解答例
第1問
(1)は非常に簡単なのだが、これが(2)の誘導になっている事に気づくのが重要。(2)の与式を微分して(1)の形に変形していく。
g(x) の二つの極値を g(α), g(β)とすると、 g(α) < lim x→a g(x) < g(β) となっている場合はこの区間の全域で「3点で交わる」と言えないので、確認する必要がある。lim x→∞ g(x) についても同様である。
こういった細かい議論は見落としがちなので、グラフを描いておくのが手っ取り早い…今回の場合はg(x)である。これで減点も防げるし、見直しにもなって一石二鳥だ。
第2問
「前小問の数式に合わせて式変形して証明する」という問題で、2006年度第一問とよく似ている。
(1)
合成関数、そして偶関数のf(x) = f(-x)という性質がテーマの問題。
sin x, cos xが2π周期の周期関数なので、f(sin x), g(cos x) も 2π周期の周期関数になる。y = sin xと置いたとき、2π周期という性質はyが持っており、f(y) = f(sin x)にその性質が反映されるのだ。
与式を読み解くと、「[0, mπ]における面積は、[0, π]のm個分と同じ」という事だ。これはイメージでは把握しやすいが、どう示せばよいかは経験がないと難しい。
右辺は左辺の区間をm分割しているので、左辺をΣを使ってm分割してみよう。そして区間それぞれの面積が等しい事を示せばよいのだ。
積分区間が異なっているのでθ = x -(k -1)πと置換して辻褄を合わせよう。するとsin, cos関数が複雑な形になるが、ここで周期関数と偶関数の性質を利用して右辺の形に合わせる事が出来るのだ。
この立式が出来なければ、周期関数と偶関数の性質を説明しながらグラフで概形を描いて示せばよい。
(2)
(1)の与式を観察する事で、f(x) = |x|, g(x) = (1 +cos2 x)-2 という連続な偶関数に当てはまると分かる。さらにt = nxと置換する所までは一直線に進む。
ここからが大変。積分区間に注目して、mπ≦n≦(m +1)πを利用して不等式の原型を作る。両辺に1 /nを含まれているのが邪魔なので、今度はmπ≦n≦(m +1)π の逆数 1 /(m +1)π ≦1 /n≦1 /mπ を利用して範囲の拡大を犠牲にしてmを含む形に変えるのだが、この発想が難関だ。
両辺の絶対値は積分区間内では常に正だから外されていたわけだ。なので正負での場合分けを考える必要はない。
中々先を見通しにくい式変形が続くので、誘導を信じて突き進む事が大事だ。
(3)
(2)の形から明らかに挟み撃ちの原理を使うと分かる。ここまで解けなくても(2)の与式を使って解ける。t = cos x, t = tan θと2段階で置換積分をするのが一般的だが、cos x = tan θ と置いて-sin x dx = dθ /cos2 θ とする方が速い。
第3問
(1)
反復試行の公式が使える。n回の試行の内、k回で赤が出るが、それが何回目で出るかについて組み合わせを使う。
(3)
「確率の最大値」を問われているので、7/20 *2004 ≒701という「期待値」を求めるのは誤り。勘違いしていたとしても、こんなに簡単なのは奇妙だから気付くだろう。
確率の最大値は、事象毎の確率を比べることになるので、 Pkを反復試行の公式で求める。確率の式が累乗や階乗の形であるのを活かして、隣り合う Pkをの比を取って比べる。階乗を含む式を処理するときは別の項との比を使うと上手くいくという法則は数列でもお馴染みだ。
Pk は複雑な式だが、比を取る事によりスッキリした式になる。この比が1未満に転落する直前が最大値だ。
第4問
どちらの小問も計算が大変。その一言に尽きる。考え方は易しいが、ミスなく完答出来たら立派である。
V(0) = V(1) = 0は検算に使える。また、(2)の微分についてはV'(r) = 0を「根号の項 = 多項式」に式変形して2乗して r = 1 /√2を導き、V(0) = V(1) = 0 を根拠としてV(1 /√2)が極大値を取ると示すのが楽だ。それが論証的にリスクがあるなら、V'(r) に現れる根号を「分子の有理化」してから分子だけ因数分解すればいい。
ちなみに、(2)は対称性からr = 1 /√2 なのは予想が付くので、答えだけ書いて逃げるのもアリだ。