分析
解説
第I問
〔1〕
- (1)原子番号は陽子の個数。原子量は陽子と中性子の総和にほぼ一致する。原子量は12Cを基準とした量だから、同位体を持つ水素の原子量は1より大きい。原子量は元素の存在比で補正されたもので、同位体の区別がない。
- (2)三重水素(トリチウム)は放射性同位体。
- (3)予備校の間でも正誤判断が分かれた。
- (4)クーロン力は距離の2乗に反比例する。
〔2〕
- (2)ボイル・シャルル則はP, V, Tの関係式だ。
- (5)モル分率の考え方で瞬殺できる。
〔3〕
- (1)生成熱 = (生成物の生成熱の和) -(反応物の生成熱の和)
- (2)生成熱は単体から生成する際に生じる熱の事だから、エタノールの反応式は2C(黒鉛) +3H2 +1 /2 O2 = C2H5OH +Q となる。左辺の物質の生成熱の方程式の熱量を、係数を掛けた上で足すだけ。
〔4〕
(i)
気液平衡がテーマなので、ヘンリーの法則を意識しよう。V0の数値もヘンリーの法則から出せる。
分圧の考え方から、アルゴンの注入は酸素の溶解に影響しないと気づこう。
操作毎に新しい気液平衡になる。V1 はヘンリーの法則から求められるはずだが、その為には「操作1回目での気体部分の酸素の分圧」を知る必要がある。そこで、操作前後で「ピストン内の酸素の1×105Pa での体積」が不変である事を利用して立式する。
(ii)
まるで数列の問題だ。実際、公比1/5の等比数列となっており、東工大らしさが出ている。
計算できなくても予想はできる。解答欄は2桁用意されているが、手計算なので計算を多く繰り返させるとは考えにくい。またこの手の問題は切りの良い数字が答えになっている場合が多い。
〔5〕
Kc = [X]2 /[X2] = (2nα /V)2/ {n(1 -α) /V}
である。X2が分解して同じものが二つできるので、Xのモル濃度は二つ合わせたものを2乗する。
第II問
〔6〕
(5)の様な選択肢を出すのはやめて欲しい。勉強が個人や社会にとって単なる浪費でしかないことを感じさせる。
- (1)Cr, Mnなどの8族までの遷移元素は、その族番号が最大酸化数になる事がある。
- (2)NH3 が配位子となって錯イオンを作るのはAg+, Cu+, Zn2+である。
- (5)Fe3+ は基本的に赤系の沈殿を生じるが、ヘキサシアニド鉄(Ⅱ)酸カリウムK4[Fe(CN)6]では例外的にベルリン青と呼ばれる濃青色沈殿を生じる。憶えにくいが頻出だ。ちなみに Fe2+ では青白色であり、この色の違いを利用したのが青写真だ。
- (6)Cu(OH)2は60~80℃で分解してCuOとなる。
〔7〕
フッ素は暴れん坊である。
(3)KClO3とH2O2 はMnO2を触媒として酸素を発生する。
〔8〕
(6)ファラデー定数は「電気素量とアボガドロ定数の積」と定義されている。
〔9〕
酸化還元滴定の典型問題だが、酸化還元反応の知識が必要で、半反応式を立てたり長い計算があり意外と大変。
硫酸が存在するのは過マンガン酸カリウムを酸性条件下の酸化剤とする為だが、解答に有効数字が指定されていないのが引っ掛けで、硫酸のモル濃度の有効数字である2桁に合わせてしまうと、この数値は計算で使用していないので誤りとなる。
総合的には難問だ。
第III問
〔11〕
- (2)ケトン基はC-C(=O)-C、アルデヒド基は C-C(=O)-Hであり、いずれもカルボニル基の一種。
- (4)カルボニル基は求電子性が高い為、NH2 は陽性を帯び塩になりにくい。
- (5,6)ホルムアミドの様に、HC=O やNH2の部分だけでも加水分解できる。
〔12〕
- (1)ナイロン6とナイロン66はいずれもカルボキシ基とアミド基を持つ。
- (3)加水分解するとポリビニルアルコールとなり水溶性を持つ。
〔13〕
- (2)一次構造はポリペプチド鎖を形成するアミノ酸配列、二次構造はタンパク質を形成するポリペプチド鎖同士の水素結合(α-helix, β-sheet)、三次構造はタンパク質を立体化する側鎖間の結合。ジスルフィド結合は三次構造の一つ。
- (4)アミノ基は塩基性条件下そのままなので、中性である。
- (5)ニンヒドリン反応はアミノ基の検出法。