高校数学 筑波大学2018 (平成30)年度一般入試問題の解説

妙にtan (正接)を使う問題が多い印象。

〔1〕

(1)

点Aの座標が(tan θ, tan2 θ)と少し奇妙だが、原点を結ぶ傾きはtan θ なので、角度はθである。

三角形の内心、外心の性質を利用して解くのが王道だろう。内心は角の二等分線の交点、外心は辺の垂直二等分線の交点である。この性質を忘れたなら直角二等辺三角形で試してみればすぐに分かる。

「tan2 θ +1 = 1 /cos2 θ」などの公式を憶えていれば速い。

(2)

pとqの式は複雑なので、初めにS(a)を求めてからS(p) /S(q) に代入した方が良い。S(a)は偶関数なので計算を省略できる。求める値は2つ有るが、 S(p) /S(q) のグラフをイメージすると理解しやすい。

〔2〕

(1)

放物線Cと直線が重解を持っているという情報を生かして判別式を利用すると速い。

(2)

例えばf(x) とg(x)が共有点をx = α, βに持つ場合、面積を求める関数はf(x)-g(x)という風になるので、これを(x-α)(x-β)と因数分解できる。

この問題では放物線Cが直線l1とx = (p -q) /4, 直線l2がx = (q -p) /4に重解を持つので、α = (p -q) /4と置くとそれぞれ(x -α)2 , (x +α)2 となり積分が簡単になる。

(3)

p +1/p の最小値を求める方法は相加相乗平均や微分がある。

〔3〕

(2)

点Rは特定の点ではなく線分QnPn+1上のどこでも位置し得るので、この点が動く様子を想像してみるとよい。直線OA側に寄るとxは増加しyは減少する。直線OB側に寄るとその逆になる。

これは分点公式により、mOPn+1 +nOQn = OR とした時にm +n = 1 が成り立つのだ。この性質を利用するために「xa +yb = OR」を「mOPn+1 +nOQn = OR」の形に変換しているのが(1)。これによりx = -2y +4n となる。

Sの点の個数とは、整数倍のa, b が作る格子が線分QnPn+1上に何個あるかという事だ。これは先ほど求めたx = -2y +4n のx, y が共に整数となる組み合わせに該当する。yが整数ならxも整数なので、yの個数を数え上げれば良い。グラフィカルには想像しにくいので、数式に落とし込むわけだ。

(3)

⊿OPn+1Qn が正三角形なら数えやすいが、辺Pn+1Qn が奇妙な角度になっているので厄介だ。これが頂点Oの角度が直角なら、OPn+1 から平行移動しながらスキャニング出来るので数えやすい。そこで直交座標系に変換した上で数列の和で数え上げていく。

〔4〕

C2の回転体からC1の回転体を刳り抜く。1 /sin2 x の積分は置換積分で求まるが、-1 /tan x となる事を知っていると速い。ちなみに1 /cos2 x の積分はtan xである。

〔5〕

(1)

分母の+π2 が邪魔なので、”□ +1″という形に持ち込み変形させたい。そこで「tan2 θ +1 = 1 /cos2 θ」が使う。

証明は、f(π)が解答できなくても答えれる。

(2)

数列に関して証明と言えば数学的帰納法である。(1)でf(π) = πという答えが出せていないと証明できない。

(3)

平均値の定理を使う問題だが、二段階の変形を経ないとこの定理の形にならない。左辺の”an +1 -π” を”f(an) -f(π)” と置き換えれる事に気づくのが大事で、こう置き換えた後は両辺を” an -π “で割れば平均値の定理の形になる。

平均値の定理を使う問題だと見破る方法は次の通り。

  • 不等式である
  • 両辺にそれぞれ、よく似た引き算の形が含まれている。しかも片方に係数がある。

解法の流れは、(f(an) -f(π)) /(an -π) = f'(α)とし、0 < f'(α) ≦ 2 /π となる事を利用して(f(an) -f(π)) /(an -π) ≦ 2 /π を導く。

極限値を求めるには、先に証明した不等式を「挟み撃ちの原理」として利用する。

ちなみに、 0 < f'(α) でないと、不等式の両辺の絶対値を付けられない。 この問題では絶対値がなくても「0 ≦ an -π」が成り立つが、この東大入試問題では絶対値がないと挟み撃ちの原理を使えないので、一般的には絶対値が必要と知っておくべきだ。

〔6〕

(2)

「集合Sを図示せよ」という問題であり、集合Sとはαの軌跡の事だから、αの式を求めればよい。

∠OAB = π /2 なので、arg (1 -α) = ±i となり、α -1 = ki と置ける。(※「ki」を「±ki」とする必要が無いのは、kが正と負の値をとれるから。 )

(3)

α2 = 1 -b2 +2bi となるが、図示する場所は複素数平面ではなくxy平面なので、この複素数のbを媒介変数に見立ててx, yで置き換えるのが分かる。

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