中小企業診断士 一次試験 令和三(2021)年度 「G 中小企業経営・政策」の解説

G 中小企業経営・中小企業政策

問題(PDF), 解答(PDF)

第2問

第1問と同じく、「企業規模の大きさと構成比は反比例する」という知識を用いれば(ウ)または(エ)に絞れる。(ウ)の「非製造業は中小企業数全体の約8割」は「製造業は中小企業数全体の約2割」と言い換えられるが、製造業がそんなに多いはずがない。

中小企業白書の産業別規模別企業数(2016)によると以下の通り。

  • 業種別の企業数ランキング: 小売業(62万)、宿泊・飲食サービス業(51万)、建設業(43万)、製造業(38万)
  • 従業員数ランキング: 製造業(620万)、小売業(450万)、宿泊・飲食サービス業(360万)、建設業(320万)。

製造業は労働集約型産業であることが分かる。

第3問

小規模企業白書(2020)を参照。

資本装備率=有形固定資産/従業員数

固定資産には機械設備も含まれるため、自動化がどの程度進んでいるかの指標にもなる。中小企業は大企業に比べて自動化が進んでいない(分子が小さい)ため資本装備率が低い。

製造業は第2問でも解説したように労働集約型産業なので従業員が比較的多い(分母が大きい)ため、非製造業より資本装備率が小さくなる。

第4問

第1問で解説したように「企業規模の大きさと構成比は反比例する」ので、「企業規模が中企業と大企業との境界付近にある企業」より「企業規模が小企業と中企業との境界付近にある企業」の方が遥かに多いと推測できる。

第5問

本問で問われている「労働生産性の格差」とは倍率ではなく差分を指しているので、労働生産性が高い業種ほど格差も大きいと推測できる。実際、労働生産性が高い業種順に並べると正解となる。

建設業は労働生産性が低いのが常識なのだが、小規模企業白書の2020年度版2022年度版によると建設業が全ての企業規模において、製造業はおろか情報通信業すらも上回っているという驚きの統計がある。統計手法の違いによるものと考えられるが詳しくは分からないので、「建設業は労働生産性が高い」と暗記するしかない。

第6問

中小企業白書(2020)

営業純益=営業利益-⽀払利息等

付加価値額=営業利益+⼈件費(役員給与・賞与+従業員給与・賞与+福利厚⽣費)+動産・不動産賃借料+租税公課

労働分配率が高ければ給与が高いというわけではない。「労働分配率=人件費/付加価値額」なので付加価値額が比較的低い中小企業は労働分配率が高くなりやすい。

第7問

グラフを見ると分かるように、どの回答項目も2007年度と2017年度とで差がほとんどない。特に「既存事業部門の売上増大」の減少幅は1割にも満たない。こんな統計を問題にするとは出題者は無能である。

本問を解くカギは「設備投資を抑制している理由」にある。近年は日本経済の期待成長率が低く、中小企業は後継者問題を抱えているため、設備投資に対して保守的になるのだ。

本問は二つの回答項目の組み合わせを選ばせる形式だが、単一回答形式なので片方が「増加」ならもう片方は「減少」である確率が高い。

ちなみに、企業の設備投資額の推移(内閣府)を見ると分かるように、バブル崩壊とリーマンショック発生時に設備投資額が落ち込んでいる(特に大企業)。設備投資額は景気に連動しているのである。2013年から増加傾向なのは、アベノミクスによる金利低下が要因だろう。

第9問

アベノミクスによる金利低下は貸出残高の増加をももたらしている。

第11問

ここでは大企業全体と中小企業全体を比較している。後者の方が規模は圧倒的に大きいので、出願件数もすべて中小企業が上回っていそうだが、特許出願件数は大企業が8割を占める。

中小企業が特許出願を最小限にとどめ、営業秘密として保護する理由として「技術流出する恐れ」、「費用が高い」が挙げられている。

第12問

中小企業における知的財産権別使用率は、特許権75.3%、実用新案権80.7%、商標権85.9%であり、大差はない。使用するために必要とされる技術開発や投資が大きい知的財産権ほど使用率が低くなっており、中小企業特有の事情が反映されている。

第13問

企画分野が外部連携するというのはイメージしにくい。

第14問

2020年版中小企業白書

情報通信業は受託事業者の割合が圧倒的に高い。これはシステム開発、ウェブサイト制作、アプリ開発などが他業種に広く必要とされるからだ。

第15問

設問1

小規模企業白書

中小企業の平均従業員数は10人程度なので、事業規模拡大に伴って時間的・人的資源がボトルネックになるのは想像しやすい。

新事業を金銭面で補助するのが補助金なので、補助金を受給してもなお資金不足の状態にあるというのは考えにくい。

設問2

事業パートナーとはコンサルタントのことだろうか?そうであれば、「事業パートナーとのマッチング支援」と「補助事業に係る取組の継続に向けた総合的なアドバイス・指導」は似た項目であるので、そもそもこのアンケートが不適切である。

この問題を攻略する鍵は「アンケートが複数回答形式であること」である。複数回答なので、多くの企業が消極的にでも同意できる項目が選ばれやすい。その観点から、「補助事業で開発した製品・技術を普及させるための展示会等への出展・開催支援」は三つの支援内容のうち最下位だと判断できる。なぜなら補助事業の生産物が無形物であれば出展できないからだ。

第16問

規模が小さい企業ほど従業員の年齢が高いのは、人材確保が難しいことや年功序列が根強いことが挙げられる。

第17問

M&A専門業者の中にはテール条項を悪用する業者もあるため、中小企業庁はテール条項に関するガイドラインを示している。

第18問

宿泊業・飲食サービス業は流動資産が多いため、借入金依存度が高い。

第19問

「製造業その他」は平均的な企業規模が大きいことに着目したひっかけ問題。小規模企業の定義に資本金は無関係なことにも注意。

第22問

設問1

問題文は「我が国製造業の(   )及び新たな事業の創出を図るため、中小企業が担うものづくり基盤技術の高度化に向けた研究開発及びその成果の利用を支援するための法律である」となっているため、その研究開発及びその成果の利用をした結果どうなると望ましいかを選択肢から選べばよい。

設問2

「中小企業のものづくり基盤技術の高度化に関する法律」は廃止されている。

第26問

小規模事業者経営発達支援融資(マル経融資)の融資上限額は2000万円と低額なので無担保無保証。

第27問

ある制度において規定されている金額が複数ある場合、それらは倍数の関係であることが多い。

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