高校数学 東京大学1983 (昭和58)年度 理系前期入試問題の解説

本年度の問題は、図形問題が多く、小問が一つもないのが特徴。

「大学への数学」における各大問の難易度: B, C, B, B, B, C

解答例

第2問

2進法の考え方を利用するという発想は出し易いだろう。これを厳密に証明する為に数学的帰納法を用いる。

第3問

ご丁寧にも、図形と方針を建てやすい座標系が図示されている。このお陰で難易度はかなり下がっていると思われる。

図形的に考察すれば、C円周上の任意の点をP、l上の点をQとすると、AQ ⊥ PQ だと分かるので、ベクトルを導入するのが筋が良い。

第5問

VとSの接点を含む面の断面で考察する。 図形的に考察して相似を利用すると楽。

変数をどう設定するかが鍵となる。最大値を求める問題なので微分をすることになると予想できる。角度θを導入すると、三角関数を含む分数関数を微分することになるだろうが、この場合はかなり煩雑な計算になると予想できるので避けるのが筋が良い。後から有理式に置換することも出来はするが、三角関数は式変形などで記述に時間がかかるのでやはり不利だ。

球の表面積の公式を憶えていないと困る。実はその公式を求めるのは簡単で、球の表面を玉葱の皮に見立てて、体積の公式を半径rで微分するだけ!(円周も円の面積をrで微分すると得られる)

第6問

本年度の最難問。傾斜軸を用いた求積問題。空間認識能力に加えて、そもそも傾斜軸を使うと思いつく必要があるので発想力も要する。本問は大学入試における斜回転体の求積問題の先駆けと言われている。

まず断面積を求める必要があるが、曲面Kの方程式を作り、平面H (y = x +t)を連立すれば簡単。

実は座標軸に垂直な平面での求積も可能。但し、y軸に垂直な平面では円の一部の面積を求める必要があり、うまく行かない。その他は放物線で囲まれる面積を求めるので容易。

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