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高校数学 東京大学2005 (平成17)年度 前期入試問題の解説

解答例

第1問

bn+1=… の漸化式を(n +1)!で割るという少し珍しい手法を使うが、項を書き出してみるとやるべき操作にすぐに気づけるので易しい大問だ。

第3問

平均値の定理を使うと気付けるか否かに掛かっている。

次のような条件に一致していれば平均値の定理を用いると判断できる。

  • 導関数についての不等式が与えられている
  • 数列が再帰的な関数によって定義されている
  • 不動点がy = x 上にある

a1は正弦定理を用いて求める。n・a1 の極限を求める際は、更にcos (π/n)をsinに置き換える必要がある。ここで注意すべきは、”極限値 -極限値”といった不定形を避けた式変形をする事。

第4問

a2 -aが隣り合う自然数の積である事を利用する。整数問題では与えられた条件の特徴を最大限に引き出して考察するのが大事だ。その点で良問だ。

第5問

問題文が不適切。「1, 2, …, N が書かれたカード」は1枚のカードに1, 2, …, Nが全て書かれているとも読める。「2回目にカードをひく」は2回目のゲームを指していると解釈するのが自然だ。出題者の国語力を疑う。

複数の文字が不等式で表されるので、電数のように格子点に帰着させるのが分かりやすい。

(1)はMath Stationの解答は誤り。

第6問

図形の形をイメージするのは困難なので、数式で機械的に処理していく。 空間図形の積分のお決まりとして、変数の一つを固定して、断面の面積をその変数で積分する。ここでは対称性を考慮してxを固定する。積分区間は面積が正の部分のみに限る。

計算が極めて煩雑で、正答に辿り着くのは困難。

高校数学 東京大学2011 (平成23)年度 前期入試問題の解説

分析

解答例

第1問

(1)複数の解法が考えられるが、三角形の面積を求めるには高さを知る必要があるので、”点と直線の距離公式”を使う。

第2問

(3)q = 1, 2…と小さい値で実験してみると仕組みが分かる。

第3問

(2)2度の置換積分や分数関数の積分を含む。計算量が多い。

(3)不定形を回避するためにlog(√(L2 +a2) -L) を分子の有理化によってlog(√(L2 +a2) +L) に変形する。

第4問

軌跡の範囲はグラフから明らかだが、α+β, α22を用いて実数解条件を作るべきだろう。

第5問

(2) (p, p)パターンとは要するに、p, sの値を動かしたときに対応する(a, b)の組の個数だから、格子点として考えると良い。文字が多くて感覚的には把握しづらいので、機械的に処理していこう。

第6問

(2)

問題文が分かり難いが、与えられた不等式がzの少なくとも一つの値で成り立つ条件を示す。そこでzを不等式で挟んで消去するという手法が使える。xyz空間上の立体をz軸平行な視点から眺めた時の領域に相当する。

“-z≦f(t)≦1 -z”と変形できるが、全ての実数tで成り立つという事は、(1)で求めたf(t)の最小値、最大値がこの不等式の範囲に収まっていることが条件となる。

(3)

状況把握が難しい。

二重積分で体積を求める。(2)でz軸垂直な領域を考察したのでこれに平行な断面で積分したくなるが、x = kの方が好ましいようだ。

高校数学 東京大学2006 (平成18)年度 前期入試問題の解説

分析

解答例

第3問

(2)

tanの3倍角を使うのが珍しい。

「どのようなθに対しても~」という条件は、「全てのθで方程式が成立する」という意味だ。ここではθとpのみで方程式を作るのは困難なので、tan (θ /3) = -1 /α と(1)で得た式を利用して、αとpのみの方程式 を作り評価する。pの値を求めれば、自動的に条件を満たす点Pが存在する事を示したことになる。

第4問

(3)は(2)が解けなくても、「無数に存在する」という証明以外の答えは書ける。

第5問

(2)

式の形を見ると区分求積法を使いたくなるが、anやbnの一般項を作るのは難しそうだ。そこで(1)がヒントであると考え、不等式で評価してみよう。”a1 +a2 +… an“を直接計算する事は出来ないが、”1/1 +1/2 + …+1/n”なら区分求積法を使える。

(3)

様々な解法が考えられるが、bn の漸化式にan が含まれることに着目したMath Stationの解法が自然だ。こうする事で(2)の結果を利用できる。

第6問

(1)「実数全体を定義域とする」事を示すので、x→∞とした時にf(x) = ∞となる事も示す必要がある。

(2)逆関数の積分を知っていれば難しくないが、f(x)の積分区間を特定した後も置換積分、分数関数の積分など作業は多い。

高校数学 東京大学2007 (平成19)年度 前期入試問題の解説

分析

解答例

第1問

とりあえずP(x)や(1 +x)k P(x)を題意の通りに多項式で表してみると方針が立てやすい。

何について数学的帰納法を用いるかが迷うが、りるらるのようにkについて示すのが楽だ。係数について示す場合は二項定理を用いるが、文字が多くて煩雑だ。

第2問

a1は正弦定理を用いて求める。n・a1 の極限を求める際は、更にcos (π/n)をsinに置き換える必要がある。ここで注意すべきは、”極限値 -極限値”といった不定形を避けた式変形をする事。

第3問

P(p, p2), Q(q, q2) として、a, bをp, qで表す。範囲を求めるのだから、p, qの定義域に求めた方程式を代入することでbの動く範囲が分かる。

まともに論証すると手間が掛かる。そこで視覚的に考察して、Pを(1, 1)に固定してQを動かした場合と、Qを(1, 1)に固定してPを動かした場合の軌跡を調べる事で外郭が分かる。内部に空洞が無いのは直感的に分かるので領域が分かる。特に(2)は図を描けとだけ指示されているので、雑な論証でも図が正しければ満点だ。

第5問

m = 0, nといった極端な数値を代入する事で、検算と例外チェックが出来る。(3)は1回目と2回目の試行で組み合わせを表にすれば良い。

第6問

台形近似の有名な問題で、対数の値を有理式で評価するという趣旨。

まず(1)で不等式が成り立つことを証明する。(2)では(a +x) /(a -x) = 2 ⇔ a = 3xのときにlog 2が得られるからそれを代入すると評価が甘いから工夫してみせろ、という出題意図。

2ではなく√2とすることで解決するのだが、流石に思いつかない。高校数学物語のように、台形を細かくしていくのが自然な発想だろうが、それでもかなり習熟していないと思いつかない。中辺と右辺を見て平均値の定理に持って行ってしまうミスリードもある。

まずこの不等式が台形近似を表していると見抜く必要があるが、それが難しい。積分関数が有理関数で挟まれていることから見抜こう。

高校数学 東京大学2008 (平成20)年度 前期入試問題の解説

分析

解答例

第2問

Math Stationが分かりやすい。樹形図でフローを確認すると、単純な反復があるのでこれをnを含む指数関数とする。最後に、同色となるフローの確率を掛ける。(1)ではn が奇数のとき、(2)では偶数のときに確率0になるのは最低でも記述しよう。

第3問

G1G2の距離も(1)の考察から得られる。

回転体の両端の円の半径が1 /√3 になるのは分かるが、その間の半径が複雑で一次関数的な単純な変化ではない。複雑な図形の回転体の半径を定める上でベクトルを使うのはお決まりだ。

Math Stationの様に媒介変数を使って体積を求めて幅を補正するのは計算は楽だがミスしやすい。東進のようにz座標に変換して計算する方が考慮すべき事が少ない。ちなみに、媒介変数の値域は1だが正八面体の一辺の長さも1なので、斜回転体のようにスケール変換は不要。

第5問

(1)「全ての整数mについて成り立つ」ことを証明せよという問題なので、数学的帰納法を使おう。

(2)十分条件は(1)で示された。必要条件は、「nが27の倍数以外なら成り立たない」と言い換えれる。Math Station の証明が分かりやすい。

第6問

レムニスケートのような媒介変数表示の曲線の面積を求める。増減表やグラフを描くことは求められてないので、時間を節約するために手抜くのがコツ。面積を求めるだけなら、”x座標が折り返す点”と”自己交差点”を把握すれば十分。

同じ積分関数を区間を変えて繰り返し算出するが、Math Stationのように積分区間を反転させる事で[0, π] +[2π, π]に纏めれる。尤も、グラフの概形からこれは必然的であり、時短の為に直接こうやって算出できるようになっておこう。

数学 東京工業大学2006 2007 2008 2009 2010 2011 後期入試問題の解説

2006

解答例

第1問

(1)P’における楕円の接線とltが平行となるときのPがPt であるのはほぼ自明だが、制限時間を考慮すると証明すべきだろう。

(3)y軸周りの回転体なので、π∫x2dyという形式になる。

2008

解答例

第1問

(1)

色んな解法が考えられるようだ。文字が入り乱れて分かり難いので青空学園のように文字を纏めると良いだろう。a1とa2の大小関係を利用して項を置き換える。

(2)

数学的帰納法を使い、(1)と同じ手法を適用する。文字だらけなのが難しくしている。

第2問

絶対値付き三角関数の積分の極限。前期1989年度第4問の類題である。

絶対値付き積分では、まず絶対値を外して区間を分けるのが王道だ。CFVではその解き方を紹介している。しかし図形的に考察して、Math Stationのように似た図形の面積で挟むのがセンスが良いし、計算量も少なくて済む。

積分の極限では、グラフの概形を描いてみて、そのグラフに似た形で積分しやすい関数を探してみることが大事だ。

2009

解答例

第1問

方針をどう決めるかに全てが懸かっていると言って良い。

「点(X, Y ,0)が球の影に含まれる」という条件を、「点Cを通る直線と球が共有点を持つ」と言い換えて方程式として解くのが良い。直線を媒介変数tを用いてベクトル方程式で表し、tの実数解条件に落とし込むのだ。

2010

解答例

第1問

(1)複雑な漸化式が出てくるが、連立漸化式によりシンプルになる。

(2)極限の概念の理解を問う良問だ。しかも解いていて楽しい。 場合分けを丁寧に記述するのは大変そう。

第2問

(1) (2)の内容を見越して二階微分までして増減表を作ろう。

(4) 綺麗な答えにならないが、S(1) = 0によって検算できる。

2011

解答例

第1問

(1)Math Station のように四面体の体積を2通りで示す。その方法の他、平面ABCをx/t +y +z = 1として球Pの中心(r, r, r)との距離を求める方法もある。その際は平面ABCから飛び出した球の半径も解として出てくるので注意。

(2)r3 の展開が煩雑そうで気が滅入るが、展開せずそのままtで微分してしまおう(それでも煩雑だが)。東工大の最大最小問題でよくある事だが、対称性のあるt = 1で解を得られるので、答えだけ書いてしまう手もある。

第2問

典型的だが難しめの積分・極限の問題。

(1)cos-3 θ をいかに積分するかがカギだ。分数形式の積分では、分子に分母の微分形が出てくるようにするのが基本だが、分子の次数は1次である事が必要なので、分母分子にcosを掛けて分母を変形する。その後も計算量は膨大だ。

(2) 分母・分子が対数関数で極限を取れない「商の不定形」だ。この場合は、この分数から定数を抜き出して、残った関数の極限値が0に収束するようにすればよい。

数学 東京工業大学 1996 1997 1998 1999 2000 後期入試問題の解説

1996

解答例

第1問

(2)軌跡の方程式はx, yで記述するわけだが、θの範囲が指定されているのでxの範囲も示す必要がある。

1997

第1問

2x = tan θの置換積分をするが、積分区間のx = aの置換では2a = tan αと文字の仮置きをする。

第2問

確率漸化式の問題。Xn がA, B, C, Dにある時は「Oにある時の余事象」として扱えるので、対称性に着目する事でA, B, C, Dにある時の漸化式を作る必要がない。よって一つの漸化式を解けば良いので簡単だ。

1998

第1問

指数aを含む式と指数bを含む式の積の極限。指数aを含む式は無限級数と極限のコラボだから、区分求積法を使おう。すると指数aを含む式が収束すると分かる。分母が”1 -a”となるのでa = 1を例外処理するとlog 2となる。

指数aを含む式は0以外の値に常に収束すると分かったので、次は指数bを含む式を調べる。lim(n→∞)n1-a-b が収束すれば良いのだが、lim(n→∞)n0 = 1としてよい。

第2問

2018年度第4問が類題。

(1)

問題文中に「楕円の方程式」と書かれているので、曲線が楕円となる事は前提として解いてよいだろう。

楕円となる事の証明はMath Stationに掲載されている。Cがl1からの距離が1であることに注目してベクトルで方程式を作り、z = 0を代入している。

(2)

Cは内部を含まないものとして定義されているので、Rは領域内部に空洞ができる。勘違いで内部を含むとして解いてしまった人もいるだろう。

回転体の断面を考察するのが自然な発想だが、空間認識力を要する。z = kに於ける空洞とz軸との距離は、(1)で求めた楕円形との距離に等しいと分かる。(1)はやたらと簡単だったが、重要なヒントになっていたのだ。 この距離は平方完成で最小値を求めるが、同じ手法を2018年度第4問でも使う。

1999

解答例

第1問

挟み撃ちの原理に持ち込む事を狙って被積分関数を”sin2 nx”や”1 /(1 +x)”で挟んでみても上手くいかない。

そこで、「”sin nx”や”cos nx”を積分すれば”1/n”が得られてn→∞により0に収束させられる」という発想が必要になる。感覚的には「三角関数が1乗なら、周期性によりsin nxやcos nx をn→∞としたときに積分結果が0になる」と言い換えた方が腑に落ちやすいだろう。

極限の問題では、対数関数から定数を絞り出して極限を取ると対数関数を0にできるというテクニックがあるが、その積分関数バージョンといった感じだ。よっぽど数学に精通してないと解けないだろう。

2000

解答例

第1問

(1)からf(x)がx = -a でx軸と共有点を持つのが確定したので、これを土台にして a≧0 とa <0で場合分けしていく。a≧0のときは極小値が非負であればよいが、f'(x) = 0の解をf(x)に代入して極小値を求めるのは煩雑なので、平方完成が良い。

第2問

(2)

xy座標系を用意して、伸開線(インボリュート曲線)の回転体積として扱う。これを丁寧に記述すると手間が掛かるし解答用紙の余白が無くなるのでグラフで図示すれば良いだろう。

主な媒介変数表示の曲線でよくある「出っ張り」をθで置換する事で上手く処理できる。実はこの図形に出っ張りがある事に気付かなくても正しい答えに辿り着けてしまう。

置換した後は、途中計算で(1)を使うために各項に含まれる三角関数をsinまたはcosのみに纏めて、3倍角の公式で次数を1にする。3倍角の公式は媒介変数表示の問題でよく使うので憶えておこう。 計算量が多く解答用紙の余白もギリギリだ。

高校数学 東京工業大学2001 2002 2003 2004 2005年度 後期入試問題の解説

2001

第1問

三角関数の周期性と、正接関数が-π/2 < θ < π/2 で単調増加である性質を背景とした問題。その背景を見抜いて前述の不等式の形を作ることが必要で、それに気付かず試行錯誤しても時間の無駄となる。

第2問

この手の問題で三平方の定理を使って計算したら負けだ。(1)では直交条件をベクトルで計算する。(2)はA0B0とx軸が垂直なのが分かったので図形的に考察して正弦定理を使う。

2002

第1問

(2)が難しい。

まず、(1)で得た等式を積分するという事に気づく必要がある。(2)の不等式で分母に”2k +1″が含まれるという事はx2k が積分された事の痕跡だ。

更に右辺を不等式で置き換える。分数関数の積分は困難なので置き換えられるように問題が作られていることは多い。

第2問

三角関数の微分は複雑になるので置換する。

2003

第1問

2004

どちらの大問も発想力が必要。

第1問

「モンモールの問題」として有名。解法を知ってないと自力で思い付くのは難しい。

第2問

(2)

C1とC2を連立して対数を取ると文字が対称的な式が出来る。この対称性に着目して、xの関数とnの関数を分離するとよい。この後は「eπとπeの大小比較」という有名問題と同じ解法を用いる。

(3)

(2)と同じようにxとnの関数を分離して極限を取れば、(log x) / x = 0 が必要だと分かる。

但し、対数を取る操作によりx座標の範囲が正のみに限定されてしまったので、C2をy軸対称な図形に置き換える事が必要。ここでセンスが問われる。

2005

第1問

(1)

0 < r < 1 のときのlim (n→∞) nrn が0に収束することを証明するには、二項定理の「指数関数を多項式で近似できる」という性質を用いる。n2rnは項数を増やして近似の精度を上げればよい。

これは知っていないと思いつかないだろう。(2)より正解率は低そう。

(2)

(1)では”0 < r < 1″の条件が与えられているので紛らわしいが、rの値で場合分けが必要。

第2問

(1)

多変数関数の最小値を求める問題なので、平方完成や加法定理を用いて最小値となる条件を求める。

まともに論証しようとすると大変だが、AとBの半径が等しいときに面積最小となるのは容易に予想が付く。なので答えだけでも書いておこう。

(2)

微分をしたら沼に嵌る。分母と分子のどちらかを定数にするテクニックを使おう。

高校数学 東京工業大学1990 1991 1992 1993 1994 1995 後期入試問題の解説

1990

後期日程が初めて施行されたのがこの年度だが、どちらの問題も欠陥がある。

解答例

第1問

まず、「負数の四捨五入」の定義で迷うが、コンセンサスと言えるものはないので欠陥のある問題という事になる。

四捨五入はガウス記号(床関数)の振舞いとは異なるが、ガウス記号と同じように不等式を使って論証できる。それ以外の方法としてグラフを使った論証も可能。

第2問

チェビシェフ多項式がテーマの超難問。類題の経験が無いと歯が立たない。

(1)から論証が大変だ。Pk(x)とQk(x)はそれぞれ、nが増えるごとに符号が入れ替わる。それを示す事でPk+1(x)にはk次、Qk+1(x)にはk+1次の項があると示せるのだが、二つの数学的帰納法を並行して論証するので複雑なのだ。

(2)は問題文に欠陥があり、「Pn(x)は(1)の与式を満たす」という説明が必要だった。その説明があったとしても、「与式の解はx = sin2(kπ/2n)である」という事に着目して(1)の式を利用する必要があるので難しい。

(3)次は「与式= “(2)の与式の展開式におけるxの係数” ×(-1)」である事を見抜く。更に「チェビシェフ多項式がテーマなら漸化式を作ってみる」という知識が必要。

1991

解答例

第2問

答えがπ /6になるのは予想できる。どこを詳しく論証してやれば良いのか迷う問題だ。

東工大だし出題者は微分を使って論証させたいのだろうが、微分を使わなくても説得力のある論証はできる。微分を使わなかった場合にどの程度の得点になるか分からないので、使うのが望ましい。

微分を用いるならば、Pを動かしたときのθの変化を調べたいので、x軸とOPとの角度αを設定して、内積の定義を用いてcos θの関数を作る。

1992

解答例

第2問

Mathematics Monsterでは行列を用いて説明されているが、複素数平面で複素数列の問題としても解ける。

1993

解答例

第1問

空間上斜軸の回転体の体積を求める。問題内容はシンプルだが、方針建てを全てやり、空間認識も必要なので難しい。

立方体をxyz座標系に置き、回転軸を新たな座標軸wとして考え、w軸上の点P(t, t, t)を設定する。このときw = √3・tである。

回転体の半径がwによって刻々と変わるので、”w軸に垂直な平面αと立方体の辺の交点Q”を設定し、PQの関数を求める。αの方程式は、w軸がベクトル(1, 1, 1)で表せてαが(t, t, t)を通るから、1・(x -t) +1・(y -t) +1・(z -t) = 0となる。

半径を求めたら積分するが、半径がxyz座標系で記述されているのに対して回転軸はw軸なのでスケールが異なる。よってw = √3・t で置換積分する。

1994

解答例

第1問

関数方程式の問題。

f(x)が連続という事はF(x)が常に微分可能である事を示しているが、F(x)は絶対値を含む項を持つので、aやbが取り得る値が限定される。

絶対値と来たら場合分けだ。F(x)は絶対値を含む事からx≧bとx≦bで別の関数が得られる。f(x)が連続なのだからF'(b)はどちらも同じ値になる必要がある。

後は(ii)と(iii)を使って定数を確定させる。(ii)はx = 1における情報だから、x≧0の場合の関数にしか代入できないので注意。

第2問

数学的帰納法で示せるが、一筋縄ではいかない様になっている。その解法はMathematics Monsterで紹介されている。nが小さい場合で実験してみると、(2 -√3)n = √(an2) -√(3bn2) となることに気付く。そこで全てのnについて an2 -3bn2 = 1を満たす an, bnが存在する事を示す。

別の解法として、式の形から共役無理数の積を思い付ければ筋が良い。Math Station のように二項定理を使う事で (2 -√3)n = √(an2) -√(3bn2) が示せるが、ここまで辿り着くのも大変なので数学的帰納法が楽だ。

1995

解答例

第1問

空間認識が必要なので題意が把握しにくいが、理解すれば簡単。

第2問

準円とパップスギュルダン定理を既知とする事で、この大問は全ての小問を合わせて3分で答えを出す事が可能だが、それでは方程式や微積の扱い方を測れないので、半分以下の点数になるだろう。

(1)

楕円の準円の方程式を求める。これにはお決まりの解法があり、接線の傾きをmとして楕円と連立してmの二次方程式を作り、二つの解の積が-1となる事と”解と係数の関係”を利用してエレガントに解く。

前期1990、2002年度でも登場している。Pの軌跡が準円となることを既知とすれば瞬殺できる。

(2)

前期2011年度が類題。

[円の回転体] -[楕円の回転体]として体積を求めるが、「∫π(2a +x)2dy -∫π(2a -x)2dy 」という風に回転体の空洞部を除く。その後は積分関数が円や楕円の面積に等しい事を示せば積分計算する必要がない…これはパップスギュルダン定理と実質的に同じことをしているが確実に得点する為のテクニックだ。

高校数学 東京工業大学1993 (平成5)年度 前期入試問題の解説

解答例

第4問を除けば簡単なので全体的には簡単な年度だった。

第1問

「比がkによらない」とは「全てのkについて比が一定となる」という意味。

kとq, そしてkとbの値の大小によっては面積が負になることもあるので絶対値を付けておいた方が良い。

第2問

(2)三角関数にnが含まれるので、積分漸化式を想定しよう。解がπ /2と分かっているのが強力なヒントであり、解がnによらない事が分かる。つまり、与式をInとおくと、In = In-1なのが読み取れるのでこれを示せばよい。

第3問

珍しく小問が4つもある。小問一つ一つは難しくないが、全体として計算量は多いので精確さと効率性が試される。

(1)4次の解と係数の関係「α +β +γ +δ = −b /a」と「αβγδ = e /a」を使えば瞬殺。

(2)Pが変曲点ある場合にPはQやRと一致するから、与式を二階微分して範囲を求めるのが速い。しかしこれは裏技的なので、α < t < βと必要十分となる不等式(t -α)(t -β) < 0を解くのが王道。

(3)L2を整理していく。”β -α”は根号を持つので、後の事を考えるとこれが出てこない形に整理したい。α = βのときはL = 0となるから、(β -α)2 で因数分解できるはずだ。

(4)あとはtで微分するだけだが、少し工夫する。L2はよく見るとt2の多項式であり、(t2 -a)2 の微分が面倒くさそうなので、s = t2 -a としよう。

第4問

整数の難問として有名な問題。配点が30点と小さかったのもあってか、正解率は非常に低かった。2008年度のAOでも再び出題されたことでも話題になった。

最高次数項の係数が等しいn次の多項式同士の差は(高々)n -1次多項式となるのを利用して帰納法で証明する。発想としては自然なので、世間で言われているほどの難問ではない。

数学的帰納法を使う事を宣言すれば1/3の点数が与えられたという噂がある。n = 1の場合に成立する事も示しておこう。