高校理科 東京大学 物理・化学 2016 (平成28)年度 前期入試問題の解説

物理

解説

分析

第1問は比較的易しい。全体的に式変形に技巧を要する印象がある。

第1問

[II]

(3)前問を手がかりにするとイとエに絞り込める。また、t = 0の前後で運動量は保存されてるのでイだと分かる。このグラフの傾きは加速度を表しており、これがt = 0で変化したのは重力が加わったからだ。エの様になるには撃力を与える必要がある。

[III]

(3)⊿lを無視するという設定のせいで分かりにくいが、要するに小球2が浮き上がる際にゴムは自然長であると見做すということだ。この時、小球1は上向きに速度を持つのでゴムが伸びる。その後自然長に戻るまでの時間は単振動の半周期に当たる。換算質量を知っていれば速く解ける。

第2問

[I]

RLC回路を覚えていなければ(1)から分からない問題で、解けるとしても計算量が非常に多いので捨てるのもアリだ。

(1)交流回路でも、直列であれば電源、抵抗、コイル、コンデンサーには全て同じ電流が流れる。そして抵抗、コイル、コンデンサーの電圧の和はVなのでこれを立式する。物理の問題でtangentの値を問われたら、三角関数の合成を使う場合が多い。

第3問

[I]

(4)条件式は正確にはxに絶対値を付ける必要があるが、以降の問題ではx > 0で考察しているので付けなくても減点は無いだろう。

(5)領域A, Bにおける波長と、領域Bがy < 0で定義されることから導く。sin θは屈折の法則「sin θ1 /sin θ2 = v1 /v2」を適用する。

化学

第1問

(ウ)解答に5分以上かかる捨て問。問題に登場する単位はgだけなので文字の単位もgにしよう。molにすると係数が大きくなり煩雑計算になる。

(カ,キ)混合気体の問題では「モル比 = 分圧比」を意識しよう。

第2問

(エ)過マンガン酸カリウムは塩基性条件下で還元するとMnO2の黒色沈殿を生じる。

(ク)「陽イオン性」とは「陽イオンとしての性質の強さ」ではなく「正電荷への傾き具合」を意味する。

(ケ)ファンデルワールス半径に関する難問。

第3問

[I]

構造決定を含む問題だが、実験過程を考察する必要があり面倒。

(イ)エステル結合やエーテル結合も官能基の一種だとは誰も知らなかっただろう。悪問。

[II]

問題文が長大だが解答に相当する部分が順に並んでおらず面倒なので、問題文に登場する問題箇所の順に解いていくのが良い。

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