ふと思ったが、「受験戦争」という言葉は変だ。受験生同士が互いを攻撃しているわけではないからだ。
軍拡競争が戦争とは呼ばれないのと同じで、受験戦争はあくまで「競争」なので、「受験競争」と呼ぶほうが望ましい。
受験競争とは、お互いを貶め合うのではなく切磋琢磨することで、結果として学生全体の学力が底上げされる現象だ。
で、話は飛ぶが、戦争というのは、個々のプレーヤーがそれぞれ自身の利得拡大を目的として互いを傷つけ合い、結果として全体のパイが縮小する「全体不最適」の現象である。
第二次世界大戦の教訓として、戦争を禁止し、自由主義経済を志向した現代の国際秩序は、戦争を競争へ昇華させるコーディネーションだったのだ。