高校化学 東京工業大学2015 (平成27)年度 前期入試問題の解説

分析

解説

第I問

〔1〕

  • 3.SiO2は水とは反応しないが、塩基と反応してケイ酸塩を生じるので酸性酸化物である
  • 5.SiO2 +6HF(aq) → H2SiF6 +2H2O

〔2〕

  • ア.アルカリ金属とアルカリ土類金属以外はOHと結合して沈殿する。
  • ウ.AgOHは不安定なのでAg2Oの褐色沈澱に変化する。
  • エオ.錯イオンになる金属は、OH配位子が両性金属、 NH3がAg, Cu, Zn である。
  • カ. Fe(OH)2は淡緑色、Fe(OH)3は赤褐色。

〔3〕

体積の値は与えられているので「原子1個の質量 × 格子内の粒子数」が分かればいい。原子1個の質量は「原子量 /NA」で求められるので、原子1個の体積を計算する必要はない。

意外にもCuの原子半径が最も小さい。

〔5〕

5番はデータを見ると明らかに最も沈殿しにくいと判断できるので、計算するまでもなく正解の一つと分かる。

そうなれば、あと一つ沈殿しないものを見つければ残りの水溶液について計算する必要はないので、5番の次に沈殿しにくそうなものをデータから探し出す。すると3番と4番だけを調べればよいと分かる。

第II問

〔6〕

  • 1.イオン化エネルギーはアルカリ金属において最も小さくなるが、負にはならない。
  • 3.いずれも電子配置は同じだが、陽子との引力が最も弱いのはO2- である。
  • 4.半径が大きいほど電子と陽子の引力は弱くなる。

〔7〕

  • 3. Fe(OH)3 は親水基を持たないので疎水コロイドである。構造上は分散コロイド。
  • 6.ブラウン運動は分散質が熱運動する分散媒から押されて動く現象。

〔9〕

温度が一定ならば平衡定数は不変であるという性質を利用して、状態I, IIを等式で結ぶ。 等式を作ったら、[X2] = [Y2] なので両辺の平方根を得る事が有効になる。

実験2でXYを追加したことでX2, Y2とXYの濃度は変化したが、この濃度は パスナビの様に [X2] = [Y2] = n -A /2 +α /2, [XY] = A +B -αと差の形で表せる一方、 [X2] = [Y2] = n -A /2 +(1 -t)B /2, [XY] = A +tB と割合で表しても解ける。

〔10〕

(ii)

水を追加したことで塩の溶解度が増え、溶液は更に吸熱された。難しいのは、この吸熱によって溶解度が下がっている事だ。溶解度を25℃の場合として設定できないので、ここではtと置く。

水の量が100gから200gへと条件が変わっているので、40℃だったときからの吸熱量を求める事は難しい。よって25℃のときからの変化を立式していく。

難問だが、問iは30,問2は20と切りの良い数値が答えなので、解けなくても切りの良い値を適当に書いておくのは有効かも。

第III問

〔11〕

  • 1.CaOは塩基性酸化物なので、Ca(OH)2に変化する点に注意。
  • 4.130~140℃で分子間脱水によりジエチルエーテル、160~170℃で分子内脱水によりエチレンが生成する。
  • 6.酢酸ビニル(E)を加水分解するとビニルアルコールと酢酸(G)が出来るが、ビニルアルコールはケトエノール互変異性によりアセトアルデヒドに変わる。アセトアルデヒドはヨードホルム反応陽性なので、ヨードホルムCHI3とギ酸ナトリウムが生じる。

〔12〕

  • 1.スルホン酸とカルボン酸は炭酸より強い酸である。
  • 4.アルデヒド基を持つものはない。

〔13〕

1.断りが無ければ幾何異性体と光学異性体も全て数え上げる必要がある。

〔14〕

化合物Aは3-ヒドロキシプロピオン酸または乳酸である。

環状化合物の混合物と鎖状化合物の混合物はそれぞれ、各分子の重合度が不明だが、こういう問題は平均分子量で処理していく。環状・鎖状化合物の平均重合度と物質量について、x, y, m, nのように未知数を四つも設定する必要があるので気が引けるのが難しいところだろう。

この問題も難問だが切りの良い値が答えになっている。

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