Ⅰ
初めの文章を読まなくても小問の文を読めば解けるものもあるのでセンター公民の様だ。
問2
反応式: H2 +1/2・O2 → H2O +Q
- H2 (気)を分離して2H(気)にする(-436)
- O2 (気)を分離して2O(気)する(-498/2 = -249)
- H(気)とO(気)を結合して H2O (気)にする(+463 *2 = +926)
- H2O (気)を H2O (液)にする (+44)
燃料電池の文脈での問題なので、答えが吸熱反応になっていたら誤りと気づける。
問3
問2の考え方より、水素分子と酸素分子を反応させて水を生成した際にエネルギーを取り出せる。したがって、陽極と陰極の半反応式を足し合わせると、2H2 +O2 → 2H2O という式になる事を確認できる。
問4
- 二量体は、二つの同じ分子が水素結合で纏まったものである。
- 水晶(石英)はSiO2の共有結合結晶である。水素結合は共有結合より力が遥かに弱いので不適と分かる。
- 一次構造は、アミノ酸がペプチド結合で繋がった配列順序の事。二次構造であるαヘリックス構造やβシート構造は水素結合を持つ。三次構造も一部に水素結合を持つ。
- 水素結合する元素は主にF, O, N, Clなので不適。
- 対になる核酸塩基同士が水素結合をして二重螺旋構造を形成する。
Ⅱ
大問文が長いので、各数値に下線を引くといい。
問1
「2H2S +SO2 → 3S +2H2O」となる。ちなみに「H2S +SO2 → 2S +H2 +O2」とならないのは、Ⅰ問2のように、水の方がエネルギー的に安定だからだ。
問2
(i)H2Sの物質量は1.3 *10-9 mol で、空気の物質量4.3 *10-2に比べて極めて小さいので、空気の物質量がそのまま答えとなる。
この様に、一方の物質の数値が極めて小さいので合計する必要がない場合は、どうせ合計しないのだからその数値を算出する手間を省きたい。したがって、数値が大きいと推測できる方を優先して計算し、小さい方を後から計算しつつ途中で「合計する必要はない」と判断したら計算を止めて良い。
今回は(ii)で分圧を求める為にH2Sの物質量を算出する必要がある。
問3
イオン化傾向が大きいと還元剤に、小さいと酸化剤として働く。
問4
(i)弱酸の電離平衡として考えると、二段階目の電離によって生じるH+は無視できる為、[H+] = √(CK1)が成り立つ。
問5
(i)
[H+] = √(K1K2[H2S][M2+] /Ksp)
(ii)
- ZnS: Ksp = [Zn2+][S2+] = 10-22 ( Ksp >10-22 で沈殿する)
- CuS: Ksp = [Cu2+][S2+] = 10-29 ( Ksp >10-29 で沈殿する)
(i)で求めた式に値をそれぞれ代入すると
- ZnS: [H+] = 10-4.5 (pH 4.5より大きいと沈殿)
- CuS: [H+] = 10-1 (pH 1.0より大きいと沈殿)
※この問題は「二つの液体が固体になる条件(溶解度積)の違い」に着目したものだが、「二つの気体が液体になる条件(飽和蒸気圧)の違い」で似たような問題を作れると気づいた。
Ⅲ
問1
(ii)
「穏やかに酸化」という表現が何ともあいまいだが、これは「第一級アルコールを酸化してアルデヒドにした」という操作だけに用いられる表現だ。したがってDとEは共に第一級アルコールだ。
(iii)
DとEの化学式は共にC4H10Oだ。CnH2n+2なので鎖式飽和炭化水素と分かる。構造異性体は3種類あるが、そのうち第一級アルコールは2つだ。
DとEを区別するのは、その沸点だ。Dの方が沸点が高い理由は、直鎖であり分子間力が働きやすい為だ。Eは側鎖を持っている。
問2
エステルを水と反応させる事でカルボン酸とアルコールに分離する事を加水分解と呼ぶが、水の代わりにNaOHを用いてセッケンとグリセリン(3価のアルコール)に分離する事をけん化と呼ぶ。
ここでは化合物Aはエステルが二つあるので、必要なNaOHの物質量はAの2倍だ。
問3
- (i)アルカンならば7。二重結合や三重結合を許すなら6。
- (ii)不斉炭素原子は、環式構造を持っていても調べれる。不斉炭素なのか確認したい炭素原子と結合する四つの置換基を、それぞれの炭素鎖を辿って比較するのだ。
問4
(i)
まずアセチルサリチル酸の構造を想像できるか。構造を憶えていなくても、名前に「サリチル酸」と付く化合物は安息香酸を基本構造として含んでいる事、そして文字通りアセチル基を持つ事を知っていれば作れる。
仮にアセチルサリチル酸の構造が分からなくても、無水酢酸と化合させるとアセチルサリチル酸が出来るという事は、名前からして 化合物Fはアセチル酸なのだろうと推測できる。
(ii)
NaHCO3が反応したという事は、炭酸より酸性の強い分子と弱酸遊離反応を起こしたと考えられる。「スルホン酸>カルボン酸>炭酸>フェノール」であり構成元素がC or H or O なのでカルボキシ基だ。
(iii)
化合物Bのエステルを加水分解してF, G, H が出来た。Fはカルボキシル基とヒドロキシ基を持つので、G, Hはどちらかがヒドロキシ基、もう一方がカルボキシ基を持つ。(ii)よりGがカルボキシ基を持つので、Hがカルボキシ基を持つ。
原子C, H, Oの数は、化合物G, F両者を合わせて9, 20, 3個である。3個のO原子は、化合物Gがカルボキシ基として2個、Hがヒドロキシ基として1個持っていると分かった。また、化合物GがO原子との二重結合を一つ持つ事を考えると、FとGはどちらも鎖式飽和である。
Hはヨードホルム反応(+)なのでCH3-CH(OH)-R の置換基を持つ。