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高校数学 東京工業大学1983 (昭和58)年度 前期入試問題の解説

解答例

第1問

(1)Math Stationの解法以外に、相加相乗平均を利用する解法もある。与式を変形して1/|m2n1 -m1n2|≦m1 /2m2 +m2 /2m1 とする。相加相乗平均により1≦(右辺)なので、(左辺)≦1を示せば良い。これを変形した不等式1≦|m2n1 -m1n2|について、(m1, m2)と(n1, n2)はいずれも互いに素だから正しい。

(2)は、nを偶奇で場合分けして極限計算するだけのとても易しい問題。(1)の方が難しい。

第2問

通過領域の典型問題。tの方程式に変形して、放物線の軸t = yを動かして実数解条件を求める。

図は大きめに描かないと、円と放物線の間の部分が細かくて図示しにくい。

第4問

F’ はcos 3θの関数で表されるが、cos 3θ のまま増減表を書くとcos 3θ = -1のときに極大であると勘違いする。θが0→π/2と動くとき、cos 3θ は1→-1→0と動くからだ。単調関数であるかの確認の重要性を気づかせてくれる。

第5問

面積は全体を積分で求めるのではなく、双曲線が関わる1≦x≦3tの部分のみ積分して残りは三角形または台形の面積公式を使った方が楽だ。

高校数学 東京工業大学1984 (昭和59)年度 前期入試問題の解説

微積を用いる第4, 5問は易しい。

解答例

第1問

整数の難問。昔の東工大は整数問題をよく出題していたが、これは特に難しい。もう少し誘導を付けても良かったと思う。

(2)

まずは、”素数の整数乗” = a3 +b3 = cd に気づかなれば何も始まらない。そして、様々な必要条件で絞り込んでいく。

まずは(1)で与えられている不等式を弄らずにそのまま当てはめよう。

次に”解と係数の関係”を用いるが、これは思いつきにくい。「(a, b)の組み合わせを求める」というゴールを常に意識しておけば思いつきやすいかな。

ところで、整数問題では実験が大事だ。a, bに小さい数を当てはめて実験しているうちに、解の一部である(a, b) = (2m-1, 2m-1)に気付ける。十分性を示すことで部分点を得られるだろう。

第2問

与えられた条件を、x, y ,z≦n/2 に変換するのがポイント。x, y, zにはこの上限が与えられているので、その範囲で数値を動かしてカウントしていく。

第3問

双曲線の接線に関する有名性質が題材。面積はサラスの公式を用いる。

高校数学 東京工業大学1985 (昭和60)年度 前期入試問題の解説

解答例

第1問

これはペル方程式が背景となっており、与えられた条件が複素数の性質に似ている。 ペル方程式の知識が無いと取り組みにくい。

Math Stationの(2)の解答は「gn ∈ G」を証明したものであって、正しい証明になっていない。

(3)は「u0 = 1 ∈ G」 であることを利用して数学的帰納法を用いても証明できる。

第2問

東工大らしさが感じられる問題。

(1)直方体を描いてみて、平面を想像で動かしてみよう。

(2)微分可能であるかを検証するには、t = 1, 3/2 において「関数が連続」且つ「傾きが一意」であることを調べればよい。傾きが一意であることを示すには導関数の定義を利用する必要がある。導関数f'(x)は利用できない…それはf(x)が微分可能であることが前提の関数だからだ。

第3問

これも東工大らしさが感じられる問題。

(2)微分して最大値を求める。根号を含む式の微分は面倒なので、√a = u として多項式に置き換えよう。

第4問

簡単な微分方程式の問題。対数微分法の逆の操作をする。

第5問

標準的な難易度の確率問題。A, Bどちらのルールでも期待値は等しくなるのが面白い。

高校数学 東京工業大学1986 (昭和61)年度 前期入試問題の解説

全体的には易しい。

解答例

第1問

これは有名な問題で、スタディサプリでも題材になっている。

a1とa2を調べることで答えが7であると予想できる。整数や数列の問題は実験してみることが大事だ。

第3問

本年度の最難問。2つの面積の比 k が一定であることを立式した後にどう変形するかでセンスが問われる。

①式の左辺は原始関数Fを用いてF(x) -F(a)と表せる。そして右辺に含まれている”x-a”に着目して、微分係数の形に変形する。ここでx→a とするとk = 1が必要条件だと分かるので、十分性も示せば完了。f(x) = -x -2 が解であることは容易に予想できるので、その結論に議論を誘導していくわけだ。

別解

f(x)がどんな関数であっても、x→0 やa→1とした場合に明らかにk = 1しか成り立たない。ということはk = 1を満たすf(x)が唯一の解だ。よって f(x) = -x -2 である。

これは少し論証が甘いが、部分点は得られるだろう。

第5問

アステロイド曲線のような曲線で作られる領域の面積。ベータ関数に似た結果が得られる。最も難しい小問は(2)であり、(3)は(2)が解けなくてもその結果を利用して解ける。

(2)

まずyについて解いて積分する方針は(1)と同じだが、t = -x1/m+1 と置換する。このtの式をそのまま両辺微分するとxの式が残ってうまく行かないので、xで解き直してから両辺を微分する。

高校数学 東京工業大学1987 (昭和62)年度 前期入試問題の解説

全体的に易しい。

解答例

第1問

実数解の具体値ではなく範囲を求めれば良いので、グラフの概形を調べる。

与式 = f(x) として、x = -1, 0付近におけるf(x)の傾きや正負を調べる。

解と係数の関係を用いる方法もある。αβγ < 0 より、実数解の1つまたは3つが負である。解が1つであるとすればf”(0) < 0 のはずだが、実際は f”(0) = 2a > 0 なので矛盾する。よって 実数解は全て負であり、-1 < α +β +γ < 0 より -1 < α, β, γ < 0 となる。

何れにせよ非常に易しい問題。

第4問

(1)問題文に「曲線Cがx軸に接している」と示されているので、a = 1/eを代入して実際に接しているか(十分条件)を調べる必要はない。

(2)xがtに対して単調であることなどを示さないとグラフの概形は描けない。

第5問

(1)「k, l = 1, 2, … n-1」という表現はあまり見かけないので勘違いし易いが、k = l ではなく独立に動く。

基本的な場合の数・確率の問題。

高校数学 東京工業大学1988 (昭和63)年度 前期入試問題の解説

解答例

第1問

この漸化式は、累乗の項(an-12)が存在するので典型的な解法は使えなさそうだ。累乗の項がある漸化式には対数をとるという手法があるが、それも1/n2 のせいで上手くいかない。

こういう時は、項の値を計算して性質を調べよう。すると “0 < an-1 /n < 1″が成り立つと気づく。極限と不等式と来たら挟み撃ちの原理だ。

別解: 不動点に着目する

いわゆる特性方程式を使って不動点を探ってみよう。この特性方程式の解はnを含む形になるが、分子の有理化を施したうえでn→∞とすると、解は1, ∞となる。∞は帰納法を使って不適と分かる。

そこで “bn = an -1″と置いて漸化式を書き直すと、 bn = {(bn-1 +1) /n}2 となるので b = 0 が得られる。

第3問

三角関数と円の共有点という、手がかりの得にくい難問だが、問われているのが共有点の座標ではなく個数である事が大事。方程式の解の個数の問題と分かれば、2つの方程式を連立してxで微分する方法が見える。

微分法って便利だね。

第5問

非常に短い問題文であるにも関わらず発想を要するところが面白く、有名な問題だ。

対数を取った上で区分求積法に持ち込むのだが、類題の経験が無いとさすがに分からないだろう。これを思い付きさえすれば、計算は簡単。

高校数学 東京大学2003 (平成15)年度 前期入試問題の解説

解答例

第1問

問題文からは難しそうに感じるが、問題をわざと複雑に見せたコケオドシだ。

条件Aを適用すると変数がaの一つだけになる。放物線同士が交点を持つか否かの判定をしていくが、二つの放物線の式を連立してg(x)として「-1≦x≦1においてg(x)≧0となるか」に落とし込むと格段にやりやすい。そしてaの値で場合分けしていく。

第2問

複素数平面。

(1)

Pは複雑な式で表されているが、角度を求めるために公式(α -z)/ (β -z)に当てはめて計算すると、45°で一定と分かる。角度が一定という事は、円周角の定理より、P, A, Bは同一円周上にあると分かる。さらに、t = 3のとき点Pは0だからこの円は原点を通る。

(2)

(1)で考察した図形的な解法のほか、絶対値を求めて微分する方法もある。

第3問

(1)

共通部分の面積は、「扇形A +扇形B -重複部分の三角形」で求めると速い。(2)で積分することになるので、三角関数を半角の公式で次数下げしよう。するとシンプルな式になる。

(2)

面倒な積分計算だが、工夫次第で手間と時間を節約できる。三角関数同士の積を見たら加法定理の逆を想定しよう。

第4問

整数と数列の融合。

(2)がやたら簡単なので(3)への布石であると分かる。「snが整数」「|βn| < 1」を確認した事で、αの数値を直接求めるのではなくsn を求めるのだと分かる。そこで(1)で得た漸化式とs1, s2, s3を用いて規則性を調べる。

第5問

確率の問題を全てクリアしないと極限の問題にたどり着けない。

(3)

そのままn→∞とすると、対数関数内が0になるので-∞/∞の不定形になる。

そこで対数関数の極限で定番の「定数の絞り出し」を行い、対数関数内が1になるようにすれば収束する。ここでは、対数関数内の各々の指数関数項の底を比べて、最も大きいものを絞り出す。

1992年度第1問でもこの手法を用いる。

第6問

随分とシンプルな問題文だ。当時の教育問題に絡んで有名な一題である。円に内接する正多角形を考察するのが自然で、正8角形や正12角形で証明できる。

高校数学 東京大学2000 (平成12)年度 前期入試問題の解説

解答例

第1問

最大値を求めるという問題なので、微分法が使える方針を取ろう。

xy平面上に配置して考えていく。楕円の中心を原点に置いて直角三角形を変化させるのが自然な発想だが、数学的センスのない(0, b)に置くという方針を取るのが正解。センスが良いと上手くいかないので悪問だ。

第3問

設定はよく分からないが、指示通りに計算するだけでよい。結局、最後までこの問題が意味するものはよく分からない。裏を返せば、設定の解釈は後回しにして解き進めるのが効率的という事だ。

第4問

「ぶつかる」とは即ち共有点を持つという事。難問だが、実用性が感じられて面白い。(1)ではグラフでの考察以外の解法も考えられるが、(2)を読むと周期性を考慮する必要があるので、グラフで解いていくのが出題意図と分かる。

第5問

2000番目が4桁なのはほぼ自明だが記述しよう。

高校数学 東京大学2009 (平成21)年度 前期入試問題の解説

解答例

第3問

(1, 2)玉が出た順番は考慮する必要がないので、玉の配置の組み合わせに帰着させる。

(3) 「1つの玉は4回出て、残りは2回ずつ出る」と「 2つの玉は3回ずつ出て、残りは2回ずつ出る 」は排反なので、これで場合分けする。

第5問

(2)東大なので、(1)の不等式をそのまま使わせてはくれない。不等式がシンプルになる方向で試行錯誤すると辿り着ける。

高校数学 東京大学2001 (平成13)年度 前期入試問題の解説

解答例

第2問

xを含む項とyを含む項を分離する事でyを含む項を定数扱いし、再帰的に代入するのが積分方程式の常道。解答例では行列が用いられているが、使わなくても解ける。

第4問

(2)

数学的帰納法を使おう。(1)で円の方程式を得たので、bnの漸化式を作って方程式に当てはめる。方程式を2乗する方法の他、アポロニウスの円として考える方法もある。