〔1〕
(b)
円柱の単振動の弾性力は「浮力 -重力」なのでρS(L‘ -x)g -(2 /3・ρSL)g と立式出来る。
(d)
時間に関する情報が与えられていないので、等加速度運動の公式「v -v0 = 2ax」を用いると速い。
(e)
図2(i)の円柱の位置では速度が0なので、ここを振動の端にしたいところだが、これが引っ掛けなのだ。(b)の弾性力の式の浮力の項は、xが小さいほど浮力が大きくなるという一次関数になっているのだが、円柱上面が液面より下になる場合には成立しない。単振動には色々な種類があるが、二つの向かい合う力の強さが連続的に変化して交互に入れ替わるという点で共通している。
結局、(ii)と(iii)の状態を比べてエネルギー保存則の式を立てることになる。
(ii)の状態は速度が0ではないので、単振動の端ではない。この単振動の振幅は更に大きいのだが、この実験では現れないのだ。(ii)と(iii)はどちらも単振動の端や中心ではないが、速さと位置の情報があればエネルギー保存則を立式できる。
(g)
(f)で求めた張力Tは距離xの一次関数であり、求めたい仕事は「力×距離」で表されるので、Tをx(0 ~ L /3)で積分すればよい。
「外部からした仕事」という不自然な表現から、以降の小問がエネルギー保存則を利用すると推測できる。
〔2〕
(a)
磁場中にある棒には電源によって電流が流れているので、電磁力が発生する。
棒が乗っているレールはθ rad傾いているので、重力と電磁力も影響を受ける。以降の小問では、レールの傾きに常に注意する必要がある。
(c)
(a)と同じように力が釣り合っているが、今度は棒が動いているので電磁誘導も発生している。(b)でI1 が減少したので電磁力が弱まり棒が転がり始めたが、加速する事により電磁誘導でI1 が増加したのだ。
磁場が生み出す力は電磁力(またの名をローレンツ力)しかない。棒をvの正方向に引っ張る力はmg sin θで不変なので、電磁力とI1 が再び(a)と同じ量になったということだ。棒の速度が一定なら、重力と電磁力が釣り合っているという事だから、電流も常に一定と言えるのだ。
ここで二つの回路方程式を立てれば、I2と v1 が分かる。
(e)
考え方は簡単だが、I2 の定義された向きとは逆に電流が流れるので注意。図を書いておけばミスはなくなるだろう。
(f, g, h)
ここまで求めた値を比較してグラフを選ぶ問題だが、値が求められなかったとしても雰囲気で絞り込める。
(h)は雰囲気で選ぶのは難しいが、I1 とI2が通る導線は並列なので、棒が減速するにつれて誘導起電力が減るとI2 も減る。
〔3〕
(a)
(ア)速度(velocity)はvector、速さ(speed)はscalarである点に注意。日頃から区別していないと分からない。偶然にも英語の頭文字が対応しているので、これを知っていれば間違えることはない。速度はvectorなので計算する上で都合がいいのでよく用いられる。
(b)
問題文で「u2を無視する近似を使う」と書かれている事から、計算過程で速度の2乗を使うと分かる。そこから運動エネルギーを立式すると推測できる。
気体分子の衝突後の速度の計算では、反発係数の式を利用して「1 = -(v’ -u) /(v -u)」と立式する。反発係数が1という事は、衝突前後で運動エネルギーの総和が等しい筈だ。ピストンの速度は衝突後に増加する筈だが変わっていないという事は、外部から抑え込む力が加わったことを示している。ここから運動エネルギーの総和の総和が減少していると言える。
(c)
(b)を誘導として、(1分子の仕事) ×(1分子がΔtの間にピストンに衝突する回数) ×(N個)として求める。
(d)
(c)を誘導として「圧力 = 仕事 /距離 /面積」で計算すれば瞬殺。
前問を誘導とする問が多いので前問に注目するのが良い。前問を誘導としているがそれが解けなかった場合、「前問の解をxとする」のようにして立式しておけば部分点が得られるだろう。
(e)
熱力学第1法則にはWを外力とする場合(ΔU = Q +W)と気体の仕事とする場合(Q = ΔU +W)がある。ここでは後者である。
与えられた記号から、W = p ΔV, ΔU = 3nR ΔT /2 を連想し、熱力学第1法則で立式する。
(f)
計算不要の簡単な問題なので、他の小問が難しくても解いておこう。
(g)
問題設定は少し複雑に見えるが、断熱変化なので内部エネルギーの変位を求めればよいだけだ。両領域とも物質量と温度は同じになっているので、内部エネルギーの変位はどちらも3nR(T’ -T0) /2 である。
(h)
T’ = TAなので、TA を使わずに解答できてしまうので良い問題ではない。