中小企業診断士 一次試験 令和四(2022)年度 「D 運営管理」の解説

D 運営管理(オペレーション・マネジメント)

問題(PDF), 解答(PDF)

第2問

設問1

サイクルタイムとは、生産ラインを稼働させたときに、製品一個を生産するのにかかる時間のこと。ステーション(工程)のうち作業時間が最大のものがボトルネックとなるので、この時間が実際のサイクルタイムになる。

本問では稼働予定時間と目標生産計画量が与えられているので、許容される最大のサイクルタイムを「稼働時間÷生産計画量」によって求められる。「設定サイクルタイムは分単位の整数値」という条件が与えられているので、「int(700 * 60 / 5900)」という計算によりサイクルタイムの許容値は7分である。

要素作業を組み合わせてステーションを構成する。サイクルタイムの許容値7分を逸脱した作業時間を持つステーションは不適である。

設問2

ライン・バランシングによって生産ラインの工程数やサイクルタイムは様々になる。サイクルタイムは短いほど生産速度が上がるが、一方で工程数が増えることによって作業スペースの増加、作業員や機械のコスト増を引き起こす。そこで適切なライン・バランシングを測る指標として編成効率がある。

編成効率=(各工程の作業時間の合計) ÷ (工程数 × サイクルタイム)

第5問

母分散が未知であるような母集団に対する母平均の区間推定については、統計WEBの解説が分かりやすい。

自由度はサンプルサイズから1を引いたものを選ぶ必要があるのがややこしい。分散は「偏差の二乗和をデータ数nで割ったもの」であるが、ここでは母集団から標本抽出しているので、分散は「偏差の二乗和をデータ数”n-1″で割ったもの」である。これが自由度がn-1である所以である。標本抽出を行う各種検定では、一般的に自由度はn-1が用いられる。

t値の公式は標本平均を検定統計量としているので、中心極限定理と類似している。

第16問

正味時間=観測時間の代表値 × レイティング係数

標準時間=正味時間+余裕

第17問

予防保全と保全予防が紛らわしいが、他の保全活動は単語の後半に「保全」とついているのに対して保全予防だけ前半である。保全予防のみ機械導入前に行う活動で、その他の保全活動は導入後の活動であることと紐づけて覚えると良い。

第19問

(c)7大ロス: 故障、段取り・調整、刃具交換、立上がり、速度低下、チョコ停、不良・手直し

第20問

工程分析には、製品の加工や運搬を効率化する製品工程分析、作業内容を効率化する作業者工程分析がある。

第23問

都市計画関連法については、以下の法律が問われやすい。

  • まちづくり三法(都市計画法、大規模小売店舗立地法、中心市街地活性化法)
  • 都市再生特別措置法
  • 建築基準法

第24問

用途地域として近隣商業地域、工業地域、第一種住居地域、田園住居地域が問われている。

それぞれの用途地域についてイメージを持っておくと、どのような建築物が適しているかを判断しやすくなる。例えば、第一種住居地域にカラオケボックスは似合わないので(ウ)は偽だと判断できる。ちなみに、第二種住居地域ならばカラオケボックスを建てられる。

以下のページに用途地域毎の画像が掲載されており便利。

料理店は飲食店とは法律上異なり、キャバレーやナイトクラブといった店舗のこと。

第26問

五択の中で、aは正とするものが最も多く、bは誤とするものが最も多く、cは正とするものが最も多い。これらの正誤を組み合わせた(イ)が正解となっている。

第27問

変動費と売上原価の包含関係は、「売上原価は変動費と固定費に分けられる」というものなので、「変動費には売上原価は含まれない」という表現は不適切。「売上原価は変動費に分類されない」という記述が適切である。

第29問

(オ)「客動線を一筆書きのようにコントロールすること」という説明はあながち間違ってはいないが、ワンウェイコントロールの本質は客を店側の期待通りの経路を通ってもらうことにある。

第34問

(ウ)カテゴリー区分を細かく設定すると、コンテナ内に隙が生まれやすくなるので、積載効率が下がる場合がある。

第35問

パズル的問題。

取組案a, bではいずれも、区間によって積載率が変わるので、平均値を算出する必要がある。ただし直感的にも積載率が向上することは容易に分かる。

大原書籍によるとこの問題の正答率はなんと40%以下だったようだ。中小企業診断士の論理的思考力が疑わしい。

第37問

物流分野の設問では、以下のように省略された用語を憶えていることを問われる。

  • ASN: Advanced Shipping Notice
  • BMS: Business Message Standards
  • EAN: European Article Number
  • EDI: Electronic Data Interchange
  • EPC: Electronic Product Code
  • GCN: Global Coupon Number
  • GDS: Global Data Synchronization
  • GLN: Global Location Number
  • GTIN: Global Trade Item Number
  • GRAI: Global Returnable Asset Identifier
  • ITF: Interleaved Two of Five
  • JAN: Japanese Article Number
  • SCM: Shippng Container Marking
  • SSCC: Serial Shipping Container Code
  • UPC: Universal Product Code

これらを憶えるのは非効率だし中小企業診断士としてのスキルにも関係しない。次のように、略語のアルファベットは対応する単語がほぼ決まっているので、これらを憶えておけば用語の意味を推定できる。

  • C: Code
  • D: Data
  • E: Electronic
  • G: Global
  • N: Number
  • P: Product
  • S: Shipping

第39問

リフト値には次のような性質がある。

  • リフト値=併売率 ÷ 買上率
  • リフト値 ≧ 0
  • 「商品Aから見た商品Bのリフト値」=「商品Bから見た商品Aのリフト値」

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です