高校理科 東京大学 物理・化学 2018 (平成30)年度 前期入試問題の解説

物理

解説

分析

第1問

[I]

(3)x軸方向に移動しないことから、Qは二体の重心と見做せる。

(4)単振り子となっているので、公式を適用すれば良い。

[II]

慣性力への理解を問う中問。慣性力を考察する問題では、観測の基準を適宜切り替えることを心掛けよう。

(1)台を基準にすると、小球は最下点で静止しているが、台に力を掛け始めた後は振り子には慣性力が働くので、小球は速度を持つ。よって振り子は単振動する。単振動することに気づかなかった人は多いだろう。単振動を考慮せず立式しても部分点は得られるだろう。

(2)「仕事 = 力×距離」ではあるが、力は時間の関数となっていて算出できないので、力学的エネルギーから求める。加速度は定数aなので速度をat0と求められる。(1)で間違っていても部分点は得られるだろう。

(3)butsurikyousiの動画解説が分かりやすい。 台から見ると、小球が単振動中心にある際は加速度を持たないので二体は一体化していると見做せるので、F = (M +m)aとなる。最大値が(M +2m)aになるとは限らないので紛らわしいグラフではある。

(4)[I](3),(4)と比べると、問題内容は「二体が等速直線運動をしている」という違いしかない。東大物理の問題なので、「前の中問と問題文が似ている」というだけでT2 = T1と判断してよい。

第2問

計算量が非常に多い。

[I]

問題文で「重力の影響は無視できる」と述べつつ、わざわざ金属板を「上下」と表現しているのは不適切だ。ただでさえ制限時間が厳しい東大理科でこのような混乱を齎す表現をしている過失は大きい。

(1)極板間引力はF = QE/2

(3)運動方程式を建てるが、極板にかかる重力は無視するので注意。

[II]

(2)全電気容量q/Vは、直列コンデンサーの合成容量とは異なる。「全コンデンサーの電位差の和 = V」を立式する。

(3)(2)で用いたVの式においてV = 0とする。式が再利用できないか常に注意しよう。

(4)(1)で建てた運動方程式を再利用する。中問を解く前に問題文全体を先に読んでおくと見通しが良くなる。

第3問

[II]

この装置は、各容器の底面にかかる圧力が常に等しくなるのが特徴。よって、問題を解く際は各容器の圧力を等式で表していくのが基本方針になる。どんな物理の問題であれ、装置の性質を理解して数式で表す感覚が大事なのだ。

(1)容器A, Cの底にかかる圧力は常に等しいので、液面の上昇量も等しい。勘で書いても当たる。

(2)(1)を利用する為に、別の容器との液面に於ける圧力の比較から立式する。

(4)容器が全て外気と接していれば、液面は全て等位になろうとするのは直感的に分かる。水位の差が大きいほど、等位になった時の位置エネルギーの変位も大きくなる。

[III]

(1)勘で書いても当たる可能性がある。

化学

第1問

A, B, C, Dを構成するαアミノ酸を特定していく。解く際は、可能性のある側鎖をメモするだけでなく、可能性が排除された側鎖もメモしておこう。

(エ)ジスルフィド結合は、SH(チオール)基同士が酸化によって結合したもの。

(カ)空間認識力を要する数学的問題。

(ク)フェノール類にはオルト・パラ配向性がある。

第2問

(イ)イオン結晶では、陰陽イオン同士は接している。

(ウ)イオン結合の力はイオン中心間距離の2乗に反比例する。

(キ)配位子を6つ持つ錯イオンは正八面体となる。

(ケ)質量の単位がすべてkgで記されているので、計算を楽にするためにkgで処理しよう。

第3問

[I]

(エ)NaOH滴下により、弱塩基NH3が遊離する。

[II]

(ク)圧力を高めると、ルシャトリエの原理により平衡が右に移動する。更に、分子同士が衝突しやすくなるので反応速度が高まる。

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