高校数学 東京工業大学1997 (平成9)年度 前期入試問題の解説

解答例

珍しく数Ⅲからの出題が1問だけだった。第3, 4問は小問が誘導として役に立ってない。意図的に引っ掛けたのだろうか?

第1問

「図形と方程式」から領域の問題。グラフで考察するのは難しいので、方程式で処理していく。示すべき領域を如何に方程式で表すかがカギとなる。

場合分けが煩雑だ。まず楕円のグラフを描いた時点で、a, bについて0か否かで場合分けが必要だと分かる。

a ≠ 0∧b ≠ 0 のときは、図形的には楕円と直線の共有点が0または1になるのが必要条件なのはすぐ分かる。そしてMath Station のように、直線が常に(1, 1)を通る事に着目して、「直線で示される領域が常に原点を含む」と言い換えて立式するのが筋が良い。楕円と直線のグラフを想像上で動かすと気付ける。

また、 直線の方程式を楕円の方程式に代入する際、”by = “とすると楽だ。あるいは、楕円を媒介変数表示する手もある。

「図示せよ」と指示されているので、図が無いと大幅に減点されるだろう。a = 0∧b = 0の場合だけでも示す、題意を分かりやすく言い換えるというだけでも部分点が得られるだろう。

第2問

Σと極限の組み合わせなので区分求積法を使おう。また、図形的に考えてy = 1 /x [n, 2n +1]とy = 1 /(x -1) [n, 2n +1]の面積で不等式を作り挟み撃ちの原理を使う手もある。

(2)は挟み撃ちの原理を必ず使うが、何で挟むかは図形的に考察した方が確実だろう。

ボーナス問題だった。

第3問

(2)

文字だらけなので題意の解釈が難しいが、nとrは定数として考えよう。

「全てのnについて成立する」という証明なので、数学的帰納法を使おう。(1)は誘導として利用しない。

n = mのときに個数が有限個であると仮定すれば、xm+1の候補となる自然数が有限個となる事を示せばよい。そこで、xm+1 を上から抑える不等式を作る。その準備として x1≧x2≧… xm+1 と整列しておく。これは1996年度第1問と似た論証で、さすがに2年連続は良くない。

数学的帰納法の問題としてもハイレベルだ。方針だけでも部分点が得られるだろう。

第4問

(1)

与式には(α +β)が含まれているので、頂角について正弦定理を用いるのが筋が良い。

(2)

(1)を利用した計算方法は非常に煩雑となってしまう。(1)は無い方が正解率が高かったはずだ。Math Stationのように三角形の一つの角が60°となっている事に着目する方が速い。

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