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高校数学 筑波大学2018 (平成30)年度一般入試問題の解説

妙にtan (正接)を使う問題が多い印象。

〔1〕

(1)

点Aの座標が(tan θ, tan2 θ)と少し奇妙だが、原点を結ぶ傾きはtan θ なので、角度はθである。

三角形の内心、外心の性質を利用して解くのが王道だろう。内心は角の二等分線の交点、外心は辺の垂直二等分線の交点である。この性質を忘れたなら直角二等辺三角形で試してみればすぐに分かる。

「tan2 θ +1 = 1 /cos2 θ」などの公式を憶えていれば速い。

(2)

pとqの式は複雑なので、初めにS(a)を求めてからS(p) /S(q) に代入した方が良い。S(a)は偶関数なので計算を省略できる。求める値は2つ有るが、 S(p) /S(q) のグラフをイメージすると理解しやすい。

〔2〕

(1)

放物線Cと直線が重解を持っているという情報を生かして判別式を利用すると速い。

(2)

例えばf(x) とg(x)が共有点をx = α, βに持つ場合、面積を求める関数はf(x)-g(x)という風になるので、これを(x-α)(x-β)と因数分解できる。

この問題では放物線Cが直線l1とx = (p -q) /4, 直線l2がx = (q -p) /4に重解を持つので、α = (p -q) /4と置くとそれぞれ(x -α)2 , (x +α)2 となり積分が簡単になる。

(3)

p +1/p の最小値を求める方法は相加相乗平均や微分がある。

〔3〕

(2)

点Rは特定の点ではなく線分QnPn+1上のどこでも位置し得るので、この点が動く様子を想像してみるとよい。直線OA側に寄るとxは増加しyは減少する。直線OB側に寄るとその逆になる。

これは分点公式により、mOPn+1 +nOQn = OR とした時にm +n = 1 が成り立つのだ。この性質を利用するために「xa +yb = OR」を「mOPn+1 +nOQn = OR」の形に変換しているのが(1)。これによりx = -2y +4n となる。

Sの点の個数とは、整数倍のa, b が作る格子が線分QnPn+1上に何個あるかという事だ。これは先ほど求めたx = -2y +4n のx, y が共に整数となる組み合わせに該当する。yが整数ならxも整数なので、yの個数を数え上げれば良い。グラフィカルには想像しにくいので、数式に落とし込むわけだ。

(3)

⊿OPn+1Qn が正三角形なら数えやすいが、辺Pn+1Qn が奇妙な角度になっているので厄介だ。これが頂点Oの角度が直角なら、OPn+1 から平行移動しながらスキャニング出来るので数えやすい。そこで直交座標系に変換した上で数列の和で数え上げていく。

〔4〕

C2の回転体からC1の回転体を刳り抜く。1 /sin2 x の積分は置換積分で求まるが、-1 /tan x となる事を知っていると速い。ちなみに1 /cos2 x の積分はtan xである。

〔5〕

(1)

分母の+π2 が邪魔なので、”□ +1″という形に持ち込み変形させたい。そこで「tan2 θ +1 = 1 /cos2 θ」が使う。

証明は、f(π)が解答できなくても答えれる。

(2)

数列に関して証明と言えば数学的帰納法である。(1)でf(π) = πという答えが出せていないと証明できない。

(3)

平均値の定理を使う問題だが、二段階の変形を経ないとこの定理の形にならない。左辺の”an +1 -π” を”f(an) -f(π)” と置き換えれる事に気づくのが大事で、こう置き換えた後は両辺を” an -π “で割れば平均値の定理の形になる。

平均値の定理を使う問題だと見破る方法は次の通り。

  • 不等式である
  • 両辺にそれぞれ、よく似た引き算の形が含まれている。しかも片方に係数がある。

解法の流れは、(f(an) -f(π)) /(an -π) = f'(α)とし、0 < f'(α) ≦ 2 /π となる事を利用して(f(an) -f(π)) /(an -π) ≦ 2 /π を導く。

極限値を求めるには、先に証明した不等式を「挟み撃ちの原理」として利用する。

ちなみに、 0 < f'(α) でないと、不等式の両辺の絶対値を付けられない。 この問題では絶対値がなくても「0 ≦ an -π」が成り立つが、この東大入試問題では絶対値がないと挟み撃ちの原理を使えないので、一般的には絶対値が必要と知っておくべきだ。

〔6〕

(2)

「集合Sを図示せよ」という問題であり、集合Sとはαの軌跡の事だから、αの式を求めればよい。

∠OAB = π /2 なので、arg (1 -α) = ±i となり、α -1 = ki と置ける。(※「ki」を「±ki」とする必要が無いのは、kが正と負の値をとれるから。 )

(3)

α2 = 1 -b2 +2bi となるが、図示する場所は複素数平面ではなくxy平面なので、この複素数のbを媒介変数に見立ててx, yで置き換えるのが分かる。

高校理科(化学) 筑波大学2017 (平成29)年度一般入試問題の解説

各操作段階での温度、圧力、体積が目まぐるしく変わるので注意。各段階でメモするのも良いだろう。

問2

銅は遷移元素なので複数の酸化数を持つ。ちなみに鉄もFe2+とFe3+の二種類がある事で有名。

CuOは黒色。 Cu2Oは赤いが、フェーリング液が還元されて生じる赤色沈殿もこれだ。

問3

標準状態の気圧は1.01 ×105Paだ。日常では1013″ヘクトパスカル”という単位が使われるが、ヘクトが100倍を表している。

問5

操作2ではCu→CuOへの反応が完全には進んでいない。明確な記述は無いので注意。

したがって、反応分と未反応分をそれぞれ計算する必要がある。

問6

与えられた溶解度の情報に当てはめるだけではなく、圧力や温度の変化を考慮する必要がある。

コックを開くと体積が3倍になるのでそれぞれの気体の分圧は1/3になる。また温度も当初の0℃から20℃に変わっているのでボイル・シャルル則を利用する。

問7

(i)

酸化還元反応なので、半反応式から作っていく。半反応式を考えないと「3Cu +2HNO3 → 2NO +H2O +3CuO」などの式が出来てしまうが、イオン結合と水の生成が優先されるのであり得ない。

希硝酸は酸化剤として作用した後NOを生じる。ちなみに濃硝酸はNO2 だ。

気体は一般的に無色だが、F2は淡黄色、Cl2は黄緑色 、NO2は赤褐色、O3は淡青色。

(iii)

イオン化傾向がH2 より大きい金属は、HClとの反応において、H+ に電子を与えて気体H2 を発生させC とイオン結合する。 H2 より小さい金属はこの反応が起きないが、硝酸はH2 より酸化力が強いので反応する。

問3

(ii)より高温・低圧である場合に理想気体に近づく。

(iii)実在気体と理想気体を対比した記述が好ましい。理想気体より体積が小さい原因は分子間力、大きい原因はその分子の体積である。

問4

(i) 過冷却とは活性化エネルギーの一種である。液体が凝固するという事は即ち結晶を作るという事なのだが、結晶を作るには「核」の存在が必要となる。この核は単に凝固点まで温度を下げても中々作られないので過冷却が起きる。ある程度まで冷却されると核が生成し、過冷却されていた分の溶媒の凝固が一気に進むのだ。その後は徐々に凝固していく。

(ii) 溶質の凝固が進むにつれて、溶液の濃度は上がっていく。これは凝固点が次第に降下していく事を意味する。

(iii) この凝固点降下は、過冷却とその分一気に進んだ凝固が起きていた間にも進んでいる。

(iv)500g、0.04mol(電離している為)という数値でモル凝固点降下の式に代入すると凝固点は”-0.15℃”となるので-0.4℃では全ての水が凝固していそうだが、凝固が進むにつれて質量モル濃度が高まり凝固点降下が起き、実際は水は残っている。図3で言えば -0.4℃はTd~Te の間にある温度だ。この問題を解くには温度低下する水をイメージするとよい。温度が0℃の時は凝固点と一致していないが-0.15℃の時に一致して、それ以降常に一致している。つまり-0.4℃の時に生じた氷の質量をx(g)とおくと、500-x(g)の水の凝固点が -0.4℃である。

問5

(ii)(iii)気体定数の値は表紙に書かれている。飽和蒸気圧に注意して状態方程式を解くだけ。

問題文を通して読んでみても情報が多すぎて纏めるのが難しいので、小問を素直に逐次解いていくのが良さそうだ。

2)は、「アニリン+亜硝酸ナトリウム+塩酸⇒塩化ベンゼンジアゾニウム(染料の材料)」の製法に似ている。また塩化ベンゼンジアゾニウムは5℃以上でフェノールに分解する。化合物Aはアミノ基、Dはヒドロキシ基を持っているようだ。

系統分析の文章は構造決定には役立たない。

問1

  • 単体のナトリウムはヒドロキシ基と反応して水素を発生する。
  • 硫酸銅(Ⅱ)無水物は白色だが、水和物になると青くなる。
  • 塩化鉄(Ⅲ)水溶液はフェノール類と反応し、フェノールで紫色、o-クレゾールで青色、サリチル酸で赤紫色になる。
  • フェーリング液にアルデヒドを加えて穏やかに加熱すると酸化銅(Ⅰ)の赤色沈殿を生じる。
  • ニンヒドリン水溶液にアミノ酸を加えて加熱すると紫色になる。指紋検出などに利用されている。
  • ハロゲンを銅線に付着させて炎にかざすと、ハロゲン化銅として気化し青緑色の炎色反応を示す(バイルシュタイン試験)。

問4

分子量150以下で且つ(5)で300mgと書かれているので、分子量は150に違いないと察せる。なのでHの数は252 /2 /9 = 14。Cは880 /2 *3 /11 /12 = 10だ。

不斉炭素原子があるので構造確定。

問5

アミノ基と別の置換基は、化合物Dと同じなので構造確定。

問6

(3)によると、置換基を除くベンゼン環と塩素を合わせた分子量は111.5だ。

また、Brを反応させて分子量が159.8増加したという事は、Brが丁度2個分なので2Brの付加反応である。ベンゼン環を暗所で付加反応させることは出来ないので炭素の二重結合を持つ。

問8からも二重結合があると読み取れる。

分子量150以下なので構造確定。

問7

化合物C, D はNaOHと反応して水層2でそれぞれ置換基がCOONa, ONaの塩となっている。

二酸化炭素を吹き込む事で炭酸となるので、弱酸遊離反応を起こす。酸の強さは「スルホン酸>カルボン酸>炭酸>フェノール」なので化合物CDのONa がOHになりエーテル層へ溶ける。

構造決定の問題では酸の強さはよく出るようだ。

問9

付加重合では、材料となる分子は二重結合を持つ。

  1. 付加重合
  2. アミド結合。材料の名前からも分かる。
  3. 付加重合
  4. 付加重合
  5. 開環重合
  6. 脱水縮合。エチレングリコールはアルコールなので分かる。
  7. アミド結合。材料の名前からも分かる。

高校理科(物理) 筑波大学2017 (平成29)年度一般入試問題の解説

問1

物体の運動エネルギーと位置エネルギーは、同じ高さであればそれぞれ落下時も上昇時も同じである。

垂直方向の速度u, 水平方向の速度w は三角関数を用いる。

問2

利用する式としては、力学的エネルギー保存則のほかに、2ax = v2 +v02 もある。

問3

飛び出してから最高点に達するまでの距離がwt, そこから向きを変えて地上に到達するまでが1/2・gt2 なので、これらの差がR/2である。

問4

跳ね返り係数は、跳ね返った物体の速度に比例する値である。距離は速度×時間なので跳ね返り係数に比例する。したがって、放物線BDを延長して地面と交わるDではないもう一方の地点をPとすると、ePD = DE である。この解き方が最も速いだろう。

一般的な解き方は、跳ね返った直後の速さから再び着地するまでに掛かる時間を算出して水平方向の速度を掛ける。

問5

跳ね返り後の速度がeに比例し、速度は移動距離に比例するという旨の記述があるのが大事。

問6

問5で親切に「水平方向に移動する距離は衝突するごとにe倍となる」と教えてくれている。

無限等比級数を用いるが難しくはない。完全弾性体(e = 1)の場合は無限大に発散すると分かる。

もし誘導が無かったら

やはり、物体が跳ね返りを繰り返すとどう振る舞うかを検証する必要がある。跳ね返り係数は地面に垂直な方向に作用し、速度に比例するという事を理解していれば、振る舞いを想像するのは難しくない。

何はともあれ、点Dでの垂直方向と水平方向の速度求める必要がある。その為には飛び出した直後の速度を求めることになる。

問3

両極板はクーロン力により引力が発生している。この極板同士を離すと、外力が加えられ、その分の静電エネルギーUが増す。V = Ed により電位差が増し、静電エネルギーが U = 1/2・QV で表される事からも分かる。

ちなみに、スイッチを閉じた状態で極板を離すと電池に戻っていく電荷がある為に電気量は減る。開いた状態だと戻れないので変わらないのだ。

※極板同士を離すとクーロン力が弱まるので、現実には電位差は減少する。しかし極板間の距離は十分に小さいので一般的な試験問題では「一様な電場」と仮定している。

※問題文中の「引力Fに逆らって」という表現は、「極板同士を離す」という意味だけではない。極板の引力に抵抗する力を加えたときに加速度0で接近する場合も含まれるからだ。

問4

電磁気学と熱力学を組み合わせた問題。

カギは「極板間の気圧(5p0/4) = 極板の引力(Q2/2ε0S) +極板を押す大気圧(p0S)」という力の釣り合いだ。よくある真空条件ではないので、力の釣り合いには大気圧も関わっているという点に注意。

親切にも問3問題文で引力の大きさが示されているので前問が解けなくてもこれは解ける。方針が分からない場合は前の問題を参考にすると良い。

力の釣り合いの等式のうち、Qは使える記号として挙げられていないので、Q = CV に変換する。静電容量Cは極板間距離が小さくなったため、大きくなっている。

問5

コンデンサ内の空気が圧縮されて力が均衡していたのが、新たな均衡を作ったので、問4の力の釣り合いの式を利用する。これまでに算出した式を代入して未知数を消していく。

ところで「空気を含むコンデンサー全体の温度を上げた」という表現は、「外気も温めた」とも解釈できるので不適切だ。

もし誘導が無かったら

丁寧な誘導があるので解きやすいが、無ければ難問だ。東工大でも以前に出題された様だ。

条件を変わっている点に注目してみる。極板間隔が変化しているので「C = εS /d」を使うと分かる。 電池に繋がった状態で極板間隔が変わると静電容量、電気量、引力も変わるので立式しよう。温度変化によって気圧そして極板間距離に影響を及ぼすのでボイル・シャルル則も使う。

次は釣り合っている点に注目してみる。問4の様に圧力と引力の釣り合いの式が必要と分かる。引力(F = Q2/2ε0S) を立式するには問3の論証を導く必要があるが基礎的知識なので知っておくべきだ。

高校数学 筑波大学2017 (平成29)年度一般入試問題の解説

〔2〕

(2)

求めるのはh(x)だが、与えられた条件は「f(-1) ≦ g(x) ≦ f(1)」という h(x) を含まない形なので、まずは h(x) を含む形に変換する。

h(-1), h(-β),h(β),h(1)から未知数p, q, rを含む連立不等式が建てられる。等号付き不等号の連立不等式から値を特定するには、「0≦a≦0」のように同じ値で挟む形に持ちこむ。

初めの操作はやはり、出来るだけ多くの未知数をキャンセル出来るような四則演算をする事がベストだろう。そして得られた数値をそれぞれの不等式に代入する。

〔3〕

(1)

与えられたan+2の式が一見複雑に見えるが、右辺のan+1を移行すると、bn+1 = 3bn2 というシンプルな式になる。複雑な式には何か意図が隠されていると見るべきだろう。anやan+1をxやyに置き換えると発見しやすくなる。

(3)

状況把握の為に、anやbnの関係性を纏めておくと良い。

一の位を求めるということは、和や積を計算する際に、それ以上の位の数値がどうなっているかを気にする必要がないという事だ。この性質を利用して、 bn の各項の一の位のみを足し合わせていく。

〔4〕

(1)相反方程式は、「係数が同じでxの次数の差がn」という関係の項の組がある場合に置き換えが使える。

相反方程式なのでt = x +1/x とおくのが王道だが、両辺にx2を掛けて因数分解しても方程式の解は得られる。ただし(2)では「4x2 -9x +4 = 0」の解が根号を含むので極値を求めるとなると計算が大変。結局はα +1/α の形を利用するとエレガントに解ける。

(3)極値が求められなくても、x = 1/2, 2の傾き、更にはx = 1の二階微分でも形は判断できる。

〔5〕

ガウス記号、区分求積法、はさみうちの原理を使う難問。

(1)

sin関数は負の値も取り得るので、「sin(πn/2N) ≧ 0」を示す記述が必要。

ガウス記号の性質として、「[x +N] = [x] +N」があり、この問題の解として[N sin(πn/2N)] +1 も [N sin(πn/2N) +1]のいずれも正しい。

(3)

0 ≦ x ≦ N なので、πx /2N を「0~π /2を動く角度」と捉える事が出来、sin (πx /2N) の取り得る範囲は「0 ≦ sin (πx /2N) ≦ 1」である。「 n/N (0 ≦ n/N ≦ 1)という形を含む関数の無限級数」 なので区分求積法を想定しよう。

区分求積法ではΣにおけるnの範囲は「0 ≦ n ≦ N -1」もしくは 「1 ≦ n ≦ N」 でなければならない。ここでは後者を選び、Σ式から”+1″を追い出している(“n = 0″ならば”Σ式 = 1″であるため)。

このままではガウス記号があるので区分求積法を使えない。そこでガウス記号の定義「n ≦ x<n+1」を利用して挟み撃ちの原理に持ち込む。これによって不等式の両端のようにガウス記号の無い形にできる。

挟み撃ちの原理で極限を施した後は不等式の両端が同じ式になっている必要があるので、事前にΣの中から”+1″を追い出して”+N”にしておく。この”N”の項は、A(N)で割って極限を施すと0になる。

これによって漸くガウス記号の無い形に持ち込めた。次は区分求積法を適用するために”1/N・Σ”の形にして積分する。

解くためのポイント

答えに辿り着くまでに構想力を必要とされ、類題を解いたことが無ければここまでの誘導があっても難しい。類題を知らなくても解けるように、以下に一般的な知識をまとめた。

  • 「 n/N (0 ≦ n/N ≦ 1)という形を含む関数の無限級数」から区分求積法を連想する。
  • ガウス記号を扱う問題は「n ≦ x < n+1」 の性質を利用する事がしばしばある。挟み撃ちの原理とも、ガウス記号の無い形に変形できるので相性がいい。
  • 極限(特にsin やcosの極限)を扱う問題なら挟み撃ちの原理が解法として有力。

区分求積法の変換について

パスナビの解答例では、区分求積法の計算をするところで、π/2を掛けて、”sin x”をx ( 0 ≦ x ≦ 2π)で積分している。この意味を説明する。

「y = sin (π/2・x)」の場合、元々は0 ≦ x ≦ 1 の範囲を持つxを仮想的にπ/2倍する事でyを算出して、 N分割されたxとyを長方形の底辺×高さとして積を求めてN個を合計している。

これに対して「y = sin x」の場合、0 ≦ x ≦ π/2 の範囲で直接にyを算出するので、xの底辺が先ほどのものよりπ/2倍大きいのだ。 これに応じて面積も π/2倍になる。区分求積法の式で π/2を掛けているのは y = sin x を積分する為なのだ。その代わり、別のところで2/π倍して補正している。

これは置換積分と本質的に同じ操作である。その証拠にt = π/2・x とおいて置換積分すると同じ式が出てくる。ただし区分求積法の置換は一次関数しか対象にできないので原始的な手法といえる。

〔6〕

与えられたたった二つの式を最大限に解釈して解いていくまるでパズルのような問題。難しい点は無いが、解く過程の長い問題だ。

やはり図を描いてそれを確認しながら解くのが良い。初めから概略図を描いておき、解くに連れて修正していこう。

(1)

∠P5P1P2 は極座標表示で (w2 -w1) /(w5 -w1) と表せるので、(Ⅰ)の式を変形すればいい。すると±(tan a)i という実部のない複素数であると分かるので、答えはπ/2である。

同時に、P2P5 は長さ2の円の直径であると分かる。円と π/2 の組み合わせには敏感になるべきだろう。

(2)

(tan a)i をr(cos θ +i sin θ)と比較すると、θ = π/2 なので、r = tan a である。∠P5P1P2 = π/2 且つ P2P1 /P5P1 = tan a だから、 ∠P1P5P2 = a と分かる。

P1P2 = 2 sin a, P1P5 = 2 cos a なので、⊿P1P2P5 = 2(cos a)(sin a)と分かった。

残りの部分の面積も求めよう。

(Ⅱ)で与えられた式の解は、z = (√3 ±i) /2 = cos (π /6) ±i sin (π /6) だ。複素数が方程式の解として現れる。

cos (π /6) -i sin (π /6) = cos (11π /6) +i sin (11π /6) だが、11π /6 という角度はあり得ないので、これが -w4 /w2 である。w4 /w2 = -w4 /w2 * i2 なので ∠P2OP4 = 11π /6 -π = 5π /6 だ。

P1 ~P5 は反時計回りに並んでおり、OP2, OP3, OP4 の長さは1なので、∠P2OP3 = π /6 、∠P3OP4 = 2π /3 、∠P4OP5 = π /6 と分かった。

  • ⊿P1P2P5 = 2(cos a)(sin a) = sin 2a
  • ⊿P2OP3 = 1/4
  • ⊿P3OP4 = 1/2 * 1 * 1 * sin (2π /3) = √3 /4
  • ⊿P4OP5 = 1/2 * 1 * 1 * sin (π /6) = 1/4

(3)

これも、ここまで得られた情報を整理して図を描いておくと良い。

誘導が無くても、 (Ⅰ)の式から∠P5P1P2 を求めるという発想は出てき易い。 (Ⅱ)の式の解を極座標として解釈するのも大事な点。

高校理科(化学) 筑波大学2019 (平成31/令和1)年度一般入試問題の解説

初めの文章を読まなくても小問の文を読めば解けるものもあるのでセンター公民の様だ。

問2

反応式: H2 +1/2・O2 → H2O +Q

  1. H2 (気)を分離して2H(気)にする(-436)
  2. O2 (気)を分離して2O(気)する(-498/2 = -249)
  3. H(気)とO(気)を結合して H2O (気)にする(+463 *2 = +926)
  4. H2O (気)を H2O (液)にする (+44)

燃料電池の文脈での問題なので、答えが吸熱反応になっていたら誤りと気づける。

問3

問2の考え方より、水素分子と酸素分子を反応させて水を生成した際にエネルギーを取り出せる。したがって、陽極と陰極の半反応式を足し合わせると、2H2 +O2 → 2H2O という式になる事を確認できる。

問4

  1. 二量体は、二つの同じ分子が水素結合で纏まったものである。
  2. 水晶(石英)はSiO2の共有結合結晶である。水素結合は共有結合より力が遥かに弱いので不適と分かる。
  3. 一次構造は、アミノ酸がペプチド結合で繋がった配列順序の事。二次構造であるαヘリックス構造やβシート構造は水素結合を持つ。三次構造も一部に水素結合を持つ。
  4. 水素結合する元素は主にF, O, N, Clなので不適。
  5. 対になる核酸塩基同士が水素結合をして二重螺旋構造を形成する。

大問文が長いので、各数値に下線を引くといい。

問1

「2H2S +SO2 → 3S +2H2O」となる。ちなみに「H2S +SO2 → 2S +H2 +O2」とならないのは、Ⅰ問2のように、水の方がエネルギー的に安定だからだ。

問2

(i)H2Sの物質量は1.3 *10-9 mol で、空気の物質量4.3 *10-2に比べて極めて小さいので、空気の物質量がそのまま答えとなる。

この様に、一方の物質の数値が極めて小さいので合計する必要がない場合は、どうせ合計しないのだからその数値を算出する手間を省きたい。したがって、数値が大きいと推測できる方を優先して計算し、小さい方を後から計算しつつ途中で「合計する必要はない」と判断したら計算を止めて良い。

今回は(ii)で分圧を求める為にH2Sの物質量を算出する必要がある。

問3

イオン化傾向が大きいと還元剤に、小さいと酸化剤として働く。

問4

(i)弱酸の電離平衡として考えると、二段階目の電離によって生じるH+は無視できる為、[H+] = √(CK1)が成り立つ。

問5

(i)

[H+] = √(K1K2[H2S][M2+] /Ksp)

(ii)

  • ZnS: Ksp = [Zn2+][S2+] = 10-22 ( Ksp >10-22 で沈殿する)
  • CuS: Ksp = [Cu2+][S2+] = 10-29 ( Ksp >10-29 で沈殿する)

(i)で求めた式に値をそれぞれ代入すると

  • ZnS: [H+] = 10-4.5 (pH 4.5より大きいと沈殿)
  • CuS: [H+] = 10-1 (pH 1.0より大きいと沈殿)

※この問題は「二つの液体が固体になる条件(溶解度積)の違い」に着目したものだが、「二つの気体が液体になる条件(飽和蒸気圧)の違い」で似たような問題を作れると気づいた。

問1

(ii)

「穏やかに酸化」という表現が何ともあいまいだが、これは「第一級アルコールを酸化してアルデヒドにした」という操作だけに用いられる表現だ。したがってDとEは共に第一級アルコールだ。

(iii)

DとEの化学式は共にC4H10Oだ。CnH2n+2なので鎖式飽和炭化水素と分かる。構造異性体は3種類あるが、そのうち第一級アルコールは2つだ。

DとEを区別するのは、その沸点だ。Dの方が沸点が高い理由は、直鎖であり分子間力が働きやすい為だ。Eは側鎖を持っている。

問2

エステルを水と反応させる事でカルボン酸とアルコールに分離する事を加水分解と呼ぶが、水の代わりにNaOHを用いてセッケンとグリセリン(3価のアルコール)に分離する事をけん化と呼ぶ。

ここでは化合物Aはエステルが二つあるので、必要なNaOHの物質量はAの2倍だ。

問3

  • (i)アルカンならば7。二重結合や三重結合を許すなら6。
  • (ii)不斉炭素原子は、環式構造を持っていても調べれる。不斉炭素なのか確認したい炭素原子と結合する四つの置換基を、それぞれの炭素鎖を辿って比較するのだ。

問4

(i)

まずアセチルサリチル酸の構造を想像できるか。構造を憶えていなくても、名前に「サリチル酸」と付く化合物は安息香酸を基本構造として含んでいる事、そして文字通りアセチル基を持つ事を知っていれば作れる。

仮にアセチルサリチル酸の構造が分からなくても、無水酢酸と化合させるとアセチルサリチル酸が出来るという事は、名前からして 化合物Fはアセチル酸なのだろうと推測できる。

(ii)

NaHCO3が反応したという事は、炭酸より酸性の強い分子と弱酸遊離反応を起こしたと考えられる。「スルホン酸>カルボン酸>炭酸>フェノール」であり構成元素がC or H or O なのでカルボキシ基だ。

(iii)

化合物Bのエステルを加水分解してF, G, H が出来た。Fはカルボキシル基とヒドロキシ基を持つので、G, Hはどちらかがヒドロキシ基、もう一方がカルボキシ基を持つ。(ii)よりGがカルボキシ基を持つので、Hがカルボキシ基を持つ。

原子C, H, Oの数は、化合物G, F両者を合わせて9, 20, 3個である。3個のO原子は、化合物Gがカルボキシ基として2個、Hがヒドロキシ基として1個持っていると分かった。また、化合物GがO原子との二重結合を一つ持つ事を考えると、FとGはどちらも鎖式飽和である。

Hはヨードホルム反応(+)なのでCH3-CH(OH)-R の置換基を持つ。

高校理科(物理) 筑波大学2019 (平成31/令和1)年度一般入試問題の解説

易しい問題と難しい問題が混在している。大問の中で「小問を解き進めるほど難しくなる」という訳でもなく、誘導も余り関係ないので、難しい問題はドンドン飛ばして行った方がいい。

斜面を滑る物体というオーソドックスな問題。センター試験レベル。

問1

摩擦力が、その力と垂直である垂直抗力の大きさに比例するという不思議な性質を持っているのは、物体と床面の間の微小な凹凸の引っ掛かりに由来するからだ。

ふつうは「静止摩擦係数の値を求めよ」となるところが「tanθを求めよ」となっているのがチョットした捻りだ。静止摩擦力νはtanθで表される事は憶えておいても良いだろう。

問2

求める時間は、等加速度直線運動の公式「距離 = 1/2 * at2」を使う。

求める速度は、運動方程式から加速度を求めて時間tを掛ける方法と、力学的エネルギーで立式する方法がある。

問3

  • 重力がした仕事は、力と距離を 坂に平行なものに分解する必要はなく、そのままmghでよい。
  • 垂直抗力は文字通り運動方向に垂直なので仕事をしない。
  • 摩擦力がした仕事は、「摩擦力×進んだ距離」だ。

これらの力の総和が「進行方向の力 × 進んだ距離」に等しくなる。

問4

点B周りの重力のモーメントの釣り合いを考えて立式するのが正攻法だ。一見すると作用線が分かり難いが、物体を軸を中心に回転させるような力がどこから来るのか考えれば良い。これについては スマナビングの解説が詳しい。

でも、そんな事をしなくても直感的にBDが水平面に垂直になる時に転倒が始まると分かるのですぐ答えは出せる。

ちなみに、摩擦力や垂直抗力の力のモーメントを無視していいのは、作用線が軸から出ているので回転力を持たないからだ。

問5

  • 重力の反時計回りのモーメント: mg * sinθ2 * a/2 + mg * cosθ2 * b/2
  • 力Fの時計回りのモーメント: F * cosθ2 * a – F * sinθ2 * b

これらが釣り合うので等式化する。

問6

問5の応用だが、直感的に答えられる問題。

題意を満たす条件とは、「力Fの作用線が ACより下に潜り込む事」。数学的に言い換えれば、力Fの時計回りのモーメントが0以下になる事だ。

まず、回路のどの地点を電位の基準とするかだが、問5に「点eの電位を0とせよ」と書かれているのでこれに従うのが合理的だ。

問1

コンデンサーC1の負極板とコンデンサーC2の正極板をつなぐ回路は電気的に孤立しているので、 それぞれのコンデンサーが蓄える電気量が等しいわけだ。その様な考え方以外にも、コンデンサーの充電や放電をさせた時に、コンデンサーC1の正極板とコンデンサーC2の負極板の電荷が異なっていると矛盾が生じるので等しい筈だと分かる。

一般的解法 を用いて解く事ができるが、「直列の合成容量の公式」または「キルヒホッフの第二法則」を用いると速い。

問2

まず流れた電気量を算出すれば、自ずと電流の向きも分かる。スイッチS2を閉じるとc地点の電位はEになる。

まずスイッチS2を閉じる前のc地点の電位Ebを求め、そのEとの差と「コンデンサーC1, C2 の電気容量」とをそれぞれ掛けて合計する。

Eb は問1で求めた二つの値どちらからでも求められる。 d地点の電位は0だから、2Eから C1 電位差を引けばいい。もしくは、Q1 = Q2なので、Qを C2 で割る事でも求まる。

問3

設問の行為によって変化したのは、静電容量と電気量である。比誘電率3の誘電体を挿入したので、静電容量Cは3倍になり、それに伴いQも3倍となった。

電気量Qは、「Q = C * V = A * s」という様に単位の組立としては二種類の表し方がある。 求めるのは電流Aなので、 これを利用しよう。

電気量は単位がCなので、静電容量C = ε* S / d と混同しやすいので注意。

問4

スイッチを切った後は電荷の逃げ場がないため、誘電体を取り除く前後で コンデンサーC2 の電気量は変化しない。そして、電気量が一定だと、Q = C * Vなので、静電容量が減る事で電位差が増加するという事に気づくのが肝だ。静電容量Cは3C2 からC2 へ減少すると分かっているので、静電エネルギーの式はU = Q2 / 2C を用いるとよい。

問5

コンデンサーC2 が充電されているのでヤヤコシイが、一般的解法を使える。電圧は C1 が負の値で算出されるが、絶対値で答える。

グラフは、c地点が最も高くなる。 求まるコンデンサーC2 の電圧は3Eより小さいと分かるので、 c地点の電圧は2Eより大きく3Eより小さい。

問1

相対屈折率n12 = sinθ1/sinθ2 = n2/n1 という風に、絶対屈折率の比は関係性が逆になっているので注意。

問2

図では直角三角形BDGが直角二等辺三角形に見えるが、これは偶々なので注意。与えられた距離はdだけなのでこれを利用し、i0とr0それぞれと等しい角度を見つけて値を特定していく。

問3

明るさを最小にしたいという事なので、光路差が (m+1)λ/2 となればよい。mでも良いと思うが、解答ではm+1となっている。

次に光路差を求める。GEとDEの光路長は等しいのは明らか。BGに等しいのは、BF⊥CDとなるのでFDである。したがって光路差はBCFだ。光路差の求め方はトライイットの解説の様に補助線を引く方法が速い。光路差が2nd cosθという式になるのは定番で、憶えていてもいい。

問5

この装置はジャマン干渉計という。

問6

気体の圧力と屈折率が比例するという高度な知識が必要。

「50回光が暗くなる」という表現も意味不明だし、「もとと同じ最大の明るさになった」のは初めてなのか分からないので不適切問題だ。解説によると、「 50回光が暗くなる」は 「 50回光が明るくなったり暗くなったりする」という意味らしい。

空気の屈折率は真空と同じ1なので、求めるのは n1 – 1の数値だ。 n1 – 1 という式は、与えられた「ガスの屈折率の式」に含まれていて、結局はこれを式変形して出すことになる。

方針は、屈折率と波長の情報が与えられているので目星は付くだろう。P1とP2の場合で干渉の式を立て、mをキャンセルする為に辺々引くのだ。

高校数学 筑波大学2019 (平成31/令和1)年度一般入試問題の解説

〔1〕

正接が平面座標における直線の傾きを表すという性質が利用されている。

(2)

正接の加法定理を利用する。途中式では、t=tanθなどとtanθを置き換えた方が記述が速く、ミスも少ないだろう。6tan3θ+tan2θ-1=0の式は tanθ =1/2を代入してみる試行錯誤が必要。

(3)

ここでも加法定理を使う。2つの直線の傾きが分かっていれば、それらがなす角は加法定理で導けるのだ。

OP, OQ, PQ の長さを三平方の定理で求め、余弦定理でcosαを求め、最終的にtanαを求める事も可能ではあるが計算が煩雑なのでやってはいけない。この大問が三角関数をテーマとしている事を意識しよう。

正接の加法定理は覚えていなくても正弦と余弦の加法定理から求められる。

〔2〕

(1)

式の分母が「a+b+c」となっているので、x/a, y/b, z/c をそのまま演算しても証明に繋がらない。そこで両辺を「a+b+c」で掛けて分子化する。

(3)

不等式の真ん中の数式が複雑だが、(1)と(2)が誘導になっており、それを利用すれば簡単。

真ん中の式が1より大きいことと、2nより小さいことを分けて証明する。

もし誘導がないとしたら、分母と分子の各項が類似している事に着目するのがポイント。

〔3〕

(1)

sやtがあるのに更に未知数を増やすのは気が引けるが、ベクトルOPを異なる方法で表せれば、一次独立の考え方によって上手くキャンセルできる。

その準備として、ベクトルOF, FE, OG, GDをa, b, c で表現する。これによって一次独立の解法を適用できる。

(3)

√3 * OP = OA という条件を(1)で求めた式に適用するには、その式を二乗する事でベクトル式を代数式に変換する必要がある。

もし誘導が無いとすると、t=sに気づくのが一つの難関だろう。その為には図を描いて、想像上でも図を明瞭に認識する事が大事だ。

〔4〕

三角関数のべき乗を積分する際は、加法定理を応用して指数が1の形に変換するのが鉄板。

〔5〕

(1)

f(x) = etとおくと、如何にも平均値の定理を使わせたいという意図が見える問題だ。平均値の定理を使った証明方法はパスナビに掲載されている。

これは後にはさみうちの原理として利用される。出題された不等式が次の条件を満たして入れば、はさみうちの原理に利用するものだと確信して良いだろう。

  • 不等式の両端が同じ値を取り得る
  • 不等式の真ん中の式と、両端の式とが同じ変数を持っている

(2)

数列が指数部に入っており、更にそれが対数の真数に入っており、更にそれが新たな数列を構成している。一見すると難しそうだが、n=1, n=2と具体的に数値を代入してみると案外簡単であると気づく。一見しただけで怖気づいて解答を飛ばすのではなく、試行錯誤してみるべきだ。

どちらかというと、この証明を記述する方が大変だ。東進の解答例のように、n+1の場合を考え、xn+1 + yn+1 = yn を示し、それをzn+1の式に代入するのはエレガントなやり方だ。

zn が定数になるのは一見すると不思議だが、

(x8 – 1) = (x4 – 1) (x4 + 1) = (x2 – 1) (x4 + 1) (x2 + 1) = (x – 1) (x4 + 1) (x2 + 1) (x + 1)

が成り立つのと仕組みは同じだ。

(3)

本試験で最大の難問。

(1)や(2)の考え方をそっくりそのまま利用するので、誘導に素直に従って良い。元の数式は真数が「et + 1」という形なのでそのまま(1)を利用する事は出来ない。そこで(2)を利用して「et – 1」を作っている。

これはもし誘導が無ければ難問だ。znの様な形が定数となる事を知識として持っている必要がある。

〔6〕

(1)

z = a + bi と置いても良いが、|z|2 – 2zz + 4 = (z – 2) (z – 2) = |z – 2|2 となる事を知っていると速い。

もし誘導が無ければ、まずは与式をグラフィカルに表す事を方針とするべきだろう。

高校英語 筑波大学 2019 (平成31/令和1)年度一般入試問題の解説

I (第1問)

出典: National Geographic – WE MADE PLASTIC. WE DEPEND ON IT. NOW WE’RE DROWNING IN IT.

問1

答えは”real mystery”の同文の、コロンに続いて説明されている。

There was a real mystery to be solved back then, at least in academic circles:  Scientists wondered why they weren’t finding even more plastic in the sea.

和訳: 科学者らは、なぜ海でプラスチックをもっと見つけられなかったのか不思議に思っていた。

50字程度で書く必要があるので、続く文で詳しく述べられている内容を盛り込む。

World production has increased drastically—from 2.3 million tons in 1950, it grew to 162 million in 1993 and to 448 million by 2015—but the amount of plastic drifting on the ocean and washing up on beaches, alarming as it was, didn’t seem to be rising as fast.

和訳: 世界のプラスチックの生産量は劇的に増加してきた。ところが、漂流したり海岸に打ち上げられるプラスチックは、それなりに深刻ではあるが、生産量の増加傾向に見合っている様には見えなかった。

解答例: 世界におけるプラスチック生産量激増に見合うだけのプラスチックが、海や浜辺で見られないという謎。

問2

In the years since his first beach cleanup, Thompson has helped provide the beginnings of an answer: The (ア) plastic is getting broken into pieces so small they’re hard to see.

和訳: トンプソンが初めて海岸を清掃して以来、彼はこの答えの糸口を提供するのに役立ってきた。(ア)のプラスチックは、視認するのが困難なほどにとても細かく砕けているのだ。

この一文を読んだだけだと解答として”large”を選んでしまいそうだが、これは引っ掛け。文中にあるように、この一文はある疑問に対する”answer”なので、その疑問が書かれた部分を探そう。それは前段落にある。

“That begs the question: Where is it?” Thompson said. “We can’t establish harm to the environment unless we know where it is.”

和訳: そこで「どこに行ったのか?」という疑問が浮かび上がる。トンプソンは言う。「どこに行ったのかを把握しない限り、環境被害を確証することはできない。」

したがって正解は”missing”(行方不明の)。

問3

In a 2004 paper, Thompson coined the term “microplastics” for these small bits, predicting—accurately, (as) it turned out—that they had “potential for large-scale accumulation” in the ocean.

和訳: 2004年の論文で、トンプソンはこの欠片に「マイクロプラスチック」という名をつけて、「莫大な集積をもたらす可能性」を予測ー結果(として)正しかったーした。

ここでは”as”は「~として」という意味で用いられている。 “it turned out”は「結果として」を意味する熟語。


Microplastics have been found everywhere in the ocean that people have looked, from sediments on the deepest seafloor to ice floating in the Arctic—which, (as) it melts over the next decade, could release more than a trillion bits of plastic into the water, according to one estimate.

和訳: マイクロプラスチックは、深海の堆積物から北極の流氷に至るまで、調査が行われた海では必ず検出されている。ある試算によれば、今後10年間で解ける(につれて)1兆個以上のプラスチック片が水中に放出されるという。

ここでは”as”は「~するにつれて」という意味で用いられている。


(As) Thompson and I talked about all this, a day boat called the Dolphin was carrying us through a bay, off Plymouth.

トンプソンと私がそんな話を(しながら)、 私たちを乗せたドルフィン号という日帰り船はプリマスを離れて湾を進んでいった。

ここでは”as”は「~しながら」という意味で用いられている。


一般に本文の複数箇所に同一の単語を埋めるという問題の場合、複数の意味を持つ単語が入り且つそれぞれ異なる意味で用いられる。

問4

該当の英文は次の通り。

In lab tests, they’d watched tiny shrimplike sea creatures that are common in European coastal waters devour pieces of plastic bags and determined they could break down a single bag into 1.75 million microscopic fragments.

和訳: 実験室試験で、彼らはヨーロッパの海岸沿いによくいるエビに似た小型海洋生物がビニール袋の欠片を貪り食うのを観察し、その生物が1つの袋を175万個の微小な破片に分解できると結論付けた。

The little creatures chewed through plastic especially fast, Thompson’s team found, when it was coated with the bacterial slime that is their normal food.

和訳: その小さな生物は、プラスチックの表面に自分たちの餌である細菌がくっついていると、特に速く噛み砕いたことをトンプソンのチームは発見した。

They eventually eliminated the plastic bits from their bodies.

和訳: それらは最終的にプラスチック片を体から排出した。


(A)Tiny shrimplike sea creatures clean up the ocean because they eat plastic bags.

和訳: エビに似た小型海洋生物はビニール袋を食べることで海を浄化する。

海の浄化は記述がない。

(B) Tiny shrimplike sea creatures are commonly found in European coastal waters.

和訳: エビに似た小型海洋生物はヨーロッパの海岸沿いでよく見られる。

内容そのものは正しいが、「lab test でわかったこと」ではない。

(C) Tiny shrimplike sea creatures could break down into very small fragments.

和訳: エビに似た小型海洋生物は非常に小さな破片に壊れるかもしれない。

誤読。小さな破片になるのはこの海洋生物自身ではなくプラスチックである。

(D) Tiny shrimplike sea creatures are normal food for the plastic-eating bacterial slime.

和訳: エビに似た小型海洋生物はプラスチックを食べる細菌のスライムにとっての餌である。

誤読。海洋生物が、細菌が付着したプラスチックを食べたのである。

(E) Tiny shrimplike sea creatures can consume and expel pieces of plastic.

和訳: エビに似た小型海洋生物はプラスチック片を食い尽くして排出することができる。

正解。

問5

Kamilo Point Beach, catches plastic from the North Pacific gyre, the dirtiest of five spinning current systems that (transport) garbage around the ocean basins and (concentrate) it into large-scale accumulations.

和訳: カミロポイントビーチが被るプラスチックごみをもたらしているのが北太平洋旋廻である。これはごみを海盆の周りに(運び)大規模な堆積物として(凝縮させる)5大環流の中で最も汚い。

“(transport) garbage around the ocean basins and (concentrate) it into large-scale accumulations”はfive spinning current systemsの説明となっている。

(ウ)還流はビーチにごみを漂着させる原因となっているのだから、候補は(A)と(D)。

(エ)ごみを溜め込んでいるので候補は(C)と(D)。

問6

Thompson himself doesn’t worry much about microplastics in his fish and chips—there’s little evidence yet that they pass from the gut of a fish into the flesh we actually eat.

和訳: トンプソン自身は自分のフィッシュアンドチップスに含まれるマイクロプラスチックを大して心配していない。魚の胃腸から人間が食べる魚肉の部分にまでプラスチックが入り込むという証拠はまだほとんど無いのだ。

He worries (more about the things that none of us) can see—the chemicals added to plastics to give them desirable properties, and the even tinier nanoplastics that microplastics presumably degrade into. 

和訳: 彼は誰の目にも見えないものープラスチックに必要な特性を持たせるために添加された化学物質と、マイクロプラスチックが更に分解してより微細になると考えられるナノプラスチックをより心配している。

much とmoreが対句のようになっている。

問7

” game changer”はトンプソンの発言なので、一連の彼の発言を読んでみよう。

Nobody has found nanoparticles in the environment—they’re below the level of detection for analytical equipment. 

和訳: 誰も環境中のナノ粒子を発見していません。それらは分析機器の検出レベルを下回っているのです。

問6で読んだ文に出てきた「ナノプラスチック」について言及しているようだ。この前の段落の最後の一文は次の通り。

Those might pass into the tissues of fish and humans.

和訳: これら(ナノプラスチック)は魚やヒトの組織に入り込むかもしれない。

再びトンプソンの発言に戻ろう。

People think they are out there. 

和訳: それでも、人々はそれらが存在すると思っています。

They have the potential to be stored in tissue, and that could be a game changer.

和訳: それらは組織に保存される可能性があり、それがゲームチェンジャーになるかもしれません。

「誰も環境中のナノ粒子を発見していません」という記述は、言及されている物質がマイクロプラスチックではない事を意味している点で重要だ。つまり「プラスチック」や「マイクロプラスチック」ではなく「ナノプラスチック」と記述する必要がある。

解答例: ナノプラスチックが体内組織に蓄積されれば、人体にとって有害な状況に変わる可能性がある。

II(第2問)

出典: Smithsonian – Scientists Discover Evidence of Early Human Innovation, Pushing Back Evolutionary Timeline

問1

These newly discovered activities approximately (date) to the oldest known fossil record of Homo sapiens and occur tens of thousands of years earlier than previous evidence has shown in eastern Africa.

和訳: 新たに見つかったこれらの活動は、ホモサピエンスに関する既知の最古の化石記録の頃から始まり、東アフリカで見つかったこれまでの証拠より数万年早く起きている。

  • (A)正解。ここでの”date”は「から始まる」という意味で、”approximately date to~”で「~頃から始まる」 を意味する。
  • (B)”due”を用いると「新たに見つかった活動は化石記録に起因する」という不自然な文になる。
  • (C)activitiesが”estimate”の主語になるのは不自然。
  • (D)”originate”は(B)と同じ理由。
  • (E)”approximately prove”は不自然。

問2

The new discoveries, reported in three studies published March 15 in the journal Science, indicate that these behaviors emerged during a period of tremendous environmental variability in the region.

和訳: 3月15日付のScience誌に掲載された3つの研究で報告された新発見は、これらの行動がこの地域の著しい環境変動期に現れたことを示している。

直前の文を読んでみよう。

Evidence for these significant events in humans’ development comes from the Olorgesailie Basin in southern Kenya, which holds an archeological record of early human life spanning more than a million years.

和訳: 人類の発展におけるこれらの重要な出来事の証拠は、100万年以上に及ぶ初期の人類の生活の考古学的記録を持つケニア南部のオルゲサイリー盆地から来ています。

この文では”these behaviors”は”these significant events”と表現されているようだ。次に前段落の最後の文を読むと、再び “these behaviors” が現れる。

These behaviors, which are characteristic of humans who lived during the Middle Stone Age, replaced technologies and ways of life that had been in place for hundreds of thousands of years.

和訳: 中世石器時代の人間の特徴であるこれらの行動は、何十万年もの間続いてきた技術や生き方に取って代わりました。

更に直前の文は問1で読んだのでその前の文を読んでみよう。

Anthropologists at the Smithsonian’s National Museum of Natural History and an international team of collaborators have discovered that early humans in East Africa had—by about 320,000 years ago—begun trading with distant groups, using color pigments and manufacturing more sophisticated tools than those of the Early Stone Age.

和訳: スミソニアン国立自然史博物館の人類学者と共同研究者の国際チームは、 東アフリカの初期の人類が約32万年前までに、遠く離れた集団との交易を始め、顔料を使い、初期石器時代よりも洗練された道具を製造していたことを発見しました。

結局最初の文まで遡ってしまったが、 “these behaviors”は” trading with distant groups, using color pigments and manufacturing more sophisticated tools than those of the Early Stone Age “を指していると分かった。

解答例: 東アフリカの約32万年前の人類による、遠隔地との貿易、顔料の使用、石器時代初期以上に高度な道具の製作。

” groups “の後にカンマがあることに注意。これが無いと「顔料を使って遠隔地と貿易した」という誤読になる。

問3

The diverse chemical composition of the artifacts matches that of a wide range of obsidian sources in multiple directions 15 to 55 miles away, suggesting exchange networks were (in place) to move the valuable stone across the ancient landscape.

和訳: 出土品の多様な化学組成は、15~55マイル離れた様々な方角にある広範囲の黒曜石源と一致しており、これは貴重な石を当時の状況で移動させるための交換ネットワークが整備されていたことを示唆している。

  • (A)”at stake”は「危機に瀕している」という意味で文意に沿わない。
  • (B)”in charge”は「担う」という意味だが、人に対して使うので不適。
  • (C)”in place”はここでは「整備されている」という意味。
  • (D)”on porpose”は「意図的に」という意味。
  • (E)”on time”は「時間通りに」という意味。

問4

The team also discovered black and red rocks at the sites, along with evidence that the rocks had been processed for use as coloring material.

和訳: またチームはその遺跡で、黒と赤の岩を、その岩が着色材として使用するために加工されていたという証拠も合わせて発見した。

「具体的にどのような目的で使用されたか」と問われているので、続く文も読んでみよう。

We don’t know what the coloring was used on, but coloring is often taken by archeologists as the root of complex symbolic communication,” Potts said.

和訳: ポッツは「着色が何に使われていたかは分かりませんが、考古学者はしばしば複雑な記号的コミュニケーションのルーツとなっていると考えます。」と話す。

“Just as color is used today in clothing or flags to express identity, these pigments may have helped people communicate membership in alliances and maintain ties with distant groups.”

和訳: 今では色というものがアイデンティティを表現する為に衣装や旗に用いられるように、その顔料は同盟の構成員である事を伝えたり、遠隔地の集団との関係を維持しることに役立ったのかもしれません。

解答例: 同盟の構成員である事を伝えたり、遠隔地の集団との関係を維持したりする目的。

問5

Environmental variability would have presented significant challenges to inhabitants of the Olorgesailie Basin, prompting changes in technology and social structures that improved the likelihood of securing resources during times of shortage. 

和訳: 環境の変動性は、オルゲサイリー盆地の住民に大きな課題をもたらし、技術と社会構造の変化を促し、不足時の資源確保の可能性を高めた。

同段落から資源(resource)について述べている文を探すと、二文目にある。

Their findings suggest that the period when these behaviors emerged was one of changing landscapes and climate, in which the availability of resources would have been insufficient.

和訳: 調査結果は、それらの行動が出現した頃は、資源利用性が不十分であるような状況や気候が変動していた時期の一つだった事を示唆している。

解答: time when (the availability of resources would have been insufficient)

問6

(A)Archeologists revealed that color pigments found at ancient sites had been used to dye flags and clothing materials.

和訳: 考古学者は、古代遺跡で見つかった顔料が旗や衣服の素材の染色に使用されていたことを明らかにした。

×」問4で読んだように、ポッツは何に使用されていたかは不明であると話しており、 旗や衣服の素材の染色に使用されているのは現代である。


(B)The Smithsonian team discovered that artifacts at at the Middle Stone Age sites contained materials originating from various regions.

和訳: スミソニアンのチームは中石器時代の遺跡の出土品が様々な地域に由来する物を含んでいた事を発見した。

問3の内容が含まているのでその段落を読んでみよう。

While the handaxes of the earlier era were manufactured using local stones, the Smithsonian team found small stone points made of non-local obsidian at their Middle Stone Age sites.

和訳: handaxeは初期には地元の石で作られていたが、スミソニアンのチームは中石器時代の遺跡で地元産ではない黒曜石で作られた小さな石の先端を発見した。


(C)The oldest fossil found in East Africa shows evidence that early humans had more advanced technologies that previously believed.

和訳: 東アフリカで見つかった最古の化石は、初期の人類が持っていた技術がこれまで考えられていたより先進的だったという証拠を示している。

×」 問1で扱った内容。初期の人類が持っていた技術が、ホモサピエンスの最古の化石の時代とほぼ同時期であり、それは東アフリカで見つかった証拠より数万年も早いというのが正しい。


(D)Recent advances in archeological techniques for analyzing fossils have overturned our common understanding of early human behaviors.

和訳: 化石を分析するための考古学的手法の最近の進歩は、初期の人類の行動に対する我々の常識を覆した。

×」化石の分析手法に関する記述はない。


どの選択肢もこれまでの問が対象とする文を読めば分かる。(D)は記述がないので全文をざっと目を通せばよい。

第3問

出典: JAGRAN Josh – Self studies vs Classroom studies: Which one is better way to learn?