高校数学 筑波大学2019 (平成31/令和1)年度一般入試問題の解説

〔1〕

正接が平面座標における直線の傾きを表すという性質が利用されている。

(2)

正接の加法定理を利用する。途中式では、t=tanθなどとtanθを置き換えた方が記述が速く、ミスも少ないだろう。6tan3θ+tan2θ-1=0の式は tanθ =1/2を代入してみる試行錯誤が必要。

(3)

ここでも加法定理を使う。2つの直線の傾きが分かっていれば、それらがなす角は加法定理で導けるのだ。

OP, OQ, PQ の長さを三平方の定理で求め、余弦定理でcosαを求め、最終的にtanαを求める事も可能ではあるが計算が煩雑なのでやってはいけない。この大問が三角関数をテーマとしている事を意識しよう。

正接の加法定理は覚えていなくても正弦と余弦の加法定理から求められる。

〔2〕

(1)

式の分母が「a+b+c」となっているので、x/a, y/b, z/c をそのまま演算しても証明に繋がらない。そこで両辺を「a+b+c」で掛けて分子化する。

(3)

不等式の真ん中の数式が複雑だが、(1)と(2)が誘導になっており、それを利用すれば簡単。

真ん中の式が1より大きいことと、2nより小さいことを分けて証明する。

もし誘導がないとしたら、分母と分子の各項が類似している事に着目するのがポイント。

〔3〕

(1)

sやtがあるのに更に未知数を増やすのは気が引けるが、ベクトルOPを異なる方法で表せれば、一次独立の考え方によって上手くキャンセルできる。

その準備として、ベクトルOF, FE, OG, GDをa, b, c で表現する。これによって一次独立の解法を適用できる。

(3)

√3 * OP = OA という条件を(1)で求めた式に適用するには、その式を二乗する事でベクトル式を代数式に変換する必要がある。

もし誘導が無いとすると、t=sに気づくのが一つの難関だろう。その為には図を描いて、想像上でも図を明瞭に認識する事が大事だ。

〔4〕

三角関数のべき乗を積分する際は、加法定理を応用して指数が1の形に変換するのが鉄板。

〔5〕

(1)

f(x) = etとおくと、如何にも平均値の定理を使わせたいという意図が見える問題だ。平均値の定理を使った証明方法はパスナビに掲載されている。

これは後にはさみうちの原理として利用される。出題された不等式が次の条件を満たして入れば、はさみうちの原理に利用するものだと確信して良いだろう。

  • 不等式の両端が同じ値を取り得る
  • 不等式の真ん中の式と、両端の式とが同じ変数を持っている

(2)

数列が指数部に入っており、更にそれが対数の真数に入っており、更にそれが新たな数列を構成している。一見すると難しそうだが、n=1, n=2と具体的に数値を代入してみると案外簡単であると気づく。一見しただけで怖気づいて解答を飛ばすのではなく、試行錯誤してみるべきだ。

どちらかというと、この証明を記述する方が大変だ。東進の解答例のように、n+1の場合を考え、xn+1 + yn+1 = yn を示し、それをzn+1の式に代入するのはエレガントなやり方だ。

zn が定数になるのは一見すると不思議だが、

(x8 – 1) = (x4 – 1) (x4 + 1) = (x2 – 1) (x4 + 1) (x2 + 1) = (x – 1) (x4 + 1) (x2 + 1) (x + 1)

が成り立つのと仕組みは同じだ。

(3)

本試験で最大の難問。

(1)や(2)の考え方をそっくりそのまま利用するので、誘導に素直に従って良い。元の数式は真数が「et + 1」という形なのでそのまま(1)を利用する事は出来ない。そこで(2)を利用して「et – 1」を作っている。

これはもし誘導が無ければ難問だ。znの様な形が定数となる事を知識として持っている必要がある。

〔6〕

(1)

z = a + bi と置いても良いが、|z|2 – 2zz + 4 = (z – 2) (z – 2) = |z – 2|2 となる事を知っていると速い。

もし誘導が無ければ、まずは与式をグラフィカルに表す事を方針とするべきだろう。

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