセスを最適化
- 班の間の人的交流で暗黙知を含む技術情報の共有
- 外部企業との連携(第6段落)
- ITを用いた情報共有し適切な生産管理
第2問
第2問は、第1問に「余力を生み出す」という条件を付加したものになっているので、「第2問の回答は第1問に書いても正解になるがその逆は成り立たない」という関係がある。そこで、CNC木工加工機の生産の為の対応策を列挙し、第2問に書ける項目は第2問に解答し、その残りを第1問に書くのが合理的だ。
- 機械の技術情報を広く製造部全体で共有し活用
- 技術情報を標準化・マニュアル化しDB管理、OJTによる多能工化でそれらを活用
- 受注量変動への適切な対応
- 生産計画をソフトウェアで立案、計画更新頻度を高める
- 小ロット化による効率化を検討
第3問
ウェブサイトの活用に焦点が当たっているので、ウェブサイトだからこそできる様な策を提案するのが理想。
回答欄が160字と非常に大きいが、第12段落の記述を利用できるので意外と埋めやすい。活用方法の方が社内対応策より遥かに書きやすいが、社内対応策も全体の1/3程度は記述しておいた方が良いだろう。
問題文に瑕疵があり、「潜在顧客を受注に~」という部分は「その潜在顧客を受注に~」とするのが文法として正しい。
- 活用方法: 潜在顧客の製品への理解度向上
- 操作やメンテナンスの動画解説
- 問い合わせフォーム設置
- プログラム作成方法、使用可能な材質等を公開
- 社内対応策
- 問い合わせに対するマニュアルの準備と提案型営業、CNC木工加工機を使って生産したい物のサンプルの提供
第4問
KEC等は設備投資や人員の増加を回避する方法として外注化を挙げているが、問題文の記述は「支出を増やしたくない」という意図だと思われるので、的外れだろう。
- 潜在顧客に当該製品による生産物の3Dモデルを提示し情報共有効率化し受注増(第2段落)
- 受注量や受注単価が低下している既存顧客にも当該製品の購入を提案し収益改善(第4段落)
- 割賦販売で顧客の負担減により受注増(第9段落)
- 修理や改良等アフターケアを充実させ差別化し愛顧拡大(第12段落)
事例Ⅳ
第1問
設問1
- 効率性
- 同業他社に対する優位性としては、売上債権回転率は棚卸資産回転率に劣っている。しかし、与件文から棚卸資産回転率を選ぶ理由が見当たらない。一方、第2段落の「海外でも一定の評価を得ている」という記述から、取引先が多様で債権回収が効率的であることが推測される。
- 収益性
- 「得意先との交渉による適正価格の設定(第3段落)」より、売上や原価に課題があると分かる。
- 安全性
- 負債が大きいのが注目点。自己資本比率と負債比率で迷うところだが、設問2で「借入額が大きい」としか説明できないのなら自己資本比率を選ぶ方が明確だ。
連結会計では純資産の部に非支配株主持分が計上されているので、これを財務指標を算出する際に控除する必要がある。
設問2
得意先との価格交渉が不足し収益性は低い。借入依存で安全性は低い。債権回収は効率的(40字)
第2問
設問1
製造費は売上原価に含まれる。販管費に含まれるのは人件費、広告宣伝費、減価償却費等だ。
第3問
設問1
旧機械設備の購入額や償却期間の情報がなくても年間の償却額を算出できる。
第X1年度末の非現金支出項目には設備処分支出10、除却損50、減価償却費40が含まれる。問題文に「旧機械設備の除却損の税金への影響は第X1年度末に生じる」とかかれているので設備処分支出を無視して良いと勘違いしやすいが、会計年度の費用は全てCFの計算に考慮する必要がある。投資額200がCFの計算に含まれないのは、減価償却費が投資額の代役を担っているためである。
KECは金額の符号に関して誤解している。「税引前利益の差額-税金支出の差額=税引後利益の差額」が正しい。
設問2
入力 | 画面表示 |
210, -, 76, -, 58, -, 58, ÷, 58, +, 3, = | 3.31… |
電卓で効率的に計算する上では、金額と現価係数の積では「現価係数✕金額」の順にし、NPVは遡りながら足し合わせていく方が効率的なようだ。
入力 | 画面表示 |
.713, +, .7629, +, .8163, +, .8734, ×, 58, M+ | 183.6048 |
.9346, ×, 76, M+ | 71.0296 |
210, M-, MRC | 44.6344 |
設問1を解かなくても、数値以外は回答できる。
第4問
設問1
「損益状況」という表現が曖昧だが、「親会社単体は黒字か赤字か判断せよ」という意味だったようだ。単体では赤字である。この回答以外に「工場閉鎖により特別損失を計上した結果、当期純利益が大幅減少」などの回答も部分点が得られるだろう。
設問2
D-b社の巨額の負債がD社の安全性に影響する。
設問3
D社に限らない一般論を述べる形式となっているが、設問1, 2を誘導問題と捉え、D社への助言という観点を意識した方が高得点になるだろう。
- 子会社の経営成績が親会社に影響しやすい
口述試験
出典: AAS