高校理科 東京大学 物理・化学 2017 (平成29)年度 前期入試問題の解説

物理

解説

分析

第2問と第3問の最後の問題の答えが、それぞれ「β’ = β」「Q1 = Q2」 となっているのは、東大物理入試問題の講義的な性質を表している。

第1問

[I]

(1)単振動の中心は、物体にかかる力が0になる位置である。

(2)単振動では運動方程式を建てるのが基本。単振動はsinやcosを2階微分をすると元の関数が現れるという数学上の性質を持ち、位置と加速度が1次関数の関係を持つ。

[II]

(1)積木1を引っ張る紐の張力はMg sin θにはならないので、積木1のみで運動方程式を建てることは出来ない。この問題では紐は弛まないので、積木1, 2は一体と見做すことが出来る(質量2M)。

[III]

(2)(1)とは積木の組み方を変えることで受験者を混乱させる事を狙った、何とも憎らしい引っ掛け問題だ。引っ張られている積木と床との静止摩擦力の大きさがどうであれ、静止している以上は他の積木には影響しない。また、これに乗っている積木は上下の静止摩擦力を比較することで、常に下の積木と共に動くと分かる。

第2問

[I]

(3)(2)をヒントとして、単位時間あたりジュール熱(消費電力)を考える。

[III]

(1)半径r, 中心角θの扇形の円弧の長さはrθなので、速度はr・dθ/dt で表せる。θ = 0と近似して良い。

(2)問題文が不明瞭だが、誘導起電力と電源電圧の大きさが等しいということ。

(3)II(3)が誘導問題だと気付けば β’ = β に収束するのだと分かる。大問全体の流れを確認するのは大事だ。

化学

第1問

(エ)幾何異性体や環状構造にも注意。

第2問

[I]

(ア)(1)ハロゲン化銀は感光性を持つ。(2)還元性を持つカルボン酸と言えばギ酸。

(イ)金属元素の正体を突き止めるには、操作zの結果で沈殿する金属を探せば良い。

(ウ)(a)硫化物は液性により沈殿するかどうかが変わるという性質を利用するため、一旦煮沸してH2Sを抜いて液性を変えて再度投入する。(b)H2Sは還元作用を持つのでFe3+をFe2+にするが、Fe2+は比較的沈殿しにくいので希硝酸でFe3+に酸化する。

(オ)式変形していくと、水素イオン濃度を下げるには[S2- ]を最大限高めれば良いと分かる。そこで、ZnSの沈殿が生じるギリギリの[S2- ]を投入したいのでKsp(ZnS)から[S2- ]の値を得る。

[II]

(ケ)濃硫酸は不揮発性だが、硝酸と塩酸は揮発性。

第3問

[I]

(エ)当然ながら、1回目の実験の数値は除外して平均値を得る。

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