高校物理 東京工業大学2007 (平成19)年度 前期入試問題の解説

分析

解答

[1]はかなり癖が強いが、全体的には易しい。

[1]

(c)

箱はベルトコンベアと付着しているときは等速運動をしている。したがって滑り始めた後は更に右側に動く。

この点が分かってないと答えを間違えることになる。箱についてのt-xグラフを描けば見落としを防げる。 外力が掛かっていても、衝突時のような撃力でなければ、微分可能な”滑らかな”曲線になるからだ。

( d)

バネ定数k0, k1. k2 のバネをそれぞれバネ1, 2, 3とする。

問題文に次のような2つの欠陥がある。こういう時は考え方を簡単に述べて逃げるのが最適だ。

バネ0の長さが最大になるのは左箱の単振動が左端に来たときだが、この問ではそうは考えない。「箱が滑り出してから付着するまでの時間は短い」というのは「左箱がベルトに再び付着したときをバネ0の長さが最大になったときとする」という意味であるが、曖昧な表現だ。

「箱が滑り出してから付着するまでの間のベルトの動きは無視できる」というのは「箱が滑り出したときの速度は0として考える」という事を示唆しているが、これも曖昧な表現だ。

(f)

「非常に」という表現があれば、定数を極端な値として考えるという事だ。バネ0が非常に弱い場合では、”k0 = 0″つまりそもそもバネ0が存在しないと考える。非常に強い場合では、2つの箱がバネではなく剛体の棒で繋がれていると考える。

[2]

(d)

一般的なPVグラフの領域を求める問題では、断熱容器内の気体における外部との仕事のやり取りのサイクルを扱う。しかしこの問題では気体は一方的に仕事をされているだけであり、気体Bがした仕事と遠心力を区分することで閉区間が生まれる。

(e)

複数な解答が考えられる問いだ。

  • (d)を利用して「(Aの内部エネの変化) -(BがAにした仕事)」を立式する。
  • 「〔A〕の結果を用いてもよい」というのは、〔A〕と〔B〕では「気体Aが断熱で体積変化が同じだから内部エネの変化も同じ」という事を示している。

気体Aは断熱変化しているからポアソン公式を適用して、p2 = 2R/Cvp0 とおける。 p2 はあくまで(d)で与えられた文字だから、(e)では用いないのが望ましい。

[3]

(a, d)

有効数字に注意。

(f)

(g)の問題文に「このように~」と(f)を解く上でのヒントが書いてあるので、この大問に取り掛かるときに最初に問題文全体を軽く読むと良い。

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