高校数学 東京大学1993 (平成5)年度 理系前期入試問題の解説

「大学への数学」における各大問の難易度: D, B, D, B, D, C

解答例

第1問

等面四面体の体積は直方体の4頂点を結んだ立体として捉える事で容易に求めれる。それを知っているか、或いは気付けるかが全ての受験技巧的な問題だ。わざわざ座標軸に言及してミスリードしているのが嫌らしい。

l → 2とすると、△ABCは直角三角形になるが、等四面体の面は必ず鋭角三角形であり、直角三角形に近づくと体積が0になってしまう。

1992年度の数学の入試問題は完成度が非常に高かったが、本問や94年度は数学力を測るという本質から離れて、単純に受験者間の点差が開くような問題を出すという安直な傾向があった。

第2問

「数学的帰納法で示す」と宣言しておけば部分点が得られるかも。

(1)

数学的帰納法で示すのか、3項間漸化式として一般項を求めるのか的確な判断求められた問題。

「同値」を示すわけだから、P(anが偶数) ⇔ Q(nが3の倍数) を示す。つまりP⇒QとQ⇒Pの両方を示さねばならない。

証明の仕方にもよるが、英語表記を参考にして偶数を(e), 奇数を(o)と表すと記述が楽になる。合同式(mod 2)を用いるとこういった工夫も不要で楽に記述できる。

(2)

「同様の形式」という表現は不明瞭で、解き手に混乱をもたらしている。

(1)を誘導として利用すると、「 nが3の倍数ならばanは2の倍数」を示したのだから、今度はanが5の倍数となる条件を調べればよい。

実験によって証明する方法もある。anが初めて10の倍数となるのはa12 = -43920だが、実験をしていってもここに到達する前に挫折するだろう。ところが、10の倍数という事は1の位が0になる事と同値だから、漸化式に1の位だけを代入していく事で計算が遥かに楽になる。そして周期性に着目して証明すればよい。

第3問

本年度の最難問。

実のところ、双曲線の方程式さえ建てれれば難しくはないのだが、とにかく時間が掛かる。

論証が簡単な、直線部分(y = -3x)と原点を通るという事だけでも記述と図示しておこう。さらに、軌跡が原点対称である事や双曲線を含む事は計算せずとも分かるので部分点狙いで記述しておこう。これで12点くらい貰える。

第4問

この大問だけ突出して易しい。偶関数、奇関数に着目して計算を楽にしよう。

第5問

それぞれの数字の変化が独立事象である点に着目しよう。

分からなくても「確率漸化式を作る」とかp = q の場合の極限値(1 /32)は書いておこう。

第6問

方針は、三角関数の方程式を解くか、グラフの概形を考察するかがあるが、後者の方が楽。いずれにしても計算量は多い。

x(t) = x(2π -t), y(t) = -y(2π -t)に気付けば、0≦t≦πの概形をx軸対称移動させるだけでよい。

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