高校数学 東京工業大学2002 (平成14)年度 前期入試問題の解説

解答例

大問4つの内、なんと3つが小問を持たない。こういう場合は試行錯誤して分かったことを躊躇いなく書き下していく姿勢が大事だ。

第1問

2011年度第2問の類題。絶対値付き積分は頻出だ。

微分する際、aの定義域両端のf(a)を調べる事で極値が極大か極小かを判別できるので、f'(a)の通分は不要。

第2問

楕円の準円がテーマ。この問題には決まった解法がある。

接線の方程式を楕円の方程式に代入した後の計算が面倒だが、接線の方程式の定数部を括って扱うと楽になる。

第3問

微分法で最大値を求めるという頻出テーマ。誘導が無いので解法の自由度が高いが、どれを取っても計算は煩雑だ。東工大らしさが凝縮した問題である。

三平方の定理や余弦定理を使うような解法は計算が煩雑になりがちなので、ベクトルを活用するのが筋が良い。

思い付いた方針を全て書き出すだけでも部分点を得られるかも。

面積最大の時、∠ALB = 45°となるのだが、これはLA = √2である事からも容易に予想できる。だからこの問題を易しい問題と評価する人も居るが、その方法で答えを出しても点数は半分以下になるだろう。あくまでも検算または部分点狙いとしておこう。

第4問

本年度の最難問。

(1)

Σと極限の組み合わせを見て区分求積法をやってみるのが自然だが、不定形になり上手くいかない。そこで挟み撃ちの原理を使ってみよう。さて、何で挟むかで悩むが、「y = 1 /xにグラフが似ている」「極限(n→∞)でyが一致する」という2点が大事。

オイラー定数に関わる調和数列の典型問題のアレンジだった。

(2)

ここからが難しい。与えられた二つの式について考察していく。

xnはf(x)の極値に関するものなので、f‘(x) を作ってみる。次に、示すべき式について考察しよう。右辺の各項の分母が「1 -x」の形になっているのは違和感があるので「x -1」に変えてみると、符号が逆になる。そこで移項してみると、f‘(x) /f(x)と一致する!

不等式証明は、1 /xn と1 /(xn -1)を比較するのがシンプルだが、CFVのように背理法の方が発想としては自然かな。式は分かっているので、証明できなくても(3)で利用できる。

(3)

ここまでの流れから、(1)と(2)を組み合わせて、(2)の不等式で挟み撃つのは分かる。

不等式の右辺では、(1)の形に沿うように数値置換していく。

解き方が分からなければ方針だけ書いておこう。(1)の結果から(3)の答えも1であるのは予想が付くので、答えをいきなり書いておく手もある。

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