高校数学 東京工業大学2015 (平成27)年度 前期入試問題の解説

分析

解答例

第1問

(1)

どの解答例も一般項を推測で導いているのが心もとない。特性方程式を使えるようになっておくべきだ。

(2)

数列問題に特有の「数式を裁量で調整して不等式に合わせる」という技術を要する。これには慣れが必要だ。

Σ(k ak) を計算する上で、anの分母にあるnが足枷になっているので、これを定数に置き換えて不等式を作る。

an = n(6n -1) /(2n -1)を、分母にnを含む項の分子が定数になるように多項式を作ると良い。n→∞ とした時にこの項が0になるわけだ。

上記の解法とは別に、「すべてのnについて」とあるので数学的帰納法でも証明できる。「a1 +2a2 + … +n an」を何度も書くのは手間が掛かるし気が散るので、これをSnと置こう。bn の場合に成立すると仮定して、bn+1 の式を立て、これを bn を含む形に強引に変えて不等式を作るわけだ。

(3)

極限値を求める問題であり、(2)で不等式を証明している事から挟み撃ちの原理を使うと分かる。

(2)の問題文で与えられた不等式から3に収束するのは明らかなので、(1)と(2)が解けなくても堂々と3 < bn を示して挟み撃ちの原理を用いればよい。

第2問

(1)

p, q, r, s, tについて解くので、これらを含むベクトルOH, AH’について注目して、垂直をなすベクトルと内積をとる。さらに、内分点の位置ベクトルを表す為に用いている媒介変数は和が1になるので、p +q +r = 1, s +t = 1だ。

(2)

四面体の高さを求める為に|AH’|2を計算するが、s = t = (2 -x2)/3 はそのまま文字で置いたまま計算した方が、ab = ac =3t/2 と置けるし楽だろう。ちなみにこのxの式は、(1)の誘導を使わなくても余弦定理などで解ける。

x = √2 において四面体が成立する十分条件を満たしている事を示すために図を描くのが手っ取り早い。

OA ⊥ △OBCのときにVは最大になるのは自明なので、(1)が解けなくても部分点は得られる。

第3問

ガウス積分を題材とした難問。こういうのを出してくるのが東工大である。(2)まで解ければ大したものだ。

(1)

これは簡単。

逆関数に変換するのがポイント。「x =」の式では積分できないが、回転体なので「x2 =」で構わないから積分できるわけだ。

バウムクーヘン分割を使えば逆関数にする必要はない。ただし一般的手法ではないので減点されるかも。

(2)

回転体の断面積を求めるが、類例が見られないので自力で構想する必要があるだろう。

「s2 +t2」 の部分が三平方の定理を使って断面積の関数を作るヒントになっている。「三平方の定理を使って断面積の関数を作る」と書いておけば部分点は得られるかも。

右辺が断面積の最大値を表していると気づけば、予想でS(t)を書いておけば部分点は得られるかも。

(3)

体積の平方根と断面積を比較していることから、「Vは S(t)を-a < t < a で積分する事でも得られる」という事に気づくのがカギ。それだけでも部分点狙いで書いておこう。体積が曲線の二重積分である事が学べるが、大学レベルの話だ。

e-x2 を積分するのは高校数学範囲では恐らく無理。

第4問

(1)

θではなく内積を使ってcos θ から求める。cos θ → 0 を求めた後は、0 ≦ θ ≦ π を書こう。

(2)

(1)より簡単なように感じた。

第5問

(1)

a, bをそれぞれ最小公倍数で割ったα, βは互いに素であり、f(a, b) = αβ と書けるのでnの約数と言える。

(2)

aは約数として素数の整数乗は持たない、つまり「異なる素数の積」なのでa =1 だ。どう表現すれば良いか少し悩む。

(3)

整数問題全般で使える事だが、a = 6, b = 10 といった様に具体化してみると一気に見通しが良くなる。

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