中小企業診断士 一次試験 令和三(2021)年度 「E 経営法務」の解説

E 経営法務

問題(PDF), 解答(PDF)

第1問

  • (ア、イ)「社債の募集事項の決定」は経営に関わる判断なので取締役会で決議する。ただし決定事項の詳細については代表取締役等に委任できる。
  • (ウ)社債には普通社債、転換社債、ワラント債(新株引受権付社債)、劣後債などがある。社債の種類ごとに対応や権限が異なるため、個別に社債権者集会が組織される。
  • (エ)社債を発行する際には原則として社債管理者を設置しなければならないが、各社債の金額が1億円以上である場合、個々の社債権者自らが権利行使することに費用リスクはそれ程大きくなく、社債権者自らが社債管理することも十分可能と考えられるので、社債管理者の設置義務は免除される。

第3問

  • (ア)簡易合併では株主総会特別決議や株式買取請求といった手続きが省略される一方、債務は移転されるので債権者保護手続は必要。
  • (イ)株主保護手続について、吸収合併の場合は効力発生日の20日前までに株主に通知又は公告する必要がある。
  • (エ)簡易手続は株主総会の決議を省略するもの。合併に際して、合併差損が生じたり合併対価が譲渡制限株式であったりと株主に不利益がある場合は、株主総会の決議が必要なので簡易手続は利用できない。

第4問

(イ)別除権は担保権の一種なので、民事再生手続、破産手続、特別清算手続では行使できるが会社更生手続では行使できない。

第6問

  • (イ)「代表取締役等による職務執行状況の報告」や「取締役会の開催」は3か月に1回以上と法定されている。
  • (エ)監査役は独立性が重要であるため、半数以上が社外監査役であることが必要。一方、社外取締役には独立性の要件があり、公開会社の場合は2人以上が必要。

第8問

周知表示混同惹起行為が営業上の利益に焦点を当てているのに対して、著名表示冒用行為はブランドの保護に焦点を当てている。

第14問

特許協力条約は、外国への特許出願を自国の特許庁への申請をもって行うことで手続きを簡素化したものであり、大それたものではない。

第15問

(ウ)優先権には、パリ条約に基づく「パリ優先権」と実用新案法に基づく「国内優先権」とがある。パリ条約は外国出願に伴う時間的・予算的猶予を付与するためのものなので全四つの産業財産権を対象にしてパリ優先権を主張できる。一方、国内優先権は改良発明等の一括審査が目的なので特許及び実用新案のみが対象。※参考文献

(エ)商標以外の産業財産権には新規性の例外規定がある。商標にはそもそも新規性が登録要件ではないので例外規定がない。

第18問

「過失」と「重大な過失(重過失)」の違いを知らないと解けない難問。過失は「不注意にの状態」、重過失は「ほぼ故意に近い程度の不注意の状態」をいう。

民法上の債権者保護にも限界があり、先取特権の物上代位を行使したいなら差押を急ぐ必要がある。

第19問

(ア)例えば、着物レンタル業者に成人式で着る着物を注文したのに提供が間に合わなかった場合、式後に債務の履行を催告しても無意味。

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