分析
解答例
第1問
整数問題はいつもの様に実験によって答えが見えてくる。
(1)
「3を法として2に合同」とは、「3で割った剰余が2である」という意味。
合同式に絶対値記号が含まれているのは見慣れないが、場合分けすればよいだけだ。
3を法とするので、x ≡ 0, 1, 2の3種類に分けて調べていく。合同式は積と和と差が成り立つので、ふつうの方程式の様にx2 -x -23 ≡ 2にx = 0, 1, 2 を代入する事が出来る。
合同式を使えるかが試されたが、そもそも「法」や「合同」の意味が分からず捨ててしまった人も居るかもしれない。しかしこの問題が解けなくても(2)は解けるので大問毎捨ててはいけない。
(2)
(1)で3を法として調べたので、ここでもそれを引き継ぐ。与式が素数であるためには、3で割り切れないことが必要条件というわけだ。
与式にわざわざ絶対値記号が付けられているという事は、その記号の影響を受ける値付近が答えになっていると勘づく。
第2問
(2)
複素数平面を利用しなくても解く方法は色々ある。複素数平面を利用するなら、外接円の中心を原点、Pの座標をzとして、与式を変形していけば自然と解ける。
東進の別解2の様に、Pを劣弧AB上におくとCP = AP +BPが成り立つ事を示す方法もある。ちなみにこの CP = AP +BP は、2018年共通テスト試行調査でも題材になっている。
第3問
(1)
ACはxz平面上、ABはyz平面上にあるので、ベクトルを使うより、平面Hのそれぞれの平面での直線との交点を求めるのが速いだろう。
ACとBCは、座標軸との交点の座標が分かっているので、簡単に方程式を作れる。ACは(3, 0, 0), (0, 0, 4)を通るのでx /3 + z /4 = 1、BCは(0, 3, 0), (0, 0, 4)を通るのでy /3 + z /4 = 1 である。
(2)
同一円周上にある条件の立て方は、方べきの定理以外では困難なようだ。センター試験で頻出だし、P, Q, R, S, Tの配置で思い出しやすい が、東工大数学でこの手の定理を使うのは珍しいかも。
その後は方べきの定理で立てた等式を変形していき「= 0」の形にする事で必要十分条件を抽出する。b = aのグラフだけ書いていても部分点は得られるだろう。
第4問
(2)
斜め回転体は2009年以来の登場。当時は軸が空間上に存在するという難問だったが、今回は標準的なレベル。
「(1)の結果を用いて」と指示してあるが、そのままxで積分してはいけない。積分とは、微小な短冊を「縦×横」で足し合わせる手続きなので、線分または面に垂直な軸での積分が必要だからだ。ただし、軸との傾きによる面積の減少を考慮すれば可能である。それがcos θを使った裏技公式である。
回転軸に座標tを設定して、tとxの関係式を元にt→xへの置換積分を行う。x(2sin x -sin 2x)を積分することになるが、2項に分けて部分積分するよりもそのままの方が速いだろう。
第5問
珍しく一つの大問に4つも小問が与えられている。前年度の第4問の難しさを反省した結果かもしれない。
(1)
ak+2 を部分積分するなら三角関数を変形、akを部分積分するなら xkの方を変形しておく。 どちらも労力は変わらないようだ。
(2)
ak が0に収束しそうなのは与式から分かるが、k ak は不明なので直接に算出できそうにない。ところで、なぜか「限りなく大きくする」という表現をしているが、これは要はlim(k→∞)の事である。極限といえば挟み撃ちの原理であるからこれを使おう。
特性方程式を使えば1に収束すると予想できる。(1)で得た式を k・ak について解くと1とak+2を含む項が出てくるので、ak+2 が0に収束する事を示せばよいと分かる。
さて、ゴツい数式を目の前にして何で挟むかで悩むが、与式にsinが含まれていなければ値が出せるので、0≦sin(πx /2)≦1を利用するのが良さそうだ。ちなみに0≦xk-1≦1 を利用してしまうと、残された式にkが含まれていないので極限を使えなくなる。
要は、与式をlim(k→∞) とした時にak = 0 である事と、(1)の結果とを組み合わせれば良いのだ。
また、東進の別解の様にak の漸化式を解いている途中で出てくる1/kを利用して挟む方法もある。
(3)
一見すると0以外の収束値を持たない様に見えるが、不定形の計算ならば0以外になり得るので∞×0の形に持ち込む。
k・ak の収束値が0ではなく1であるという(2)で示した事実がカギだ。ak を収束させれるkの指数の上限値を示しているからだ。 kの指数が0になるようなm, nの値を探す。
極限に対する理解の深さを問われた良問。難問なので、m -n = 1という必要条件だけでも示せば5点は貰えるだろう。
(4)
これも ∞×0の形に持ち込む。
漸化式をマクローリン展開の様に項数を調整した上で極限を取るという作業が必要だが、この発想は出てこないだろう。
前問に輪をかけて難しい。真面目に記述していたら解答用紙の余白が足りないのでは?これもp -r = 3, q -r = 2という必要条件だけでも示せば5点は貰えるだろう。