〔1〕
(b)
「重力」と「静電気力」はともに保存力なので、これらの位置エネルギーの合計は保存される。つまり、「重力の位置エネルギー + 静電気力の位置エネルギー +運動エネルギー = const.」である。ここからエネルギーの原理を立式する。
小球がPにある瞬間と、逆向きに運動し始める瞬間のエネルギーを等式とする。いずれの瞬間も運動エネルギーは0なので、重力の位置エネルギーと静電気力の位置エネルギーを足せばよい。
「振動の中心となる角度が釣り合いの位置である」というのは自明ではないので証明が必要だと思うが、この事からも答えを出せる。
(d)
まずは小球にかかる力を全て書き出す。そしてこの問題は、向心力や張力の意味を理解していないと解けない。
- 向心力とは円運動する物体にかかる力の内で中心方向のものを指す。逆に言うと、向心力のお陰で物体は円運動しているのである。
- 張力は、静止した物体を糸が引っ張るわけではない事を想像すれば分かるように、受動的な力である。この問題に於いては、向心力と重力とローレンツ力の関係を記述する上で帳尻合わせとして使われている。
(e)
糸が弛むのはT≦0 の時だが、vを消去する必要があるので、単にT = 0の式を解くだけでは駄目だ。
「B1 より小さいとき糸が弛まない」という事は、B1 は取り得る値の最小値でT≧0が成立なければならない。「B1 より大きいときある位置で糸が弛む」という事は、弛まない状態も含まれている。そこでvを纏めて平方完成(あるいは相加相乗平均)させ、vの範囲を評価するという難問。
〔2〕
(a)
コンデンサーの電気容量は、εS /d で表される。εは定数部1 /4πk を纏めたものだ。残りのS /d は、 極板の面積Sが大きい程、極板間距離dが小さいほど電気容量が大きくなることを表している。
(c)
スイッチを切った事で電気量は不変となるので電場も不変となる。コンデンサーの電場はE = Q/εS なので極板間距離に依存しないからだ。これは、極板間では全ての電気力線が平行である事からも分かる。
コンデンサーの電場Eは二つの極板がそれぞれ出す電気力線の和に基づく。つまり一つの極板が作る電場はE /2 である。よって極板Bの静電気力はqE /2である。
(d)
[注意]空間1と空間2が密閉された状態で静電気力により極板Bが動いたとすると、空間1, 2の気圧はどちらも変化しているので両者を計算する必要がある。ところが(b)で栓2を開けたままの状態が続いているので空間2に関しては気圧はP0 である。問題が不親切なのが悪いが、錯覚しないように条件変更の文毎に状態を纏めておくと良いだろう。
「空間1の気体が極板Bを押す力(P2S)」と「静電気力 + 空間2の気体が極板Bを押す力(P0S)」が釣り合っている。
(e)
検流計の値が0という事は検流計の両端の電位差が0である。そしてC1 左端の電位が V1sin ωt なのでC2 左端の電位も V1sin ωt だ(電流は同じとは限らない)。 また「R1の抵抗とC1 のコンデンサ」「R2の抵抗とC2 のコンデンサ」 がいずれも直列である事が分かる。
電流をR1 , R2 を用いずに表すというのは、コンデンサに流れる電流で表すという事だ。高校物理の備忘録に書かれている手順で、V1sin ωt をQ = CVに代入して、電流を求めたいのでQを時間微分する。
問題文には優しく sin ωt の微分の関係式が書かれているが、東工大受験生なら参考にしなくても解けるだろう。
(f)
(e)の答えを利用する問題だが、(e)が分からなくても、電流と電気容量は比例するので答えられる。
(g)
図に圧倒されるが、 (d)の解を利用しつつ、未知数を変形して気圧の関係と結びつける。
〔3〕
手際よく処理すれば高得点を得られる。
(c)
この問題では、弦が生じる二つの音は、張力Sやうなりに関して数学的な対称性を持つので、対称的な形を保って処理していくと効率的だ。
(e)
ここから、難しくは無いが計算が面倒になってくる。
[9] yn は2A・sin (2πfnb /v)が全て係数部だから、cos (2πft)を二階微分すればよい。
[11]m /b は線密度を表している。