むぎの対象関係論を学ぶ中での覚え書き。
態勢~妄想分裂・抑鬱
態勢(position) | 妄想・分裂 | 抑鬱 |
---|---|---|
獲得時期 | 生後0カ月 | 生後5カ月 |
対象関係(母親への認識) | 部分対象(良い・悪い対象、乳房・手) | 全体対象 |
抑鬱不安・迫害不安への反応 | 分裂・投影同一化 | 償い・躁的償い・躁的防衛 |
抑鬱態勢の獲得時期は、全体対象を認識する能力を獲得する事が条件なので、分離固体化期の始まりと一致している。
妄想分裂態勢と抑鬱態勢は、Freud 派精神分析学に於ける快楽原則と現実原則に夫々対応付け得ると思う。
対象関係論は「人は妄想分裂態勢と抑鬱態勢を行き来する」と説明する。私はその変化は離散的ではなく連続的であり、「現実検討能力の強さ」という連続的な尺度を用いる事が出来ると思う。躁的償いや躁的防衛は抑鬱態勢に於ける自我機制と説明されているが、実際には妄想分裂態勢と抑鬱態勢の中間に位置していると言える。
発達障害には「全体対象の認知が難しい」という特徴がある為、妄想分裂態勢から抑鬱態勢への発達が障害されていると見られる。
「態勢(position)」を通俗的表現に替えるとすれば「態度」だと思う。更に「妄想・分裂態勢」は「生意気な態度」、「抑鬱態勢」は「誠実な態度」になる。
不安~迫害・抑鬱
精神分析学の観点からは、自責感(申し訳無さ)と感謝(有り難さ)は兄弟のように似た感情である。
自責感と感謝の感情は、次の点が共通している。
- 妄想分裂態勢に於いては発生せず、抑鬱態勢に於いて発生する。
- 自分と相手に於ける両者間の作用によって、「自分の幸福度 – 相手の幸福度」が増加した際に生じる。
私は平成27年から精神分析学の学習を進めている。その中でMelanie Klein が構築した対象関係論についても触れる機会が何度も有った。しかし私がこれまでに読んだ対象関係論に関する資料はかなり解りにくく、理解が進んでいなかった。しかしに富山大学の資料を読んで理解が大きく進んだと思う。これは説明が比較的論理性が有る。