高校数学 東京工業大学1993 (平成5)年度 前期入試問題の解説

解答例

第4問を除けば簡単なので全体的には簡単な年度だった。

第1問

「比がkによらない」とは「全てのkについて比が一定となる」という意味。

kとq, そしてkとbの値の大小によっては面積が負になることもあるので絶対値を付けておいた方が良い。

第2問

(2)三角関数にnが含まれるので、積分漸化式を想定しよう。解がπ /2と分かっているのが強力なヒントであり、解がnによらない事が分かる。つまり、与式をInとおくと、In = In-1なのが読み取れるのでこれを示せばよい。

第3問

珍しく小問が4つもある。小問一つ一つは難しくないが、全体として計算量は多いので精確さと効率性が試される。

(1)4次の解と係数の関係「α +β +γ +δ = −b /a」と「αβγδ = e /a」を使えば瞬殺。

(2)Pが変曲点ある場合にPはQやRと一致するから、与式を二階微分して範囲を求めるのが速い。しかしこれは裏技的なので、α < t < βと必要十分となる不等式(t -α)(t -β) < 0を解くのが王道。

(3)L2を整理していく。”β -α”は根号を持つので、後の事を考えるとこれが出てこない形に整理したい。α = βのときはL = 0となるから、(β -α)2 で因数分解できるはずだ。

(4)あとはtで微分するだけだが、少し工夫する。L2はよく見るとt2の多項式であり、(t2 -a)2 の微分が面倒くさそうなので、s = t2 -a としよう。

第4問

整数の難問として有名な問題。配点が30点と小さかったのもあってか、正解率は非常に低かった。2008年度のAOでも再び出題されたことでも話題になった。

最高次数項の係数が等しいn次の多項式同士の差は(高々)n -1次多項式となるのを利用して帰納法で証明する。発想としては自然なので、世間で言われているほどの難問ではない。

数学的帰納法を使う事を宣言すれば1/3の点数が与えられたという噂がある。n = 1の場合に成立する事も示しておこう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です