A 経済学・経済政策
第1問
日本は2016年に安倍晋三首相、黒田東彦日銀総裁の元でマイナス金利政策が導入された。
第2問
日本の輸入元は中国が圧倒的。輸出先はアメリカと中国がほぼ同規模。
中国からの主な輸入品は電気機器。中国への主な輸出品は半導体や集積回路。
アメリカへの主な輸出品は、自動車や自動車部品。アメリカからの主な輸入品は大豆や集積回路。
第3問
- (イ)GDPは三面等価の原則により、国内総所得(GDI)や国内総支出(GDE)とも等しいが、このうちGDIは「賃金(雇用者所得)+利潤(営業余剰)+固定資本減耗(減価償却費)+租税(間接税-補助金)」と表される。
- (ウ)GDP deflatorは「100✕名目GDP / 実質GDP」で表される。100より大きければ物価上昇、小さければ物価下落が起きている。”deflator”の由来はdeflationというより、「膨張した名目GDPを実態に沿う規模に収縮(deflate)させる」というところにある。
- (エ)国外への富の流出が多いと、GNIがGDIより低くなることがある。
第5問
45度線分析(Keynesian cross diagram)の問題。デフレ・ギャップは、潜在GDP(完全雇用が実現している状況でのGDP)における需要量と供給量の差である。対義語にインフレ・ギャップがある。
AE = BE なので、どちらか一方だけが正しい選択肢ということは有り得ない。よってデフレ・ギャップの意味を知らなくても(ア)と(ウ)は除外できる。
第6問
IS-LM分析の問題。IS (Investment-Saving)曲線は財市場、LM (Liquidity preference-Money supply)曲線は金融市場の均衡を表している。貨幣市場(money market)は金融政策によって操作でき、財市場(goods market)は財政政策によって操作できる。
GDPが増えると、貨幣需要が高まり、利子率も高まる。これがLM曲線が右上がりとなる理由だ。
不況のとき、金利を引き下げても投資が増えないことがある。このとき、投資関数(縦軸が利子率、横軸が投資水準)は垂直である。同時にIS曲線も垂直である。
不況のとき、マネタリーベースを増やしても金利が下がらないことがある。このとき、流動性選好関数(縦軸が利子率、横軸が貨幣量)は水平である。同時にLM曲線も水平である。
投資関数が垂直ということは、政府支出を増加させても民間投資が減ることはないということだ。
第7問
Tobinのq とは、「企業の市場価値 / 資本の再取得価格」で表される。ここで言う資本とは資本ストック(減価償却控除前の固定資産)を指し、総資本ではない。
- (ア)企業の市場価値は「株式時価総額+負債総額」だ。
- (ウ)企業の市場価値はストックであるのに対して投資費用はフローなので、比較するのは無意味。
第8問
- (ア)労働力調査は15歳以上を対象としている。
- (イ)「賃金の伸縮性」とは、賃金が変動する柔軟性のこと。この用語は高度に専門的なので受験者が知っていることを想定して作問したとは考えにくい。選択肢に分からない用語が含まれている場合は偽として良さそうだ。構造的失業とは、就業条件のミスマッチによる失業のこと。
- (ウ)循環的失業とは景気循環に伴う失業のこと。
- (エ)摩擦的失業とは求職中における失業のこと。
第9問
- (ア)Menu Costとは、メニューの書き換えといった価格変更に伴う費用のことで、価格の硬直性の原因になる。
- (エ)「実質賃金=名目賃金 ÷ 物価」なので、名目賃金よりも価格が下方硬直的ならば実質賃金は下がりやすくなる。
第10問
現金・預金比率cとは「現金÷預金」のこと。「monetary base=現金+準備預金」と「money stock=現金+預金」から、「貨幣乗数=(c +1) /(c +預金準備率)」が得られる。
このような考え方をしなくても、現金の保有性向が高まるということは「money stock-monetary base」が減るので貨幣乗数が下がることが直感的に分かる。
第11問
(a)財政拡大によって通貨高となり、純輸出が減る。これによって民間需要が相殺される。
第12問
生産量がQ0のとき、生産者側は価格をP1に設定したいが、生産者間の価格競争により限界費用P2にまで下落する。生産量がQ0のとき、生産者側は価格をP1に設定したいが、消費者は最大でも限界便益のP2でしか買ってくれないので、この価格まで下落する。
第18問
SとS’の価格差が「単位数量あたりの外部不経済」である。よってピグー税を導入しないとき、四角形EFGHが外部不経済である。
第19問
課税による社会的余剰の減少分を死荷重または超過負担という。
第20問
完全競争市場では多数の供給者が存在していることを想定しており、その市場における財は同質であるため企業の価格支配力は効かない。このような企業をPrice Takerという。
一方で独占的競争市場では財の差別化を可能としているため、企業は価格支配力を持つことができる。このような企業をPrice Makerという。
居酒屋は製品差別化ができる独占的競争市場の一例だが、厳密に製品差別化できるわけではないので、需要や利潤が現象することは有り得る。
第21問
2部料金制は、基本料金と従量料金の二段構え。最適な生産水準は需要曲線Dと限界費用曲線MCの交点にあるが、この点が平均費用曲線ACより下にある場合は企業は赤字になる。そこでこの差額を消費者に負担させるのが基本料金である。