「理科」カテゴリーアーカイブ

高校物理 東京工業大学2003 (平成15)年度 前期入試問題の解説

昨年度より大幅に易化。

解答

[1]

二体問題とバネを扱った力学問題。

(d, e)バネ定数kのバネを1/a倍の長さになるように切断すると、バネ定数はakになる。これにより、本問では「二体の重心からバネ定数2kのバネが二個くっついている」と見做すことができる。この考えを導入することで、(e)では運動方程式を建てる必要がないので素早く計算できる。

[2]

B0をBと書いてしまわないように注意!

(a)

わざわざ”⊿”を導入しているが、微分すれば良いだけ。数学IIレベルの微分だからこのような誘導は不要だと思う。

磁束と電流の向きが、右ねじの法則における指の向きと一致しているので、素直に電磁誘導の公式に当てはめれば起電力が算出できる。

(c, d)

消費電力とは単位時間当たりのエネルギーである。

コイルの速度は一定だから、コイルに加えた力は全てジュール熱に変化している。このエネルギー保存則を時間微分すればFv = P が得られる。

F = RI2/v より、力は電流の二乗に比例する。

[3]

東工大化学のような解答方法だ。

(f, g)

(f)状態0→1は断熱変化。状態1→2 ではピストンの力の釣り合いが成立している。

(g)は気体が外部にした仕事を求める問題で、(f)が誘導なのは明らか。曲線部分の面積を求めさせる問題が出ることは有り得ないので(f)における状態1→2の線は直線であると推測できる。

高校理科 東京大学2003 (平成15)年度 物理・化学 前期入試問題の解説

物理

解説

第1問

二体問題。昨年度は難問だったが、大幅に易化してセンター試験レベルになった。全て基本的なので全問正解が求められる。

[I]

(1)完全弾性衝突なので、反発係数の公式を使わず相対運動を考えればよい。

第2問

難易度が高い訳ではないが、電流の向きがややこしく、符号で間違えやすい。理解度より注意力が明暗を分ける要因になっており、制限時間の厳しい東大入試でこのような問題を出すのは良くない。

[II]

文字通り「捻りを加えた」、東大らしい問題。この捻りを解消した回路図を描けば良いだけ。

[III]

問題文が不明瞭。

第3問

[I]

(1)定常波は逆向きに流れる波があれば発生するので、固定端でも自由端でも作れる。ただし、縁に生じるのは固定端では節、自由端では腹となる。

(2)直接波については簡単に答えを出せる。反射波については(4)がヒントになっている。中問全体を先読みするのは入試物理の技だ。

(5)これも(4)がヒントになっている。

[III]

(1)円形波がSから生じてから点Qまで到達するのにかかったを時間をTとすると、点Qにある円形波の中心は(VT, h)にある。反射波の中心は(VT, -h)だ。長さSQ = cTである。

(2)水面波は自由端反射するから、縁のどこで反射しても反射点は腹になっている。そこから(0. d’)までの距離は波長の1/4 になっている。

化学

第1問

[I]

ア.「反応速度式は化学反応式から求めることはできない」というのは高校化学の常識だから、いきなり奇妙な問題だ。答えは、次の(イ)でv1 = v2 であることから推測できる。

第2問

[I]

.塩の加水分解だと気づけなくても、シュウ酸イオン濃度がY/2にほぼ等しいこと、シュウ酸水素イオン濃度が水酸化物イオン濃度にほぼ等しいということが読み取れれば良い。

[II]

オ.SO2を水に溶かすとH2SO4ではなくH2SO3になる。これは CO2を水に溶かすとH2CO3 になるのと同じ。

キ.HFを除いてハロゲン化水素は強酸。よって硫酸とともに完全電離している。これらの水素イオンの数≒水溶液中の水素イオン。

第3問

全体的に易しい。

[I]

イ.ベンゼン環の二重結合は非局所化していて1.5重結合と呼ばれる。一方でフラーレンは二重結合であり、正六角形ではなくなる。置換反応が起きないことは流石に予想できない。

高校化学 東京工業大学2001 (平成13)年度 前期入試問題の解説

[2]

4.室温は空気の臨界温度より高いので、圧縮しても液体にならない。

[6]

6.有機化合物は、実は炭素を含む化合物の大部分を指し、意外に範囲が広い。

[8]

天然高分子化合物の細かい知識が問われる難問。トリプシンとリパーゼはいずれも膵液に含まれているが、リパーゼは油脂を分解する。

[14]

東工大としては珍しい定性的な内容だ。残念ながら問題文が意味不明な不適切問題だ。

  • 1.十分に(NH4)2CO3を加えると溶液中の全てのCa2+, Ba2+が沈殿するはずだが、そうはなっていない。これは溶解度積により多量の(NH4)2CO3を加えても僅かにイオンが残るからだと解釈できる。
  • 2.十分にCO2を通じると溶液中のCa2+, Ba2+が共に沈殿するはずだが、なぜかBaCO3だけが沈殿したことになっている。Ba2+の方がCa2+より分子間力が大きいので先に沈殿することから、この場合の「十分」とは「BaCO3のみを沈殿させる為に十分」という意味と推測できる。また、「沈殿を濾過」という文言があるが、沈殿は固体なので濾過できないので不適切。

問I, II.溶液中に元々含まれていたCa2+, Ba2+ は実験操作によってそれぞれ固体C, Eの中に分けられた事になる。それぞれの固体に含まれるCa2+, Ba2+ の量が元の溶液中の量を上回る事はないので、実際の濃度より高い値を得たという事は、より分子量の大きい別の化合物が含まれているということだ。

[15]

浸透圧はπ = nRTで表されるが、2つの溶液におけるR, T, 体積, そして溶質の分子量は等しいので、質量比を調べればよいだけだ。

高校物理 東京工業大学2005 (平成17)年度 前期入試問題の解説

全体的に易しいので8割程度が合格ラインだろう。

解答

[1]

とても易しいので満点を取るべき大問。

(d)小球の円運動は最高点に達したときに運動エネルギーが最小になるので、このときに円運動をするのに必要な速度を持っていることが必要条件。速度が足りず「重量 > 向心力」となると紐が緩む。

[2]

(c)並列回路が正解。並列にすることで、電流計にとって過剰な電流を抵抗の方に流す。並列なので電流計と抵抗の電圧は等しくなる。

(f)スイッチがONの場合とOFFの場合で、同じ電流を流したときのRの大きさを比べる。注意すべきなのは「電流」とは電源に流れるものではなく電流計に流れるものを比べること。問題文は目盛りに関する説明が曖昧なので不適切。

[3]

2004年度に続いて原子分野が出題されたが、基本的な問題だ。

この問題から15年間は原子分野の出題はない。

高校理科 東京大学2002 (平成14)年度 物理・化学 前期入試問題の解説

物理

第1, 2問は難問だ。

解説

第1問

[I]

パイプの重心をGとする。

まず、支点a, bの両方に力を加えているのにbだけが動き出した理由を把握する必要がある。これは、A点, B点での最大静止摩擦力がA > Bとなっている為で、重心がA側に偏っていることを示す。

(1) 初めに支点bが動き出し、重心が近づくにつれて支点bの動摩擦力が大きくなり遂に支点aの最大静止摩擦力に等しくなる。

(2)パイプ中に小球が2個入っているという設定に惑わされ易いが、小球それぞれの位置や質量は無視して重心の位置のみに単純化してよい。

支点bがC点に到達すると、代わりに支点aが動き出すが、この時に支点bの摩擦係数が μ’→μ となり、逆に支点aは μ→μ’ となる。支点bが動いていた時と立場が逆転するのだ。この状況把握が難しい。

(3) (1)~(2)が誘導となっている。実は、(1)の結果をμ’/μ = Na/Nb と比の形にしてみると、AG : CG = μ : μ’と分かる。同様に CG : DG = μ : μ’も成り立っており、簡単に答えを得られる。理科の問題は比を見出すのが一つのポイントだ。

[II]

第2問

相互誘導の問題。微分方程式を利用する。

[I]

(2)式(イ)を区間[0, T]で積分する。時刻t = TではV1 = 0 だがΦ = 0というわけではない。

(4b)V1 = 0 からコイルに流れる電流は一定だと分かる。よってΦ も一定だ。

[II]

(1)スイッチSのOn/Off に関わらずV1 は図2-2のように保たれているので、式アを使わず式イだけで求められる。

第3問

各状態において状態方程式を適用する作業ばかりの基本的な問題。

化学

解説(第3問)

第1問

[II]

エ.(2)式ではCOとメタノールのモル比が等しい。問ウでCOが0.33 mol 生成すると分かったので、1 + 0.33 = 1.33 molである。

[III]

温度としてTを用いるよう指示されているが、気体の溶解度は温度に依るので、この指示は不適切だ。

オ.解は一通りではなく、V = 0.4(1 -PCO2)RT, V = 0.4PH2RT でも良い。

第2問

[I]

問題文が曖昧なので手を付けにくい。 更に、第3, 4文に言及されている数値は利用しないので何故載せているのか不明。

海水にはカルシウムなどの1~2族元素がミネラルとして多く含まれている。また、空気中の二酸化炭素が溶解して HCO3 となっている。問題文の「海水において過飽和になっていた炭酸カルシウム」という記述は非常に紛らわしい。

  • ア.Yは溶解物、Zは液体であるという情報から、電荷の和は両辺とも0だと分かる。CO2は酸性気体 だから、Yが酸性またはZが塩基性と推測できる。
  • オ.硫酸カルシウム二水和物が石膏であるという知識があれば、計算せずに解答できる。

[II]

. H2O2が H2O に変化した事から酸化剤として働いたと分かる。また、H2O2 の係数がそれを元に係数決定できる。

キ. H2O2が酸化剤として働いた結果、Co2+ → Co3+ +e と酸化して錯体を作るが、この反応は高校範囲では見かけないので難しい。

第3問

[I]と[II]でそれぞれ扱う油脂は同一の物であり、[I]で得た結果を[II]で用いたりするのが紛らわしい。

[I]

  • イ.油脂を実際に加水分解した場合には、その分解が完全に進むことはない。問題文にある「収量」とはそのように不完全な反応によって得られた生成物の量を指している。この収量は掲載する必要のない数値。
  • .2001年度でも類題が出題されたが、極性の小さい物質が有機溶媒として適当。
  • オ.ハロゲンの付加が一般的で、臭素なら色の変化が観察できる(赤褐色→無色)。また、過マンガン酸カリウム(赤紫色)で酸化することで褐色の酸化マンガンを観察できる。

[II]

キ.fは計算に時間がかかるが、二量体を形成するのは容易に分かり、整数値で答えるので解だけ書いておくのもアリ。

高校国語 東京大学 前期入試問題(現代文・古文・漢文)の解説サイト

年度現代文古文漢文
1999佐々木哲学校
2000GV
Yasuda’s Site
佐々木哲学校
2001GV
佐々木哲学校
2002GV
佐々木哲学校
Yasuda’s Site
2003東進
GV
佐々木哲学校
2004東進
GV
佐々木哲学校
2005東進
GV
佐々木哲学校
2006東進
GV
佐々木哲学校
2007東進
2008東進
空を飛ぶ土竜
GV
佐々木哲学校
2009お茶ゼミ
東進
空を飛ぶ土竜
GV
2010お茶ゼミ
東進
空を飛ぶ土竜
GV
佐々木哲学校
2011東進
GV
2012東進
河合塾
GV
空を飛ぶ土竜
2013東進
GV
2014東進
GV
佐々木哲学校
2015東進
GV
木山
2016東進
GV
参考文献:松本徹三『東大入試合格には「知性的」であってはいけないのか?
木山
2017東進
GV
木山
2018東進
パスナビ
GV
木山

高校理科 東京大学2001 (平成13)年度 物理・化学 前期入試問題の解説

物理

解説

第1問

[I]

問題文の「水平に近い角度」は水平な角度とは違うので注意。水平な角度ならば文字vを使う必要はない。

[II]

棒は小球に対して棒に沿った向きにのみ力を与えれる。直感的には、そんなはずは無いだろうと感じられるが物理学ではそのように考えるのだ。

[I]では小球は壁に当たった後に上昇したが、棒が邪魔をして下降している。すなわち棒は押す向きの力積を与えているのだ。

(2)エネルギー保存則と束縛条件により、小球は衝突後に速さが逆向きになる。よってベクトルを用いて解ける。

第2問

一様でない磁場という応用的な問題だが、誘導が丁寧なので易しい。

[I]

(1)どの程度記述すればよいか分からないが、回路を貫く磁束が減少する点は必要。

[II]

[I]で定義されているIやvを用いて表して良いと問題文に書いておくべきだろう。

(1)xは変数だが、導線のx座標はL/2で一定であることに注意。

[III]

(1)落下速度が一定になるということは、終端速度になった状態での重力とローレンツ力が釣り合っているということなので、これを立式すれば良い。

(2)位置エネルギーはジュール熱に変わっている。実はこのエネルギー保存則を時間微分することによっても(1)の解は得られる。

第3問

ヤングの干渉実験がテーマ。

[I]

光路差が一般にdx/R で表されるのは基本的知識。これを導出する過程を記述する必要はないだろう。

[II]

  • 電球が発する光には様々な位相のものが含まれる
  • それらの波が作る干渉縞が重なる

という2点に言及すれば完璧だ。

[III]

S0の位置が変わっても変わりない事実は、明線は光路差がmλのときに生じるということ。よってAB間の光路差も考慮した式を作れば良い。

[IV]

緑は赤より波長が短いので明線間隔は小さくなるが、m = 0では明線は固定されている。その位置が[III]で導いた式の定数項Rh/Lである。

化学

第1問

[I]

気体は「体積比 = モル比」が成り立つので物質量に換算していく。

[II]

平衡の難問。平衡定数の積”K1K2“は容易に思いつくだろう。ここから、硫酸の2段階電離に着目して、「第2電離が全く起きない」と近似することで式[HSO3] = [H+]を得る。

平衡の難問では、オーダーの違いに着目して近似することが打開策となる。

第2問

[I]

  • 非金属の酸化物は酸性酸化物なので、水を加えると酸になる。
  • 潮解は蒸気圧に関連して起きるもので、CaOが水と反応する事とは無関係。潮解性を持つ物質にP4H10, H3PO4, NaOH, KOH, MnSO4がある。
  • 市販のシリカゲルは吸湿すると青くなるが、これは実は水の試験紙としても用いられる塩化コバルトが含まれているからだ。
  • 乾燥剤は水と反応してより安定な物質となる。その過程で発熱する。
  • 炭酸ナトリウムとケイ酸ナトリウムの違いは、CO2の個体が分子結晶、SiO2の個体が共有結合結晶となることに由来する。両者の結晶の種類が異なる理由は大学レベルの話になる
  • シリカゲルにはケイ酸由来のヒドロキシ基が無数にあり、吸湿性を持つ。

[II]

オ, キ:「赤色個体C」はCu2Oと考えられるが、駿台青本では「このような条件では得られない」としてCuを正解としている。しかしCuを赤色とするのは無理があるので、どちらを答えても正解とするべきだろう。

ク: 高校化学で習う有色の錯イオンは[Cu(NH3)4]2+だけ。他の2価金属イオンと構造が違うが、配位している水分子2個を描いてないだけ。セルロースを溶かすシュヴァイツァー試薬がこの構造を持つ。

第3問

[I]

イ.酸素原子は電気陰性度が強いので極性を持つ原因となる。したがって酢酸エチルなども極性を持つ。

エ.低級脂肪酸は水にもエーテルにも溶解する。駿台青本の解答ではなぜか酢酸エチルが使われてない。結局のところ、正解は謎だ。

[II]

オ.エステルは極性が小さいので水に溶けにくいので有機溶媒を投入する。[I]がヒントになっていた!

キ.fは計算に時間がかかるが、二量体を形成するのは容易に分かり、整数値で答えるので解だけ書いておくのもアリ。

高校化学 東京工業大学2010 (平成22)年度 前期入試問題の解説

Z会の分析

時間内の全問解答は不可能というゲームバランスの崩壊した内容なので、難しくない問題を見抜く力が必要だ。

[1]

状態B, C, Dの状態変化を追跡するには注意深い考察が必要でかなり時間が掛かる。この中問だけで大問一つ分のボリュームがある。

問iii

  • (1)cでは凝縮開始後は圧力が一定となるため温度変化はない。
  • (2)温度と圧力が一定ならば密度も一定。

[2]

問ii

H2とCOの内、それぞれの燃焼した物質量が分からないのでx, yと置くことになる。 問iで得た平衡定数で新たな状態の化学平衡の式を作るが、H2 は1.8 mol と分かっているので変化量は0.6 -y mol と分かり、これを用いて全物質の変化量を記述できる。さらに燃焼熱の式と連立する。

[3]

問i

反応式を精確に書き出す必要があるが、未定係数法を用いる必要があり時間が掛かる。無駄に煩雑な作業を要求しているので悪問だ。

イオン化傾向が水素より小さい金属の酸化還元反応では水素は発生しない。

  • (ア, イ)イオン化傾向が水素より小さいCu, Agの酸化還元反応では、熱濃硫酸や硝酸で反応させる事が出来、水素は発生しない。
  • (エ)強酸のHClが遊離するので、H2SO4はHSO4までしか電離しない。

問ii

易しい。

(4) SO2を水に溶かすと亜硫酸、SO3を水に溶かすと硫酸となる。

問iii

反応後の物質の状態の知識は高校レベルを超えており、気液平衡についての考慮も不明なので不適切問題だ。

[4]

問i

電離平衡を利用した問題かと思ったら、そうではない。水溶液中の陽イオンは H+だけなので、陰イオンの数に等しいことに着目すると楽だ。モル濃度を乗除ではなく加減の式で表すのが新鮮に感じる。

問ii

気液平衡のように、第二電離で生じる水素イオンの濃度をxとして、バランスシートで考えられる。

問iii

知識問題が中々マニアック。

  • (3)Ni触媒は炭化水素に水素を付加するのに使われるが、炭化水素と水蒸気を反応させて水素を作ることも出来る。
  • (4)液体空気の分留(沸点の違いを利用)するのが酸素の工業的製法。
  • (5)正極活物質は、正極で酸化剤として働くもの。負極活物質は負極で還元剤として働くもの。

[5]

問i

分子式ではなく組成式なので注意。化合物の組成が質量パーセントで表されている場合は、それぞれの数値を原子量で割り、さらに元素同士で割る事で含まれる元素の比を出す。

問ii

化合物Aは問iで求めた組成式の分子量の整数倍となる。C, H, Oから成る化合物の水素の原子数は必ず偶数となる事と、化合物Fの分子量が334である事から「2倍」が正解だと見当が付く。

ベンゼン環に直接結合しているメチル基は酸化によってカルボキシ基になるが、ここではならない。EにBを作用させる反応は、無水酢酸とアルコールのように分子内脱水した部分で再びエステル化する。

[6]

問ii

化合物BとしてN, Oが二重結合を持つ化合物も考えられるが、それは問iiiでは想定されてないので解けない。よって不適切問題だ。

問iii

Ni触媒は炭化水素に水素を付加できるが、ニトロベンゼンを水素で還元してアニリンにもできる。

高校物理 東京工業大学2006 (平成18)年度 前期入試問題の解説

解答

2004, 2005年度は原子分野からの出題があった反動なのか、熱と波動からそれぞれ出題があった。力学は難しいが、全体的には易しい。

[1]

波動の易しい問題。〔B〕(e)ではdの値について〔A〕(c)で求めた値を使うが、問題文にその説明が無いので不適切だ。この小問を除いて満点を取るべき大問だ。

(e)は他にも問題点がある。計算方法やdの有効数字の取り方によって答えの数値が異なるが、(c)は誘導問題なのだから解答の値の流用が許されるという判断が常識的だし、dは有効数字2桁とすると切りの良い答えが得られるのでそれで減点は無いはずだ。

また、駿台の青本ではz = 120ではx, yより十分大きいと言えず(d)の近似が使えないと判断して煩雑な計算をしているが、(d)は誘導であるはずなので近似を使ってよいだろう。

[2]

熱の易しい問題。(a), (e)のPVグラフで矢印を描く必要はない。

(a)P1は、導出過程には力の釣り合いについて記述しよう。V2 では、状態変化の前後で物質量nが不変なのでボイルシャルル則を適用する。

(e)発想を要する問題。前問で得たP4を活用する方針を立てよう。直線の傾きは状態4→5においてΔP/ΔVで表せるので、これらの文字を用いて立式する。

[3]

(b)

序盤にしては中々手ごわい。答えの式も長い。

(c)

全てのαにおいて成り立つ条件を作ればよい。波動分野のほか数学でも用いる手法だが、αを含む項が常に0になる式を作る。

(d)

問題文をちゃんと読まないと”mg cos θ”と答えてしまう。この小問の問題文を読んだだけでは vQを用いる方法が分かり難いが、〔B〕全体の問題文を先に読んでおけば混乱する事は無い。

(e)

(d)がヒントになっている。R点で垂直抗力が0以上ならば十分であるように感じられるが、(d)の結果から、垂直抗力はQ点を通過した直後に最小となる。そのあとR点に至るまで徐々に垂直抗力は大きくなっていく。

(f)

これは難問。力学的エネルギー保存則で立式するのは分かるが、床の上に静止している観測者として立式しようとすると、台車が動いた距離が分からないので詰む。そこで、この大問が慣性力をテーマとしている事から台車上の観測者として慣性力をエネルギーとして考慮する。

慣性力に特有の問題の解き方として、東進のような「見かけの重力」を利用する方法があり、こちらの方が速い。

[裏技]台車の加速度が”-g/√3″という如何にも三角関数と関係していそうな値なので、30°や60°と書いておけば部分点をゲットできる可能性がある。

高校化学 東京工業大学2002 (平成14)年度 前期入試問題の解説

有機分野に難問が多い。

[3]

状態変化にはエネルギーのやり取りが必要なのは鉄則だ。温度変化はエネルギーのやり取りを引き起こすが、圧力変化は単に壁に物質が衝突する頻度が変化するだけでエネルギーのやり取りは引き起こさない。

[6]

(5)黒鉛は固体なので、圧力は”CO2 (気) +C(固)”の方が小さい。生成熱の値を、反応熱ではなく結合エネルギーから計算させるのが面白い。しかし単純計算が煩雑なので出題をもっと工夫してほしい。

[7]

  • (5, 6)ダイヤモンドと黒鉛はいずれも共有結合結晶だが、ダイヤモンドの価電子が4つ全て共有結合に使われているのに対して黒鉛は3つのみ。だから電気伝導性はダイヤモンドは無いが黒鉛はある。
  • (4)しかし黒鉛は、実は非共有電子対がベンゼンの1.5重結合のようになっており、これが原因で原子間距離はダイヤモンドより小さい。

[8]

  • (2)H2Sは還元剤として作用してSになる。ちなみにSO2は酸化剤として作用するとSになる。
  • (6)塩素酸カリウムはMnO2を触媒として酸素を発生する。

[9]

  • (1, 2)入試で出る錯イオンは殆ど無色で、有色なのは[CU(NH3)4]2+くらいだが、実は遷移金属の錯イオンは一般に有色のものは多い。硫酸銅(II)五水和物の色も錯イオン[Cu(H2O)4]2+に由来する。
  • (3)鉄イオンの価数と試薬の鉄の価数を足して5になる時に濃青色沈殿になる。
  • (5)Znの場合に四面体型となる。

[11]

シンプルな設定ながら思考力を要する良問。

[12]

鉛蓄電池は放電すると正負の両極にPbSO4が析出するのが大きな特徴。よって消費されるH2SO4と析出するPbSO4の物質量は流れた電子と等しい。

[13]

  • (3)酸化数から瞬時に分かる。
  • (4)二重結合を持つ分子の数え上げでは幾何異性体の存在を忘れない様に。

[14]

基本的に、塩なら水層、それ以外はエーテル層。ただしベンゼンスルホン酸は極性が強いので常に水層に抽出される。

[16]

アクリロニトリル・ブタジエンゴムは付加重合のポリマーなので、問Aは11.9 *53 /14 = 45、問Bは53000 *(1 -0.45)/54 = 540 という簡単な計算で解ける。

[17]

燃焼反応では、アルコール自体が酸素を含んでるので反応式から与えた酸素の物質量を定める。臭素を付加した量は飽和時のHの量との差である。

[18]

HClとエタノールとの加熱でエステル結合が起きている。さらに乾固によってアミノ基が塩酸塩になる。エステル化の触媒は濃硫酸が一般的だし乾固なんて聞いたことないのでこれらは現行課程外だろう。