〔2〕
(2)
求めるのはh(x)だが、与えられた条件は「f(-1) ≦ g(x) ≦ f(1)」という h(x) を含まない形なので、まずは h(x) を含む形に変換する。
h(-1), h(-β),h(β),h(1)から未知数p, q, rを含む連立不等式が建てられる。等号付き不等号の連立不等式から値を特定するには、「0≦a≦0」のように同じ値で挟む形に持ちこむ。
初めの操作はやはり、出来るだけ多くの未知数をキャンセル出来るような四則演算をする事がベストだろう。そして得られた数値をそれぞれの不等式に代入する。
〔3〕
(1)
与えられたan+2の式が一見複雑に見えるが、右辺のan+1を移行すると、bn+1 = 3bn2 というシンプルな式になる。複雑な式には何か意図が隠されていると見るべきだろう。anやan+1をxやyに置き換えると発見しやすくなる。
(3)
状況把握の為に、anやbnの関係性を纏めておくと良い。
一の位を求めるということは、和や積を計算する際に、それ以上の位の数値がどうなっているかを気にする必要がないという事だ。この性質を利用して、 bn の各項の一の位のみを足し合わせていく。
〔4〕
(1)相反方程式は、「係数が同じでxの次数の差がn」という関係の項の組がある場合に置き換えが使える。
相反方程式なのでt = x +1/x とおくのが王道だが、両辺にx2を掛けて因数分解しても方程式の解は得られる。ただし(2)では「4x2 -9x +4 = 0」の解が根号を含むので極値を求めるとなると計算が大変。結局はα +1/α の形を利用するとエレガントに解ける。
(3)極値が求められなくても、x = 1/2, 2の傾き、更にはx = 1の二階微分でも形は判断できる。
〔5〕
ガウス記号、区分求積法、はさみうちの原理を使う難問。
(1)
sin関数は負の値も取り得るので、「sin(πn/2N) ≧ 0」を示す記述が必要。
ガウス記号の性質として、「[x +N] = [x] +N」があり、この問題の解として[N sin(πn/2N)] +1 も [N sin(πn/2N) +1]のいずれも正しい。
(3)
0 ≦ x ≦ N なので、πx /2N を「0~π /2を動く角度」と捉える事が出来、sin (πx /2N) の取り得る範囲は「0 ≦ sin (πx /2N) ≦ 1」である。「 n/N (0 ≦ n/N ≦ 1)という形を含む関数の無限級数」 なので区分求積法を想定しよう。
区分求積法ではΣにおけるnの範囲は「0 ≦ n ≦ N -1」もしくは 「1 ≦ n ≦ N」 でなければならない。ここでは後者を選び、Σ式から”+1″を追い出している(“n = 0″ならば”Σ式 = 1″であるため)。
このままではガウス記号があるので区分求積法を使えない。そこでガウス記号の定義「n ≦ x<n+1」を利用して挟み撃ちの原理に持ち込む。これによって不等式の両端のようにガウス記号の無い形にできる。
挟み撃ちの原理で極限を施した後は不等式の両端が同じ式になっている必要があるので、事前にΣの中から”+1″を追い出して”+N”にしておく。この”N”の項は、A(N)で割って極限を施すと0になる。
これによって漸くガウス記号の無い形に持ち込めた。次は区分求積法を適用するために”1/N・Σ”の形にして積分する。
解くためのポイント
答えに辿り着くまでに構想力を必要とされ、類題を解いたことが無ければここまでの誘導があっても難しい。類題を知らなくても解けるように、以下に一般的な知識をまとめた。
- 「 n/N (0 ≦ n/N ≦ 1)という形を含む関数の無限級数」から区分求積法を連想する。
- ガウス記号を扱う問題は「n ≦ x < n+1」 の性質を利用する事がしばしばある。挟み撃ちの原理とも、ガウス記号の無い形に変形できるので相性がいい。
- 極限(特にsin やcosの極限)を扱う問題なら挟み撃ちの原理が解法として有力。
区分求積法の変換について
パスナビの解答例では、区分求積法の計算をするところで、π/2を掛けて、”sin x”をx ( 0 ≦ x ≦ 2π)で積分している。この意味を説明する。
「y = sin (π/2・x)」の場合、元々は0 ≦ x ≦ 1 の範囲を持つxを仮想的にπ/2倍する事でyを算出して、 N分割されたxとyを長方形の底辺×高さとして積を求めてN個を合計している。
これに対して「y = sin x」の場合、0 ≦ x ≦ π/2 の範囲で直接にyを算出するので、xの底辺が先ほどのものよりπ/2倍大きいのだ。 これに応じて面積も π/2倍になる。区分求積法の式で π/2を掛けているのは y = sin x を積分する為なのだ。その代わり、別のところで2/π倍して補正している。
これは置換積分と本質的に同じ操作である。その証拠にt = π/2・x とおいて置換積分すると同じ式が出てくる。ただし区分求積法の置換は一次関数しか対象にできないので原始的な手法といえる。
〔6〕
与えられたたった二つの式を最大限に解釈して解いていくまるでパズルのような問題。難しい点は無いが、解く過程の長い問題だ。
やはり図を描いてそれを確認しながら解くのが良い。初めから概略図を描いておき、解くに連れて修正していこう。
(1)
∠P5P1P2 は極座標表示で (w2 -w1) /(w5 -w1) と表せるので、(Ⅰ)の式を変形すればいい。すると±(tan a)i という実部のない複素数であると分かるので、答えはπ/2である。
同時に、P2P5 は長さ2の円の直径であると分かる。円と π/2 の組み合わせには敏感になるべきだろう。
(2)
(tan a)i をr(cos θ +i sin θ)と比較すると、θ = π/2 なので、r = tan a である。∠P5P1P2 = π/2 且つ P2P1 /P5P1 = tan a だから、 ∠P1P5P2 = a と分かる。
P1P2 = 2 sin a, P1P5 = 2 cos a なので、⊿P1P2P5 = 2(cos a)(sin a)と分かった。
残りの部分の面積も求めよう。
(Ⅱ)で与えられた式の解は、z = (√3 ±i) /2 = cos (π /6) ±i sin (π /6) だ。複素数が方程式の解として現れる。
cos (π /6) -i sin (π /6) = cos (11π /6) +i sin (11π /6) だが、11π /6 という角度はあり得ないので、これが -w4 /w2 である。w4 /w2 = -w4 /w2 * i2 なので ∠P2OP4 = 11π /6 -π = 5π /6 だ。
P1 ~P5 は反時計回りに並んでおり、OP2, OP3, OP4 の長さは1なので、∠P2OP3 = π /6 、∠P3OP4 = 2π /3 、∠P4OP5 = π /6 と分かった。
- ⊿P1P2P5 = 2(cos a)(sin a) = sin 2a
- ⊿P2OP3 = 1/4
- ⊿P3OP4 = 1/2 * 1 * 1 * sin (2π /3) = √3 /4
- ⊿P4OP5 = 1/2 * 1 * 1 * sin (π /6) = 1/4
(3)
これも、ここまで得られた情報を整理して図を描いておくと良い。
誘導が無くても、 (Ⅰ)の式から∠P5P1P2 を求めるという発想は出てき易い。 (Ⅱ)の式の解を極座標として解釈するのも大事な点。