第1問
問1
(2)一価の陰イオンになっても半径は変わらなそうだが、価電子同士が反発しあって大きくなる。これを知っている人は少ないだろう。
(4)の内容が誤りを含むので正答。単体の酸化作用が原子番号が小さいほど強いのは、最外殻と原子核との距離が短くクーロン力が強いため。(5)も同じ理由である。
問3
混合気体の状態方程式で扱う場合は平均分子量を算出する必要がある。
問4
液面より上にある試験管内の物質の重量は常に等しいという点に着目して立式する。水銀柱の問題は、気圧=P、水銀柱の高さ=a、気液平衡時の水銀柱の高さ=b とすると、飽和蒸気圧はP(a-b)という簡単な式で表される。
問5
この問題はファントホッフの法則を知っていないと解けない。計算が煩雑な割に選択肢から正答を特定しにくい。
第2問
問1
生成熱の反応熱を求める場合は、反応式を、右辺の生成物を1 mol として揃える。したがって熱化学方程式は「3Fe + 2O2 = Fe3O4 + Q(kJ)」となる。
問4
元のグラフに変化を及ぼす要素として、反応速度とルシャトリエの原理の二つが絡んでくる。条件Iでは、反応速度が下がる事に加えて、温度を下げる事でそれを補おうと熱を発する状態に平衡が移動する。
問5
この色素は、pH5以下の時にハッキリと赤くなり、pH7以上の時にハッキリと黄色くなる。したがって指示薬として利用するには、中和点に達した際に「黄→赤」または「赤→黄」という色の変化を観察できることが条件だ。ゆえに滴定曲線が急峻になっている領域にpH5~7を含んでいるアとエが正解。
第3問
問1
(4)ストロンチウムはアルカリ土類金属なので炎色反応(深紅色)を示す。
問2
- (1, 2)水酸化銀と水酸化銅は共に熱的に不安定なので、脱水して酸化物となり沈殿する。
- (3)二酸化マンガンは触媒として働いている。H2O2がもう一つのH2O2に水素を与えて水を生成しているので還元剤。
- (4)フッ化水素酸と反応して錯体のヘキサフルオロケイ酸H2[SiF6]になる。
問3
操作Iは塩化物イオンと沈殿を作る主な塩を問われた簡単な問題。系統分析の問題は必ず錯イオンの発生を扱うので、操作IIは錯イオンを作るものと分かる。
過剰NaOHで錯イオンを作る金属イオンは両性元素。AlとZnはどちらも両性元素なのでろ液となってしまうので不適。したがって過剰アンモニアと分かる。
ちなみに、硝酸は沈殿を作らないので不適。硫酸もアルカリ土類金属と鉛以外とは沈殿を作らない。過剰アンモニアで作られる配位子はNH3で、金属イオンはCu2+, Ag+, Zn2+。
問4
A: Ca(OH)2, B: CaCO3, C: Ca(HCO3)2, D: CaO
(1)アルカリ金属とアルカリ土類金属の水酸化物は全て強塩基。
問5
この反応式は、正極と負極それぞれの反応式を纏めたものなので、電子のやり取りが分かり難い。それでも、放電時のNiの酸化数の変化量が-1であることや、水素吸蔵合金が一つの水素をやり取りしている事から、Niの1 molに対して電子も1 mol がやり取りされていると分かる。
この電池については松永プレシジョンの解説が詳しい。
第4問
問1
化合物の物質量を立式すると 30 * 10-3 / (140 + n) となるが、これを上手く約分するnの値は選択肢2だ。
問4
含まれている原子の種類が多いものが光学異性体である確率が高い。
問5
a
- (1)エステル化を促すために濃硫酸の脱水作用を利用した。
- (2)H2SO4 + NaHCO3 → NaHSO4 + H2O + CO2
- (3)エーテルは水より軽い。
- (4)酢酸エステルは果実臭を持つ。
第5問
問1
実は分子構造や構成分子を憶えていなくても解ける。
- a: アミド結合を持つポリアミド系合成繊維はナイロン6とナイロン66の2つであり、ナイロン66の「66」の由来はアジピン酸とヘキサメチレンジアミンがそれぞれ炭素原子を6個持っているから。
- b: ゴムは主鎖に二重結合を持っている。またゴムは付加重合または共重合によって出来ているので、二重結合を持つ分子が元になっている。また、SBRは ベンゼン環を含んでいるので強度が高く、「スチレン・ブタジエンゴム(styrene-butadiene rubber)」の略でもある。
第6問
問1(2)架橋構造は、ホルムアルデヒドを脱水縮合して橋渡して出来ている。
第7問
問1
(1)三次構造を安定化させる結合にはジスルフィド結合(S-S結合)、イオン結合、水素結合、疎水結合がある。