物理
解説
第1問
[I]
問題文の「水平に近い角度」は水平な角度とは違うので注意。水平な角度ならば文字vを使う必要はない。
[II]
棒は小球に対して棒に沿った向きにのみ力を与えれる。直感的には、そんなはずは無いだろうと感じられるが物理学ではそのように考えるのだ。
[I]では小球は壁に当たった後に上昇したが、棒が邪魔をして下降している。すなわち棒は押す向きの力積を与えているのだ。
(2)エネルギー保存則と束縛条件により、小球は衝突後に速さが逆向きになる。よってベクトルを用いて解ける。
第2問
一様でない磁場という応用的な問題だが、誘導が丁寧なので易しい。
[I]
(1)どの程度記述すればよいか分からないが、回路を貫く磁束が減少する点は必要。
[II]
[I]で定義されているIやvを用いて表して良いと問題文に書いておくべきだろう。
(1)xは変数だが、導線のx座標はL/2で一定であることに注意。
[III]
(1)落下速度が一定になるということは、終端速度になった状態での重力とローレンツ力が釣り合っているということなので、これを立式すれば良い。
(2)位置エネルギーはジュール熱に変わっている。実はこのエネルギー保存則を時間微分することによっても(1)の解は得られる。
第3問
ヤングの干渉実験がテーマ。
[I]
光路差が一般にdx/R で表されるのは基本的知識。これを導出する過程を記述する必要はないだろう。
[II]
- 電球が発する光には様々な位相のものが含まれる
- それらの波が作る干渉縞が重なる
という2点に言及すれば完璧だ。
[III]
S0の位置が変わっても変わりない事実は、明線は光路差がmλのときに生じるということ。よってAB間の光路差も考慮した式を作れば良い。
[IV]
緑は赤より波長が短いので明線間隔は小さくなるが、m = 0では明線は固定されている。その位置が[III]で導いた式の定数項Rh/Lである。
化学
第1問
[I]
気体は「体積比 = モル比」が成り立つので物質量に換算していく。
[II]
平衡の難問。平衡定数の積”K1K2“は容易に思いつくだろう。ここから、硫酸の2段階電離に着目して、「第2電離が全く起きない」と近似することで式[HSO3–] = [H+]を得る。
平衡の難問では、オーダーの違いに着目して近似することが打開策となる。
第2問
[I]
- 非金属の酸化物は酸性酸化物なので、水を加えると酸になる。
- 潮解は蒸気圧に関連して起きるもので、CaOが水と反応する事とは無関係。潮解性を持つ物質にP4H10, H3PO4, NaOH, KOH, MnSO4がある。
- 市販のシリカゲルは吸湿すると青くなるが、これは実は水の試験紙としても用いられる塩化コバルトが含まれているからだ。
- 乾燥剤は水と反応してより安定な物質となる。その過程で発熱する。
- 炭酸ナトリウムとケイ酸ナトリウムの違いは、CO2の個体が分子結晶、SiO2の個体が共有結合結晶となることに由来する。両者の結晶の種類が異なる理由は大学レベルの話になる。
- シリカゲルにはケイ酸由来のヒドロキシ基が無数にあり、吸湿性を持つ。
[II]
オ, キ:「赤色個体C」はCu2Oと考えられるが、駿台青本では「このような条件では得られない」としてCuを正解としている。しかしCuを赤色とするのは無理があるので、どちらを答えても正解とするべきだろう。
ク: 高校化学で習う有色の錯イオンは[Cu(NH3)4]2+だけ。他の2価金属イオンと構造が違うが、配位している水分子2個を描いてないだけ。セルロースを溶かすシュヴァイツァー試薬がこの構造を持つ。
第3問
[I]
イ.酸素原子は電気陰性度が強いので極性を持つ原因となる。したがって酢酸エチルなども極性を持つ。
エ.低級脂肪酸は水にもエーテルにも溶解する。駿台青本の解答ではなぜか酢酸エチルが使われてない。結局のところ、正解は謎だ。
[II]
オ.エステルは極性が小さいので水に溶けにくいので有機溶媒を投入する。[I]がヒントになっていた!
キ.fは計算に時間がかかるが、二量体を形成するのは容易に分かり、整数値で答えるので解だけ書いておくのもアリ。