高校理科(物理) 筑波大学2017 (平成29)年度一般入試問題の解説

問1

物体の運動エネルギーと位置エネルギーは、同じ高さであればそれぞれ落下時も上昇時も同じである。

垂直方向の速度u, 水平方向の速度w は三角関数を用いる。

問2

利用する式としては、力学的エネルギー保存則のほかに、2ax = v2 +v02 もある。

問3

飛び出してから最高点に達するまでの距離がwt, そこから向きを変えて地上に到達するまでが1/2・gt2 なので、これらの差がR/2である。

問4

跳ね返り係数は、跳ね返った物体の速度に比例する値である。距離は速度×時間なので跳ね返り係数に比例する。したがって、放物線BDを延長して地面と交わるDではないもう一方の地点をPとすると、ePD = DE である。この解き方が最も速いだろう。

一般的な解き方は、跳ね返った直後の速さから再び着地するまでに掛かる時間を算出して水平方向の速度を掛ける。

問5

跳ね返り後の速度がeに比例し、速度は移動距離に比例するという旨の記述があるのが大事。

問6

問5で親切に「水平方向に移動する距離は衝突するごとにe倍となる」と教えてくれている。

無限等比級数を用いるが難しくはない。完全弾性体(e = 1)の場合は無限大に発散すると分かる。

もし誘導が無かったら

やはり、物体が跳ね返りを繰り返すとどう振る舞うかを検証する必要がある。跳ね返り係数は地面に垂直な方向に作用し、速度に比例するという事を理解していれば、振る舞いを想像するのは難しくない。

何はともあれ、点Dでの垂直方向と水平方向の速度求める必要がある。その為には飛び出した直後の速度を求めることになる。

問3

両極板はクーロン力により引力が発生している。この極板同士を離すと、外力が加えられ、その分の静電エネルギーUが増す。V = Ed により電位差が増し、静電エネルギーが U = 1/2・QV で表される事からも分かる。

ちなみに、スイッチを閉じた状態で極板を離すと電池に戻っていく電荷がある為に電気量は減る。開いた状態だと戻れないので変わらないのだ。

※極板同士を離すとクーロン力が弱まるので、現実には電位差は減少する。しかし極板間の距離は十分に小さいので一般的な試験問題では「一様な電場」と仮定している。

※問題文中の「引力Fに逆らって」という表現は、「極板同士を離す」という意味だけではない。極板の引力に抵抗する力を加えたときに加速度0で接近する場合も含まれるからだ。

問4

電磁気学と熱力学を組み合わせた問題。

カギは「極板間の気圧(5p0/4) = 極板の引力(Q2/2ε0S) +極板を押す大気圧(p0S)」という力の釣り合いだ。よくある真空条件ではないので、力の釣り合いには大気圧も関わっているという点に注意。

親切にも問3問題文で引力の大きさが示されているので前問が解けなくてもこれは解ける。方針が分からない場合は前の問題を参考にすると良い。

力の釣り合いの等式のうち、Qは使える記号として挙げられていないので、Q = CV に変換する。静電容量Cは極板間距離が小さくなったため、大きくなっている。

問5

コンデンサ内の空気が圧縮されて力が均衡していたのが、新たな均衡を作ったので、問4の力の釣り合いの式を利用する。これまでに算出した式を代入して未知数を消していく。

ところで「空気を含むコンデンサー全体の温度を上げた」という表現は、「外気も温めた」とも解釈できるので不適切だ。

もし誘導が無かったら

丁寧な誘導があるので解きやすいが、無ければ難問だ。東工大でも以前に出題された様だ。

条件を変わっている点に注目してみる。極板間隔が変化しているので「C = εS /d」を使うと分かる。 電池に繋がった状態で極板間隔が変わると静電容量、電気量、引力も変わるので立式しよう。温度変化によって気圧そして極板間距離に影響を及ぼすのでボイル・シャルル則も使う。

次は釣り合っている点に注目してみる。問4の様に圧力と引力の釣り合いの式が必要と分かる。引力(F = Q2/2ε0S) を立式するには問3の論証を導く必要があるが基礎的知識なので知っておくべきだ。

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