高校理科(化学) 筑波大学2016 (平成28)年度一般入試問題の解説

余りにも問題量が多く、制限時間内に全てを解答するのはセンター試験よりも遥かに困難だ。解答に時間が掛かる問題を見極めて捨てる技術が合否を分ける。

問3

問題の意味をよく理解しようとすると時間が掛かるが、与えられた式と数値で計算していくと簡単に正答を得られる。問2も同じようなものだ。

熱化学方程式の問題は一般に、単純に数値を代入して計算するだけだ。

問4

アンモニアソーダ法。生成したNH4Clは消石灰Ca(OH)2と反応してNH3とCaCl2になり、前者は再利用される。

問2

平均分子量 = (混合気体の質量) /(混合気体を構成する各分子の物質量の総和)

ここでは平均分子量は次の様に分圧を使うと速く計算できる。

(酸素の分子量) *(酸素の物質量比) +(水素の分子量) *(水素の物質量比) = (酸素の分子量) *(酸素の分圧) +(水素の分子量) *(水素の分圧)

問3

電池では、還元剤が電子を失うのが負極。酸化剤が電子を得るのが正極。

問4

(i)

H2O2 が酸化剤または還元剤のどちらとして働くかの見極めが重要。KIが明らかに還元剤なので酸化剤と判断できる。もしくは酸性水用液という条件から、水素イオンが多いので酸化剤として働くとも判断できる。

(ii)

H2O2 の物質量はx /10 molだ。H2O2 とKIのイオン反応式では、 H2O2 と生成物 I2 の物質量比は1:1 なので I2はx /10 molだ。

S2O32- の物質量は0.02molだ。

I2 と S2O32- のイオン反応式より、1 : 2 = x /10 : 0.02 となる。物質量で比を取ると分かりやすい。

問1

(a)

エステルを強塩基の水溶液で加水分解するとカルボン酸塩とアルコールになる。これを「けん化」という。

実験2では、二つのエステル結合がけん化されてONa基になった後、中和してヒドロキシ基になった。これらが不飽和脂肪酸Bとカルボン酸Cだ。

(b)

グリコシド結合と言えば糖類同士の結合を言うが、厳密には「糖類と有機化合物が脱水縮合して形成する結合」である。

ちなみにエーテル結合は結合力が強いため加水分解はされないので、(b)の結合には該当しない。

結構マニアックな問題だった。

問2

Bは脂肪酸なのでカルボキシ基を持つ。

問3

光学活性とは、光学異性体を持つという事。

問4

マルトースは最も簡単な二糖類の一つで、二つのαグルコースの1, 4結合から成る。1, 1結合した物はトレハロース。ちなみに、 αグルコースのみから成る多糖類はデンプンだ。

セルロースはβグルコースから成る多糖類。ちなみに、二つのβグルコースから成るのがセロビオース。

化合物Gは βグルコースと比べると、炭素4位が上下回転しているが、これをβガラクトースという。 βグルコースとの1, 4結合でラクトースになる単糖だ。

問7

環式構造同士が水素結合を作るという点が重要なので、「水素結合」という語を盛り込もう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です